チートじゃ済まない   作:雨期

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もうすぐA's編が終わるお!!


第41話

 長い長い次元の裂け目を抜けて放り出されたのは病院の屋上だった。本当に元の世界へ戻れたのか。雑に見えてやるな俺。

 

「…………どうなってんだ?」

 

 現状を把握したくて周りを見ていたんだが、分からない事だらけだ。なのはが居るのはいい。フェイトが居るのも無事だったんだろう。ユーノ、アルフ、クロノも応援で来たんだろうな。しかしだ、何故はやてがバリアジャケットを着ていて、ヴォルケンリッターが復活しているのか。管理人格は見当たらないし。

 そして問題なのが謎の黒い塊が居る事だ。管理人格に近い魔力を感じるからあれは闇の書が関係している奴だとは思うんだが。まあ直接訊くのが早いな。

 

「ただいま。現状を教えてくれ」

 

「要君!?」

 

「どこ行っとったん! リインフォースが自分の中におらん言うとったからみんな心配しとったんやで!!」

 

「リインフォース?」

 

「私達が戦っていた管理人格さんだよ。はやてちゃんが名前を付けたの。今はユニゾンデバイスとしてはやてちゃんと合体してるの」

 

 管理人格は敵でなくなったんだな。そこはよく分かった。ユニゾンデバイスとかは終わってから質問しよう。

 

「ならあれは?」

 

「闇の書の防御プログラム。闇の書のと呼ばれる部分」

 

「今回の元凶か。あれを潰せばいいんだな?」

 

「ここからは僕が説明しよう。確かに君の言う通りあれを倒せば終わりだ。しかしまともに倒す事は不可能に近い。だから僕達は君が居ない間にあれを極限まで弱らせ、宇宙空間に転送させてからアルカンシェルという兵器で破壊する事にした」

 

「長い説明ありがとう。そうそう、クロノは体調は万全なのか? 過労だったんだろ」

 

「それに関してはまた別で説明する必要がありそうだ。今は問題ない。足を引っ張る事はしない」

 

 それは良かった。しかし俺が居ない間に随分とやる事が決まってしまっていたようだな。ここはお詫びとしてあれを潰すしかないな。

 

「全員ここで待機していてくれ。あれを殴ってくる」

 

「あれは4重のバリアを張っているのだ。いくら一条とはいえ」

 

「甘くみるなよシグナム。俺だって無意味な事はしないさ。まあ見てな」

 

「待って、せめて体力の回復を」

 

「気持ちだけ受け取るぜシャマル。だが今の俺は絶好調なんだ。じゃあやってくる」

 

 ひとっ飛びで闇の上まで飛翔する。100%で殴るだけでもバリアを砕く自信はあるが、どうせなら本体にもダメージを与えたい。武装拳でも少し足りない気がする。

 

「武装拳とORTの力をどうこう言っていたな」

 

 帰ってくる前に未来の俺がそんな事を言っていたのを思い出す。武装拳は魔力を使って己を強化する術だ。なら魔力の代わりにORTを使えばどうなる?

 

「ぐ、ぉおおおおおっ!!!」

 

 全身が悲鳴を上げる。このままでは体が壊れる。強化する部位を絞れ。殴るのは腕だ。右腕だけを強化するんだ。

 右腕が指先から変化を遂げていく。まるでORTの外骨格が鎧のように纏い付き、右腕を包み込む。いける。これなら全てを潰せる。

 

「潰す」

 

ーーカッ

 

 拳を振り切ったと同時に見えたのはバリアが全て砕け、巨大な穴の開いた闇の塊だった。最高だ。この新しい技、武装拳とORTの力を合わせた『武装・ORT』があれば誰にも負ける気がしない。もう一撃入れて

 

「い゛ッ、ギガあぁアアアアアァぁぁああ!!!?」

 

 右腕に走るとてつもない痛みに武装・ORTを解除して近くの地面に着地する。一撃放っただけでこの反動とは、今の俺には多用出来るものじゃないのか。まだORTを従いきれていない証拠といえるかもしれない。

 んおっ! 闇の野郎もう再生してこっちに触手を伸ばしてきてやがる。左腕だけでも対処出来ない事もないが、わざわざ抵抗する必要もない。俺は1人じゃないからな。

 

「ストラグルバインド!!」

 

「チェーンバインド!!」

 

「鋼の軛!!」

 

 ユーノ、アルフ、ザフィーラの拘束魔法が闇を縛り上げる。この隙に退散しよう。

 

「そうだ。俺も拘束を手伝うか。アリストテレス、デカイ魔力弾を造れ。今の俺の力を使えば出来るはずだ」

 

《やってみます》

 

 造られたのは直径10mはありそうな巨大な魔力弾。これをニードルガンのように加工し、先端は三ツ又にする。巨大な銛みたいな感じだな。管理人格、いやリインフォースのアンカーガンがなければ思い付かなかったアイデアだ。

 

「受けろ。ハープーンガン!!!」

 

 巨大な魔力の銛を闇に突き刺してから離脱する。痛む右腕には固定のためにシールドガントレットを巻き付けておく。シャマルに頼んで痛み止めをしてもらおう。

 

「また強くなったものだな。君に限界はないのか?」

 

「今はまだ限界にはほど遠いと思うぜ。シャマル、悪いが右腕の痛みを止めてもらえないか?」

 

「分かったわ。クラールヴィントお願い」

 

《はい》

 

 あー、気持ちいい。これだったらすぐにでも動けそうな気がする。だけどもうちょっとだけヒーリングさせてもらおう。万全を期すためという理由(いいわけ)のサボりだ。

 

「駆けよ隼!!」

 

《シュツルム・ファルケン》

 

「轟天爆砕!! ギガントシュラーク!!!」

 

 サボっている間にもこちらの攻撃は続く。シグナムはデバイスを弓へと変化させ、その矢は軽々と闇を貫通する。

 ヴィータはハンマーを巨大化させて降り下ろす。狙いは闇本体ではなく俺が刺したハープーンガン。柄をハンマーで叩かれたハープーンガンはより深く闇へと突き刺さる。これは痛々しい。

 

「かなり弱ったな。締めに入るぞ! 悠久なる凍土。凍てつく棺のうちにて、永遠の眠りを与えよ。凍てつけ!」

 

《エターナルコフィン》

 

 闇が凍りついていく。クロノの新魔法か。よく見ればデバイスも変わっているようだし、やる気満々じゃねぇの。しかしこれで止められるものでもないだろう。怪物を止めるものは大抵豪快な一撃って決まってるんだ。

 

「全力全開! スターライト」

 

「雷光一閃! プラズマザンバー」

 

「響け終焉の笛! ラグナロク」

 

「俺も参加しようか」

 

 なのは、フェイト、はやてが魔力を溜めきり砲撃の準備をする。俺も左手に魔力を集める。あいつらのように魔法としての砲撃は出来ないが、ただ魔力を放出する事なら出来る。濁流のように放たれる俺の膨大な魔力はこいつらの砲撃にも劣らない自信がある。

 

「「「ブレイカー!!!!!」」」

 

「消し炭になれ!!!!!」

 

 3人の同時砲撃とそれ以上の魔力の濁流が闇を呑み込まんとする。これで終わり。後は宇宙空間に転送させてアルカンシェルとやらで消滅させるだけ。まあこれに呑まれたらそれすらも必要ないかもな。

 

「Gyuaaaaaaa!!!!」

 

 だが俺達の予想はものの見事に打ち砕かれた。

 

「あ、あれ、は……!」

 

「はやて、リインフォースと話せるか?」

 

「…………へ、あ、出来る……けど」

 

「おいリインフォース、闇の書ってのは猿真似が得意なんだな。どんだけ人のもんを真似すれば気が済む?」

 

『あれは私と関係ないのだが、済まない』

 

「まあいい。あそこまでされたら流石にムカついた。潰してくる」

 

 潰してくる、っても潰せるのは俺しか居ないんだがな。しかしこんな事になるとは、俺の魔力をくれてやるのは失敗だったようだ。だが失敗はあいつも同じ。生き残りたいのならそれの真似だけはしてはいけなかった。

 

「潰してやるよ、黒いORT」




アリサ「はい出ました。リメイク前でもそれなりに好評だった黒いORT」

すずか「黒いORTは作中では要さん以外では倒せないくらいの強さだっけ?」

アリサ「そんな感じ。これってネタバレだったかしら?」

すずか「大丈夫だと思うよ。みんな要さんが負けるなんて思っていないと思うし」

アリサ「負けるの希望って人も居るかもね。では今日は何の日?」

すずか「本日8月1日は『水の日』。水は大切に」

アリサ「この季節は水をよく使うからね。しかも雨が降らなければ渇水になりやすい」

すずか「最近だと降ってもゲリラ豪雨だもん。嫌になっちゃうな」

アリサ「降っても降らなくても困るわね。暑いしこれからかき氷でも食べに行く?」

すずか「いいね。私はイチゴにしようかな」

アリサ「ではまた次回」

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