もう1つどうでもいい事として、俺はUMAとか好きなんでUMA設定を使った敵を今後出すと思います。ちなみに要が殺したワームはモンゴリアンデスワームをネタにしています。
「はっ? クロノが倒れた?」
学校でフェイトからそんな連絡を受けた。今まで元気だったのに突然倒れるとは、色々と溜まっていたのかもしれん。
「過労みたいなんだけど、お見舞いはしないくてもいいって」
「心配する必要はないって事だろうか」
「そんな、心配するよ。クロノ君は無理しがちだもん」
無理するから今回過労になったんだろうな。だがクロノの体調を相手は配慮してくれない。こういう時こそ敵の動向に注意しなくちゃな。まあはやての家に行けば動向なんて分かっちまうんだが、そんな不躾な事をやるつもりはないぞ。
「見っけ! そんな場所で何しているのよ」
「アリサちゃん……えっと、こっち側のお話だよ」
「あー、はいはい。そっちも大変ね」
アリサは理解があって助かる。しかも下手に首を突っ込む事がないからこっちも安心して話せる。
「アリサは私達を探してたの?」
「探してたのは要さんだけ」
「俺?」
「はい。すずかがメールしても返信がないからって探してたんですよ」
いけね、ケータイをサイレントにしてあったんだ。こりゃメールに気付くはずがない。何々……誘いがあったから今晩はやての家に泊まらないかだと? 暇があるにはあるが、俺が女子のお泊まり会に突入していいものか。敵地とか関係なくそっちに気がいっちまう。
「…………ま、無下に断る必要もないか」
「じゃあ伝えましたからね。あたしは戻るからそっち側の話を気にせずしていってね」
「ご苦労さん」
さっさとこれからの方針を決めて解散するとしよう。
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約束通りはやての家へ泊まりにやってきた。シグナム達はすずかが来るのは知っているはずだから俺が来るのも知っているのかもしれないが、どんな反応されるか楽しみだ。
ーーピンポーン
「おーい、来たぞー」
「こんにちは要さん。今日はよろしくな」
「おう、よろしく」
玄関を開けたはやての車椅子を押していたのは、いつものシャマルではなくすずかだった。あいつらは留守か? どっかの世界で魔力を集めているんだろうか。
「しかし俺を呼ぶとはお前も変わった事をするな」
「そうかな?」
「はっきり言って私も驚いたよ。どうしてか教えてくれる?」
「だって今日は深夜までシグナム達が出かける言うとったし、お泊まりは大勢の方がええやん」
「今はまだいいが、もう少し年齢が上がったら男には気を付けろよ。女子は早熟というが、男だって変な面で早熟な奴も居るかもしれないんだぞ」
「男の要さんにそないな事言われるとは思わなんだわ。いつまでも玄関で話すのもなんやし上がってな」
「なら邪魔するぞ」
「邪魔するなら帰ってぇ」
「あいよぉ、ってこら」
アドリブでのノリツッコミを済ませてはやての家に上がる。何度も会ってはいるが、家に上がるのは初めてだな。一般的に見ればかなり立派な家だ。段差も少なくはやてを配慮した造りになっている。
こんな家にシグナム達が来るまで独りで暮らしていたのだろうか。そんな事を考えて家の中を見ているとある写真を見つけた。
「なぁ、はやては両親が居ないとすずかから聞いたんだが」
「せやで。要さんも居らんのやろ」
「ああ。両親が居ないならあの写真に写っている人は誰だ?」
「グレアムおじさんやで。ほら、前に援助してくれている人が居る言うたやん」
そんな事もあったっけか。決して若くはないこのおっさんが何故はやての援助を? 両親の知り合いだったというのが無難な答えだろうが…………
「今日は腕によりをかけて夕飯作るからな。何かリクエストはあるん?」
「私はどんなものでもいいよ」
「なら俺はリクエストさせてもらおう。そうだな、煮付けはいけるか?」
「いけるで。ちょうど冷凍の手羽先が余っとるんよ。大根と一緒に煮よか」
「いいねぇ、酒が進みそうだ」
「おっさんみたいな感想やな」
「要さん、本当に飲まないで下さいよ」
「飲まねぇよ
飲めたら最高なんだが、ここはグッと我慢だ。そもそも酒がないし…………いや料理が出来るはやてなら調理用に酒を何種類か持っているかも。料理好きであるほど調味料やらなんやらには拘るしな。やべ、飲みたくなってきた。
はやては圧力鍋を駆使して手早く煮付けを作り、俺とすずかは簡単な付け合わせを作るのを手伝った。流石にタダで頂くのははやてに悪い気がしたからな。
「要さんって料理出来たんですね」
「たまに婆ちゃんの手伝いをするからな。すずかだってお嬢様の割には手際がいいじゃないか」
「お姉ちゃんに花嫁修行と称してやらされるんです。殆どがノエルの手伝いですけど」
「ノエルさんの手伝いか。そりゃ上達するよな」
「人前でイチャイチャするんは止めてほしいわぁ」
あ、すずかの顔が真っ赤になった。これくらいのジョークを受け流せるようにならないといけないと俺は思うんだがなぁ。
「サラダ完成っと。はやては終わったか?」
「もうちょい待って。先に配膳お願いするわ」
「あいよ」
ーーカラン
「およ?」
乾いた音が台所に響いた。ただはやてが菜箸を落としただけなんだが、その手はほんの少しだが震えていた。
食事中でもはやては何度か箸を落としそうになっていた。どうにも気になる。直感だが足が不自由なのと関係があるのではないだろうか。
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深夜の八神家にヴォルケンリッター達が帰ってきた。本来ならばはやては既に寝ている時間なのだが居間には灯りが見える。友人が泊まりに来て遅くまで遊んでいるのかと彼女らは考え、家に上がった。
「お帰り」
「何してんだよ」
だが居間に居たのは要だけであった。喧嘩腰で突っかかるヴィータに対し、要は敵意はないと両手を上げた。
「はやての事でちょっと聞きたい事があるんだよ」
「……言ってみろ」
「サンキュー。今日はやての様子がおかしかったんだ。主に手の震えがある感じだったな」
その言葉を聞いた彼女らの顔が驚愕の色に染まった。もうそこまで進行してしまっていたのかと。
「くそ! はやての変化にアタシ達が気付けないなんて!!」
「一条要、その報告感謝するぞ」
「何か知っているんだな? 今の俺ははやての友人だ。何か出来る事はないか?」
「どんな願いでもいいかしら?」
「限度はあるが、出来る限りの事はしよう」
「なら魔力を貰える?」
「……せめて理由を教えてくれ」
「闇の書が関わっているのだ」
シグナム達は要にはやての体調の変化の理由について説明を始めた。闇の書は主のリンカーコアと繋がっており、僅かに魔力を奪っている。普通の魔導師ならば問題ない量だが、はやては潜在魔力はあるが、それを解放していない今はただの少女。闇の書に奪われる魔力が足りずに、体に麻痺という形で影響が出ているのだ。
これまではそれがとても緩やかであった。一生かかっても下半身麻痺のままで済んだかもしれない。しかしヴォルケンリッターが召喚された事により奪われる魔力は増大し、麻痺は下半身から徐々に上半身へと進行を始めたのだ。
「このままだとはやてちゃんの麻痺は心臓にまで到達してしまうわ」
「それを止めるには闇の書が魔力を必要としなくなる状態、つまりは完成させなくてはならないのだ」
「成る程。合点がいった」
「さあ話したんだ。魔力寄越せよ」
「いいぜ。だが全ては無理だ。暫く魔法が使えない状態になったら管理局に不審がられる。3割程度で駄目か?」
「貴様の魔力の3割ならばこちらもこれからが楽になる」
「んじゃ30%解放。さあ持っていけ」
「ありがとう」
要の胸からリンカーコアが抜き取られる。なかなかの痛みだが、耐えられないほどのものでもない。シャマルは闇の書を開き、リンカーコアから魔力を取り出していった。闇の書のページはどんどんと書き込まれ、リンカーコアが輝きを失うと閉じられた。
「終わりか。ふぁー、なんか眠くなってきた」
「魔力を奪われた反動だろう。休むといい」
「おー、お休み」
要はフラフラとした足取りで寝室へ向かった。敵だというのに自分達の利益になる行動をする要に多少困惑しながらも、確実に病状が進んでいるはやてのために闇の書を早く完成させようとヴォルケンリッター達は改めて決意を固めるのであった。
アリサ「要さんが魔力をプレゼント。まるで献血感覚ね」
すずか「ねぇアリサちゃん、本日7月7日は『七夕』だけど何かお願いとかした?」
アリサ「『今後も後書きでいいから出演出来ますように』ってお願いしたわ」
すずか「私は『もっと料理が出来ますように』だよ」
シャマル「『目立ちたい。byシャマル』っと」
アリサ・すずか「「…………」」
シャマル「あ、お気になさらず」
アリサ「あたしなんだか自信が湧いてきたわ!!」
すずか「良かったね」
アリサ「ではまた次回」