チートじゃ済まない   作:雨期

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梅雨とはなんだったのか……皆さん、暑い日々が続いておりますが、体調に気を付けて下さい。

あ、活動報告にて簡単なアンケート的なものをやってます。特に期限はないので暇があれば覗いてみて下さいね。


第34話

 管理局から新たな情報が送られてきた。どうやらヴォルケンリッターは地球に調査に来ていた魔導師以外にも、地球付近の次元世界の魔法生物から魔力を奪う事があるらしい。今まで身内ばかりに目を向けていたから気付くのに遅れたんだとか。人間はそういうもんだ。仕方ない。

 そうなってくると監視範囲が一気に広がってしまうな。元々地球、というか海鳴付近しか調べられない俺達はいいとして、人材の少ない管理局はどう対応するのか。ちょいとリンディさんと話をしよう。

 

「という事なんでやってきました」

 

「わざわざ足を運んでくれてありがとうね」

 

「フェイトやクロノは居ないんですか?」

 

「フェイトは携帯電話を買いにいったみたいよ。クロノは師匠だった子が大怪我を負ったみたいでお見舞いに言っているわ」

 

「正直リーゼロッテが瀕死の重体なんて信じられませんよね。何があったんでしょう。あ、要君はコーヒーで良かったかな?」

 

「サンキューエイミィ。しかしクロノの師匠ねぇ、どんな人なんだ?」

 

「人というか、猫の使い魔なんだよ」

 

 猫の使い魔とはすずかが喜びそうだ。しかし仮にも最年少執務官の師匠だ。とてつもない実力者だろうに、それが瀕死の重体とは、ヴォルケンリッター以外にも面倒な存在が居るのかもしれん。闇の書をどうこうしているうちにそいつが地球に来ない事を祈ろう。

 しかしフェイトはケータイを買うなら俺も誘えばいいのに。機械ならそれなりに相談に乗れるぞ。

 

「では地球とは違う世界でヴォルケンリッターを発見した時の対応だけど、こちらが呼んだらなるべく協力してもらえないかしら?」

 

「ええ、なるべく協力します」

 

 なのはは必ず協力するだろうが、俺は本当になるべくだ。もしも俺にとって大切な事でもあれば管理局よりもそっちを優先するな。

 

「はい、コーヒーだよ。ミルクと砂糖は自分で入れてね」

 

「俺はブラックでいいさ。ミルクとかはリンディさんにあげますよ」

 

「嬉しいわ。クロノが近くに居ると制限されちゃうのよね」

 

「でしょうね。むっ、このコーヒーはインスタントなのか? かなり美味いんだが」

 

「そうだよ。ミッド産のコーヒー豆を使ってるんだ」

 

「ミッドチルダはコーヒーも作っていたのか。そういえば今ユーノはあっちで闇の書について調べているんですよね。何か新しい情報はありますか?」

 

「資料が多すぎて見付からないみたいよ。でもユーノ君は優秀だし、リーゼアリアも手伝っているからなんとかなるはずよ」

 

 リーゼアリアってのは重体になったリーゼロッテという人の家族か何かだろう。身内が大変だってのに仕事をしてもらうのは悪いな。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 一方その頃、ミッドチルダのとある病院の一室でクロノが花瓶の花を入れ換えていた。そこのベッドにはクロノの師匠であるリーゼロッテが眠っていた。その顔は包帯でぐるぐる巻きにされ、人工呼吸器が付けられている。

 最初に医師が彼女の様子を診た時に怪物にでも潰されたのかと思ったそうだ。顔の皮膚は無惨にも裂け、頭蓋骨も無事な箇所を探すのが難しいほど。バリアジャケットと手早い処置がなければ脳すらも危うく、命はなかったそうだ。だが今でも脳に障害が残る可能性は残っているらしい。

 

「…………」

 

 バリアジャケットを着ていたという事は戦闘中で間違いないだろう。自分の師匠が戦闘中に油断をしてやられる姿をクロノは想像出来なかった。しかも魔法より格闘が得意とはいえ、リーゼロッテは一流の魔導師。彼女のバリアジャケットを突破出来るのは同じく一流の魔導師か、ドラゴンのような高位の魔法生物しかいない。

 彼女の怪我を考えると犯人は高位の魔法生物と考えるのが妥当だが、クロノにはこんな事をする事が、いや実際にやってのけた知り合いが居る。一条要だ。彼は正体不明な仮面の男を魔法も使わずに半殺しにした。あの瞬間はまさに巨大生物が踏み潰したような光景だった。そしてほぼ同時期に仮面の男が負ったであろう怪我と同じような怪我をしたリーゼロッテ。

 

「…………僕は何を考えているんだ」

 

 仮面の男と目の前で眠っている自分の師匠が同一人物ではないかと考えてしまった。だがそんな事はあっていいはずがない。彼女は管理局員だ。犯罪者に手を貸すなんて事はないはず。だが不安を拭う事が出来ない。この不安を無くすにはどうすれば…………

 

「そうだ。血だ」

 

「血がどうかしたのかね?」

 

「! グレアム提督!!」

 

「ああ、敬礼はいらないよ。いつもお見舞いすまないね」

 

 病室へやってきたのはリーゼロッテの主人であるギル・グレアムたわ。実は地球のイギリス出身である彼は闇の書事件のサポートをしてくれている。

 

「ロッテはまだ目を覚まさないか」

 

「はい……一体誰がこんな事を?」

 

「まだ犯人は見付かっていないのだよ。可能性としてあるのは闇の書の守護騎士であるヴィータという少女か……」

「彼女のデバイスはハンマーでしたね」

 

 会話を合わせているものの、その可能性は低いとクロノは考えていた。魔力が奪われていないのは奪われる前に救出されたと考えれば自然だが、一撃で頭を潰す理由が見当たらない。彼女達は今まで動けない程度に痛め付けてから魔力を奪うという方法を取ってきた。そんな彼女達が突然戦い方を変えるだろうか?

 

「クロノ君、これから気を付けたまえ。敵も手段を選ばなくなってきているだろう」

 

「はい」

 

「それとあの少年、確か要君だったかな?」

 

「要がどうかしましたか?」

 

「彼の力はリンディ君から聞いてはいるが、しっかり手綱を握ってやってくれ。暴走すればどうなるか……」

 

「申し訳ありませんが、それは出来かねます」

 

「何故かね?」

 

「あれは縛ろうとすれば逆に反発しますよ。やりたいようにやらせながらも少し誘導すればいいんです」

 

「……現場の人間を一番理解しているのは同じく現場の人間か。余計な口出しだったな」

 

「いえ。では失礼します」

 

 いつまでも居ては上官に失礼だろうとクロノは病室を出た。そして自分の思い付きを確かめるため、人気のない場所で通信をするのだった。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 帰り際に頼んだらミッド産のインスタントコーヒー貰えたぜ。最近翠屋に通えてないからな。自分でもなるべく美味いコーヒーを飲めるようにしておきたいんだよ。

 

ーートンッ

 

「おっとすみません」

 

「また会ったな」

 

「んだよシグナムか。帰る途中なんだ。じゃあな」

 

「待て」

 

 横をすり抜けていこうとしたら肩を捕まれてしまった。俺が何かしたのかよ。まだシャマルに傷付けたのを恨んでるのか?

 

「来週のうちにどこかの世界で魔力を集める。その時貴様と勝負がしたい」

 

「宣戦布告ってか? いいぜ。ただ全力でやらないからな。そこは許せよ?」

 

「私とて死に急ぐほど馬鹿ではない。しかし全力でなかったとしてもが勝ったならばその魔力、しっかりと頂くぞ」

 

「おう。敗者は勝者に従う。当然だろ」

 

「その言葉忘れるな」

 

 正直宣戦布告されるなんて思ってもみなかったが、こうやってお誘いを受けるのも悪くない。そうか、来週か。どうやって戦おう。新しい魔法を考えておくのもありだな。今から研究でも始めよう。




アリサ「あつー。みずー」

すずか「塩分も大切だよ。水だけだと脱水症状になるんだから」

アリサ「そう考えるとスポーツドリンクは優秀よねー」

すずか「運動をして汗をかいた人のための飲料だもん。スポーツドリンクが脱水症予防にならなかったらおかしいよ」

アリサ「それで今日は何の日?」

すずか「本日6月17日は『いなりの日』だよ。まあ毎月17日がいなりの日なんだけどね」

アリサ「クー」

すずか「リメイク前を知らない人しか分からないようなネタは止めようよ」

アリサ「今からでも遅くないわ。久遠を出すのよ」

すずか「遅いよ。ではまた次回」

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