チートじゃ済まない   作:雨期

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A'sだよ! 全員集合!!


A's
第28話


 なのはに誘われて魔法の練習をする事になった。俺にとっちゃ魔法は枷なんだが、鍛えて損はないか。なのはは黙々と魔力弾で空き缶をお手玉し続けている。コントロール練習にはいいんだろうな。

 

《97、98、99》

 

「シュート!」

 

 100回お手玉したところで空き缶をゴミ箱へ向かって飛ばしたが、縁に当たって弾かれた。どれ、弾かれたあれを狙うか。

 

「ニードルガン」

 

ーーバスッ

 

 地面に落ちそうになった空き缶は再び舞い上がり、今度はゴミ箱へ入った。超エキサイティング。

 

「すごーい!! 要君、今の何?」

 

「ニードルガンの事か。魔力弾を細く針のようにしたもんだ。操作性を完全に度外視した代わりに貫通性とスピードを極限まで上げた魔法だ」

 

「レアスキルなんだっけ? 便利だね」

 

「なのはのように魔法の天才だったらもっと便利だったかもな。生憎と俺には魔力弾とシールドの加工しか出来ない」

 

 どうせだったら砲撃魔法をレーザーのようにしたり、バインドを紐状にして鞭にしてみたりとやってみたい事は山ほどある。今からでも遅くない。神よ、魔法の才を!

 

「どうして拝んでるの?」

 

「魔法の才能欲しいなって」

 

「魔法が無くても要君は強いよ」

 

「知ってる」

 

 でも自分が持っていないものを見ると欲しくなっちまうタイプの人間なんだよ俺は。最強のORTがあっても欲望は減らないもんなんだ。その欲望があるから人間は進化出来たなんて考えも世の中あるから俺は欲望を無くさないようにしよう。

 

「しっかし今頃フェイトの裁判が始まっているのかな。ユーノは証人として呼ばれてるんだったか?」

 

「うん」

 

「ん~、殆ど勝ちは決まってるからな。ユーノの証言でトドメを刺すって感じか。終わったらすずかやアリサも連れて会いたいな」

 

 一応フェイトと俺達はビデオレターで交流を取っていた。その時にたまにすずかやアリサも参加したのだが、やっぱり話すなら実際に会わないとな。すずかもアリサもフェイトに会いたがっていたからな。

 

「今日はこれくらいで上がるな。また明日」

 

「またね」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 夜になって魔力弾の新たな加工についてイメージしまくったが、どれもしっくりこない。やっぱりニードルガンを越えるとなると単純に数を増やすか巨大化するかだな。ニードルガンとは逆に操作性のみに特化してみるか。いや元が低威力なのにそれじゃあダメージが皆無になっちまう。

 

「んあ? 結界だと?」

 

 誰がやったかは知らんが、うちの周辺に結界を張りやがった。なのはじゃないのは魔力で分かる。

 

「魔力を奪ってる奴が居るとか聞いたな。そいつの仕業か?」

 

《かもしれません。なのは様は出撃したようですが如何なさいます?》

 

「出るぞ。ただ戦わん。様子見だ」

 

《畏まりました》

 

 クロノ達には関わるなと言われていたが、こんな状況だと関わらざるおえないよな。感じる魔力はなのはを除けば1人分。魔力の量はなかなかのもんだ。

 戦闘が行われている場所へ近付くとその様子がよく見えた。なのはと戦っているのは赤い服の少女で、武器はハンマーのデバイスだ。直接攻撃をメインとしたデバイスなんて初めてみたな。今のところ五分五分のようだ。

 

「あ、惜しい」

 

 なのはの砲撃が少女の頭を掠めた。命中率は悪くないな。鍛練の成果だな次は確実に当ててくれるだろう。

 

「てめぇよくもアタシの帽子を!!!」

 

 こっちにまで聞こえるくらいの声で少女が怒り出した。あの帽子はそこまで大切なもんなんだろうか。なら戦場に持ってくるなと言いたいが、無傷で勝つ自信があったんだろう。つまりは帽子とプライドの両方が傷付けられたんだな。

 しかし怒っているわりには冷静な動きだ。戦士としては一流か。なのはは対処しきれるのか?

 

「ラケーテン……ハンマー!!!」

 

「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」

 

 少女が回転しながらハンマーをなのはへ叩き付けた。その威力はとんでもない強度のなのはのプロテクションを軽々と貫き、なのはを吹き飛ばした。破壊力だけなら俺の50%に匹敵するかもしれんな。

 

「不味いか。そろそろ介入しよう」

 

《では主、セットアップを》

 

「いや、それで俺の存在が気付かれる可能性がある。生身でやる。身体能力50%解放」

 

 ビルに突っ込んだなのはを追って少女もビルに向かう。その背中を攻撃しようと俺は少し離れた場所に立つ。こっから一気に飛び掛かる! ってあれ? あの姿は……

 

《フェイト様にアルフ様、ユーノ様も到着なされたようですね》

 

「なんだ。こっちが手を出す必要もないか」

 

《そうもいかないようです。未確認の魔力反応があります。敵の増援のようです》

 

 ふむ、フェイト達がなのはの救出に向かったのはいいが、敵も来たか。攻撃を受けたなのはが戦力となるか不明だが、コンディションが悪いのには違いない。介入を止める必要はない。

 だが敵戦力を確認しよう。魔力の解放をしていない俺の存在は気付かないだろう。さてやってきたのは赤い髪の女剣士と筋骨隆々とした男だった。男には動物の耳が生えてるからアルフと同じ使い魔かな?

 

「どうでもいいか。さて…………ぶっ潰すか」

 

 力を溜め、女剣士と男の後ろへ跳ぶ。どっちが実力が上かは分からないが、まずは男を狙う。

 

ーーバキィッ

 

「グゥアッ!?」

 

「ザフィーラ!!!」

 

「よし」

 

 次は女剣士といきたいが、既に離れられているな。味方をやられたのにそこの判断はしっかり出来るようだな。ビルの屋上に降りて相手の動向を見よう。

 

「何者だ貴様!」

「今さっき赤いガキにやられたのの味方だ」

 

「要! 来ていたんだ」

 

「ようフェイト、ここに居るって事は裁判は上手くいったみたいだな」

 

「おい! よくもザフィーラを殺ってくれたな!! 許さねぇぞ!!」

 

「俺はまだ生きているぞ」

 

 結構な威力で蹴ったはずだったが、元気って事は思ったより硬いようだ。

 

「許さないならどうするんだおチビちゃん?」

 

「てめぇ……魔導師じゃねぇからって手加減しねぇぞ!!!」

 

「待てヴィータ! 挑発に乗るな!」

 

「あんなの油断しなきゃ一撃だ! ラケーテンハンマー!!」

 

 あの回転攻撃か。ならば俺も同じような技で対抗しよう。左足を軸として回転をし、武装拳で右膝を硬化させながらぶつける! イメージするは槌。いやもっと巨大なもんがいいな。そう、城すらも破壊する一撃。

 

「破城槌!!」

 

ーーガギャアァァァァン

 

「うわぁっ!?」

 

「チッ!」

 

 少女のハンマーと俺の膝蹴りがぶつかり合って互いに吹っ飛んだ。膝いてぇ。鬼島さんなら膝を完璧に槌にしてみせただろうに、未熟だ。

 

「ヴィータのラケーテンハンマーと同じ威力だと……? あの少年は人間か?」

 

「俺もあいつの不意打ちを受けた背中がまだ痛む。デバイスを持たない人間とは思えん」

 

「ヤロー、ぜってぇ許さねぇ」

 

 あいつらは俺を警戒し始めたようだ。もう魔力を隠す必要もない。

 

「魔力50%解放。アリストテレス、セットアップだ」

 

《set up》

 

「! この魔力は、まさかこれだけの魔力を隠していたのか!?」

 

「さてフェイト、一緒に戦おうぜ」

 

「分かったよ。アルフも頑張ろう」

 

「任せてよ!」

 

『ユーノ、なのはの様子はどうだ?』

 

『傷は浅いよ。安定もしてる』

 

『ならそのまま守りながら結界を何とかしてくれ。俺が破壊しようにも邪魔されそうだ。注意がこっちに向いている間に手早くな』

 

『なのはの協力も必要そうだけど、頑張るよ』

 

 こっちの作戦も決まった。結界がどうにかなるまで精々技を見せてもらうぞ。

 

「シグナム! あの男はアタシが倒す!」

 

「あれは1人でどうこうなる相手ではない。しかも今まで実力を隠してあの強さだ」

 

「でもなんでかバリアジャケット着れてないぞ。きっと魔法に関しては雑魚だ。体術だけに気を付けりゃいいよ」

 

 正解だよ畜生。でも魔法に頼らなけりゃいいだけだ。さて俺は赤い少女と戦う事になっているようだ。フェイトは女剣士、アルフは褐色の男の相手をするみたいだ。

 

「喰らいな! シュワルベ・フリーゲン!!」

 

 鉄球を打つ遠距離攻撃か。そういえばなのはと戦っていた時にも使っていたような。まあそんなに速くないから全部掴んじまったが。

 

「ゴルフなら他所でやりな。いやハンマーの形的にゲートボールか」

 

「うっせぇ! 調子に乗るなよ」

 

「いいや乗るね。だって弱いんだからさ」

 

「ヴォルケンリッターを嘗めるなぁ!!!」

 

 ヴォルケンリッター? あいつらの所属している組織の名前か? どうせ結界の外で待っているだろう管理局の人に後で調べてもらおう。

 しかし俺以外はどうも苦戦しているらしい。フェイトもアルフもかなり押されている。そんな時全員が膨大な魔力に気が付いた。なのはがスターライトブレイカーの準備をしている。今まで気付かなかったのはユーノが結界で魔力漏れを防いでいたからか。流石にあの量の魔力は隠しきれなかったにしてもナイスだ。

 

「くっ、止めなければ」

 

「させません! 貴女の相手は私です」

 

 ここまで来たらぶっぱなしてもらうために守りきらないとな。フェイト達のフォローもした方がいいか。

 

「なのはぁっ!!?」

 

「あ? あぁっ!? なんだありゃ!?」

 

 ユーノの叫びが聞こえたから見てみればなのはの胸辺りから手が出てやがる。手に握られようとしている光るものはリンカーコアか。血が出ていないから物理的な攻撃ではないようだが、止めなくては。

 

「アリストテレス! 非殺傷解除! 魔力弾の準備を!!」

 

《畏まりました!》

 

「加工開始」

 

「敵に背を向けるとは余裕だなぁ!!」

 

ーーガッ

 

「加工完了」

 

「て、てめぇ無視すんな!!」

 

ーーガッ ドガッ

 

 なんか滅茶苦茶殴られているが、知った事ではない。硬化した肉体にはさっきの回転ハンマーでもない限り喰らいもしねぇ。

 

「ニードルガン、ショット」

 

 俺のニードルガンは真っ直ぐに飛んでいき、謎の手を貫通した。血が吹き出しながら引っ込んだのも確認出来た。リンカーコアを取り出された状態で魔法が使えるか分からないが、なのはには頑張ってもらうしかない。

 

「どんだけ邪魔すれば気が済むんだてめぇは!!」

 

「仲間がやられて邪魔しない奴が居るのか? それに邪魔を阻止出来ないくらい雑魚なのが悪いんだろ」

 

「アタシ達は雑魚じゃねぇ!!」

 

「なら証明してみせろ。時間切れだけどな」

 

 なのはのスターライトブレイカーが放たれ、結界を破壊した。互いに退き際だ。

 

「くっそ、覚えてろ!」

 

「忘れるかもな」

 

 敵さんは退いてくれたな。さて管理局に連絡だ。なのはは勿論の事、フェイトやアルフも満身創痍だ。手当てしてもらわないと。

 そう思って連絡をしようとしたらモニターが出現した。

 

『遅くなった』

 

「っとクロノか。さっさと転送してくれ」

 

『もう準備は出来ている。いくぞ』

 

 一先ず終了したな。しかしヴォルケンリッターだっけか、あいつらは何をするつもりで魔力を奪っているのかね。気になる。




アリサ「要さん無双だったわね」

すずか「作中のどんな存在も敵わないチートってのがコンセプトみたいだから仕方ないよ」

アリサ「つまりこの先も敗北はしないと。それでいいのかしら」

すずか「怒られるのは作者だからいいんだよ。そういえば作者が次回作の舞台に悩んでるって言ってたよ」

アリサ「早くない? 物語はまだ中盤にすら入っていないのに。というか以前と変わらずネギまじゃ駄目なの?」

すずか「テイルズとかプリズマ☆イリヤとかでもやりたいんだって。ネギま無しでスタオーをやる考えもあるとか」

アリサ「とかって他にもあるのね。まあいいわ。今日は何の日をやっちゃいましょう」

すずか「うん。本日5月3日は『憲法記念日』だね。GWの祝日の1つだよ」

アリサ「もうGWも終わりね」

すずか「まあ一週間ちょっとだからね」

アリサ「ではまた次回」

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