チートじゃ済まない   作:雨期

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最近はパワプロでオールAを作るのにハマってます。
今回でコラボは一時終了です。レティウス様の『刃の行き着く先』とのコラボです。


コラボ第2話

 ここは天界。神々が暮らす世界。そんな世界で暇な神様がとある神様に接触を謀ったようですよ。

 

「イィィィヤッハーーーーッ!!! 元気いぃぃぃ……かい?」

 

「うっせぇぇっ!!! いきなりやってきて何の用だ!!?」

 

「僕も転生者作ったからバトルしようぜ!!」

 

「ポ○モンじゃねぇんだぞ」

 

 テンションが天元突破しているのが要を転生させた神様だ。何故か他の神様へ転生者を使った戦いを挑んだようだ。そんな事を提案する神様など居ないので相手の神様もかなり困惑している。

 

「お前は転生者を何だと考えてるんだ」

 

「お・も・ちゃ♪」

 

「少し黙れ」

 

「あれれ~、もしかして勝つ自信がないのかなぁ?」

 

「そういう問題じゃないだろう。利益がないじゃないか」

 

「僕だって考え無しにこんな事は言わないよ。戦う事で学べる事は沢山あると思うんだ。うちの君なら技の重要性。そっちの紅莉君ならどう足掻いても勝ち目のない暴力とかね」

 

 要側の神様の主張にもう一人の神様は納得しかけたが、無視出来ない発言があった。

 

「そっちの転生者に紅莉が絶対に勝てないと?」

 

「うん。紅莉君は凄いよ。転生後欠かす事なく鍛練をして技を極めている。能力も規格外の反則品だ。でも勝てないものには勝てないんだよ?

 

「よく調べてやがる。いいだろう。そこまで言うなら戦わせてやる」

 

「やりぃ」

 

 威厳の欠片もなくスキップしながら帰っていく要側の神様を眺めながら、もう一人の神様は挑発に乗ったのは失敗だったかと考えて水を飲んだ。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 目を覚ますと見覚えのある何もない真っ白な世界でした。なんだまた死んだのか? それならそれでやっと天国に昇れるんだが。

 

「そう甘くはないんだろう、神様」

 

「そりゃそうだよ。2回目ともなると慣れたようだね要君」

 

「慣れたくないがな。それでどんな用事だ? 飽きたから違う世界に行けとか?」

 

「まさか。あの物語はまだ3分の1も進んでないんだ。今回は君を鍛えてあげるんだよ」

 

 鍛える? これから先今の俺の力じゃ戦えない相手が出てくるのか? だとしたら相当ふざけた相手だな。ロストろギアの類かもしれない。なんであれ面倒だ。

 あ、そうだ。こないだのデジモン事件は神様は知っているのか訊いてみよう。ってこの考えも聞こえてるんだよな。どうなんだ神様?

 

「いくら聞こえてるからって喋ってもらえたら有り難いんだけどな。それでデジモンの事だね。あれは想定外の事件だよ。転生者である君が居るから次元のバランスがおかしくなったのか調べる必要はあるけど、これからもああいった異世界からの来訪者がやってくる可能性はあるし、君がそれになる可能性もあるよ」

 

 注意しておいて損はないという感じか。異世界にも興味があるな。ORTの力が通じない世界なんてのはそう無いだろうから行っても大丈夫だよな。

 

「暇があれば行くといいよ。ただそこには転生者なり憑依者なりが居る可能性も忘れずにね」

 

「それはそれで楽しそうじゃないか。んでそろそろ本題に戻ろうか」

 

「うん。君の相手も来たようだしね」

 

 見えてきたのは二人組。一人はこのバ神様と同じような力を感じるイケメン。もう一人はなのは達と同じくらいの歳の少年だ。何かしらの武術をやっているのだろう。無駄の無い歩き方だ。

 

「連れてきてやったぞ。紅莉、こいつがお前が戦う相手のようだ」

 

「いきなり連れてきたと思ったら戦えって、横暴じゃないか?」

 

「正直すまんと思っている。だけとあの神が我が儘を言ってな」

 

「僕悪くないもーん」

 

「「「お前が悪い!!」」」

 

 事情は分からんがこっちの神様が全面的に悪いのは空気で分かった。そしてあの少年と俺が戦わなくちゃいけないのもな。どうやらそれが俺の特訓らしい。

 

「互いに大変だな。俺は一条要。転生者だ」

 

「俺も転生者で、名前は緋凰紅莉って言う」

 

「自己紹介が終わったなら試合開始!! どっちかが負けを認めたら負けね。この世界だと死なないから安心してね」

 

「適当だな。まあいい。俺の相手として呼ばれたって事は強いんだろ。楽しませてくれよ!! 100%だ!!!」

 

「! 凄い魔力だ。エアナガン、セットアップ!」

 

《ゲットレディ》

 

 ん? デバイスを持ってんのか。俺のアリストテレスはなんでか知らないが無いのに。でもアリストテレスなんぞ俺が殺しをしないための道具だからいっか。

 

「要君はデバイスがいる?」

 

「考えが読めるならいらないのは分かるだろ。それよりなんであっちはデバイス持ってんだ?」

 

「メイン武装で神製品だからだよ」

 

 神が造ったデバイスか。デバイス形態では刀と。普通の刀やデバイスなら俺の体に傷一つ付ける事すら不可能なんだが、神が造ったとあれば話は別だ。触れば斬れると考えよう。

 

「紅莉君、非殺傷は解除してね」

 

「えっ、それは」

 

「俺は問題ない。それに目の前に神様が2人も居るんだぜ。殺させてもらえるか?」

 

「はは、納得だ。エア、殺傷設定でやるぞ」

 

《分かりましたマスター》

 

「更にテトラ・グラマトン!」

 

《ディーヴァ・レヴ、ドライブ!》

 

 100%の俺に勝るとも劣らない魔力だと!? こりゃ魔力だけじゃないだろうな。良いじゃねぇか。まともに殴り合いが出来そうだ。

 

「死に晒せ!!!」

 

 先手必勝。真っ正面から殴り潰す!!

 

「へっ?」

 

 だが俺の拳は紅莉の体をすり抜けた。まるで霧でも殴ったかのような。ただ分かったのはこれは魔法でも何でもない体術の類だ。

 

「ハァッ!」

 

「うおぁっ!!?」

 

 俺はほぼ無意識で横へ跳んでいた。見えたのは刀を振り終え鞘へ仕舞う紅莉。そして俺の首からは大量の血が噴き出していた。頸動脈を一撃でやられたか。だが高い再生力のお陰でその傷も一瞬で治った。

 

「手品みてぇな事しやがってよ!」

 

「そっちだって人とは思えない回復速度じゃないか。転生特典がそれか?」

 

「こんなもん副産物にすぎねぇよ」

 

 さて困った。こっちは全開のはずなのに相手の動きと太刀筋が見えない。無意識のうちに痛覚を遮断しているようで痛みを感じないのは助かるが、どうすべきか。

 

「ま、殴らないって選択肢はないよな!!!」

 

 相手が高い技術を使って戦うなら自慢の腕力で潰せばいい。もしそれも通用しないのならばORTを使わざるおえないがな。

 

「喰らえッ!!」

 

 殴る。蹴る。頭突く。思い付く限りの打撃を叩き込む。当たれば御の字。当たらなくとも意味不明な体術の秘密を見つけられたら良し。

 だが世の中そんなに楽ではない。何をしているのかさっぱりだ。俺の攻撃が外れる度に俺の体に傷が刻まれていく。一瞬で治るようなものとはいえあまり血を流しすぎるとヤバい。

 

「オォォォッ!!!」

 

「そこだ!」

 

ーーザンッ

 

 勝負を焦って大振りな攻撃をしてしまった。それを見逃してくれるはずもなく俺の右腕は宙を舞った。

 

「おい、俺の武器を知ってるか?」

 

「その肉体だろ」

 

「その通りだ!! ウラァッ!!!」

 

「なにっ!?」

 

ーーバキィ

 

 そう、俺の武器はこの体。だから俺は斬り飛ばされた右腕を掴んで、それで紅莉を殴り付けた。相手の意表を突いてようやく攻撃が当たった。ここからが反撃だ。

 

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラッ!! 避けてみせろよ!!!」

 

 右腕を叩き付け続ける。最早原型が分からないくらいにぐちゃぐちゃになっているが、武器として使う分には問題ない。途中で蹴りも入れていく。紅莉の頭からは血が流れている。確実にダメージは入っている。

 

「このままくたばれぇっ!!!」

 

「調子に、乗るなっ!! 緋凰流・奥義【断空】!!!」

 

 …………あん? 視界が上下にズレる? あ、そうか。視界がズレたんじゃない。俺の体が左右に真っ二つに割れたんだ。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

《マスター、怪我は大丈夫ですか?》

 

「心配する必要はないよエア。一条要か。これまでに居ないタイプだったな」

 

 何て言うか台風みたいだ。超再生以外に特別な力は見られなかったけど、単純な暴力で言えばこれ以上の相手は居ないってくらいだ。でも流石に頭から股まで真っ二つになれば終わりだ。

 

「帰ろう。疲れた」

 

《そうですね。私もメンテナンスをした方がいいかもしれません》

 

「そう急ぐなよ。決着はどっちかが負けを認めた時だ。忘れるなよ」

 

 後ろから聞こえるはずのない声が聞こえた。確実に仕留めたのに。

「なんで、甦ってるんだ……」

 

「神様の仕業だろ。まだ俺が負けたと考えてなかったからな」

 

「あ、そっか」

 

 流石にあの状態からし自力で再生したら何なんだって話だよ。いや頸動脈とかが一瞬で治るのもおかしいんだけど。

 

「しかし紅莉、お前は本当に強いな」

 

「ありがとう。要だって凄いよ。あんな目に遇っても負けを認めないんだから」

 

「単なる負けず嫌いなだけだ。じゃあ再開するが、準備はいいか?」

 

「こっちはいつでも」

 

「OK。今度は奥の手を見せてやる」

 

 再生力は副産物って言っていたからその大元になるのか。でもエアと緋凰流を使ってどんなものでも斬り裂いてみせる。

 

「存分に暴れろ。ORT解放」

 

 要の体が光って変化する。いやそんな事はどうでもいい。ORTって言ったか? 俺の知る限りORTと名の付くものは1つだけ。

 

「Gyuaaaaaa!!!」

 

「うそ、だ…………エア!! 全開だ!!!」

 

《はい! ディーヴァ・レブ、フルドライブ!!!》

 

 全身から力が噴き出すような感覚があるけど、それでも目の前の怪物にようやく触れられるかどうか、そんな感覚に襲われる。ORTなんてもんを選ぶ転生者が居るなんて。

 

「Giiii!!」

 

「ぐあぁっ!?」

 

 巨体から繰り出される攻撃は速く、そして重かった。とてもではないが受け止める事が出来ずに、数十m飛ばされて地面に叩き付けられた。

 

ーーピシィ

 

「エア!?」

 

《大丈夫、です》

 

 一撃を受けただけでエアに罅が入った!? それになんだか体がさっきよりも重い。フルドライブ状態なら対等とまではいかなくても戦いになる程度なら能力が上がるのに。

 

「Guruu」

 

「! 世界が……変わっていく!? そうか、これが水晶渓谷か!!」

 

 ORTが持つ侵食固有結界という特殊能力。詳細はよく分かってないけど、今は何かに抵抗するために力を割かなきゃいけないから全力を出せない感じだ。だから体が重いんだろう。

 強大すぎる怪物に対して万全じゃない俺じゃあ勝敗は明らかだ。でも要はさっき死ぬような斬撃を受けたのに負けを認めなかった。どうせこの場じゃ死なないんだ。俺だって根性見せてやる!!

 

「来い!!! 緋凰流・奥義【葬刃】!!!!」

 

「Guooooooooooooo!!!」

 

 目の前まで来ていたORTの脚が振り下ろされる。それに対して抜刀術を繰り出すが、エアは砕け散り、そして俺自身も…………

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 …………生きている? いや生き返らせてもらったのか。

 

「おい、意識ははっきりしているか?」

 

《起きて下さいマスター》

 

「神様か。それなりにはっきりしてるぞ。エアは直ったんだな」

 

《すぐに直してもらいましたから》

 

「壊れたままだとお前が困るだろ。とりあえず勝利おめでとう」

 

 何を言っているんだ。俺はORTにやられて負けたはずだろ。あの瞬間に負けを確信したんだ。ルール的に負けたのは俺だ。

 

「あの要ってのはお前に真っ二つにされた瞬間に負けを認めたぞ」

 

「でもあいつは認めてないって」

 

「嘘だよ。向こうの神がORTの力でお前を叩きのめしたかったんだとよ。お前に経験を積ませたいとかいう理由らしいが、なんで自分と関係ない転生者にそんな事するのか理解に苦しむけどな」

 

 神同士でも分からない事はあるようだ。こっちの神も大概だと思っていたが、あっちは更におかしいな。でも普通になら絶対に戦えない敵と戦えたのは確かにいい経験だった。

 

「それで要は?」

 

「帰ったぞ。もっと修行して人間のままでお前に勝つと言っていたぞ」

 

「そっか。なら俺もORTと戦えるようにならないとな」

 

「本気(マジ)か? ぶっちゃけそんなにならなくてもリリカル世界で苦労はしないぞ」

 

「関係ないよ。あんなにコテンパンにされて大人しくしていられるかってんだ。要だって同じ気持ちだから修行するんだよ」

 

「本人がそれならそれでいいけどよ。じゃあな。今回はいきなり呼び出して悪かった」

 

「いいや、またこんな事があったら呼んでほしいくらいだ」

 

 あわよくば要との再戦を希望したい。その時はお互いに今より更に強くなれているはずだしな。




次回からは日常や修行回になります。それとアリサとすずかの後書きも復活させます。

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