「こっちだ。離れるんじゃないぞ」
「ガキじゃねぇんだ。安心しろ」
俺のデバイスが出来上がったという報告を受けたので管理局本部へやってきた。本部の中は色々と興味があるが、今はクロノの案内に従わないとな。
デバイスの構想については伝えてあったものの、予定とは少し変わったとも聞いている。何が変わったのか気になるところだ。
「要君いらっしゃーい!」
「ようエイミィ。早速で悪いがデバイスを見せてくれ
「これだよ」
待機状態の形状は黒い玉の付いた腕輪か。邪魔にならないようにと頼んだからこれについては満足だ。そうなると起動した時に問題があるのか。
《初めまして、我が主よ》
「こいつ……喋るぞ! じゃなくてインテリジェントデバイスって奴か。会話機能なんていらないって伝えなかったか?」
「インテリジェントデバイスはちゃんとした利点があるんだ。特に君のような人間には必要だろう」
「利点とな?」
「ええとね、インテリジェントデバイスはマスターの意思がなくても魔法がある程度使えるんだよ。その時は魔力の消費が通常より少し多くなっちゃうけどね」
思い返してみればジュエルシードで暴走した犬を相手にした時、なのはままだ使えないプロテクションをレイジングハートが勝手に使っていたな。成る程、シールドしか使えない俺の代わりにシールド以外の魔法はデバイスが使ってくれるのか。
「まあ悪くないか」
「理解してもらえたなら何よりだよ。それじゃあこの子に名前を付けてあげて」
「名前は決まってないのか?」
「自分で付けたら愛着湧くじゃない」
道具に愛着なんていらないのにな。かと言って適当に付けたらエイミィが怒りそうだし。どうせならORTに関係する言葉にするか。
「…………アリストテレスでどうだ?」
《アリストテレス登録しました。ありがとうございました主》
「へいへい。名前なんかどうでもいいんだ。試運転しようぜ。クロノ、相手になってもらえるか?」
「魔法だけの戦いなら喜んで相手になろう」
「流石にデバイスの試運転で殴り合いはしねぇよ」
折角新しい魔法も考えたんだ。あれを見せたらクロノ達はどんな反応をしてくれるかな。今から楽しみでならない。ただ確実に言えるのは、これを真似する奴は居ないって事だ。
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試運転とは言え負けるつもりはない。だが魔法に関わってきた時間や技術に関してはクロノが圧倒的だ。使える魔法も多彩。ぶっちゃけ魔法だけの戦いでは勝ち目は薄い。勝つには新しい魔法で意表を突かないとな。
「アリストテレス、セットアップだ」
《set up》
デバイスの形態は約束通りの指貫グローブだな。クロノは準備万端のようだし始めていこうか。
「シールド展開」
1枚、2枚、3枚、4枚。今の最大枚数は4枚か。良い感じじゃないか。それじゃあこれの加工を始めよう。
薄く、とにかく薄く。シールドの縁は刃のように研ぎ澄まし、ノコギリのようなギザギザに加工する。さあ回れ回れ回れ。
ーーキィィィィィィィ……
4枚のシールドは甲高い音を立てながら高速回転をする。ここまでの所要時間は6秒。実戦で使えるようなもんではないが、初めてだし4枚同時だったからこんなもんか。
「また君はおかしな事をしているな」
「そう言うなよ。斬り裂け、シールドスライサー」
回転しながらクロノへとシールドが飛んでいく。それを撃ち落とそうと考えたのかスティンガーブレイドが放たれる。しかしスティンガーブレイドはシールドスライサーによって上下に引き裂かれた。
「馬鹿なっ!!」
クロノは驚きながらも4枚のシールドスライサーを回避する。攻撃力は十分だが、制御が上手くいかないな。枚れは数的なも問題というよりも俺が魔法慣れをしていないという問題がありそうだ。
「……君の発想には驚かされるよ。それを攻撃に使うか?」
「攻撃は最大の防御という言葉があるからな。その逆も良いんじゃないか?」
「それはどうかと思うが」
「まだ試したいのはあるから付き合ってくれよ」
「ただ魔法を試したいだけなら的に撃っててくれ」
「動く的だからいいんだろ」
始めちまったんだ。最後の最後まで付き合ってもらうからな。
要君のデバイス『アリストテレス』についての説明です。
インテリジェントデバイスであり、魔法はデバイスが自分の意思で使えます。ただし使える魔法は魔力弾と防御系統と結界のみです。
人格は男性人格となっています。
次回はコラボ回をやろうと思っています。あ、今回の今日は何の日はお休みとします。