チートじゃ済まない   作:雨期

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首いてぇ……


第17話

 いきなり雷を落とされたりしたものの、全員無事でアースラへ戻ってきた。なのはの行動もおとがめなしとなったようだ。良かったな。

 

「すみません。デバイスやっちゃいました」

 

「気にしなくてもいいわ。でも最後の魔法について教えてもらえないですか?」

 

「スフィアシールドって名前、センス無かったですか?」

 

「いえ、名前はいいのよ。どうやったのかが知りたいの」

 

「シールドを加工しました」

 

 こういう返答は予想していなかったのかリンディさんは目を丸くしていた。

 

「レアスキルかしら……」

 

「何ですかそれ?」

 

 レアスキルなんて始めて聞く単語だ。とりあえず理解したのは、魔法の形を変えるのは普通は不可能という事だ。魔法の才能がもうちょっとあれば更に世界が広がったんだろうな。シールドしか出来ない自分が情けない。

 

「本人がよく分かっていないなら後回しにするしかないわね。今回の事で会議をするから会議室に来てね」

 

「了解です」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 会議室では現場に居たメンバーとアースラ乗組員の一部が集まって話が始まった。

 

「先程の魔法攻撃は次元跳躍魔法でしたね」

 

「次元、跳躍?」

 

「違う次元から魔法を飛ばす技術だ。とても高度で使える魔導師は限られるほどだ」

 

「だから事前に魔力を感じなかったのか。おかしいと思った」

 

「おかしいのは要君だけどね。さっきの攻撃はアースラにも当たったんだけど、一時的にアースラの機能が停止したんだよ。魔導師になったばかりの要君が受けきるなんて異常だよ」

 

 へぇ、アースラにも攻撃したんだな。にしても無差別攻撃か。新しい敵と考えるべきか。だとしたら何で途中で俺だけに攻撃を集中させたのか。これまでの戦いで一番厄介と判断されたと考えるのが妥当だよな。

 

「なのはさん、要君、止めるなら今よ」

 

「! なんでそんな事を」

 

「危険な奴が相手になるからだよ。攻撃してきたのは全く容赦のない奴だ。怪我してからじゃ遅い。だからリンディさんだってこんな事を言うんだよ。ま、俺は止めないがな」

 

「私も続けるよ」

 

「そう言うと思っていたわ。ならそちらの両親とお話したいの。いいかしら?」

 

「分かりました」

 

「いいですよ」

 

 そのうち爺ちゃん婆ちゃんにも説明は必要な事だとは考えていたが、ついにその時が来ちまったか。これまでの経緯をどう説明したもんか。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「これこれ要、もう8時じゃぞ。何故高町さんの家に行かねばならんのじゃ?」

 

「大切な話だよ」

 

 ちょっと無理矢理だったが、爺ちゃん達を高町家へ連れてきた。なのはと相談して一緒に説明をする事にしたのだ。リンディさんも個別に説明するよりは纏めて説明した方がいいだろうしな。

 

ーーピンポーン

 

「夜遅くにすみません。要です」

 

「今晩は。上がってくれ」

 

「失礼します」

 

 士郎さんも俺が来るのは知っていたようですんなりと家に上げてくれた。居間では高町家一同とリンディさんが既に居た。

 

「誰じゃこの外人さんは?」

 

「リンディ・ハラオウンと申します」

 

「お爺さん、お婆さん、こちらに座って下さい。ではリンディさん、貴女が何者でなのは達とはどのような関係か教えてもらえませんか?」

 

「分かりました。まずかなり突拍子もない話になる事を許して下さい」

 

 リンディさんは魔法の事を始めに、今回の事件について話を始めた。俺達もなんでこれに関わったのかなどを話した。

 改めて話していて思ったが、こんなにふざけた話もないよな。喋るフェレットに出会って魔法を使うようになるとか、有り得ないからな。でもこの会話の最中にフェレット状態のユーノが喋ったからそれで結構信じてもらえた。

 

「魔法か……そんなものがあるなんてね」

 

「ふん、士郎の坊主は信じんのか?」

 

「僕はお爺さんが信じるのが意外ですよ」

 

「ワシも若い頃には様々な経験をした。この世のものとは思えんものを見た事も、時には戦った事だってあるわい」

 

「マジかよ爺ちゃん」

 

「昔は色々と居ったのじゃよ。その話は暇があればしてやろう。今は要達がどうするかじゃろ」

 

「僕は認めません」

 

「誰が坊主の意見なんぞ聞いたか!!」

 

ーーバシンッ

 

 爺ちゃん、別に士郎さんを殴らなくてもいいのに。爺ちゃんとしては俺となのはの答えが聞きたかったんだろうが、士郎さんだって心配してくれてるんだから。

 

「一度自らの足で踏み込んだ限り道を決められるのはこやつらのみ! ワシらは後押しをするだけじゃ!」

 

「全くお爺さんは……」

 

 婆ちゃんは呆れてはいたが、爺ちゃんを否定する事はなかった。婆ちゃんもあくまで俺達の意思に任せるのか。

 

「俺は最後まで事件を見届ける」

 

「その後は?」

 

「えっ?」

 

「その後はどうすると聞いとるんじゃ。そんな世界に入って簡単に抜けられると思っていたか? もし止めようものなら二度と関わるな。例え協力を求められようともな」

 

「今すぐ決めなくてもいいんじゃよ? まだ時間があるんじゃから」

 

「いや婆ちゃん、俺はずっと関わるよ。危ない事だって自分の力で乗り越える自信もあるからね」

 

 どうせ止めようとしたって神の力で強制的に巻き込まれるさ。転生した時から覚悟していた事だ。いつか転生の事も話そうかな。

 

「なのはちゃんは」

 

「他所の子にまで考えを押し付けるんじゃないよ!!」

 

ーーパーンッ

 

「ぬへぇっ!?」

 

 流石に他の家庭の事には口出しさせまいと言わんばかりに婆ちゃんが爺ちゃんを叩いた。俺もそれには賛成だ。爺ちゃん興奮しすぎだよ。

 

「さっきも言ったけど僕は認めれないよ」

 

「まあまあ士郎さん、なのはの考えを聞いてあげましょう」

 

「お母さん……ありがとう。私は最初はユーノ君のためでしかなかったけど、今は私自身のために戦いたいの。分かり合うために戦いたいの」

 

「……その気持ちは分からんでもない。でもな、親としてそう簡単に子供を危険な場所に送りたくないんだ。僕はお爺さんみたいに割り切れないんだ」

 

「うん……」

 

「だからってなのはの気持ちを無視したくもない。リンディさん」

 

「なのはに怪我1つ負わせる事も許しません。なのはの無事を約束して下さい」

 

「約束しましょう。なのはさんと要君の無事を最優先します」

 

「破ればタダではおきませんよ」

 

「肝に銘じておきます」

 

 これで俺もなのはも保護者公認で戦う事が出来るようになった。これから隠れて行動する必要はなくなったわけだが、この先の戦いは無事に切り抜けられるだろうか。




アリサ「アリサと」

すずか「すずかの」

アリサ・すずか「茶番コーナー!」

アリサ「さあこれは一体どんな事をするのかしら?」

すずか「決まってないよ」

アリサ「えっ」

すずか「特に決まってない。何かするかもしれないコーナー」

アリサ「かも、って何よ」

すずか「私には分からないよ。不評なら即終了だから期待しない方がいいよ」

アリサ「で、でもこれから何をするかぐらい決めた方が」

すずか「じゃあ今日は何の日かを伝えよう。ちなみに今日は国立公園指定記念日。日本で初めて国立公園が指定された日だよ」

アリサ「へぇ、地味ね」

すずか「365日全てに目立つ記念日があるわけじゃないよ。変な語呂合わせよりよっぽどいいと思うな」

アリサ「そうかしら? では次回もお楽しみに」

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