デバイスを借りるという条件で管理局と共闘する事になった俺だが、今はそのデバイスを扱うためにアースラへ勉強に来ている。
座学を教えてくれているのはクロノと、その幼馴染みにしてアースラ乗組員のエイミィって子だ。
「……となるのだが、分かったか?」
「分かんねぇ」
「クロノ君の堅苦しいもんね。それに要君は理論より実践ってタイプみたいだからわからなくてもしょうがないよ」
「しかし理論を理解する事で魔力効率も上がって、魔法の構成スピードもだな」
「いいからデバイス使わせてくれよ。細かいと禿げるぞ」
「僕は禿げない!!」
細かいという事はストレスが溜まりやすい。つまり禿げる。完璧な結論じゃないか。
「クロノ君が禿げ…………ブフゥッ!!」
「笑うな!!」
エイミィは愉快だな。クロノとはタイプが違うから噛み合わなそうなんだが、そういう奴らこそ仲が良いという事なんだろう。
「ふふ、いやー笑った笑った。じゃあそろそろ要君にはデバイスを触ってもらおうか」
「やっとか。でも俺に合いそうなデバイスってあるのか?」
「今は基本的な杖型のデバイスでいいんじゃないかな。主な使い方はどのデバイスも似通っているしね」
「僕をおいて勝手に進めないでくれないか?」
クロノの話を聞いていたらいつまでたってもデバイスに触れないじゃないか。エイミィだってこっそり居眠りしていたぞ。
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よっしゃ、遂にデバイスを使えるぞ。アースラにはトレーニング施設もあるからすぐに準備も完了した。俺はそこで待機状態のデバイスを持って軽く準備体操をしていた。クロノは目の前におり、エイミィは違う部屋からモニターで観ているようだ。
「では要、始めるぞ。set upからだ」
「呪文は必要ないのか?」
「今回は簡易な練習用デバイスだから気にするはない」
「そうか。ならset up」
バリアジャケットはどうするかな。イメージしやすいのは型月キャラの服装なんだが、俺が着て似合いそうな服なんてあっただろうか。学生服系統なら誰でもいけるか。
「…………あ? バリアジャケットが着れてないぞ。不良品じゃないかこのデバイス」
「まさか、そんなはず。エイミィどうなっている?」
『今調べてる………………えぇ、嘘ぉ』
「原因は?」
『バリアジャケットが生成される時点で崩壊してる。要君の体がバリアジャケットを拒絶している感じ。要 君ってどんな特異体質なのよ』
「つまりバリアジャケットは着れないのか?」
『そういう事』
何でだろうな。ORTがいるからそうなったっていうのが有力なんだろうが、元々俺がそういう体質だったのかもな。理由はなんであれ、俺はバリアジャケットが着れないのか。残念だ。
「じゃあ俺は魔法も使えないのか?」
『そうとも限らないよ。デバイスはしっかり杖になってるでしょ』
確かに待機状態だったデバイスは杖の形になっている。バリアジャケットは着れなくても起動は上手く出来たのか。良かったと判断すべきかな。
「デバイスが起動しているなら魔法は使えるはずだ。基本的な魔力弾を使ってみてくれ」
「デバイス任せとはいえ出来るかね」
『心配する前にやるのがいいよ』
「うむむ、ならシュート!!」
……………………出ない。バリアジャケットが着れない時点でそんな予感はしていたが、やっぱり俺には才能が無かったんだ。
「ま、まだ始めたばかりだ。それに君は飛ぶ事が目的だろ」
「お、おう…………」
惨めだなぁ、俺。
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「……才能ってなんだっけ?」
「僕は知らないよ……」
いろんな魔法を試してみたが、最終的に使えたのは何故かラウンドシールドだけだった。意味がわからない。
『でも要君のシールドの強度は凄いよ!!』
「クロノ、エイミィのフォローが痛い」
「事実だから素直に受け取るべきではないか? 僕のブレイズキャノンが受け止められるほどの強度なんだ。ショックだったよ」
こうやって褒めてくれるのは嬉しいが、やっぱり空を飛びたかったよな。飛べたらどれだけ気持ちよかっただろうか。だがシールドは足場にも出来るから空中戦も出来るようになったと喜ぶべきだ。
「1度に発動出来るシールドは2枚。1枚を足場とすると、空中戦で使えるシールドは1枚か。範囲攻撃を受けたら危険だな」
「君が危険な状況があるのか?」
「言うねぇ。手合わせするか? 今は気分が悪いから加減は効かんぞ」
「遠慮しよう。素手でバインドを破壊する人間と手合わせしたら僕も手加減が出来ないからね」
ノリが良いじゃねぇか。まあ互いにやり合うつもりなんて欠片もないけどな。それでも練習のためにはクロノに付き合ってもらう必要がある。なのはじゃ心許ない。
「今回はこれで終わりにしよう」
「OK。また指導頼むぜ。あ、デバイス借りていっていいか?」
「悪いが持ち出し不可だ」
せっかく練習しようと思ったのに。まあ借り物だからな。文句は言えない。暫くは通いつめるとしよう。
以前のチー済まにあったような後書きネタをやろうかな。しかし今考えるとあれってネタにされたキャラのファンの人が激怒してもおかしくなかったよね。