チートじゃ済まない   作:雨期

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ネタはいくらでもあるのにそれを書けるかと言えば無理という事実。


第13話

 デバイスってすげぇな。フレームが壊れてもコアが残っていれば修復しちまうんだもんな。まさに魔法の道具だな。ただ今回は破損が激しくてユーノの補助も必要だったようだがな。

 

「そんでなのは、どうして俺は道場に呼ばれたんだ?」

 

 俺は待機状態のレイジングハートを眺めながら質問した。何でか知らないが朝っぱらから高町家の道場に呼び出されたのだ。道場では恭也さんと美由紀さんが剣術の朝練をしている真っ最中だ。

 

「話がしたくて」

 

「ふむ、何だ?」

 

「私ってこの事件が終わったらどうなるのかな。これまでユーノ君の手伝いをして、フェイトちゃんと分かり合おうとしたけど、それも終わったらどうすればいいのかな?」

 

「のんびりしろよ。忙しい日々が終わったら休まないと体壊すぞ」

 

 これまで普通の日常を過ごしてきた人間がいきなり変な事に巻き込まれたのに、これまでよくやってきたよ。それなら多少の休息を貰っても誰も文句は言わない。休むっつってもこれまで通りの日常に戻るだけになるだけだろう。

 

「要君はこれが終わったらどうするの?」

 

「うーん…………考えてないな」

 

 今から終わった時の事を考えたってどうしようもない。その時にでも考えればいい。

 

「2人共、何話しているの?」

 

「なのはが運動したいそうです」

 

「ふぇっ!?」

 

「ちょっとした悩みなら体を動かせば忘れるぞ」

 

「ちょっと、じゃないんだけどなぁ」

 

 ちょっとでなくとも折角の道場なんだ。体を動かす場所で何もしないのは勿体ないぞ。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 夕方の臨海公園でまたジュエルシードが発見された。なんか連日見つかってる気がするな。数も多いから仕方ないか。

 

「レイジングハートは使えるのか?」

 

《マスターがあまり無茶をなさらなければ問題ありません

 

「私無茶なんてしないよ」

 

 戦力が欠けていない事は喜ばしい事だ。俺じゃ破壊しかできないし、ユーノじゃ封印に不安が残るからな。

 

「あっ! フェイトちゃん達だ!」

 

「もう来ていたのか。ジュエルシードはあの木か」

 

 ジュエルシードは木に取り付いたらしく、どっかのRPGに居そうな木の怪物になっていた。魔法防御も出来るようでフェイト達が苦戦している姿が見えた。

 

「また貴方達ですか」

 

「フェイトちゃん、一緒にあれを倒そう!」

 

「あんたね、あたし達が敵同士なのを忘れてるのかい?」

 

「協力しないならしないでいいんだぜ。そっちが倒してくれたのをこっちが頂くからよ」

 

 木を倒すのに消耗したところでなのはや俺の相手は厳しいだろう。まあ俺の相手は消耗しなくても不可能だけどな!

 

「アルフ、今は協力するよ」

 

「うぅ、フェイトが言うなら」

 

「えへへ、よろしくね」

 

「今だけです。忘れないで下さい」

 

「んじゃなのはとフェイトは攻撃準備、ユーノと犬耳は補助、俺は防御を破壊する」

 

 返事を聞く前に俺は木に突撃する。ちなみに現在50%。木の振る根や枝に当たっても傷一つ付かない。だが服は破れる。誰得仕様だよ。

 

「ほいっ」

 

ーーガキィッ

 

 魔法障壁ってやつだな。牽制の一撃は弾かれたか。なら次の本命の一撃はどうだ?

 

「ラァッ!!!」

 

ーーバキャァッ

 

 よし、砕けたな。これであいつらも自由に攻撃出来る。そう思った矢先に木がバインドで縛られる。ユーノと犬耳だな。バインドって物理的にだけじゃなくて魔法も一部を除いて使えないようにする効果もあるとか。

 

「ディバイン……」

 

「サンダー……」

 

 おお、魔力が凄いな。巻き込まれたら大変だ。退散退散。

 

「バスター!!!」

 

「スマッシャー!!!」

 

 木が可哀想なほどの砲撃が放たれた。勿論木は消滅。残ったのはジュエルシードだけだ。

 

「まずは封印だね」

 

「そうですね。また彼に破壊されては困ります」

 

 俺警戒されってなぁ。前回あんな事があったから仕方ないと言えばそうだが、しっかり封印してくれるなら俺は何もしないよ。

 

「…………身体能力70%解放」

 

 だがもしかしたら横取りされる可能性もあるので身体能力だけは増加させておくぞ。俺の解放は魔力と身体能力を別々に上げる事だって出来るんだよ。魔力が上がらなきゃあいつらは俺が強化されたのは気付かないだろう。

 

「いくよ」

 

「どこからでもどうぞ」

 

「そこまでだ!!」

 

 2人がぶつかり合おうとした瞬間に第三者の声が響いた。男の声だったが、何者だ?

 

「時空管理局の者だ! 管理外世界での魔法使用は禁じられている。知らないとは言わせないぞ」

 

「マジか!?」

 

「知らないのか!?」

 

 なんか黒い少年が言っていた事に驚いてしまった。使用禁止なんだ。知らんかったな。しかし時空管理局って魔法の警察みたいなものだったか? だがあいつが本物という保証はない。

 

「フェイト逃げるよ!!」

 

「せめてジュエルシードを」

 

「おっとそれは反則だ」

 

 フェイトよりも速くジュエルシードを奪い取る。あらかじめ身体能力を高めておいて良かった。奪われたのを確認したフェイトは犬耳と一緒に逃げ出した。

 

「あ、待たないか!!」

 

「追い掛けたらどうだ? あのスピードに追い付けるなら」

 

「……今は君達に事情を聴こうか」

 

 悪くない判断だろう。俺達とフェイト、どっちを選ぶかなら目の前でジュエルシードを手に取った俺達を選ぶべきだろう。

 

「あの、貴方は誰ですか?」

 

「僕は時空管理局の執務官、クロノ・ハラオウンだ」

 

「本物か?」

 

「なっ!? 疑うのか!?」

 

「俺もなのはも管理局とやらを知らないからな。そう簡単に信用出来ないぞ」

 

「ならばどうすれば信用してくれるというんだ?」

 

「バリアジャケットの解除をまずはしてもらおうか」

 

「僕からすれば君達も信用出来ない存在なのは理解しているか? そんなのを前に簡単にバリアジャケットは解けない」

 

 向こうの言い分も最もだ。そこをしっかりと考えていなかった俺も馬鹿だな。ならばこっちも信用してもらうのが当然だ。

 

「んじゃなのは、バリアジャケット解いてくれ」

 

「うん」

 

「俺は……そうだな」

 

ーーゴキッ ゴキッ

 

「「「!?」」」

 

「ふおぉぉぉ、効くぅ。りょ、両足首の関節を外したぞ。これですぐには動けない」

 

「あ……なら、僕も戻らないと」

 

「「へっ?」」

 

 ユーノが、人になった? 何こいつ。人間だったの? 人間のくせして女風呂に入ったりしたの? 死ねばいいのに。

なのはは比較的落ち着いているな。もう異常には慣れたといった感じか。

 

「……分かった。僕もバリアジャケットを解かせてもらう」

 

 あ、これで信用は勝ち得たようだ。パッと見、変装とかをしているようには見えない。

 

「ええと、ユーノ、だよな?」

 

「そうだよ。この姿は見せてなかったかな?」

 

「「見てない」」

 

「そうだっけ。ごめんね」

 

「まあいいや。そこの管理局の人が魔法とかで変装している可能性は?」

 

「大丈夫だと思うよ。バリアジャケットを解いても変化もなかったし」

 

 俺は魔法は分からないからどうとも言えんが、ユーノが大丈夫だと言うなら大丈夫と判断しよう。

 

「クロノさんでよかったですか?」

 

「ああ」

 

「申し訳ありませんでした」

 

「「も、申し訳ありませんでした!」」

 

 俺が頭を下げるとなのはとユーノも謝罪した。いやお前達は謝罪しなくてもいいんだぞ。失礼したのは俺なんだから。

 

「理解してもらえたのならそれで十分だ。頭を上げてくれ。それと君に敬語を使われると何故か寒気がする」

 

「ありがとう。そうだ、このジュエルシードを頼む」

 

「では頂こう」

 

 クロノにジュエルシードを投げ渡す。何があっても問題ないように身体能力は高めているままだ。もう何も起こらないといいんだが。

 

「それで事情を聴きたいんだっけ? この場で話すのか?」

 

『それはこちらでお伺いします』

 

 空中に女性の映ったモニターが出てきた。魔法かと思ったら超科学だったでござるって気分なんだが。どうなってるんだ。これも魔法なのか?

 

『初めまして。リンディ・ハラオウンと申します』

 

「はぁ、初めまして。クロノとは家族か何かですか?」

 

『ええ。それで今から我が艦にてお話をさせてもらえませんか?』

 

「今からか。時間が掛からないのなら俺はいいですよ」

 

「私も。遅くなるとお父さん達が心配するからあまりお邪魔出来ませんけど」

 

「僕はいつでも大丈夫です」

 

『では今回は短めにお話をしましょう』

 

 今回は、か。何やら長い付き合いになる気がするな。なるべく相手のペースに乗らないように気を付けよう。っとその前に関節をしっかり嵌めないとな。




クロノ=KYには絶対にしたくない。

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