チートじゃ済まない   作:雨期

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アイスのPARMの旨さは異常。


第11話

「荷物は詰め込んだかい?」

 

「大丈夫だよ父さん。要君も準備は出来てるようだし」

 

「いつでも行けます」

 

 今何をしてるかって? 連休に高町家と温泉旅館に行くからその荷物を車に積んでる最中だよ。ちなみに旅館に行くのは高町家と俺、すずかと忍さんとアリサだ。多いな。

 

「桃子、そっちはお願いするよ」

 

「はい。また旅館で会いましょう」

 

 車は2台で、士郎さん側には俺と恭也さんと忍さんが乗り、桃子さん側には美由紀さんと三人娘が乗る事になっている。最初は男女分かれる予定だったが、人数に偏りが出るので恭也さんの彼女の忍さんが士郎さん側になったのだ。目の前でイチャイチャするのは勘弁してもらいたいな。

 

 

 

 

 

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「それでねぇ、要君ったらすずかを貰ってくれないそうなのよ」

 

「そこまでは言ってませんよ!?」

 

「すずかちゃんは将来有望だぞ。今のうちから唾を付けておいて損はないんじゃないか?」

 

「士郎さんまで何を言ってるんですか!?」

 

 なんでこんな話をしているんだろうか。忍さんが居る時点でこうなる事は予測しなくてはいけなかったのかもしれないな。

 

「俺と要君が義理の兄弟になる可能性もあるのか。ふむ」

 

「となると美由紀ちゃんとなのはちゃんが義理の姉妹だね。なんだか盛り上がってきたわ」

 

「盛り上がらなくて結構です」

 

 どうしてすずかと結婚する事で話が進んでるんだ。恭也さんも忍さんと結婚すのは確定なんだな。

 

「しかし義理の兄弟姉妹となると、要君がなのはと結婚しても似たような関係になるな」

 

「そこは親として認めていいんですか?」

 

「僕は構わないな。美由紀でもいいよ」

 

「俺もいいと思うぞ」

 

 高町家自重しろ。桃子さんが居たら止めて…………くれないよな。この会話に交ざりそうで恐い。本気なのか冗談なのか分からないけど、胃が痛くなるから勘弁してくれよ。

 

 

 

 

 

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「へくちゅっ!!」

 

「どうしたのよなのは。風邪?」

 

「誰かに噂されてたのかも」

 

 別に寒くもないし、鼻がムズムズしてもいなかったからね。でもどうして噂をされるとくしゃみが出るのかな? そういう電波?

 

「くしゅんっ!!」

 

「あらあら、すずかちゃんも噂をされているのかしら?」

 

「いい噂だといいんですけど」

 

 ありゃすずかちゃんもなんだ。この様子だとお父さんの車で噂をしているかもしれない。向こうには忍さんの乗っているから十分あり得るよね。

 

「なのはってユーノ連れてきたんだっけ? ペットって大丈夫なの?」

 

「お父さんが確認したら大丈夫だったみたいだよ」

 

「私も猫連れてきたかったなぁ」

 

「いやすずか、あんたんとこは猫が多すぎだから」

 

「流石に数匹だけだよ」

 

 数匹でも多いと思うの。普通は連れてきても1、2匹じゃないかな。でもすずかちゃんにあの大量な猫の中から1匹選べっていうのも無理だと思うの。

 

「この前なのはは要君の家にお泊まりしてたけど、どうだった?」

 

「えっ、そんな事あったの?」

 

「それは気になるわね。何があったのかしらね」

 

「何もなかったよ。遊んだくらいかな」

 

「一緒にお風呂に入ったりした?」

 

「してないよぉ」

 

「昔はよくしてたのにね」

 

「「してたんですか!?」」

 

「そうよ」

 

 要君が小学校に入る直前くらいまではよく一緒にお風呂に入ってたかな。お父さんが怪我をして入院していた時期には要君の家に入り浸っていたなぁ。懐かしいよ。

 

「あ、旅館が見えてきたわよ。温泉楽しみね」

 

 わぁ、思っていたより大きい旅館なんだ。温泉は露天風呂もあるみたいだから楽しみだな。

 

 

 

 

 

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 着いた着いた。旅館を満喫する前に荷物を部屋に運ばないといけないな。旅行先では男は力仕事、これ基本。

 

「あっちに卓球台があったよ。後でやろうね」

 

「なのはに出来るのか?」

 

「要君はすずかちゃんとだよ」

 

「ああ、納得。すずかとなら楽しめそうだ」

 

 すずかは大人しい子だが、運動神経が妙に良い。体育の授業では目立たないようにしているが、個人的に遊ぶ時にはたまに本気になってなのはとアリサが被害にあっている。親友だから出来る事だろう。

 

「これで荷物は運び終わったな。じゃあ早速卓球やるか?」

 

「いいよ。みんな呼んでくるね」

 

 なのははすずかとアリサを連れてきた。卓球台のある場所へ行ったら既に恭也さんと忍さんが卓球をしていた。どちらもかなり上手いな。

 

「お、なのは達も来たのか」

 

「風呂前に汗を流しておきたいですから。すずか、やるか?」

 

「よろしくね」

 

 軽く運動するつもりですずかと卓球を始めたが、これが盛り上がるのなんの。互いに卓球の技術を知らないから打ち合うだけになってしまったが、1時間はやっていた。

 

 

 

 

 

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 ア゛ーーーーーッ! 温泉サイコーーー!! 染み入る感覚がたまんねぇ!!

 

「まるでおっさんみたいだな」

 

「そうですかぁ?」

 

「その声が既におっさんだ」

 

 恭也さんも酷いなぁ。確かに精神は20過ぎだけど、体は小学生なんだぜ。でも温泉の気持ち良さは関係ないよな。ん~、まあいっか。

 

「要君、温泉に浸かるのも良いが体を洗ったらどうだい」

 

「そうですねぇ、そうします」

 

 温泉の石鹸とかってなんだか良い匂いがするよな。ただ売店に売ってたりしても買う気にはならないけどな。

 体を洗っている途中でふと隣に座っていた士郎さんが目に入る。無駄の一切ない体は武術家が理想とするような体と言えるだろう。筋肉も多すぎず少なすぎずという感じか。

 

「士郎さんってよく鍛えてますよね」

 

「剣術道場もやっているからそれなりにね」

 

「それなりでそこまで鍛えませんって」

 

「はは、昔は色々とやっていたからね」

 

「昔の入院に関係ありますか?」

 

「ノーコメントで」

 

 やっべぇ、超気になる。いつかお教えてもらえる時が来るんだろうか。少なくとも俺が子供として見られている間は無理だろうな。

 

『か、要……』

 

 ん? ユーノから念話だと。しかも微妙に苦しそうだ。ジュエルシードの魔力は感じないが、俺が感じないだけかもしれない。

 

『どうしたんだ。何があった』

 

『お……』

 

『お?』

 

『女湯から僕を助け……』

 

『頑張れ』

 

 どうせ好き勝手弄られてる程度だろ。くっだらねぇ事で念話してくんなよ。男が女湯に入れる経験なんて幼児の頃くらいだから満喫しろよ。あ、でもユーノはフェレットだから人間の裸を見ても何とも思わないか。

 

「要君、背中を洗ってくれないか?」

 

「いいですよ」

 

 ちょっとした家族みたいだな。次は恭也さんの背中でも流してあげようかな。

 

 

 

 

 

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 風呂も入ってその後も軽く遊んでいたらすっかり夜も更けていた。もう寝るとしよう。

 

「……………………チッ、こんな旅行先でもお構いなしか」

 

 布団に入ったところでジュエルシードの発動を感知しちまった。放っておくわけにもいかない。潰しにかかるか。

 静かに部屋から出て旅館からも抜け出す。浴衣なのが動きづらくもあるが、我慢しよう。解放率を高めれば気になる事もないだろう。

 

『なのは、今どこだ?』

 

『ジュエルシードに向かって飛んでるよ。ユーノ君も一緒』

 

『俺はそろそろ着くぞ』

 

 そんな念話をしている間に到着した。どうやら発動したてで周りの何かが取り込まれている様子もない。しかし到着したのは俺だけでもないようだ。

 

「貴方は……」

 

「よう金髪。今日は犬耳は居ないのか?」

 

「貴方に付けられた傷がまだ治っていないのです」

 

「復讐するかい?」

 

「……………………」

 

 無言でデバイスを構えてきた。とりあえずイエスと捉えておこう。さあ潰してやろう。

 

「待って!!」

 

 ここでなのはが到着したか。譲ってやらないと五月蝿そうだ。今回は退いておこう。

 

「なのは、譲るから何とかしろよ」

 

「うん! ユーノ君は要君のところで待ってて」

 

「頑張って」

 

 なのはが金髪の前に立つ、いや浮くか。ともかくどちらもやる気十分みたいだ。

 

「邪魔をしないで下さい」

 

「そうはいかないよ。あれはユーノ君のだから」

 

「関係ありません」

 

「なんでこんな事をしているの? お話を聞かせてくれたら私達も何か手伝えるかもしれないんだよ」

 

「何も知らない人が勝手な事を言わないで!」

 

「うん、知らないよ。知らないから教えてほしいんだ」

 

「……もう話す事はありません」

 

 交渉決裂だな。相手は相当な覚悟を持ってこの場に居るようだな。

 

「なら力付くでも教えてもらうよ」

 

「あー、なのは。それだと相手にメリットがない。このジュエルシードに加えて自分達の持つジュエルシード1つを賭けて勝負したらどうだ?」

 

「要!? 君は何を考えているんだ!?」

 

「……私はいいよ。貴女は?」

 

「ジュエルシードが手に入るのならば構いません。どうせ勝つのは私です」

 

 正直なのはに勝ち目は薄いだろう。だがもし勝った時に情報を聞き出せなくては意味がない。ユーノには悪いが、ジュエルシードを交渉材料にさせてもらおう。

 

「行くよレイジングハート!!」

 

《yes master》

 

「バルディッシュ、やれるね?」

 

《all right》

 

 まずは金髪がなのはの後ろに回り込み鎌を振り上げる。しかしなのはも負けじと回り込む。距離も鎌が当たるか当たらないかの絶妙な距離だ。

 そこから始まったのは回り込み合戦だった。金髪が回り込めばなのはも回り込む。そんな事の繰り返しで2人はどんどんと空へ昇っていく。しかしこれではじり貧だ。どちらが先に仕掛けるのか。

 

「っ! ディバイン」

 

「早まるな!!」

 

 焦ってしまったのだろう。なのはが1発だけディバインシューターを撃とうとしたが、そのわずかな隙を始めから狙っていたように金髪は一気に後ろへ飛びなのはへ体当たりを仕掛けた。一瞬とはいえディバインシューターに集中したなのはは体当たりで飛ばされた。

 体勢を崩したなのはの首に金髪は鎌を突きつけた。勝負ありだな。そう判断したのは俺だけではないようで、レイジングハートは自らジュエルシードを放出した。

 

「レイジングハート!?」

 

「約束をしっかり守れる良い子だね」

 

 金髪はレイジングハートが放出したジュエルシードともともとこの場にあったジュエルシードを封印するとどこかへ行こうとした。それを止めたのはなのはだった。

 

「待って。私は高町なのは。せめて、名前だけでも教えて」

 

「…………」

 

「なんだ? 親から貰った名前が恥ずかしいのか?」

 

「……フェイト・テスタロッサ」

 

 金髪、フェイトはそう名前だけ告げると今度こそ飛んでいった。

 

「また、負けちゃった」

 

「負けてもおかしくない相手だからな」

 

「次はジュエルシードは守ってね」

 

「あんまり怒ってないんだな」

 

「呆れただけだよ」




ここで宣言しておきます。デバイスの会話は返答などを除いて日本語使っていきます。

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