チートじゃ済まない   作:雨期

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始まってしまいました。知らない人は初めまして。知っている人はお久しぶりです。今回はプロローグなのでリリカル世界へ行く前、つまりは力を手に入れて転生するシーンとなります。
ではどうぞ。



プロローグ

 目を覚ますと真っ白な世界に居た。何もない世界だ。白は優しくて決して目を痛めたりはしない。

 

「ってんなこたぁどうでも良いんだよ」

 

 変な感想を考えていた自分にツッコミを入れる。問題はどうして俺がこんな場所で目を覚ましたかだ。

 俺は寝る前何をしていた? よく思い出せ。確か仕事でミスして上司にどやされて、その鬱憤を晴らすために軽くランニングしてらい家に帰ったんだったな。んで風呂上がりに野菜ジュースを飲んで寝た。

 

「うむ、いつも通りの日常だな。って一番あり得る可能性を忘れていたな。成る程、これは夢か」

 

 夢だったら夢と自覚出来ないのはよくあるな。てし自覚し,たのだから目が覚めてもおかしくはないな。夢ってそういうもんだろう。

 

「残念! 夢じゃありません! これが現実!!」

 

「あ゛?」

 

 なんかウザい声が聞こえてきたので見てみると、金髪の男が居た。顔立ちは人間離れした美しさがあるが、周りから出るおちゃらけオーラが全てを台無しにしている。

 

「そんな怖い顔しないで。僕は神様さ」

 

「ほー、その神様が何か用か?」

 

「まず最初に、君は死にました!」

 

「はいはい」

 

「流さないで~! 本当なんだよ~!」

 

 いきなり死にましたなんて言われて信じる奴が居るわけねぇだろ。夢にしてはタチの悪い夢を見ちまってるもんだ。

 

「だから夢じゃないって」

 

「心読むな」

 

「何で驚かないのさ」

 

 いや、俺の夢に出てくる人物が俺の心を読んだ程度じゃ驚けねぇから。どうせこれも聞こえているだろうから口に出してはやらん。

 

「でも夢は記憶の整理なんだよ? 君は僕を知らないでしょ」

 

「そういう夢もあるだろう」

 

「参ったね。ならこうしよう」

 

「ガッ!?」

 

 突然視界が回転し、地面に叩き付けられた。背中を強打したために呼吸もままならない。

 

「どうだい? 痛いだろ」

 

「......っ! 意地、でも認めさせたい、か。ゲホッ!!」

 

「認めさせたいというか、認めてもらわないと困るんだよ。これからの君の人生が決まるんだから」

 

「ふぅー。OK、話を聞いてやろう」

 

 ここまで必死になってやられちまったら聞いてやるしかない。それにさっきみたいに投げられちゃ堪らん。

 

「それじゃあ君の死因からだけど、落石だね。君の家の裏には崖があるだろ。そこから落ちてきた石が君の寝室を直撃したのさ」

 

「そりゃ即死だな」

 

「即死だよ。死体見る?」

 

「エグそうだから遠慮する」

 

 ホラー映画とかは良く見るが、自分のスプラッタな姿を見る気はしない。

 

「それで死人を呼んでどうしたいんだ神様」

 

「君をアニメ世界に転生させるつもりだよ。リリカルなのはって知ってる?」

 

「名前程度なら」

 

 一時期それなりに人気になっていたアニメだからな。だが知っているのは名前だけ。内容は女の子が魔法少女をやっている程度の認識しかない。一番の理由は興味がなかったからだな。いや、でも何かで見たような……

 

「それならそれで良いよ」

 

「そうか。で、なんでそんな所に転生させようと?」

 

「暇潰し」

 

 …………殴りてぇ。これでも武術の心得はあるんだぞ。

 

「でもさっき投げられたよね」

 

「不思議パワー使われたら当然だろ!!」

 

「まあまあ、好きな力を1つだけあげるから」

 

「1つ? セコいな」

 

「あんまり多いとプレゼントする側が大変なの。それで何が良い? 君が考えた最強能力とかでも良いけど、元があると助かるな」

 

 好きな力と言われてもなかなか出てこないものだな。

 

「君ってTYPE-MOON好きなんじゃなかったっけ? その力でも良いんだよ」

 

「思い出した!!」

 

「何が?」

 

「リリカルなのはってプリズマ☆イリヤとコラボしていたやつか。そりゃどっかで見覚えあるよな」

 

「ああ、それね」

 

 小骨が取れた気分だ。ついでに力も決まったぞ。

 

「ORTで頼む」

 

「…………マジで?」

 

「無理なのか?」

 

「いやいや出来るよ。ただTYPE-MOON系だと無限の剣製とか直死の魔眼とか選ぶ人が多いから」

 

「俺以外も転生した奴はいるのか。でも最強のORTを選ばないとはな」

 

「ORTは不明な部分も多いからじゃないかな。でもそれで良いんだね?」

 

「勿論」

 

 どんな世界か分からないなら絶対的な力を持つものが好ましい。何があってもORTなら破壊出来る。だから選ぶのはこれしかない。

 

「じゃあリリカルなのはの世界に送るのと同時にプレゼントするね」

 

「そっちの世界じゃ俺はどうなっている?」

 

「年齢は原作キャラより少し高い12歳。それ以外は脳に刻んでおいてあげる」

 

「それは怖いな。だが年齢は原作キャラと一緒じゃ駄目なのか?」

 

「僕の気分さ。さあ行ってらっしゃい一条要君! 僕を楽しませてくれよ!!」

 

 俺の体が輝き始める。こんな神様を楽しませるのは少々癪だが、好き勝手やらせてもらおう。

 

「これが終わったら目が覚めるのか」

 

「夢じゃないから!!」




主人公、一条要が手に入れた力であるORTの力。とりあえずTYPE-MOONでは反則なんて生温いほどの力です。でも認知度は微妙な感じもするのでここで説明させてもらいます。

ORTとは、水星のアルティメット・ワン、つまりは最強生物であり、地球に飛来した存在。外見は近いものを挙げれば蜘蛛のような姿をしており、地球に飛来したORTを確認しに来た死徒(吸血鬼)27祖の第5位を喰らい、その後吸血生物としての力を確認されたため死徒27祖の第5位とされる。
地球に飛来してからはずっと眠っているが、活動すれば数分で人類を殲滅出来る。
侵食固有結界『水晶渓谷』という能力を持っており、その力は明らかにされていないが結界内のものを水晶の像にする力があるようだ(ネコアルク談)。
ORTには通常の蜘蛛のような形態に加え、UFOモードと戦闘用のビーストモードがある。

軽く説明するとこんな感じです。では次回もお楽しみに。

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