そのポケモンの世界で俺は   作:puc119

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第45話

 

 

 サカキのいる場所を目指し進んでいると、初めて訪れる場所でなんだか見覚えのある髪型を少年を見つけた。

 見間違えるはずもなくグリーンだろう。

 

 どうしてグリーンがこの場所にいるのかはわからない。そもそもとしてここまでどうやって入って来たんだ? ロケット団員はたくさんいるし、ゲートだって閉じられていたはずなんだけどなぁ。子供の侵入者がうんぬん言っていたロケット団員がいたが、その侵入者って俺のことじゃなくグリーンのことだったんじゃ……まぁそんなことは良いとして、アイツと出会って始まるものと言えばひとつしかない。間違えなくポケモンバトルが始まるはず。

 そして、グリーンのポケモンはとにかく経験値が美味しいんだ。このシルフビルにいるロケット団員や白衣のおっさんたちはほぼ倒してしまっただろうし、ここはまたグリーンに協力してもらうとしよう。

 

 んで、グリーンの様子を確認すると……なんかこっちをめっちゃ見ていた。

 

 

「あと一歩……もう一歩進んでくれ……」

 

 

 あとなんか聞こえる。アイツ何をやっているんだろ。

 

 これまでの経験的にもあのグリーンは俺が勝ってやるまでここを動くことはないはず。グリーンのことを考えるならさっさと戦って勝ってあげるのが一番なんだが……俺とグリーンの仲なんだし少しくらいゆっくりしても大丈夫だろう。グリーンは怒るかもしれんが。

 

 そんなわけでグリーンと戦うための準備を開始。普通に戦えばグリーンに負けることはまずない。ハラマキとかホント強いし。ただ、グリーンとの勝負に勝ってしまうと何度も戦うことができなくなる。つまりグリーンとの勝負に絶対負けられるような準備が必要。また、ポケモンバトルに負けると所持金の半分を失うことになる。

 現在の所持金を確認すると約15万円も持っていた。タマムシシティで色々と遊んだ後は確か、5万円だったから随分と増えたものである。んで、これから数十回とグリーンに負けることになるわけだし、お金を持っていても仕様が無い。

 じゃあ、この余っているお金を何に使うかってなるが、回胴式遊技機のコインに全て交換してしまおうと思う。

 ……自分で言っておいてアレだが、酷い金の使い方だと思う。少なくとも10歳くらいの少年がやって良い行動じゃないだろう。

 

 

「待て待て待て。おいバカレッド! 何を考えてるんだ。やめろ、とにかくこっちへ来……」

 

 

 さて、コインに交換する理由だが、別にスロットで遊びたいとかではなく、あのコイン交換所にあった景品が目的だ。

 コインで交換できるのは技マシンかポケモンのどちらか。その交換できるポケモンの中には俺が出会ってすらいないポケモンである、『ミニリュウ』と『ポリゴン』というポケモンがあった。そのうち『ポリゴン』についてはシルフカンパニー内にレポート? のようなものに記載されていたが、どうやらシルフカンパニーが人工的に作り出したポケモンらしい。ポリゴンがどのようなポケモンなのかは知らないが、シルフカンパニーの技術の高さはすばらしいものなのだろう。

 まぁ、ロケット団に乗っ取られている今の惨状を見る限り、防衛面については弱かったみたいだが。

 それと『ミニリュウ』の方だが……そっちはよくわからん。名前からするに小さい竜ってことだろうか? ただ、ミニリュウも俺が出会ったことのないポケモンであるのは確かだ。

 

 そんじゃ、行ってくるからグリーンはちょっと待っててくれ。

 

「ああもう、ホント勘弁してくれよ……」

 

 

 

 

 

 シルフカンパニーを後にして、タマムシシティのロケットゲームコーナーへ。現在の所持コイン数は約1,000枚。ポリゴンを交換するには9,999枚必要になるが、これは時間がかかりそうだ。

 とりあえずカウンターへ行き、所持金をコインに全て交換。

 

 いや、50枚ごとに交換するんじゃなくて、一気に交換とか……ああダメですか、そうですか。

 

 どうしてかわからんが、1,000円をコイン50枚の交換しかしてくれないから時間はかかったが、15万円を7,500枚のコインに交換。

 これで所持コインは約8,500枚。この前遊んだ感じだと、コインが減ることは、まずないだろうし、ここからは少しずつ増やしていこう。

 

 

 そこからまぁ、何というかひたすらに退屈な時間となった。

 最初のうちは当たり外れに一喜一憂しながら楽しめていたのだが、やはり演出も何もないスロットは飽きてくる。あと、大当たりのスリーセブンがそろっても300枚しかもらえないというのもなかなかに辛い。

 まぁ、これくらい面白さの方が元の世界のようにどっぷりはまってしまう人も少ないだろうし良いのかもしれんが。

 

 そんなこんなでようやっとポリゴンを交換できる9,999枚に到達。はぁ、時間かかったなぁ。

 因みにだが、持っているコインケースには9,999枚までしか入らないらしく、溢れた分は何処かへ消えていった。まぁ、多少消えるくらいなら別に文句もないが。

 

 そして、パンパンになったコインケースを持ってゲームコーナーの隣の建物へ移動。特殊景品とかはないのだし、同じ建物内にあっても問題ないと思うんだが……この世界の法律はまた違ったものなんかね。

 まぁ、そんなことは良いとして……ついに、ポリゴンを入手することに成功。コイン1万枚の価値ってことは現金にすると20万円分だ。1グリーンで買えたアカヘルなら400匹も買うことができる値段。アカヘル強いしカッコイイんだけどなぁ……

 これだけ苦労したのだし、育てようかとも考えたが……同じお金で買ったアカヘルとは違い何というか愛着がわかない。まぁ、パソコンの中でゆっくり過ごしていてもらおう。

 

 さて、じゃあ次はミニリュウを交換するために頑張ろう。なんて思ったが、ポリゴンと交換してしまったため、所持コイン数は0枚。更に有り金も300円しか持っていない。交換する順番を間違えた。先にミニリュウを交換するべきだったか。

 んー……まぁ、こうなったしまったものは仕方無い。アイテムを売ってお金にしても良いが、ミニリュウはまた今度にしよう。ずっとスロットを打ち続けるのもいい加減飽きてきたところなんだ。

 

 わずかに残っているお金はサイコソーダを買ったところで、ほぼなくなり残金12円。うむ、上手く使い切ることができたな。

 お金の方の準備は整った。もう後はグリーンと何度も戦ってもらうだけだが……さて、とりあえずはデブチュウのレベルを上げようか。

 

 現在はハラマキのレベルが54と最も高く、次にアカヘルのレベルが50。それで、デブチュウとクリボーのレベルが40と続いている。ハラマキとアカヘルのレベルはもう別に上げなくて良いだろう。とりあえずはデブチュウとクリボーのレベルを50まで上げることが目標だ。

 方針も決まったところで、デブチュウとクリボー以外のポケモンをパソコンへ預け再度グリーンの待つシルフカンパニーへ向かう。

 それじゃ、やっていきましょうか。

 

 

 

「待ってたぜレッド!」

 

 悪いな、ちょっと時間がかかった。

 グリーンのいる場所へ近づくと、とことこと近づいてきてからそんな言葉を落とした。

 

「ひゃはは! ここで! 待ってれば! 来るんじゃねえかと思ったのさ!」

 

 ……このグリーン、なんか怒ってないか? ひと声かけてからゲームコーナーへ行った方が良かったのだろうか。

 

「しかし、ロケット団相手にてこずっているみたいなだな!」

 

 んー……いや、別にそんなことはなかったぞ。経験値が美味しいのだしむしろもっと戦ってもらいたかったぐらいだ。

 

「ま……俺様には関係のないことなんだけどな!」

 

 じゃあ、どうしてコイツはここにいるのだろうか。グリーンがロケット団に入ったとは思えないし、俺のように観光で訪れたとも思えない。

 んー……グリーンも何を考えているのかよくわからん奴だな。

 

「ヤマブキシティでレッドが歩いてんのをちょこっと見かけたものだからさ!」

「なんだ、お前俺のこと大好きかよ」

「黙ってろ」

「あ、うん。ごめん……」

 

 グリーンの口が悪い。

 こんなこと言う子じゃ……いや、最初からこんなものか。

 

「少しは……強くなったのか、なあーんちゃって思ってさあ!」

 

 さてさて、雑談は此処まにして……始めていきましょうか。

 

 






どこかで書いたかもしれませんがポリゴンさんの交換に必要となるコイン枚数はソフトによって異なり
赤・黄版だと9,999枚
緑版だと6,500枚
青版だと8,300枚 とのことだそうです。



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