そのポケモンの世界で俺は   作:puc119

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もう30年近くも前になるゲームボーイがまだ動いてくれました




第40話

 

「それじゃあ……グッドラック」

 

 ああ、行ってくるよ。

 さて、これでもう……8回目くらいの挑戦となるだろうか? 最初は広く感じていたサファリゾーンの中も、だいぶ慣れてきたおかげで今では広さもそれほど感じなくなっている。

 今のところ、このサファリゾーンで捕まえられていないポケモンはケンタロスのみ。これだけ動き回っているんだ。流石にまだ出会えてすらいないポケモンはいないはず。

 そのケンタロスだが、まずなかなか出会うこともできない。んで、やっと出会えたと思ってもだいたいがサファリボールを1度投げただけ逃げ出してしまう。正直なところもう面倒になってきたが、このサファリパーク以外でケンタロスを捕まえられない可能性を考えると諦めるわけにもいかない。グリーンのやつが既に捕まえてくれたいれば良いが……まぁ、中途半端のままってのも気持ちが悪いのだし頑張ってみるとしよう。

 

 とはいえ、ケンタロスを追いかけるのが嫌になってきたのも事実。気分転換……ってわけでもないが、以前ゴール直前で時間切れとなってしまったトレジャーハウスを目指すことに。何の秘伝マシンをもらえるのかはわからんが、もらえるものはもらっておいた方が良いだろう。

 

 そんなわけでなんで落ちているのかわからない入れ歯を横目にトレジャーハウスへ。

 

「おおッ! 来たか!」

 

 トレジャーハウスに入り、前回はギリギリで話すことができなかった男性へ声をかけるとめちゃくちゃ喜ばれた。

 

「ここは一番奥地のトレジャーハウスだよ! サファリゾーンのキャンペーン開いたはいいが誰も来なくて不安になってたところだったんだ」

 

 んー……慣れないうちは確かに遠くに感じたが、今じゃそこまで遠いとも思えない。そんな誰も来ないような場所ではないと思うが……まぁ、初見でいきなり行けるかと言われたら難しいが。

 もしかしたらサファリソーンってのはそう何度も何度も挑戦するものではないのかもしれない。ただ、料金は安いしポケモンも沢山捕まえられるこのサファリゾーンはすばらしい施設だと思うぞ。赤字経営じゃないかどうかは不安だが……数年後に閉鎖していないことを願うばかりだ。

 

「いやー! おめでとう! 賞品は君のモノだ!」

 

 そう言ってから男性が秘伝マシン03を渡してくれた。

 ただでもらえるものなのだし、中身はあまり期待しないでおこう。

 

「おお、ありがとう。んで、これはどんな秘伝マシンなんだ?」

「秘伝マシン03はなみのり! ポケモンに乗って水の上を進めるんだ。こんなすばらしい賞品をもらってしまった君はとてもツイてるぞ!」

 

 ふむ、よく分からんがこれを使えば水の上も移動できるようになる……ってことなのか? 泳ぐのが苦手な俺にとってありがたい秘伝マシンだ。

 マサラタウンの南側なんかは川のようなものが続いていたし、その先に行けたりするのかもしれない。なんともうろ覚えだが、マサラタウンを南に進めばグレンタウンとかいう町があったはずだ。ケンタロスを捕まえられたら一度マサラタウンに戻るとしようか。久しぶりに母親にも顔を見せておきたい。

 

 さってと良い物ももらえたことだし、頑張ってケンタロスを捕まえてみるとしようか。

 気合も十分、トレジャーハウスを後に。ケンタロスを捕まえるため移動を始めたところで、『お願い掲示板』なるものがあるのに今更ながら気付いた。入れ歯とかいう印象的すぎるものが掲示板の近くにあるせいで全然気づかなかったんだ。

 んで、そのお願い掲示板とやらには――

 

『サファリゾーンの園長がこの辺りで入れ歯をなくしました。見つけた方にお礼します』

 

 なんてことが書かれてあった。

 その掲示板から少しだけ視線を動かす。入れ歯がある。もの凄く目立つ。

 たぶん……というか間違いなくそばに落ちているあの入れ歯が園長とやらの入れ歯だろう。

 

 もうちょっとこう……なんていうか、ねぇ? ……この掲示板を立てた時に見つけられんかったのかなぁ。

 

 さて、お礼とやらは別にいらないが、お願いまでされているものを見逃すのはどうにもよろしくない。とはいえ、顔も知らない園長とやらの入れ歯を持ち運ぶのも遠慮したいところ。

 

「おし。デブチュウ出てくるんだ」

 

 困った時は頼りになる相棒たちにお願いするとしよう。

 

「……ピッカァ」

 

 あらやだ、デブチュウったらめっちゃ不機嫌そう。

 せっかく出てきたというのに顔をそっぽに向け、こちらを向いてくれない。

 

「あー……よ、よしデブチュウ。そこに入れ歯があるだろ? それを拾うんだ」

「ピー……ピカピッ!」

 

 今まで見たことないくらいの勢いで首をぶんぶん横に振るデブチュウ。ものすごく拒否された。うーむ、デブチュウでもやはり嫌なものは嫌なのか。

 

 その後もデブチュウを抱きかかえて入れ歯に近づけさせたりとかしてみたが、短い手足をバタバタさせて抵抗するばかりで一向に入れ歯をつかもうとはしてくれなかった。ここで怒ればこのデブチュウでもちゃんと入れ歯を手に取ってくれそうだが、それは流石に可哀想だ。無茶をさせるとなるとデブチュウが専門だが、やはり嫌われるようなことは避けたい。……仕方ない、デブチュウに入れ歯を持たせるのは諦めるとしよう。

 

「悪かったなデブチュウ。もう戻って大丈夫だぞ」

「ピッカ! チャー……」

 

 モンスターボールへ戻る前にフヨフヨのお腹を軽くつまんであげると、嬉しそうな声を出してからデブチュウはボールの中へ戻っていった。満足満足。

 

 はぁ、そうなってしまうとしゃーない。気は進まないがこの入れ歯は俺が運ぶとしよう。人助けなんてものをする柄でもないが、見て見ぬ振りをできるほど器用な人間ではないのだから。

 触りたくもなかった入れ歯を回収しバッグの中へ。バッグの中の衛生状態は心配だが、もう気にしないことに。さっさとサファリパークの園長とやらに返すとしよう。

 

 そんな良いことをしたおかげなのだろうか。帰り道でケンタロスと遭遇し、さらに捕まえることもできた。別に関係ないだろうが、これだけでも入れ歯を拾っておいて良かったって思えるよ。

 苦労して捕まえたケンタロスのポケモン図鑑を確認すると、3本の尻尾で自分の身体を叩いて突進してくる。なんてことが書かれていた。『サーロイン』という名前にしてしまったが『ドエム』とか方が良かったかもしれない。

 また、せっかくのなのだしサーロインも育てることにした。レベルが28と高くはないためこれから頑張って育てていかないとだな。

 

「ピンポーン! 時間が来ましたので、サファリゲームはこれで終了でーす!」

 

 さってと、これでこのサファリゾーンでのやることは全て終わったはず。新しくポケモンも捕まえられたしかなり良い場所だったよ。

 とりあえず先ほど捕まえたサーロインを手持ちに加えるためポケモンセンターへ向かうとしようか。

 念願のケンタロスも捕まえることができ気分は上々。次はどんな新しいポケモンと出会えることができるんだろうな。

 

 ちなみにだが、入れ歯のことはこの時点ですっかり頭の中から消えており、サファリゾーンの園長へ返すことができたのはかなり後のことになってしまった。

 申し訳ないことをしたとは思っているが、ケンタロスを捕まえられたのがそれほど嬉しかったんだ。まさか5年半もかかるとはねぇ……いや何の話だよ。

 

 

 

 サファリゾーンを出てから直ぐにポケモンセンターへ。

 現在の手持ちはハラマキ(リザードン)、デブチュウ(ピカチュウ)、アカヘル(ギャラドス)、クリボー(ダグトリオ)、おしょう(カモネギ)、メタボン(カビゴン)と6体埋まってしまっている。新しくサーロインを迎えるためには誰かと入れ替えなきゃいけないわけだが……まぁ、メタボンと別れることにしようか。手持ちに加えたが良いが実は一度も戦わせていない。そんなポケモンを持っていたってしゃーない。

 そんなわけでメタボンをパソコンへ預け、代わりにサーロインが手持ちへ加わった。ありがとうメタボン、よろしくなサーロイン。しばらくは集中的にサーロインのレベルを上げるとしようか。

 

 次に目指すは始まりの町マサラタウン。

 急いだところで仕様が無い。のんびり焦らず進むとしよう。

 

 






のんびり焦らず進めた結果がこの様です。
お久しぶりとなります
読了ありがとうございました。

主人公はちゃっかりケンタロスをゲット
初代の対戦環境における文句なしのトップポケモンです

とはいえ、レベルアップだけで覚える技は微妙ですのであの主人公が上手く使えるかどうかは何とも言えません

次はもう少し長めのお話で5年半も待たせることなく更新……できたらいいなって

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