あれからそれなりの時間をかけスロットを回し続けたおかげで、コインの枚数は千枚を越えた。
とは言え、思っていたよりもコインの枚数は増えていない。最初の一回目でいきなり大当たりが出たが、どうやらアレは相当運が良かったらしい。2回目からは急にリールがスベリやすくなり、目押しが全然できない。テンパるところまではいけるが最後の7がなかなか揃わないんだ。
それでも、コインは20倍になったわけだしもう十分だろう。流石に疲れた。
さて、このコインはどうすれば良いんだ? できればタバコと交換してもらいたいところだが、どうせ交換してくれないよなぁ……
そうなると特殊景品と交換する感じになると思うが、この店の特殊景品はなんだろうか? 多分ボールペンとかだと思うけどさ。
しかしパッと見、この店にはコインと景品を交換してくれそうな場所がない。特殊景品も含めて違う場所で交換するのだろうか? いや、でもそれって三店方式的に……ま、まぁ、いいか。この世界と元の世界の法律は違うのかもしれないし。
とりあえず、増えたコインをケースへ入れてから店員の元へ。
「ちょいと聞きたいんだが、ゲームセンターから出た客がよく向かう場所とか知らないかい?」
「そうですね……皆さんよく隣の建物へ行くそうですよ」
ああ、そう言えば隣に何かあったな。了解、行ってみるよ。
ん~……コインと景品の交換だけならこの店の中でやっても構わないと思うんだが……うん、良く分からんな。きっと色々あるのだろう。
そして、壁に貼ってあるポスターを見つめている男がいるけれど、アレどう見たってロケット団だよなぁ。関わりたくないから放っておくが、アイツは何をやっているのだろうか。
さてさて、ロケット団は良いとして、このコインの換金率はどのくらいなのやら。
そんなことを思いつつ、交換所へ来たわけだが……
「あら、直接換金はできないのか」
じゃあ、特殊景品的な物があるのかと思ったらそうでもない。交換できるのは技マシンとポケモンだけだった。しかも、ほとんどの景品が今の枚数では交換できない。
一応、ケーシィやピッピとは交換できるけれど、どっちもいらないしなぁ。
う~ん、これじゃあ、本当にただスロットで遊んだだけになってしまった。そしてあの演出も何もないスロットは別に面白くない。無駄な時間を過ごしたとまでは言わないが、ちょっと損した気分だ。まぁ、全く楽しめなかったってわけでもないのだし、別に良いのかな。
そんじゃ、次はタマムシデパートとやらへ行ってみるとしようか。なんでも揃っているとの噂だし、こちらも楽しみだ。
そして、件のタマムシデパートへ来たわけだが、なるほど確かにこれは大きい。フレンドリィショップはコンビニ程度の大きさしかなかったが、タマムシデパートは本当にデパートと言った感じだ。
もう少し交通の便が良ければ、絶対に儲かると思うんだがなぁ。もし、ハナダシティやクチバシティの住民が徒歩で此処へ行きたいとなった時、あのイワヤマトンネルを抜ける必要がある。それは流石に可哀想だ。それもこれも全部あのヤマブキシティがいけない。
タマムシデパートの中だけど、どうやら1階から5階まであるらしく、それぞれの階で売っている物が違った。1階から順にサービスカウンター、トレーナーズ・マーケット、テレビゲームショップ、ワインズマン・ギフト、ドラッグストアと言った感じ。あと屋上は自動販売機になっているんだって。
時間もあることだし、順々に見ていくとしようかね。しかし、4階はワインズマン・ギフト売り場らしいが、ワインズマンってどう言う意味だっただろうか。魔法使いとかそう言うイメージがあるけれど。
まぁ、それも行ってみれば分かるか。
そんなことで、とりあえず2階のトレーナーズ・マーケットへ。其処では、フレンドリィショップでよく見かけるアイテムと技マシンが売られていた。
ただ、残念ながらモンスターボールが売ってない。てか、技マシンを抜かせば売っているアイテムがシオンタウンのフレンドリィショップと変わらない。“あなぬけのヒモ”が売ってない分、むしろ酷くなっていると言って良い。なんでも揃うんじゃなかったのか。お前にはがっかりだ。
モンスターボールの数がそろそろ怪しくなるから買い足しておきたかったんだがなぁ……一応、スーパーボールと言うアイテムが売っているけれど、その値段はモンスターボールの3倍、1.2グリーン。アカヘルの値段より高い。
その分、性能が良いってことなんだろうけれど……ちょっと高すぎないだろうか。今までの多くのポケモンを捕まえてきたけれど、1匹のポケモンに4個以上のモンスターボールを使ったことはない。そう考えると、どうしても損した気分になる。
う、う~ん……まぁ、ポケモンを捕まえたい時にボールがなかったら困るもんな。お金だってそれなりにあるのだから買っておくとしよう。
そんなことで、スーパーボールを30個購入。36グリーン消費。更に、売り場の近くにいた女性が――遠出するなら“げんきのかけら”は必須よね! と叫んでいたため、其方も一つ買っておいた。値段は3グリーン。何に使うのかは分からないけれど、必須と言われてしまったら仕方無い。
7万円もあった所持金は5万円まで減ってしまった。けれども、まぁ、必要経費と考えようじゃないか。
その後、3階のテレビゲームショップへ行ったが、其処ではカウンターにいた店員から技マシンを無料でもらっただけで、特に買い物はしなかった。技マシンの中身は“カウンター”という技。カウンターにいる店員が“カウンター”の技マシンをくれると言う、仕様も無い洒落だったけれど、それが笑壷に入ってしまい、呼吸困難で死ぬかと思った。
俺も年食ったなぁ……
その次は4階のワインズマン・ギフト売り場へ。
何を売っているのやらと思っていたが、其処では“ピッピにんぎょう”と色々な石が売っていた。“ピッピにんぎょう”は贈り物として有名らしく、一応1つ購入。マサラタウンへ帰ったとき、母親へ渡すとしよう。また、野生のポケモンに使うと、“ピッピにんぎょう”にポケモンが気を取られるため、安全に逃げることができるそうだ。まぁ、使うことはないと思う。せっかく現れたポケモンから逃げるのはもったいない。
そして、石の方だけど……さて、どうしようか。
タマムシシティのポケモンセンター前にいた男性が、ニョロゾと言うポケモンに“みずのいし”を当てたらニョロボンへ進化したと言っていた。つまり、“みずのいし”を使えばポケモンが進化するってことだと思う。他の石もそうなんかね?
「“みずのいし”を一つ頼む」
良く分からんが、とりあえず“みずのいし”を購入。お値段は4.2グリーンとなかなか高い。
さて、これをどうしようか。俺の手持ちのポケモンで進化していないのは、デブチュウとおしょうだけ。そして、できればデブチュウに進化してもらいたい。
「よしっ、出てこいデブチュウ」
「ピッカ!」
うむ、変わらず今日も太ましいな。
そんなデブチュウは見ているだけで和む。
んで早速、先程買った“みずのいし”をデブチュウへ当ててみた。
「ピーカピ?」
首を傾げられた。
うーん、ダメか。進化しないか。“みずのいし”だから進化しないのか、そもそもデブチュウは進化しないのかそれが分からない。
一応、以前の秘伝マシンと同じようにデブチュウへ“みずのいし”を咥えさせてみたりもしたが、やはり何の変化もなかった。デブチュウのタイプを考えるに、“かみなりのいし”なんて言う石も怪しいけれど……
まぁ、考えていたって仕方無い。デブチュウの進化はまた今度の機会にしよう。無駄にお金を使ってしまった気もするけれど、“みずのいし”はニョロゾを捕まえたら使えば良いか。
それにしても、石で進化するポケモンはどれくらいいるのかね? あまり多くはいないことを願う。
そして、5階にあるドラッグストアへ行くことに。
売り場近くの男性曰く、此処ではポケモンの能力を上げるアイテムを売っているらしい。あら、それは便利じゃないかと思い、買ってみようとしたが、そのお値段は一つ約1万円。うわぁ、なにこれ超高い。
ちょっと迷ったけれど、流石に買うことは諦めた。大丈夫、そんなアイテムを使わなくたって、俺のポケモンは十分強いから。
うーん、今回は色々と買ってしまったな。思っていたよりも売っている物が微妙だったけれど、まぁ、満足と言ったところ。
そんじゃ、屋上で一休みしたら、また散策へ戻るとしようかね。