そのポケモンの世界で俺は   作:puc119

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第22話

 

 

「たのもー!」

 

 オーキドボイス付き自転車が売れず、下がってしまったテンションを無理やり上げるためにも、大きな声を出しながらハナダシティのジムの中へ。

 

 そんなハナダジムの中の様子は――

 

「これは……プールか?」

 

 プールだった。ほのかに香る塩素臭は何処か懐かしい気分にさせてくれる。

 てか、なにこれ、すごく水ポケモンとか使ってきそう。これで炎ポケモンを使ってきたら驚きだが。

 タケシのジムは石が転がっていて、アレもアレで特徴的だったが、プールってのもすごいな。しかも室内だからきっと冬でも暖かいのだろう。この世界に冬があるのかは知らんが。

 この感じなら、そのうちジムの中に木が生えてるやつとかも出てきそうだ。

 

「おーす! 未来のチャンピオン!」

 

 しっかし、しまったなぁ。水着は持っていないし、そもそも俺、泳げないんだよなぁ。なんて思っていると、何処かで聞いたような声が聞こえた。

 その声の方を向くと、ニビジムの入口で見かけたあの男性がいた。外見はあの男性とそっくりだが……同一人物だろうか? あと、未来のチャンピオンってなんだよ。ポケモンチャンピオンは目指さないって俺は言ったんだが。

 

「アドバイスをするぜ!」

 

 あら、それは助かるよ。

 

「ここのジムリーダーはカスミと言い、水ポケモンを使うプロフェッショナルだ!」

 

 ああ、やっぱり水ポケモンを使うのね。アドバイスありがとう。

 どうやらジムごとに使うタイプが分かれているっぽいな。タケシのジムは岩で、このカスミのジムは水と。

 ん~……水か。それなら今回はデブチュウに頑張ってもらおうか。ハラマキの“きりさく”でも勝てるとは思うが、たまにはデブチュウにも活躍させてあげないと可哀想だ。

 

「こんな時は、植物タイプのポケモンで水を……」

 

 さて、そうと決まれば早速挑戦していこうじゃないか。前回のジムもそうだったが、ジムの中にいるトレーナーは他のトレーナーと比べ、かなり強い。油断せずいこう。

 

「それか電気タイ……」

 

 パッと見、ジムの中にいるトレーナーの数は3人。そのうちの一人はカスミと言うジムリーダーなはず。

 よしっ、頼んだぞデブチュウ。お前の実力を見せてくれ。前回のジムでは勝たせてやれなかったけれど、今回はお前に頑張ってもらいたい。

 

 

「最初は俺が相手だ! かかってこい!」

 

 まずは一人目。相手は海パン男。

 

 最近、出番が少なかったもんな。全力で暴れてこい。

 

「蹴散らせ、デブチュウ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんなはずじゃ……」

 

 海パン男との初戦はなんの問題なく勝利。出してきたポケモンはレベル16のタッツーとシェルダー。それをデブチュウの“でんきショック”で一発。

 ん~予想以上に相手が弱かったな。少なくともレベル20は超えてくると思ったんだが……これじゃあ、ディグダの穴にいたダグトリオの方がよっぽど強かった。

 てか、賞金として80円をもらったが、海パン男はこれを何処に入れていたのだろうか……

 

「カスミはまだまだ成長する。お前なんかにゃ負けないよ!」

 

 そりゃあ、楽しみだ。

 ただ、俺のポケモンもなかなか強いぞ?

 

 

「次は私。君なんてカスミが出る幕もないわ!」

 

 二人目。

 ふむ、どうやらカスミと言うジムリーダーは随分と慕われているらしい。この世界へ来てからはずっと一人で行動している。そんな俺からしてみると、カスミのことが少しばかり羨ましく思えた。

 まぁ、他人と絡むことは苦手なんだけどさ。

 

 相手が出してきたポケモンはレベル19のトサキント。

 俺のデブチュウが負ける相手じゃあない。

 

 

 

 

 

 

 

 

「今までの戦いを見ていたけど……強いね。君は」

 

 二人目の相手もデブチュウの“でんきショック”で一発だった。確かにハラマキやアカヘルと比べ、デブチュウは弱い。だからと言って、別にデブチュウ自体が弱いわけじゃないんだな。俺のデブチュウは十分戦える。

 

 そして、いよいよジムリーダーであるカスミとの勝負。場所がプールと言うこともあってか、カスミは水着を着ていた。やっぱり此処で泳いだりするんかね? 橋が架かっていることもあり、泳ぐにはちょっと狭い気もするが。

 

「別に俺が強いわけじゃないだろ。強いのはコイツらだ」

 

 むしろ俺なんて弱い方だろう。どのポケモンにどんなタイプの技を使えば良いの全く分かっていない。そんな俺では、レベルを上げ叩き潰すような戦法しかとることができない。もし、俺がもっとポケモンに詳しければコイツらに楽をさせてやれたはずなんだ。

 

「ポケモンを育てるのにも、ポリシーってやつがあるんだ。君はポケモンを育てるとき、何を考えているの?」

 

 いや、何を考えているのかって聞かれても……そもそも俺はポケモンを強くしたいわけじゃない。そりゃあ、強く育ってほしいとは思うし、多少はレベルも上げるが、俺の目的は多くのポケモンを集めること。それだけは忘れちゃいけない。

 

「私はね……水タイプのポケモンで、攻めて攻めて攻めまくることよ!」

 

 それは俺も同じだ。攻めることしか知らない。まさにゴリ押し。

 それだけじゃダメなんだろうとは思っているんだけどさ。

 

 

 それでも、そんな戦い方は嫌いじゃあない。

 

 

「いけっ、ヒトデマン!」

「叩き潰してこい、デブチュウ」

 

 まず、カスミが出してきたポケモンはレベル18のヒトデマン。

 サント・アンヌ号で一度見ているから、初めて見るポケモンではない。う~ん、どうせなら新しいポケモンを見たかった。まぁ、流石にこの一匹だけってことはないと思うが。

 

 タイプ的に有利なこと。そもそもレベルが違いすぎることもあり、ヒトデマンもデブチュウの“でんきショック”で一発。

 デブチュウ無双が止まらない。多分、俺のパーティーの中ではデブチュウが一番瀕死になった回数が多いだろう。それでも、今のデブチュウは輝いて見えた。デブチュウ強いよ、デブチュウ。

 

「っく……お願い! スターミー!」

 

 スターミーと呼ばれた2匹目のポケモンは初めて見る相手だった。

 見た目は……えと、青色のヒトデマンが2つ重なった感じ。う、う~ん、強そうと言えば強そうだが、なんとも好みの別れそうな見た目だ。

 因みに、レベル21とやっぱり高くない。

 

 それじゃ、サクッと勝たせてもらいましょうかね。

 

「デブチュウ。“でんきショック”」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ、やっぱり勝てないかー」

 

 デブチュウの“でんきショック”でもスターミーを一発で倒すことはできなかったが、それでも危なげなく勝つことができた。レベルって大切なんだな。

 

「しょうがない。私に勝った証としてブルーバッジをあげる!」

 

 おう、ありがとう。これであの邪魔な細い木を切り倒すことができるよ。

 しっかし、バッジがないと使えないって随分と面倒なシステムだな。この世界の人間だってこれじゃあ生活しにくいだろうに。

 

「あとこれも」

 

 そう言ってからバッジとは違うアイテムをいただいた。

 タケシの時と同じように技マシンだろう。

 

「ありがとう。んで、この技マシンは?」

「中には“バブルこうせん”が入っているわ。水ポケモンに使ってあげて」

 

 はぁ、バブル光線ねぇ。でも泡の光線ってなんだか弱そうだ。多分アカヘルに使えば良いのだろうけれど……まぁ、今は良いか。

 

 ああ、技マシンで思い出した。

 

「なぁ、カスミ」

「うん? どうしたの?」

 

 丁度良い機会だ。技マシンや秘伝マシンの使い方を教えてもらおう。流石に知らないってことはないだろうし。

 

「秘伝マシンの使い方が分からないから、教えて欲しい」

「え? つ、使い方も何も、ポケモンに近づければ勝手に覚えるはずだけど……」

 

 あら? でも、俺がやった時は上手くいかなかったぞ。近づけるどころか、手に持たせたり咥えさせたりだってしたんだ。

 

「デブ……あー、ピカチュウに“いあいぎり”を覚えさせたかったんだが、近づけても上手くいかんかったんだ」

「そりゃあ、そもそもピカチュウは“いあいぎり”を覚えないし……」

 

 なんと、そうだったのか。てっきり技マシンや秘伝マシンを使えば、どんなポケモンにもその技を覚えさせることができると思っていた。

 ふむ、そうだとしたらどうしようか。それなら色々なポケモンに試していくしかないよなぁ。

 

「ピカチュウの他にはどんなポケモンを持ってるの?」

「んと、リザードンにギャラドス、ダグトリオとカモネギだな」

 

 この中で覚えてくれるやつがいてくれれば良いが。

 

「この段階でリザードンって……ま、まぁ、いいや。その中なら少なくともカモネギが覚えられたはずよ」

 

 マジか! それは嬉しい情報だ。うむ、これはあの時オニスズメと交換しておいて正解だったな。パソコンに預けようかと思っていたが、一応持ち運んでいて良かったよ。

 

 デブチュウをモンスターボールの中へ戻し、早速おしょうをモンスターボールから出してみた。そう言えば、モンスターボールからおしょうを出すのは初めてな気がする。

 

 そして、おしょうにサント・アンヌ号の船長からもらった秘伝マシンを近づけると、レベルが上がり新しい技を覚えた時と同じような感じとなった。元々技枠が4つでいっぱいだったため、“にらみつける”を忘れさせてから“いあいぎり”を覚えさせることに。

 う~ん、こんなに簡単だったのか。しかし、こんなこと教えてもらわなきゃ分からんぞ。それとも、この世界じゃ知っていて当たり前のことなんかね?

 

「ありがとう。なんとか覚えてくれたみたいだ」

「どういたしまして。もう行くんでしょ? あまりポケモンに無茶させちゃダメよ?」

 

 ああ、できるだけ頑張ってみるよ。そんじゃ、其方もお元気で。

 

 “いあいぎり”も使えるようになったことだし、これでまた新しい場所へ行ける。とりあえず、ハナダシティの東へ進んでみようかね。

 

 

 






~ボツネタ~


「私はね……水タイプのポケモンで、攻めて攻めて攻めまくることよ!」

 ――カスミは ディフェンダーを つかった!


ロケハンをしていた時、これには吹き出しました
カスミさんのポリシーって……

ただ、カスミさんがディフェンダーを使ってくることを覚えている方が少なそうだったのでボツに


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