そのポケモンの世界で俺は   作:puc119

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第13話

 

 

 長かったお月見山も漸く終盤。

 洞窟の中は広いが、良い加減新鮮な空気を吸いたいところだ。

 

「覚えてろよ! お前はロケット団のブラックリストに載ったからな!」

 

 祝、ロケット団ブラックリストへ登録が決定。

 

 そんなのちっとも嬉しくないが。だいたいブラックリストって……

 

 そのロケット団と名乗る奴とのバトルに勝ち少し進むと、急にわらわらと現れ始めたロケット団。

 バトルに負けることはないし、経験値や賞金は美味しい。でもコイツらは口が悪い。おっさんは傷つきやすいんだ。もっと大切にしてもらいたい。

 まぁ、自称マフィアらしいし、そう言うもんなんかね?

 

 んで、その自称マフィアがお月見山で何をやっているかと言うと、どうやらこのお月見山ではポケモンの化石が見つかるらしい。多分だけど、ニビシティの博物館に展示してあったのもそうなのだろう。いや、アレはレプリカか?

 まぁ、それは良いとして……すごいことに、この世界ではその化石を復元することができるそうだ。つまり、古代に生きていたポケモンを復活させることができると言うこと。そんなことまでできるとはねぇ……

 

 ロケット団の目的は化石を手に入れ、その化石からポケモンを復元。そうすることで良い金儲けとなるんだと。マフィアだと言っていたから何をやっているのかと思えば、そんなことだったんだな。てっきりシャブの取引とかそう言うことをやっているのかと思っていた。

 そんな奴らのブラックリストに載ってしまったわけだが……まぁ、別に気にしなくても良いか。この先、どうせ関わることなんてないだろうし。

 

 4人目のロケット団も問題なく倒し、暫く歩いていると大きめの石のようなものが2つ落ちているのを見つけた。

 はて、この石はなんだろうか? どうやらただの石ではなさそうだが……

 

 

「おい、待てよ! その化石は僕が見つけたんだ! 二つとも僕のものだぞ!」

 

 

 そして、そんな声を後ろからかけられた。

 へー、この石が化石なのか。昔、貝の化石の掘り出しをした時は露出している地層をピッケルで叩き、落ちてきた塊を鑢でちびちびと削って手に入れるって感じだったんだが。うん、まぁ、きっとこの世界の化石は普通に落ちているものなのだろう。俺はもう突っ込まんぞ。

 てか、ロケット団の奴らはアホか。どうしてこんなに堂々と置いてあるものを見つけられなかったんだよ。本当に探す気あるのか。

 

 しかし、僕のもの、ねぇ。化石の場合は見つけた人の物になった気がするし、間違いじゃないんだろうが……

 

「博物館に寄贈しないのか? 個人で管理するのは大変だと思うぞ? もし新種の化石だったら学会へ発表とか……」

「2つとも僕のものだ!」

 

 ああもう、はいはい。わかったわかった。これはアレだ。ダメなパターンだ。この世界にはこう言う類の人間が多すぎる。

 

 しかも、コイツったら俺の話は聞かないし、モンスターボール用意しちゃってるし……

 

 まぁ、ポケモンバトルで解決できるだけ良いってことにしておこう。

 

 はぁ……やるか。

 

 

「容赦はいらん。ハラマキ――焼き払え」

 

 

 血の気の多い人間は多いが、ポケモンバトルで全てを決める世界ってのも悪くない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わ、わかった。お前にも分けてやるよ!」

 

 相手はベトベターにドガース、ビリリダマと始めて見るポケモンを使ってきたが、流石はハラマキ。負ける気がしない。まぁ、レベルの差が20もあればこんなものなのかもな。

 

「ほら、お前から選べよ! 1個ずつだからな! 一人じめはダメだからな!」

 

 なんでコイツこんなに怒ってるの? 俺が何をしたと言うのだ。そして、別に俺は化石に興味ないんだが……ニビシティの博物館へ持っていくのも面倒だし。でも、コイツに2つとも持っていかれるのは気に食わないんだよなぁ。

 

 はぁ、しゃーない。此処は素直に一ついただくとしよう。

 

 化石のことはよく分からなかったため、なんとなく左側の化石を取り、バックの中へ押し込んでおいた。

 

「それじゃあ、こっちは僕のものだ!」

 

 おお、良かったな。おめでとう。

 

 

 

 

 化石を手に入れ喜んでいる男は無視して先へ進むことに。すると直ぐに、出口のようなものが見えてきた。んー、ようやっと出口か。お月見山を抜ければハナダシティは直ぐなはず。

 お月見山も長かったねぇ。

 

 そっか、これでお月見山も終わりか。

 

 ……ふむ。

 

 

 

「あん? さっきの子供じゃねーか。なんだよ。何か用でもあるのか?」

 

 

 ふと思いついたことがあり、少しだけ来た道を戻って先程戦ったロケット団のいる場所へ。

 

 

「この先にいる男が珍しい化石を見つけたらしいよ」

 

 

 ハナダシティまであと少し。もうひと踏ん張りだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 久しぶりに吸った外の空気は、洞窟内で吸ったそれと比べるとやはり美味しく感じられた。文字通り一山越えたあと。本当なら煙草で一服といきたいところだ。

 ニビシティ側と違い、ハナダシティ側のお月見山洞窟の入口近くにはポケモンセンターがなく、人影も見当たらなかった。ニビシティ側はそれなりの数の人がいたんだがなぁ。

 

 ポケモンたちも疲れているだろうし、今はポケモンセンターへ早く行って回復させてやりたい。デブチュウなんて瀕死状態だし。

 なんでか知らんが、デブチュウはよく急所に当たるんだ。待ってろデブチュウ。今助けてやるからな。

 

 そんなことを思いながらぴょんぴょんと段差を飛び降り、ひたすら前へ。途中で草むらを見つけ、どんなポケモンが出るのか確かめたいところではあったが、流石に我慢した。

 

 そして、ハナダシティへ到着。

 う~ん、長かった。お月見山はもっと中を整備した方が良いと思う。なんであんな嫌がらせみたいな内部構造なんだよ。

 

 ポケモンセンターは直ぐに見つかり、無事ポケモンを回復させることができた。

 さて、これからどうしようか。先程見かけた草むらへも行きたいし、せっかくハナダシティへ来たのだから、フラフラと散策もしたい。それに、手に入れた化石も博物館へ持っていかないと。

 むぅ、やりたいこともやらなきゃいけないことも多いな。

 

 うむ、化石は後にしようか。今来た道を戻るのは流石に面倒臭い。

 

 そうなると草むらか散策になるわけだが……とりあえず、散策しようか。

 そんなことを決めてから、ハラマキをパソコンへ預けた。ハラマキのレベルは上げなくて良いだろうし、ハラマキがいると何度も同じトレーナーと戦うとき面倒なんだ。

 この機会にデブチュウのレベルを30くらいにしてしまおう。アカヘルは……ま、まぁ、のんびり育てれば良いさ。

 

 

 

 その後、フラフラとハナダシティの中を歩き回ってみたが、ニビシティと同じようにフレンドリィショップとポケモンジムがあった。

 ジムはどうでも良いが、フレンドリィショップは有り難い。丁度モンスターボールが欲しかったところなんだ。

 

 そのフレンドリィショップで有り金を全て使い、モンスターボールやキズぐすりなどのアイテムを購入。これでポケモンバトルに負けても失うものはなくなった。グリーンとかその辺にいてくれれば最高なのだが。

 

 さらに、ハナダシティにはミラクル・サイクルと言う名前の自転車屋があった。ふむ、自転車か。これからも旅は続くだろうし、買うのはありだな。まぁ、今はお金がないし買うことはできないんだけどさ。

 せっかくだし、お金を貯めて良い自転車でも買ってみようかね。10万円ほどあればそこそこの自転車を買うことができるだろう。これで、お金を貯める目標もできたし丁度良いな。

 

 目標ってのは、あるのとないのじゃ全然違う。

 

 ……昔の俺は何を目標にしていたんだったかな。きっと何かしらの目標はあったはずなんだ。

 今じゃそれを思い出すことだって出来やしないんだけどさ。

 

 

 

 とりあえず、ハナダシティの街の中はそんな感じだった。街の名前でもあるが、全体的に薄青色で落ち着いた雰囲気となっている。事件でもあったのか警官らしき人物がいたりするが、普段はきっと平和な街なのだろう。

 この世界にも警察っていたのか……

 

 そのハナダシティの北には長い橋が架かっていた。そして、橋を渡り終えた先にある岬には、マサキと呼ばれる有名なポケモンマニアがいるらしい。ポケモンセンターの中にいた人は、そのマサキの話ばかりしてくれた。

 

 俺も会っておいた方が良いってことかねぇ? まぁ、行くだけ行ってみるとしようか。

 

 そう考え、ハナダシティの北にある橋を渡り始めようとした時だった。

 

 

「勘弁してくれ……」

 

 

 今、一番会いたいと言っても過言ではない人間。そう……あのグリーンとばったり出くわした。

 

 失うモノは何もない。

 

 さて、お付き合い願おうか。


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