とある中佐の悪あがき   作:銀峰

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出す前に小説情報見たら、五十件以上でした。
お気に入りが何気に一話、十件ペースぅ!

ビックリしたのと同時にすごくテンションあがりました!
これからもこの作品をよろしくお願いします!



とある少女との出会い

「・・・うっわ・・・」

 

思わず声が漏れてしまう。

これはひどい。

もし自分があのジムのパイロットであったならきっと同じような感想を抱いたことだろう。

モビルスーツのモノアイがゆっくりこちらを向く。

 

ここから逃げろと私の本能が次げている。いやどうせこのゲルググは改良機と言っても所詮、ドムの劣化版だ。損傷もしている。

逃げられるわけ無い。

助けてくれたのだと、いうことは理解できるが、これは条件反射のようなものだ

冷や汗が出るのがとめられない。

怖い・・・

久しぶりに恐怖というものを味わった。

リックドムのこちらを眺める一つ目、気をつけていなければ吸い込まれそうだ。

こちらをすべて見透かしてくるような目。

あの女に味わらせられた物より断然強い。

 

「お・・・い・・・返事を・・・」

 

通信機から通信が入っているが、今の私の耳には聞こえない。

怖い・・・

 

この後母艦に回収されコクピットから出されるまで、私はただ・・・ただふるえ続けたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「困った・・・」

 

救援信号を受け、救援に向かった俺たちはサラミス級一隻とジム約十機と戦闘。殲滅した。

先に出て、戦闘していたゲルググがサラミス級を無効化していたこともあり、すぐゲルググの援護に向かえた。

右足を失ってジム五機に追われていたゲルググをビームバズーカでチベ級と一緒に砲撃。

混乱しているうちにゲルググを救出し、残りの四機も直ぐに殲滅した。

後は追われていた輸送艦を救出。

後はモビルスーツがないサラミス級なんてすぐ轟沈できた。

自分の船に帰るように指示したが、なぜかゲルググのパイロットの反応が無かったんで仕方なく連れてきた。

ここまではいい。

せいぜい格納庫が少し狭くなるぐらいだ。

 

問題はここから、

俺は、俺のモビルスーツである専用機のドムから降りた後、あのジム十機の迎撃を受けても生き残り更にサラミス級を難なく撃破した凄腕パイロットの顔を拝んでやろうと思ったところだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぃ~」

 

ガコンッ!

 

機体がハンガーに固定されたのを確認して、専用機であるリックドムのハッチを空ける。

圧縮酸素がコクピット内から格納庫に出て行き、少しの風を巻き起こす。

少し疲れた。モビルスーツ戦闘なんてほんとに久しぶりだ。

いつもは戦場にモビルスーツに乗り、出ない俺だが、たまには出撃しないと腕がなまるからな。

だからこうしてこまめにモビルスーツに乗るようにしている。

最近、重要な戦いばかりで艦長席に座ってることが多いからな。

格納庫内に出ておれの専用機である機体を眺める。

格納庫内にあるドムと少し比べる。俺が介入したおかげでこの世界のドムは少し原作より強化されてる。

 

 

 

 

回想。

 

 

始めはもとの世界で一年早く作られたらジオンが勝利していた!と言われるジオン軍の最高傑作ゲルググを作ろうと、ない頭絞って開発部に設計図を提出。

 

これで勝てるだろと家でふんぞり返ってたら、甘かった。

発想がなかったからできてなかったんだろ?とでもおもって、自信満々で渡したのに・・・

後日こんなのは無理!!といって返却された。

 

ビーム系統の技術がこんなに小型化できないから今困ってるんだぞ!ごらぁ!

 

ってぶち切れた研究員が家に乗り込んできた。

設計図があっても技術が追いついてないと作れないんだねぇと言う考えにたどり着いてなかった俺は、まだつたなかった・・・

仕方ないだろ・・・まだ若いんだ・・・

 

こうなったら仕方ないと思って目標を切り替えた。

そうここでドムだ。

ドムは戦争最後まで生き残ったいい機体だ。

地上の機動力は言わずもがなだし、少し弄るだけで宇宙にもいける。

 

前世でギレンの野望をやっていた俺は、ドムの前がグフフライトタイプだというのは分かっていた。

この機体は簡単に言うと、モビルスーツは空を飛べるんだ!!とか考えたとある科学者が開発。

または跳んでみせろや。おんどりゃ(モビルスーツ)!!なんて言った上の無茶ぶりに答えた結果。

結局少ししか飛べませんでしたーってなって、あれこれ機動力抜群じゃね?やばくね?マジやばくね?

ってなった機体を弄って開発したのがドムである。

 

幸いグフは出来ていて、グフフライトタイプは開発中だったんで、これを地を這うタイプに変えてくれない?ってお願いして少し早く作ってもらった。

で、段々改良させて行って、

 

ビームが使えないのが初期型。

これが原作で言うノーマルドム。

 

ビームバズーカが使えるのが中期型。

ガトー少佐とかが乗ってたやつ。

 

ビームバズーカのエネルギーを外付けじゃなくて本体に移動。

武装の小型化に成功したタイプが後期型。

もっとも生産数が多いタイプ。

こっちで言うドムはこれのこと。

 

ビーム兵器全体を使えるのが後期完成型。

俺が介入した結果作られたドム。

提案者権限で優先的に回して貰った。

エースパイロット用ドム。

 

 

ってな感じになった。

 

 

回想終わり!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして出来た結果である、俺の機体を眺める。

各所に白く塗られたカラーリング。普通のドムとは違い出力が強化されており、強弱ができるバズーカにビームサーベル。

サーベルは背中に背負う必要がなくなったので、ゲルググのように隊長機にはバックパックが追加されている。

自分の好きに改造したプラモを見てる気分だ。こっちは本物の機体だ。

小市民の俺は感動も一押しである。

 

かっこいいなぁ・・・

 

「おいゲルググのパイロット!ハッチを空けて出て来い!」

 

ん?

整備員の叫びが余韻に浸っている俺を現実にひき戻してくる。

 

「どうしたんだ?」

 

「あっ!中佐お疲れ様です!」

 

「あっうん。おつかれ」

 

答えになってない。叫んでた内容的に状況は分かるんだけど・・・

 

回収したゲルググのパイロットが降りてこない。

 

声をかけようと思っていたのだがすっかり悦に浸っていたから忘れてた・・・

 

「まあ。なにか出られない事情があるんだろう」

 

「しかしいくら呼びかけても出てこないんで・・・なにかあったんじゃあ?」

 

「ふうん?」

 

格納庫の壁をけり浮遊。ゲルググのコクピットに取り付く。

連れて帰るときも返事が無かったし、司令官の義務的にも連れてきた責任的な意味でも俺が相手をした方がいい・・・とおもう。

それにあれだけの戦闘を展開していたんだ。

腕はいいんだろう。出来ればスカウトしておきたい。

装甲板を叩き中にいる奴に声をかける。

 

・・・・・・

 

返事はなしか。

流石に篭もりっぱなしはよくないし、通信機も壊れて、ハッチの開閉スイッチがこわれてるのかも知れん。

手で合図して人を退避させる。

乗り口近くにある強制開放レバーを持ち、思いっきり引っ張る。

パシュ!

 

短く空気がぬける音がしてハッチが行きおいよく外れる。

あぶねっ!

 

「あ、艦長まっ…」

 

「司令ーいつまでも格納庫でドム眺めてないで戻って・・・・ふぎゅ!」

 

あっ様子を見に来た副官にハッチが当たった・・・

っていうかよく俺が出撃終わった後ドムみてるってわかったな。

不運な奴・・・

って言うかわざわざ呼びにこなくても格納庫の奴らに頼べば良かったのに、なんでわざわざ来たんだ。

お前艦橋にいなきゃいかんだろう。←人の事いえない

 

まっあいつには後で謝るとして・・・整備長が向かってたし大丈夫だろう。

いまはそれよりこっちだ。

中を覗き込み中の奴に声をかけた。

 

「おい。大丈夫か?・・・っ!」

 

・・・・・はっ!

フリーズしてた。

いやいやだって団子虫状態でまるまって、震えてる女の子をいったいどうせいと言うんだ?

前世でも彼女いなかったし今世も女といえば、そこで伸びてる奴とレビィとオペ子ぐらい・・・

なんか・・・・悲しくなってきた。

と、とりあえず肩をつんつん。

こっち向いてキミ。

つんつん。

 

「大丈夫か?」

 

つんつん。

自分の肩を叩いてくる存在に気が付いたのか、ゆっくりと顔を上げる。

中学生ぐらいの歳だろうか。幼い顔立ちをしている。

ただ世の中学生とは違い、

 

「っ____」

 

伸びきってまともな手入れもしてないであろう髪の下には、何かに疲れたような不健康な表情がそこにはあり。

 

 

どこか見覚えのあるそれに、俺は_____

 

 

こつん。

狭いコクピットの内壁に頭を軽くぶつけ、ぼやけていた意識が覚醒する。

 

「・・・あっ・・・」

 

少女は驚いたように体を震わし、後ずさるように体を動かしたが、ここはコクピットの中、移動するスペースなんて無い。

 

「お、おい。大丈夫か!?」

 

「こないでくれ・・・・・・!」

 

「えっ・・・いや俺は・・・」

 

「っ・・・!?」

 

少女は体を震わせ、頭を守るように抱え、蹲る。

なぜこうなったのかは分からないが・・・

 

「・・・だが」

 

推測は出来る。

 

先ほどの戦闘。

 

ここは機動戦士ガンダムの世界。

 

民間人の子供がモビルースーツに乗るなんて例はいくらでも有る。

こんな幼い少女が殺しあいをして、乗ってる機体は損傷。

俺たちが助けに入らなかったら、殺されかけていた寸前だった。

トラウマになっていても仕方ないのでは無いか?

だから実際、今もこうして震えている。

 

「・・・・・・・」

 

このままでは話も出来ないと思い、少女の頭を軽く撫でてみる。

ぴく、ぴく、と手を動かす度に微かに反応するが、顔を上げる気配もない

少女の髪は手入れをされてないためか少し硬く、それでも自分の頭よりもはるかに小さいその感触が、女の子なんだと伝えてきて来ているようで、なんだか気恥ずかしかった。

 

 

面倒だなと思いつつ、少女の震えが止まるまで、俺は彼女の頭を撫で続けるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いつもより少し短いです。



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