それでも俺はじゃが丸くんを売る   作:ドラ夫

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本当に疲れました。
活動報告にも書きましたが1度話を完成させた後にデータが全て消えてしまったのです。

話の大筋は覚えていたのですが細部やキャラのやり取りをほとんど覚えておらず、ほとんど一から話を作り直しました。

データもろくに保存できない私が悪いのですが、執筆意欲というものが本当になくなりました。多分感想の方で応援して下さる方達がいなかったらこの話は2話で終わってました。




ホウレンソウは大切に

「店長いつもーーーあれ?」

夕方、私がいつものようにお店に行くと店閉まっていた。今まで調理道具の修理でいないことがたまにあるけど、それはいつも早朝で、夕方、この時間にいないことは初めてだった。

一応配達に行ってる可能性も考えて30分ほど待っていると

 

「おっアイズたん、奇遇やな」

「ロキも食べに?」

「いや、勧誘や」

「勧誘?店長を?」

「せや、うちのファミリアの専属として雇おうとな。今日は居らへんみたいやしまた明日にでもーー」

「私達のファミリアに入団してくれるの?私が探してくるから少し待ってて」

「へ? あっ、ちょ、まちや! ・・・行ってもうた。いつも勧誘に失敗しとるから入ってくれない可能性の方が高いんやけどな…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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うーん、ロキに探してくるって言っちゃったけど、どこに行けばいいんだろう?店長さんの私生活ってほとんど分からないし・・・

とりあえずギルドに行ってみよう。冒険者はまずギルドに行くもんだってフィンも言ってたし

 

 

 

 

 

「あの…」

「これはヴァレンシュタイン様、本日はどういったごようで?」

「店長さんを探してるの」

「店長?」

「じゃが丸くんのお店の店長さん」

「お店なら大通りにございますが…」

「居なかったの、どこにいるか調べられない?」

「ご自宅の場所ということですか?」

「ううん、今居る場所」

「なるほど、行方不明の捜索ということですか」

「え?」

「え?」

「・・・」

 

 

 

 

 

 

 

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…困った、あの【剣姫】が『じゃが丸くんのお店の店長がいなくてギルドに調査依頼を出した』なんて言えるわけがない。【ロキ・ファミリア】の第一級冒険者は冒険者にとって、憧れであり、高嶺の花なのだ、こんな事が知れ渡ればイメージがおち、冒険者志望が減ってしまう。それはギルドにとって何としても避けなければならない事だ。

 

かといって断る事はできない。

第一級冒険者は優遇されなければならない。でないと他の冒険者が高レベルを、英雄を目指さなくなってしまうのだ。さらにはヴァレンシュタイン氏は神ロキのお気に入りだ。神ロキはギルドに良い印象を持っておらず、ヴァレンシュタイン氏自らの依頼を断ったと知られたらと思うと空恐ろしいものがある

 

この件はヴァレンシュタイン様や【ロキ・ファミリア】の名前を出さずに、だが最優先事項として処理しなければならない

 

 

 

 

 

「エイナさん」

「はい、どうかしたんですか?」

「とある極秘の依頼について相談したいことがありまして」

「極秘…ですか?」

「はい、名前を明かす事のできないとある権力者の方から、大通りにあるじゃが丸くんのお店の店長さんを探して欲しいとのご依頼がきたのです。確かエイナさんはあのお店によく通ってらっしゃいましたよね、何か心当たりありませんか?」

「え!?店長さんが? すいません、あの人の私生活はほとんど知りません」

「そうですか、ありがとうございます」

「確か知り合いに昔働いていた人がいたので何か知らないか聞いておきますね」

「助かります」

 

 

 

「店長が街の権力者に狙われてる!?」

「ええ、その上、今行方不明だとギルドの方に連絡がありました」

「そういえば店長はたびたびヘファイストスのところに調理器具を修理しに行ってたよ!よし、店長にはお世話になってるし、僕が何か知らないか聞きに行ってくるよ」

「ありがとうございます」

「ヘファイストスとは神友だし気にしないでよ」

 

 

 

「ヘファイストス、店長来ているかい?」

「店長って椿のお得意さんの?さあ、分からないわね。どうかしたの?」

「なんでも街の権力者に追われているらしいんだ。しかも行方不明でギルドでさえ居場所を特定できていないんだ」

「そう、それは大変ね。椿もあの人とは仲良くしてるみたいだし、何か心当たりないかきいておくわね」

 

 

 

「ねえ椿、今日あなたのところに店長さんきたかしら?」

「店長殿?今日は来ていないな、2週間ほど前には来ていたが… 何かあったのか?」

「なんでも街の権力者に追われてて、どこかに姿をくらませているらしいのよ」

「それは本当か、主神様!?」

「ええ、しかもギルドまで追っているって話よ」

「…主神様、手前に休暇をくれないか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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とりあえず街を色々と歩いてみたけど何処にもいない。すれ違いの可能性もあるし一旦街へ戻ろうか、と考えていたところ…

「あ、ベート、こんにちは」

「お、おう、アイズ。こんなところで何してんだ?」

 

そういえばベートもよくあのお店に行ってたっけ

 

「店長さんを探してるの」

「マスターを?店に居ねえのか」

「うん、今ロキと私とギルドとで探してるんだけど見つからないの」

「ロキとギルドが関わってんのか!? チッ、俺も手伝ってやるよ」

「いいの?ありがと、ベート」

「俺もマスターには世話になってるからな。フィンにはもう相談したか?」

「フィンに?してないけど…」

「悔しいがフィンの奴は頭が良いしこの街の闇にも詳しい。事情を説明して話を聞いてもらったほうがいいぜ」

 

? 店長さんがこの街の闇となんの関係があるんだろう?フィンに聞いてみよう

 

 

 

 

 

 

 

 

「フィン、今いい?」

アイズが珍しく話しかけてきたな… 何の用だろうか

「構わないよ」

「店長さんが何処にいるか知らない?」

「!?」

「店長さん?」

「私達のファミリアに加わってくれる人なの」

 

この遠征前の微妙な時期にロキが勧誘?ロキはいつも適当なようで僕たちのことを第一に考えてる。そのロキが新しい冒険者を入れることで遠征隊の連結が揺らぐ事を考慮しないわけがない。それでも勧誘する程の冒険者なのか?

 

「ついにあの人が首をタテにふったのか!?」

「リヴェリアも知り合いなの?でも、今何処に行ったか分からないの」

「どういうことだいアイズ、詳しく説明してくれるかな?」

「うん、ロキと私が会いにいったらいつもの場所にいなかったの、それで今とロキとベートで探してるんだけど見つからないの」

「なん…だと?何処の誰だか知らないが、あの人に手を出したことを後悔させてやる!」

 

アイズとベートとリヴェリアの共通な知り合いが行方不明?しかも様子を見る限りアイズとリヴェリアに相当慕われているようだ。そんな人はなかなかいない

 

「落ち着いて、リヴェリア。それでどうして僕のところへ?」

「ベートがフィンはこの街の闇に詳しいから何か知ってるんじゃないかって」

「なっ、それは…」

 

ベートがそんなことを言うってことは僕達のファミリアに所属する予定の人を闇派閥の人間が攫ったってことだ。僕達と敵対する可能性を犯してまでその冒険者を潰したかったって事か…

 

「このことをしてってる人は他にいるかい?」

「あ、そういえばギルドの人達も今探してくれてる」

 

ギルドまで!?闇派閥とギルドが一人の人物を同時に追ってるなんて今までで初めてだ。しかもベートまで素直に気にかけてるなんて

 

「…わかった、僕が探しに行ってくるよ」

「私も行こう」

「ありがと二人とも」

「アイズ、とりあえずその人が普段拠点にしてる場所まで案内してくれないか」

「拠点?ああ、お店の事か。わかった、私もよく行くし、ここから近いよ」

 

お店?あお、特定の酒場を拠点にしてるのか…

アイズがプライベートでよく会う人か、こんな状況で悪いけど早く会ってみたいね

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「【勇者】に【九魔姫】それと【剣姫】か」

「【猛者】・・・」

「お前達もこの店に通っていたのか」

「ここは私のお気に入り」

「ほお、好きな味は何だ」

「塩、あなたは?」

「俺はショーユバターだ」

 

アイズに案内してもらうとなんとあのオッタルがいた…

彼がこんな時間にここにいることは滅多にない。なぜならフレイヤの警護があるからだ。その彼がここにいる、つまり【フレイヤ・ファミリア】まで関わっている?一体この街で何が起きているんだ…

 

「む、そなたらも彼を探しに来たのか」

「君は【単眼の巨匠】、何故ここに…」

「店長殿が権力者に追われていると聞いてな、あの人なら無事だと信じているが、それでもいてもたってもいられなくてな」

「店長殿が権力者に追われている?どういうことだ」

「手前も詳しくはわからん。が、主神様からの情報だ。確かだろう」

「・・・フレイヤ様から休暇のお許しを頂くか」

 

もうなにがなんだか分からない。オラリオ最高の冒険者だけじゃなくオラリオ最高の鍛冶屋まで集まっている。しかも二人とも滅多に人前に出てこない人物だ。その二人がこれだけ気にかける冒険者なんてオラリオの歴史のどこを探してもいないだろう

 

「おいおい、なんだこの顔ぶれは戦争でも始めんのか?」

「なんや、楽しそうやなあ」

「ベート、ロキ、店長さん見つかった?」

「まだや、しかしアイズたん、フィンとリヴェリアに協力してもらったんか」

 

きっと今この光景を見た人は腰を抜かすだろう。何せオラリオで最も有名なファミリアが全て揃っているのだ。その上【ロキ・ファミリア】にいたってはその主神本人、いや本神?まできているのだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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彼は慣れ親しんだ自分の店の前で腰を抜かしていてた。

 

えーっと、これはどういうことだろうか?新メニューを考案した、初めて取り扱う材料なために新しい輸入先と契約した、早速作ろうと店に戻った、ここまでは大丈夫、なんの問題もない。

店の前には神ロキ、オッタル様、リヴェリア様、アイズ様、ベート様、椿様、それと初対面ですが確かフィン様だったと思うーーーが勢揃いしていた。

 

今から60階層にでも行くんだろうか?そう思いながら呆然としていると

 

「「「「店長!?」」」」

 

流石は第一級冒険者だ。こんなにすぐ見つかるなんて、しかし何なのだろうかこれは?

全員が全員全く違う顔で俺を見てらっしゃる。

 

神ロキは普通に「今までどこいってたん?」というような顔をしてらっしゃる

 

オッタル様は全くいつもとお変わりない様子。ここまでは問題ない

 

アイズ様は何故か期待に満ちた顔

 

ベート様も何故か安心しきってる顔。ここまではギリギリ許容範囲

 

リヴェリア様にいたっては涙目で「よかった…」とか仰っている

 

椿様は「私は信じていたぞ」と清々しい顔をして肩を叩いてくる

 

最大の謎として初対面のフィン様には尊敬の眼差しを向けられている…

 

何がどうなればこんな状況になるんだろうか?とりあえず今は…

 

「新メニューがあるのですが、皆様お揃いのようですし試食会にいたしませんか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なるほどなあ〜」

「ええ、【ロキ・ファミリア】の皆さんが遠征に行かれると仰っていたので日数が経過しても温かいままの物を、と思いまして」

「それで新メニューをなあ、几帳面というかサービス精神旺盛というか」

「そんなことはございません。いつも私なんかを気にかけて下さっている皆様の事を考えるのは当然の事かと」

「まあええわ、それにしてもこれちょっとピリ辛で美味いなあ」

「ええ、詳しい事は企業秘密ですが、その辛さが保温の秘訣となっています」

「上手いことやりおるなあ」

「私なんぞはまだまだ未熟な身です」

「またお前はそんな風に自分を言いおってからに… まあええわ、今日はめでたい日やからな。ファミリアの垣根を越えて子供達があんな楽しそうにしてるのはええもんや」

「・・・ええ、そうですね」

 

本来なら俺は新メニューをお渡しして帰って頂くべきだろうな。第一級冒険者である皆様を1つの店に留まらせておくことは双方のためにならない、ならないのだが…

 

常連さん達が美味しいに自分の新メニューを食べながら笑っているのを見ていたい。そんな理由で止めない俺は、やはり商人に向いていない

 

 

 

 

「ところで神ロキ、こちらが請求書です」

「・・・タダじゃないんか」

「私は商人ですよ?」

「お前はホンマに、根っからの商人やなあ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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【とあるさかば】

「聞いたか、あの噂」

「【ロキ・ファミリア】と【フレイヤ・ファミリア】と【ヘファイストス・ファミリア】が同盟を組んだって話か?嘘に決まってるだろ」

「それがなんでもそれぞれの代表者と幹部が一緒に笑いながら食事をしてたって見たやつが言ってるんだよ」

「それこそありえないだろ?フィン様はともかく椿様とオッタル様はほとんど表に出ない上にあの3人が仲良くし一緒に食事をしてる姿が全く想像出来ない」

「まあ確かにな」

「いや、そうでもないぜ」

「どういうことだ?」

「食事をした場所はあの【第一級冒険者の門】らしいぞ」

「それは本当か!?」

 

【第一級冒険者の門】ほとんど全ての第一級冒険者が通うと言われる店でありながら誰もその店を知らない。

 

見つからないのは

 

あまりに美味なために独り占めしたくなってしまい、誰も紹介したがらないから、とも

 

あまりに高級店なために普通の人間では入ることができないから、とも

 

あまりに強力な魔法で隠されていて高レベルにならなければ見つけられないから、とも

 

あまりに普通すぎて誰も気がつかないだけ、とも言われている

 

 

 

全ての話に共通するのは、その店を見つけられたのなら、冒険者として最高の未来が待っている。

 

と言われるこの街で冒険者達の間で語られる都市伝説の1つ

 

「それなら本当なのかも知れねえなあ」

「しかし、それなら目撃者が居るってのは変じゃねえか?」

「目撃者も第一級冒険者なんじゃないか?」

「どっちにしろ、俺たちみたいなのには関係ない話だ」

「それもそうだ。なあこの後じゃが丸くん食いに行かねえか?」

「いいな!あの店長さんにも最近会ってねえしよ」

「なんでも新メニューができたらしいぜ」

「それは今から楽しみだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

またのお越しをお待ちしております。




オッタルと椿ってお互いのことなんて呼ぶねんどんな会話の仕方すんねん
多分この二人が会話したのはこの作品だけじゃないだろうか?割と検索しましたが出てきませんでした。あったら参考に見てみたいです




ほぼ考えていた話は出尽くしました。
あとはロキメインの話が少しだけあったりするだけです。
書く気はあるんですがアイデアがありません。
こんな話読みたいな〜 っていうリクエストがあればどんどん送ってきてください。そしたら頑張って続編書いてみます。自分からポンポンアイデアが出て来ればいいんですが、私には無理そうです。

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