二話投稿
もともとこれと前の話で一話だったんで
…
……う…
…………う〜〜……ん〜〜〜
「めかたこッ!!」
汗びっしょりになりながら布団から跳ね起きた。
………………えっと……
夏が近いせいかすごく暑かった じゃなくて、そもそもこれ冷や汗ですごく冷たい でもなくって!
「なんだよメカタコって…」
訳のわからなさに思わず顔を片手で覆う。
目覚めてすぐの第一声がこれって、人生初だぞ。なにがあったんだ。
帰る気を見せず、泊まる気満々な水琴たちに和室をあてがったのが深夜00:00を回ったころ。あそこは比較的使うのでまめに掃除してたから、居心地はそんなに悪くないはず。
布団は両親のだがー…転勤した日から一度も見た覚えがないな。俺が中2のときに熊本行ったからもう4年ほど前か。なんか変なキノコとか生えてそう。
それに気づいたのか水琴が俺の部屋を使うとか言ってきて―――そうだ思い出した。
なんか悪ノリして「俺と添い寝しようだなんて百万年はえーんだよ、その中途半端な胸もっと膨らましてから言え身の程知らず」とか言って神速カレーパンチ食らったんだった。
シャツをめくって打たれた箇所を見てみると、ハンドボール大くらいのあざが出来ていた。
つかこれひどく内出血してない?なんかドス黒く変色してんだけど。
拳見えなかったからなぁ…ナツルさんびっくりだよ。よく最後まで言えたもんだ。
記憶がたしかなのはその辺りかな。あとは肩を怒らせて去っていく水琴の後ろ姿とか、薄れいく視界を頼りにベッドに寝転んだとか断片的なものだ。
思い出したらまたなんか気分悪くなってきた。またなんかおかしな夢見たし。
腹部から湧き上がる嫌悪感がなんとも…洗面所行ってリバースしてこようかな。
(……ん…?)
何気なく辺りを見回す。
机の上にハラキリ、聞こうと思ったけどそのままにしてたCD。その隣に置いてある目覚まし時計。時刻は2:00を指している。
とくに変わった様子はない。
なんだ?なんか今ザワッときたぞ。
もう一度辺りを見回す。
コンセントに刺さったままの充電器。そのコードの先に繋がれた携帯電話、3ds。カーテンに映った影……影?
ガシャアン!!
いきなりド派手な音と共に、カーテンが内側に翻りガラスが室内に舞う。
それと同時に人影が部屋の中に飛び込んできた。
「いえーい!理香ちゃんさ「どおおぉおお!?」」
なんか台詞が被ったみたいだがとりあえず無視。
肝心なのは…
「まっ、窓が…ガラスが!俺の部屋のガラスがぁあ!?」
つい最近チャイム直したばっかなのに!
しかも突然の侵入者は、室内だというのに靴も脱がず、あろうことか人の私物を容赦無く踏み潰している。
「ああああ限定版dsがッ、ロゴプリント付きヴィータが…!テメエなんてことさらしてくれんだゴラぁ!!」
なんかよく分からんが白いドレスっぽいの着たロリっ子に指を差し全力で怒鳴る。どれも高かったのに!
しかし相手はたいして気にしてないようで。
「ん〜…、あんたがそう?」
「なにがだよ!?」
即座に訊き返したが、急に殺気がしたので反射的に横っ跳びをする。
すると今まで立ってたとこに何か飛来して後ろのドアを破壊。そのまま壁に刺さる。
あれは…鎖鎌?
「おー。やるね」
少女はうれしそうに鎖を引いて、鎌を回収する。
つーか…
「テメエまた壊しやがったな!?どう責任取んだよ!」
親父がローン組んで買った家なのに!
「しらなーい」
少女は微塵も気にした様子もなく、鎌を振りかぶって第二投を放とうとしてくる。
どうやらこの
「えいやっ!」
気が抜けそうな掛け声で鎖鎌が投げられた。
そこそこ早い速度だ。150は出てんじゃない?
だが…正直雫のほうがうまい。
まっすぐにしか飛んでないので、そのまま正面から白羽どりの要領で捕獲することにした。投げ返してやる。
そうして鎌が目前にまで迫った時―――背中に怖気が走った。
これは…大地のときと同じ感覚だ!!
慌てて上体を反らし…ダメだ、当たる!
仕方なく左手で鎌の持ち手を掴んだ瞬間、掌を激痛が襲った。
「があぁあっ!?」思わず獣のような悲鳴を上げ、鎌を捨てるように放り投げる。
なんだ今の…熱した鉄の棒かなんかみたいだったぞ。
左の掌は皮膚が溶けて血で真っ赤に染まり、うっすらと煙が立ち上っている。
「あはははー、理香ちゃんの武器は理香以外が触れるとものすっごく熱いんだー。触りつづけるとスライムみたいになっちゃうよ?」
ケラケラと笑いながら鎖鎌を持て遊ぶ少女。
それを横目に見ながらさっき壁に刺さった跡を確認してみると、火矢でも射られたかのように黒く焦げていた。
……さっきも言ったが、ここは親父がローンを組んでまで買った家。
しょっちゅうやんちゃなことをしては、色々な所を壊したりした。壁に穴空けるなんてのは今更だ。
しかし自分でやるのと赤の他人にされるのとでは話が違う。
ましては仮とはいえ今ここの家主は俺。侵略者に好き勝手されて―――
「なんか拍子ぬけだなー。瀬能ナツルはひどくてヤバいって聞いてたのに、てんで対したことないじゃん。がっかり」
「そいつはどーも」
―――黙っている訳にはいかないだろう?
「すいませんね」
「えっ?」
少なくとも数mほどは離れてたのに、次の瞬間にはほんの数mm手前。
今にも身体が触れそうな距離に突然俺が出現したのがよほど衝撃的だったのか、ぽかんとしたアホ面を晒している。
隙だらけだな。
「鳳仙」
ドゴウッ!
無防備な相手の腹部を、右の正拳突きがストレートに突き刺さる。
同時にカーテンが外側に勢いよく煽りあげられ、ブチンブチンという音を立てて夜空に旅立った。
"鳳仙"は対象にぶち当てた衝撃を、勢いが続くままに通過させるいわゆる貫通技。
真後ろにあったカーテンは影響をモロに受けて、カーテンランナーごとレールから外れたようだ。
向こうはケンプファーっぽいから加減とか考えずに攻撃したけど、ちょっとやり過ぎたな。見通しがよくなってしまった。
幸い飛んだカーテンは庭に落ちてるから、明日にでも取り付けよう。それよりも肝心なのは…
「か…はぁ…!」
苦しそうに腹を押さえ、正座するように床に座りこんで身体を丸めるクソガキ。
その髪を掴んで引き起こし、若干痛む左の拳を大きく後ろに引いて……追撃のボディブロウ。
「ゲボッ!!」
およそ少女に似つかわしくない言葉を口から吐き出し、空いた窓からベランダの欄干まで一直線に吹っ飛んだ。衝撃で金属製の手すりが大きく歪む。
クソ、また修理箇所が増えた。両親になんて言い訳しよう?
「まだまだこんなもんじゃねーぞ」
ベランダの端でうずくまる少女を見下し、そう言い放つ。
少女は先ほどと同じように、打たれた腹部を押さえて身体を丸めている。
ただ先ほどと少し違うのは、怯えたような目で俺を見返している。
なにその顔?
自分から仕掛けてきたのに、ちょっと追い込まれたからもう許してくださいってか?
許すわけねーだろボケ。
両の手で強く拳を作り、怒気を噴き出しながら、近づこうと一歩を踏みだした。
ベキっ 「?」
なんだ今の?なんか…嫌な予感。
ちらりと足下に目線を向けてみると
液晶を割られたヴィータたんが…
「おぁあああいあああ(((o(*゚▽゚*)o)))!?」
(※おかしな表現が出ましたが、ミスではありません)
ヴィータたんがっヴィータたんがーーー!!!!??
メディック、メディーーーック!!
ッ…ダメだ……もう…手遅れ…だ………ッ
瞬間的に彼女(!?)との思い出が走馬灯のように浮かんでは消えていく。
こんな…こんな別れ方って…!あっけなさ…すぎる………
いつの間にか鎖鎌の少女がいなくなっていたが、そんなことは全然気にならなかった。
痛々しく変わりはてた機体を身を屈めて両手で大事に持ち上げる。
そのままそっと、襲撃の影響がほとんどなかった学習机の上に乗せ、冥福を祈りながらしばし黙祷。
一連の動作を終え、顔を上げたら同じく机に置いてあったタバコが目に入った。
…気を落ち着かせるためにもとりあえず一服しとくか。
若干震えが残る手で口に運び、お気に入りのライターで点火する。
その際中々火が付かなかったり、揺れて目標(タバコの先)に火が当たらなかったりとやたら時間がかかった。
………ふぅー…
あらためて室内を見渡す。
割れて散乱したガラス、壁に空いた穴、壊された私物の数々。
鬱だ。
今日部屋に来たあのクソガキは次会ったら殺そう。敵味方関係なく。
つーかここまで派手に騒いでんのになんで紅音たち来ないの?
なんか今読み返してみたら、新しく出て来た謎の登場人物や原作にはない展開、新しく追加した要素よりナツルのおかしさの方が目立つ。
どうしてこうなった。
まあ作者も自分のゲーム機破壊されたら犯人ぷっち◯シをするかもですがここまで大袈裟になれるかどうか、彼の愛は深い。
ちなみにナツル君は短距離を一瞬で移動できる瞬間移動能力(縮地)が使えます。足踏みで地震起こせるなら寧ろ出来なきゃ変だ。
衝撃貫通技(鳳仙)は、槍などを突き刺す感じをイメージしてもらえると幸いです。
こう…マス移動方式のシュミレーションゲームとかで、直線ニマスを同時に攻撃する。的な