けんぷファーt!   作:nick

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とうとうやってきました。この小説始まって以来の濡れ場です。

でもぶっちゃけGUDAGUDAしてます。


第24話 この星のどこかで

大変な事態が起きている。

 

何が大変なのかと言うと、女子部の企画が全然決まってない。

 

それについて相談したいんだが、雫にミスコンに出てもらうよう頼んでからここ数日、紅音とはろくに会話してない。

 

ちょくちょく会って話しかけてはいるんだが、二・三言葉を交わしただけですぐに終わってしまう。

しかも、たまにあからさまにそっぼを向かれたり、むくれ顏をされたりする始末。可愛いけど今そういう態度取られるのは困る。

 

多分、会長のところに一人で行ったことについて怒っているんだろうというのが俺の見解だ。…事故とはいえボディタッチまでしちゃったし。 結果的に急速に距離を縮めてしまっているのが原因かと

 

そのことを家にいる(ある?)臓物アニマルのハラキリトラに話したら、「ナツルさんは鈍くないのにたまにすごく天然ですね」って言われた。

 

……水琴や東田、おまけに大地とかにも言われたことを無機物にまで言われるとは思わなかった。(俺ってそんなに天然かな…)

 

 

おかげで最近開かれた会議では、女子部の2-4は企画書を早く提出しろと淡々とした口調で責められた。気がする。

 

ちなみに男子部の二年四組(ウチ)の企画は休憩所だ。

 

……手抜きってのは分かってるさ。分かってはいるけど、他にいい案がなかったんだよ!

 

 

ここはポジティブに考えよう。片方の企画に専念出来るからいいじゃないか。男子部がちょっとアレな分女子部を盛り上げれば大丈夫

 

そのためにもきちんと形になるものにしよう。そう考えて今日は女の姿で教室へ向かった。

 

 

「ナツルたん、ナツルたん」

 

その途中副委員長に声をかけられる。

 

……人を「たん」付けで呼ぶの止めてくんないかな

 

「副委員長さん…こんなとこで油売ってていいんですか?まだ企画決まってないのに」

「大丈夫。もう決まってるから」

 

聞いてねーぞ

せっかく珍しく、本当に珍しくやる気を出そうとしたのに見事に出鼻をくじかれちまったじゃねーか

 

「ほらほら、他の()に見つかる前に早く教室行こっ」副委員長はそう言って俺の腕を引っ張る。

 

他の女子に見つかりたくないのは同感だ。アイツら俺の姿を見つけたら本気で追いかけてくるからな

 

「文化祭では何をする予定なんですか?」道すがら尋ねる。

 

なるべく大人しいのがいい。目立ちたくないから

 

「内緒ー。ついてからのお楽しみ」

 

副委員長は振り返り、ニヤニヤと笑みを浮かべてくる。

 

超不安。なんか凄く教室行きたくない…

 

「ナツルたん。ミスコンでやること、知ってるよね」

「はい?えっと…たしか何か、一つ芸をやるとか…」

 

ミスコンの出場者は当日、体育館のステージで特技を披露することになっている。己のアピールをした後、生徒たちに投票してもらうのだ。

 

俺は何をやろうかまだ考えていない。なるべく客がドン引きしそうなのをやりたいな…優勝したくないから

 

「今日はナツルたんに勝ってほしいから、ミスコンに向けての練習日にしたの」

 

いらんわそんな気遣い。優勝したくないって言ってんだろうが

つーか教師は何やってんだ

 

「さ、入って」

教室の前まで来ると副委員長に促される。

 

仕方なくドアを開けると。

 

「いらっしゃいませ。ご主人様ー!」

 

メイドに歓迎された。何事?

 

「お帰りなさいませ。ご主人様」

 

軽く放心していると声をかけられた。

その方向に目を向けると、

 

「委員長さん…」

 

この人もメイド姿だ。

格好が違うだけでいつもと違って可憐に見える。

 

「女子部二年四組の出し物は『メイドのようなもの喫茶』です。先日決まりました」

 

いつの間に…。しかものようなもの(・・・・・・)ってなんだよ。

 

「うちはただの喫茶店ではありません。瀬能さんをミスコンで勝たせるための喫茶店なのです」

「そういうのいらないから、もっと「駄目です」…」

 

言ってる途中で駄目出しされた。不愉快

 

「ミスコンに出場する謎の美少女瀬能ナツル。彼女がメイド姿でかいがいしく働く喫茶店。その姿が間近にとなれば客は必ず来ます」

 

委員長が理由を話す間に周りを見わたす。おお、隅っこにいて分からなかったが紅音もメイド姿だ。

 

彼女は恥ずかしげに顔を赤くして俯いてる。そそるね

 

「瀬能さんに惚れ込んでくれれば、投票してくれるので一石二鳥。これで優勝間違いなしです」

 

ふと、机の上に紙が置いてあるのが目に入った。

よく見ると細かな数字や金額らしきものが記入されている欄がある。あれってもしかして…

 

「賭の用紙?」

「瀬能さんの倍率は低くいですが穴狙いがいますから、寺銭は入ります」

 

ノミ屋か。悪びれもしてねえし

見た目が可憐でも中身は最悪だった。

 

辺りを見回すとクラスメイトたちが副委員長の号令で盛り上がっていた。

最悪なのは委員長だけじゃなかったようだ。

 

俺もクラスの一員だよね?いいの?級友を金儲けの道具にしてるんだよ?

 

まさか実はクラスメイトと思われてないとか。ありえそうで怖い。

 

なんか悲しくなってきた

 

「おや、どちらへ?」

「世界の中心で哀を叫びに…」

「オーストラリアへ行くのはまたの機会にしてください。衣装合わせがあります。」

 

そう言って複数の生徒に連れてかれる。場所は教室の隅だ。

 

そこは厨房兼更衣室となっているようで、カーテンで仕切られている。

 

「とりあえず着替えてください」

 

委員長に俺が着るであろうメイド服を渡される。いつの間に採寸はかったんだ?

 

「気にしない方がいいです」会計、心を読むな

 

もう抗議は諦めよう。時間の無駄だ。

着替えるなら服はもとより貴重品は自分のロッカーに入れた方がいいな

 

「………あの」

「なんでしょう」

「着替えるんでカーテンを放してください」

 

覚悟を決めてメイド服に着替えようとするが、副委員長が目隠し用のカーテンを掴んで離さない。

 

「駄目〜ナツルたんの着替え見るー」

 

ぶち殺すぞ。クラスメートまで賛同しやがってるし

 

「いや、ちょっま――あ、コラ脱がすな!」

 

 

     ☆     ★     ☆

 

 

「おー」

「ナツルたん、キレ〜」

「ストーカーしたくなります」

 

数分後。メイド服姿にされてしまった俺。

 

結局脱がすだけでなく着替えまでされてしまった。もうお嫁にいけない

 

頼みの綱である紅音も食い入るように見入っていたし。もうやだこのクラス…

 

「では早速…、瀬能さんは接客業の経験は?」

「ないよ」若干声が不機嫌で素に近い感じが出てしまった。でも仕方ないよね

 

「それではまず、困った客への対処方をやってみましょう」

 

それは普通、一番初めに教えるもんなんだろうか

 

疑問に思ってると椅子と机が用意され、二人がその席についた。副委員長と会計だ。

 

どうやらこの二人が『困った客』のようだ。適役だがなにをされるか分からないから超不安

 

 

「では瀬能さん、オーダーをとってください。二人は無理難題を吹っかけますので」

 

水が入ったコップを乗せたオボンを渡される。やりたくねーなー…

 

「笑顔を忘れずに、ではスタート」

カチンという音が鳴った。どこからカチンコ(映画で撮影の始まりを合図するのに用いる拍子板)を?

 

「いらっしゃいませー」とりあえず形だけでも笑顔を作り、机にコップを置く。

すると副委員長がいきなり睨むように瞳を向けてきて、

 

「よー姉ちゃん。でけえ乳してんな。ミルクはサービスか?」

ふざけた口調でおやじみたいな事を言ってきた。

 

キャラ変わりすぎだろ

 

思わず委員長を見ると「続けてください」とだけ返事が返ってくる。

 

仕方ないので作り笑顔のまま続ける。

 

「申し訳ありませんが牛乳は有料です」

「かてえこと言うなよ。こんな立派なもん持ってんだからよー」

 

調子に乗って副委員長が俺の胸を掴んできた。

 

「あなたはダメです(いろんな意味で)」

 

しかし手が触れる寸前、延ばされた腕を掴み、力いっぱい捻り上げる。

すると副委員長は「いたたたたっ」と悶絶しだす。ちょっと爽快

 

「カットです」

 

委員長が待ったをかけた。何か間違った事でもあっただろうか?

 

「瀬能さん、いくら困った客への対処でもいきなり暴力はいけません」

 

呆れたような顔つきで注意される。

 

女とはいえセクハラしてきた奴に気をつかう必要ないと思うんだが

 

「すいません。不器用ですから」

 

言っても無駄だろうから仕方なく、すまなそうに詫びると、委員長はため息を()く。

 

「あと『メイドのようなもの喫茶』ですから、出迎える言葉は「お帰りなさいませご主人様」です。間違いのないように」

 

再びコップとお盆を渡される。誰が持ってきてんの?

 

「ではまた初めから。スタート」カチン

 

カチンコ鳴らさなくてよくねー?

 

痛む腕を息吹きかけて冷やしてた副委員長と何考えてるか分からない会計の所に、また作り笑顔で水を運ぶ。

 

「お帰りなさいませご主人様」

「おう、今日は勝ったぞ」

 

話しかけた途端副委員長が一万円を机に叩きつけた。変わり身早い上に感じ悪っ

 

「ご注文はなんでしょうか?」

「ミルク。メイドさんの」

 

今まで黙ってた会計が本を読みながら言った。内容はなんか難しそうな本。

 

頭が良さそうに見えるのに頭の悪いこと言いやがったよ

 

「ご注文はなんでしょうか?」

「ミルク。自家搾りで」

「ご注文はなんでしょうか?」

「だから「ご注、文は、なんでしょうか」……」

 

流石に俺の有無を言わせない迫力にビビッたのか、二人だけでなくクラス全員が息をのむ気配がした。

 

「ご注文はなんでしょうか?」

「コーラで…」

「鉄鋼関連株」

「オーダー入りました。コーラとばくだんをそれぞれ一つ」

 

出てこないのを承知で頼む。これでばくだん(戦後の酒)がきたら逆に困る。

 

しばらくして空のコップが二つ乗せられたお盆が手渡された。あくまでリハーサルだから飲み物は無しなようだ。

 

用意された芝居道具を机に置くと、副委員長に引っ張られる。

あんだけ脅したのに…懲りん奴だ

 

「よー姉ちゃん、酌しろよ」

彼女はそのまま空いた椅子に座らせようとする。

 

「困ります」

「いいじゃねえか、減るもんじゃないし」

無抵抗でいると調子に乗ってきたらしく大胆に触ってくる。俺の神経が減るんだよ。

 

「おもしれー服だな。ここほどいたら脱げるか?」

「本当に困りまっ!?」いきなり下半身に変な感触。見ると会計がスカートの中に手を突っ込んでいた。

 

「いい触り心地ですね」めくるな馬鹿

 

「ちょ…ホント…やめっ!」

 

しゃれにならん…!委員長は『暴力はダメ』と書かれたカンペ出してるし、他の女子は「スマイル、スマイル!」とか言って止める気配すらない。ハァハァすんな気持ちワリィ

 

「おじさんよー、最近よー、娘が一緒にフロに入ってくんないんだよー」知るかそんな設定。

 

「このストッキングは破ってもいいですか」もう破ってんじゃん。

 

二人は調子に乗りまくって胸やら尻やら好きかって触ってくる、どころか頬ずりまでしてきた。

 

 

………………キサマラァ…………

 

 

「い…いい加減に『ブチッ』…ほへ?」

 

 

 

〜〜〜 ザザッ… ただいま、都合によりお見せできません。しばらくお待ち下さい 〜〜〜

 

忘れ〜ないで〜このほ〜しに♪

不思議〜一つ〜見つけ〜た〜よ♪

この手のひらで〜 微かーに〜光る〜♪

僕の〜だーいじな宝〜もーのだよ♪………

 

〜〜〜 ザっ お待たせしました。引き続き『けんぷファーt!』をお楽しみ下さい 〜〜〜

 

 

「今日はこれくらいにしましょう」

 

委員長が訓練が始まる前と変わらぬ態度で話しかけてくる。

 

しかし教室にいるほとんどの奴は気絶してるか引き攣った笑みをうかべていた。

 

途中から記憶があいまいだがどうかしたんだろうか

 

尋ねてみようかと紅音を見れば、「ひっ!」と短く悲鳴を上げられる。身体も小刻みに震えて今にも倒れそうだ。

 

本当になにがあったんだ

 

あと姿が見えないけど副委員長と会計はどこにいったの?

 

 

「では続いて最後のイベントです」

 

 

そんな中でも委員長だけは元気だ。どんな神経してんだか

 

ていうかまだあんのかよ

 

「瀬能さんと二人っきりで着替えをする権利。争奪くじ引き大会ー」

『きゃー!!』

 

今まで沈んでいた教室が今日一番の盛り上がりを見せた。

若いねぇ…一気に老けた気分

 

「一人一本づつ引いてください。色がついてるのが当たりです」そう言って割り箸を使ったくじを出した。

 

「念のため訊くけど私の意思は」「ないです」

 

デスヨネー

 

一斉にみんなくじを引く。

 

「当たりを引いた方は誰ですか?個室は用意しますよ」

んなもんあるならメイド服に着替える時から使わせろや

 

クラスメイトたちがそれぞれのタイミングで割り箸を確認していき、あちこちから「あーん」だの「ざんね〜ん」といった声が聞こえてくる。

 

そんな中、集団の中から手が一本上がった。

 

「おや紅音さんですか」

「…………」紅音は顔を赤くして首を小さく縦に振る。

 

その手には確かに先が赤く塗られている割り箸が握られていた。

 

いつの間に制服に着替えたんだろうか

 

「ではどうぞ、瀬能さんに制服を着せてあげてください。制限時間のみですがごゆっくり」

 

そう言って個室に案内され、入ると同時にカーテンが閉められる。

 

 

「…あの……服を…」

「あ、うん」

 

入ったはいいが、紅音はもじもじとうつむいて目を合わせようとしない。

 

いや、ときおり目は合うんだよ。恐る恐ると視線を向けてくるから

でもすぐにビクッ!と擬音が出そうなくらい反応して勢いよく顔を背けて、また視線を向けてきて…

 

 

なぜだろう。すごい気まずい

 

 

思わず床にある自分の制服が入ってる籠に視線を移した。

 

思えば紅音、いや女の子とこんな狭い空間で二人きりになるのは初めてだ。

 

うわあやべえ、おらドキドキしてきたぞ

しかも最近なんだかぎくしゃくしてるから別の意味でも緊張してくる。

 

「あの…ナツルさん…」

「はいっ?」

 

いきなり話しかけられる。

しまった、先手を取られたか

 

しかし紅音はどこと無く居心地が悪そうだ。

 

「この前…会長と何を…」

「なにって?」

「あたしが入る直前です…」

「いや、なんか目をつむれと言われたからその通りにしただけなんだけど…」

 

そういえば結局なにされそうになったんだろう

 

「…本当ですか……?」

「マジだよ」

 

彼女は俺の言葉にあからさまにホッとした様子を見せた。

 

なんなんだ

 

「あたし…その…ドアの外で…二人の会話を……」

 

どうやら気になって盗み聞きしてたようだ。そんなに聞かれて困ることは喋ってないからいいけど

 

…クソっ、この服一人じゃ脱ぎにくい。つーか脱げない。

 

「別に気にしてないからいいよ。それより着替え手伝ってくれ」

「はい……はい?!」

 

何驚いてんだ?

 

「あ…あたしがナツルさんの…」

「フック外してファスナー下ろしてくれ」

 

そう言って後ろを向く。

実用性ないよこれ…

 

 

「……失礼します…」

 

プチッという音がしたあと、ファスナーがゆっくり下ろされた。

 

「…ナツルさん、肌綺麗ですね……」

 

うっとりとした声で告げられる。そうなのかな

 

とりあえずメイド服を脱ぎ、籠に入れる。当日もこれ着なきゃいけないのかな…

 

「あの…触ってもいいですか…?」再び紅音の方を向く。

 

……俺今下着姿なんだけど…

 

しかしなんだかんだで紅音には世話になってるからな(主に沙倉関連で)、少しくらいわがままを聞いてやっても罰は当たらないだろう。

 

「…手短にね」

「…はい……」

 

紅音はゆっくりと手を近づけて胸の谷間を撫でる。少し手が冷たい。冷え症?

 

「んっ…」

 

変な声でちった。しかしお構いなしに今度は両サイドを寄せあげる感じで触る、というか揉んでくる。

 

…副委員長たちと違って優しいタッチでやるからなんか…気持ちいい…ような……

 

 

「……ミスコンのスタッフってまだ募集してるでしょうか…」

 

 

ヤバイ、なんか怖くなってきた

 

 

「あの…もういいか?」

「もう少し……」

 

目が据わってる……!

 

 

その時急に外が騒がしくなった。

 

何やら「通してください」とか「タダではちょっと」など聞こえる。

聞き覚えのある声だ。なるべくなら今は会いたくない奴の声だ。

 

いきなりカーテンが開け放たれた。

 

「(ジャッ!)ナツルさん!どうして会ってくれないんですか!わたし……」

 

犯人はやはりというかなんというか、沙倉だった。

彼女は勢いよくカーテンをスライドさせつつ言葉を発してきていたんだが、台詞は途中で途切れた。

 

無理もないだろう。今の俺は下着姿。

しかもそなの俺の胸を紅音が両手で揉むように触ってんだから。

 

 

「み・美嶋さん!なにしてるんですか!?ナツルさんのむ…胸を!!」

「こ…これは!「見られちゃった…」…ナツルさん?」

 

会話の途中に訳ありっぽい顔つきで割り込むと、紅音は不思議そうな顔を向けてくる。

 

それを無視して紅音の後頭部に手を回して、力を込めて引き寄せた。

 

「こういう関係なんです。私たち」

「ふぇ…ふぇぇえええ?!」

 

ちょうど俺の胸の谷間(男の精神でこういう表現するとなんか複雑…)に彼女の顏が密着する形になった。

 

うわ、紅音ちゃん真っ赤っか

 

「そ…そんな!?」

「まあ嘘ですけど」

 

沙倉が驚愕の表情を見せた瞬間に手を離し、後ろに下がった。

そして悪戯っぽく舌をだして笑みをうかべ

 

「紅音ちゃんには着替えを手伝ってもらってたんです。一人じゃ脱ぎづらかったので」

「そ…そう、なんですか?」

「はい」

 

沙倉は結構行動力がある。だからこうしてきちんと説明をして、誤解を解いておかなきゃ後が怖い。ククリナイフで刺されるかもしれない

 

ちなみに紅音はまだ放心状態だ。

 

 

「…なら、わたしが着替えのお手伝いします!」

 

ええ〜、帰ってくんないかな…どうせあと制服着るだけだし

 

「ダメです!」フリーズしてた紅音が急に叫んだ。

 

さらにそれだけでは終わらず、そのまま沙倉に食ってかかる。変身前なのに随分強気だ

 

「ナツルさんはあたしがいいはずです!」

 

紅音さん?さっきのは冗談なんですよ?分かってる?

 

「それに沙倉さんのこと、迷惑だと思ってるはずです……!」

「そんな…!」

「同性愛は嫌いって言ってました!」

 

その一言で沙倉は狼狽をあらわにした顔をし、黙りこくる。

 

俺は男同士の愛は嫌いだけど女同士ならありだと思うぞ、体験すんのは微妙だけど

 

彼女は一度俺を見て、次に紅音をキッと睨んだ後、踵を返し足早に去っていった。

……よく分かんなかったけど泣いてたんじゃねーかあいつ?

 

「だいじょぶです……大丈夫…」

小声で紅音が呟く。

 

「ナツルさんは…あたしが守ります……!」

 

その時の彼女の顏は、いつもの気弱な図書委員のそれとは違い強い決意が宿った目をしていた。

 

…どうでもいいけど服着ていいかな

 






この辺りからキャラの性格変わって来てる気がする。

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