今の章…といったらいいんでしょうか。を年内に終わらせたいんですが流石に無理かなぁ…
「オっ…!おまっ…!そっ…!」
オイお前それどういうことだ
たった14文字の言葉も口に出せないほど、俺はパニックに陥っていた。
「どうした?そんなに驚いて。予想はしてたんだろ?」
対する大地は冷静そのもので、余裕さえ感じさせる。
ただしその表情は暗く、親の仇にでも出会ったかのような目でこちらを睨んでくる。
―――違和感は、前からあったんだ。
頭の片隅でいつも引っかかっていた。
「契約の腕輪ってのは右腕にあるもんだろ、なんで」
「誰が言ったんだそんなこと」
誰?誰ってそれは………あれ?
そういえばそれっぽいことは誰も言ってなかったな
「思うにコイツは利き腕に嵌められるんだろう。 まあどうでもいいけど」
大地は左利きだ。
それを本人から聞いたことはないがこの前…変身が続く前、一緒に屋上で昼飯を食った時、こいつは右腕に時計を巻いていた。
普通腕時計ってのは利き腕と逆の腕につける。
その時はまだ左手に包帯巻いてたからとくに気にしてなかったけど
でも今日は左手にリストバンドをつけていた。
それになぜか右利きの振りをずっとしていた。不自然なくらいに。
右左どっちでも使える両利きなのかなーとか、バスケの試合展開を有利にするためにあえてやってるのかなーとか思ったんで追求はしなかった
さらに、水琴の件を愚痴った時、こいつは言った。
『そりゃ同じ女子高生が男の腹パンチしてる光景を見続けるのは誰だって嫌だろ』
『俺に聞くなよ。女と付き合ったこともないし、そんな状況に陥ったこともないんだから』
おかしいだろ。
なんで水琴が女ってのが分かるんだ?数秒前まで誰だって尋ねてきた奴がよ。
幼なじみとは言ったが、性別までは言ってない。珍しくはあるが、探しゃあ男にもいる名前だ。
それに俺は「第三者から言われた」としか口にしてないのに
その時はすぐに腕輪が点滅して、それどころじゃなかったからなにも訊かなかったし、そういうこともあるかなって一応納得もした。
………いや、きっと俺は訊きたくなかったんだろう
知りたくなかったんだ
…思いたくも、なかったんだ
今も、信じたくない
「…いつから、だ」
「なにが?」
「いつからケンプファーやってんだ」気づいた時にはすでに包帯巻いてたから俺より前なのは間違いないはずだ。
「そうだな…。半年…、いやそれ以上前か」指折り数えて「これでも結構戦ってんだぜ?」
…なんで自慢げなんだ?
あとずいぶん前からケンプファーやってるのに、紅音からそれらしい情報一切聞いてないんですけど
「お前も知ってるだろうが、この腕輪の色がお互い違う以上俺たちは敵同士だ」
喋りながら大地の腕輪が赤く光り輝く。
しかし俺のはピカリともしない。
「まだうまく変身できないみたいだな。ま、そこを狙おうとは思ってたんだが…容赦はしないぜ?」
「まて、戦う必要はないだろ!」
「お前に関しては理由があるんだよ」
理由?
「なんたってお前は…みどりを消したからなぁ!!」
叫びと共に大地が光に包まれる。
その光が収まるか収まらないかのタイミングで、少女が突っ込んできた。
コイツは……マリーさん?!
「死ねっ、瀬能!!」そのまま勢いよく拳を突き出してくる。
ナリは美少女でもケンプファーだ。まともに喰らうのはもちろん、ガードするのも避けた方がいいだろう。
こっちは生身だし
「みどりって…っ!葛原みどりのことかっ!?」猛攻をかわしながら尋ねる。
「はっ!以外だな、覚えてたか!忘れてると思ったけどなぁっ!」
「そこまでニワトリな脳みそしてねーよっ!」
ビュゥンッ!!避けた拳の拳圧が頬をかすめる。
一発一発の威力は高そうだが動きは素人に毛が生えた程度だな
「それが理由か!?なんで!?」
「幼なじみだからさ!!」
バオゥッ、ひときわ重そうなパンチが前髪を掠めた。
憎しみ色に染まる顔がより一層深くなる。
「お前だってこうするだろう?同じ状況に立たされたらな」
「…ノーコメントで」うちのアレの場合普通とは違うからな。着の身着のまま単身でアフガンにいくような奴だし
「そもそも俺は遥か格上の相手に一人で挑ませることはしねーがな」多分
「……そのことについては後悔してるよ」
突然バックステップで大きく距離を取る。
「もっと早く―――こうしておくんだったってな」
その手に突然、刀身がグニャグニャと波打つ剣が出現した。
それを構え、大地は突進してくる。狙いは突きのようだ。
いくら威力があろうと強い武器で攻撃しようと、軌道が分かればそれ程怖くはない
ここは後ろに下がりつつロックアウェー(スウェーバックから戻ってのカウンター)で軽く
いやなんかヤバイ!!
スウェーの最中に膝を曲げ、地面と水平になるくらいに無理矢理身体を反らせる。
その直後、俺の顔があった場所を猛スピードで刃が通過した。
「けっ、剣が伸びた!?」
正確には刀身がだが、明らかにもとの長さの倍はある。
前に対峙した時感じた違和感はこれか!?
「チィッ!」大地は鋭く舌打ちをすると、伸び途中のそれを振り下ろす。
ズガッ!
間一髪で横に転がり避けたが、勢い余って廊下に刀傷が出来た。
切れ味もバツグンだなオイ…!まともに喰らったら刺身にされちまう。あのままカウンターを狙っていたらと思うとゾッとする。
「ホントめんどくせぇな、勘がいい奴って」
剣をもとの長さに戻すと(正確な長さが分からないから多分だけど)、忌々しそうに話しかけてくる。
「おもしれえもん持ってんじゃねえか…、どこで買った?」
「ケンプファーの武器が普通だとでも思ってたのか?俺の
「みたいだな。いったい何メートル伸びるんだ?」
「さあな。測ったことないし」
「そこは『13キロや』って言うもんだろがっ!」「お前のそういう訳の分からない所が大っ嫌いだったんだよっ!!」
再び突き、と同時に剣の刀身を伸ばしてくる。
それを横にかわして突っ込む。
ようは槍とおんなじだと思えばいいんだよ。どんなに速くてもタネが分かれば――
ゾワッ
背筋というか神経というか、身体のどの辺かは知らないが不意に逆立つような感覚がした。
生物が本能的に察知する警戒信号だ。なんで?
なんでといえば大地の行動もおかしい。ネタが割れてんのにどうして似たような攻撃をする?
薙ぎ払うように切るにしてもこの距離じゃ俺の方が先に届くだろうし、いくら変幻自在っつっても―――変幻自在?
「…俺の言ったことを理解してなかったみたいだな」
その言葉が発せられた直後
「変えられるのは長さだけじゃないんだよ」
13キロや
ブリーチ。市丸さんの台詞。結構有名みたいですね
大地の武器・
・形状を使い手の意思で自由に変えられる。基本の形はフランベルジュ。
・どれくらい複雑に変形させられるかは使い手の想像力しだい。
・形状変化のスピードはけして遅くはない。ナツルの動体視力と反射神経が異常なんです。(あと勘のよさ)