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紅く偉大な私が世界
私の世界は硬く冷たいを視点を変えて書いていこうと思っています。
あ、下の文章はただの文字数稼ぎですので、別に読まなくでも大丈夫です。
紅く偉大な私が世界
ランタンの小さな灯りが静かに机の上を照らす。
決して明るいわけではないが、本を読む程度なら十分だった。
レミリアは机の上に置かれている一冊の日記帳を開く。
その日記帳には特別な点は何もない。
何処にでもある極一般的な羊皮紙の日記帳だった。
「いつから付けているものだったかしら。」
誰に言うでもなくレミリアはぽつりと呟く。
一日あたりの文章量は少ないが、その一日を振り返るには十分な情報量だった。
「ここ数十年、本当に色々あったわね。こんなものなくても思い出せるぐらいに。」
机の上に置いてある万年筆を手に取ると、羊皮紙の上に滑らせる。
ある意味日課のようでもあったが、何もなければ何も書かないのがこの日記だった。
暫く適当に万年筆を動かし、文字を綴る。
そこまで時間も掛からずにレミリアは日記を付け終わった。
「咲夜。」
次の瞬間、レミリアの左後ろに咲夜が現れた。
その手には既にティーセットを持っている。
咲夜は慣れた手つきで机の上に紅茶を置く。
レミリアはティーカップを手に取ると、ゆっくりと一口飲んだ。
「そういえば、最近人里で座敷童が失踪する事件が起きてるみたいね。」
「どうやら外の世界で座敷童がブームのようで。出稼ぎに出ているみたいです。」
「そう、うちにはいないから気が付かなかったわ。」
「でもその代わりに外の世界から屋敷しもべ妖精を輸入したみたいですよ。里の人たちはゴブリンと言っていましたが。」
レミリアはふむと顎に手を当てる。
「まあ妖精って見た目でもないしね。それに、外の世界の住民が座敷童を本当に求めているようには思えないわ。」
そのうち帰ってくるでしょうね、そうレミリアは断言した。
「そうなると、外の世界から輸入した屋敷しもべ妖精はどうなるんでしょうか。」
「帰るんじゃない? 魔法界とかに。なんにしても、あの顔は受けない。特にファンシーなもので溢れている幻想郷ではね。」
レミリアはティーカップをソーサーに被せる。
そして人差し指一本で弾き、表に返した。
「まあ、うちで雇ってもいいんだけど。でもうちには妖精メイドもいるし。咲夜的にはどう思う?」
「そうですね。幻想郷に来てからというもの、紅魔館の内部は広がり続けるばかりですし、人手は欲しいですね。」
「そもそも紅魔館内で弾幕ごっこするのがおかしいのよ。」
外の世界にいた時と比べると、紅魔館の内部の空間はかなり広がっている。
エントランスなど、どこかの教会の大聖堂かと思えるほどだ。
「じゃあまあ、屋敷しもべ妖精が解雇される時はうちで引き取りなさい。」
「かしこまりました。」
咲夜は一礼するとティーセットを片付けて部屋から消えた。