でも忙しいことには変わりないので、更新は安定しないかと。
そして作品を投稿して1か月、いやぁ、来月には終わらせたいですね。
誤字脱字等ありましたらご報告して頂けると助かります。
10月のホグズミード行き。
私は朝食を食べ終わると一足先にホッグズ・ヘッドへと向かった。
店主にはもう話をつけてあるのだが、今日この店で小さな集まりがあるのだ。
「じゃあ、遠慮なく店の2階を借りるわね。大丈夫、中で騒ごうってわけじゃないから」
「当たり前だ。騒いだら追い出すぞ」
店主は虫でも払うかのように私を2階へと追いやった。
私は肩を竦めて階段を上っていく。
そしてその先にある小さな部屋のドアを開けた。
「これは……想定以上に小さいわね」
部屋の端から端まで5メートルもないだろう。
ハーマイオニーがどれほどの人を連れてくるか分からないが、少々手狭だ。
私は懐中時計を握りしめ、意識を集中させる。
そして一気に部屋の大きさを広げた。
部屋は一気に拡張され、グリフィンドールの談話室ほどの大きさとなる。
これだけ大きければ問題ないだろう。
私は部屋の中に椅子を30ほど弧を描くように数列並べ、その前に演台を置く。
これで取り敢えず話をする空間は出来上がった。
私は部屋から出て階段を下り、カウンターに腰かける。
「店主さん、いつもの」
「なんだ……用事があったから上を借りたんだろう?」
「そうよ。だからここにいるの」
マスターはカウンターの上に私がボトルキープしているブランデーを置く。
私は自分でグラスへと注ぎ、少しずつ飲み始めた。
10分もすると戸口に子供が話し合うような声が聞こえてくる。
私が視線を向けるとハリーたちが店の前で立ち往生していた。
「そんなところに立ってたら邪魔でしょう。さっさと入りなさいよ」
私は手早くグラスとボトルをカウンターの向こうに押しのけ、3人を店の中に呼んだ。
「咲夜……ここで、あっているのよね?」
ハーマイオニーは店の中を見回した。
ハリーとロンも同じことを考えているらしく、しきりに周囲を気にしている。
「ええ、だから私はここにいるのよ。……上よ。許可は取ってあるわ」
私は指を立てて階段を指さした。
ハーマイオニーは私の指さした方向を確認すると、静かに頷く。
「わかった、ありがとう」
ハリーも頷き、3人は店の2階へと上がっていった。
私はその後、会合に来た生徒たちを次々に2階へと案内する。
新しく人が2階に上がっていくたびに、店主の表情が険しくなっていった。
「おい、うちの店を潰す気か? 物理的に」
「んなわけないでしょう? 大丈夫よ……多分」
正直、私が考えていたよりも人の入りがいい。
ハーマイオニーはここまで多くの人に声を掛けていたのか。
ネビル、トーマス、ジニー、ラベンダー、パチルの双子、チャンとその連れ1人、ディゴリー、ルーナ、ベル、スピネット、ジョンソン、クリービー兄弟、マクミラン、フレッチリー、アボット、その他たくさん。
そして最後にフレッド、ジョージの双子とジョーダンがゾンコで買ったものが入っているであろう紙袋を抱えて2階へ上がっていった。
「ひい、ふう、みい……そうね。バタービール30本ってところかしら」
「そんなにねえよ」
「あら、いいの? 折角お金を落としていってあげると言っているのに」
店主は何かを考えるように固まるとカウンターの下から埃の積もったバタービールの箱を取り出す。
私は埃が舞わないように慎重に蓋を開けた。
「なんだ。あるんじゃない」
私は中に並んでいる綺麗な状態のバタービールの瓶の数を数える。
ちょうど30本ぐらいあるだろう。
「持ってくんだったら全部買ってけ。新しく開けると少しだけ余っていつも捨てることになる」
瓶入りの飲み物にその理屈はおかしいが、まあいいだろう。
私は1箱分のガリオン金貨を支払うとその箱を抱えて2階へと上がった。
「ああ、咲夜。待ってたよ。……その箱は何だい?」
ハリーがひょこっと部屋から顔を出す。
「ん? 差し入れってところかしら。持ってくださる?」
私はバタービールの箱をハリーに押し付けると部屋の中に入った。
私が並べた椅子には既に多くの生徒が座り、ハーマイオニーが簡単に何をする集まりかということを説明している。
簡単に話を聞いた限りでは、闇の魔術に対する防衛術の技能を自習する集まりを作るという話らしかった。
なんだ、軍隊を作るわけではないのか。
「私たちは自分たちで技術を磨くべきであり、共に助け合い、教え合い。知識だけの防衛術ではない、本物を勉強するべきなのです」
「そうだそうだ!」
「去年までのクールな闇の魔術に対する防衛術の授業を取り戻そうぜ」
ハーマイオニーの言葉に参列者は賛同している。
まあ賛同しなければここに来ることもないのだから当たり前ではあるが。
「それで先生は誰なの? マッドアイとか?」
チョウ・チャンが少し期待を込めたような顔で言った。
「いや? ハリーじゃないか?」
「うちのディゴリーを推薦するわ」
「悪戯の腕なら双子に勝るやつらはいないぜ?」
皆が口々に意見を言い合う。
「ェヘン、ェヘン!」
ハーマイオニーがわざとらしくアンブリッジ先生のモノマネをして注意を引いた。
「ちゃんと考えてあります。まず、リーダーは例のあの人と真っ向から対峙して、何度も無事に生還しているハリーです」
その言葉に皆が一斉にハリーの方を向いた。
ハリーは少し恥ずかしそうにしながらロンと手分けしてバタービールを配っていく。
「そして、防衛術自体は、上級生の呪文が上手い人、例えばセドリックとか、この場合はハリーとかもかしら。防衛術を既に使える人が使えない生徒に教えていく形を取ろうと思っています」
「じゃあ、既に防衛術を知っている人は、新しく学ぶことはないじゃないか。僕は専門家に教えてもらえるのかと思ったんだけど……」
ハーマイオニーの言葉に間髪入れずにハッフルパフのザカリアス・スミスが言った。
どうやらその制度に不満を持っているようだ。
「勿論、先生はいます。あくまでどのような形で進めていくかを説明しただけであって……。お願い」
ハーマイオニーはこちらを見て声を掛けると、一歩後ろに下がった。
私に演説をしろということだろうか。
私は部屋の隅から演台の方へと歩いていく。
そして静かに皆の前に立った。
「私が教師の、十六夜咲夜よ。もっともここにいる人の中で私の事を知らないという生徒はいないと思うけど」
全員が私の顔を見ている。
まさかここで出てくるとはと言ったような表情だ。
「文句のある人は申し出なさい。聞いてあげるわ。……貴方さっき何か言いたそうな顔をしていたわね? 話を聞くわよ?」
私はザカリアス・スミスに声を掛けるが、スミスは凄い勢いで首を横に振った。
「これ以上の適任はいないだろう!? すっげえや!」
ジョーダンが我慢できないとばかりに笑いながら拍手する。
やがて大きな拍手が巻き起こった。
私は右手を軽く上げる。
途端に拍手は止み、また部屋の中は静かになった。
「防衛というのはさまざまよ。簡単な呪いから難しいものまで。はたまた魔法ではないものもあるわ。それらをどのように扱うかという問題も出てくる。いい?」
私は杖を振るう。
すると空中に大きな黒板が出現した。
その黒板は自動的に文字を浮かび上がらせる。
『まず逃げろ。それが無理なら。殺される前に殺せ』
その文字を読んで、何人かの生徒は小さく息を飲んだ。
「闇の魔法使いに学生が勝てるわけないわ。まず戦うことを放棄して全力で逃げる方法を教える。そしてどうしても戦わざるを得ないとき、大切なのはこれ。『殺られる前に殺れ』 手加減して勝てる相手ではないわ。そして、なにより安易に呪文を使わないこと。『Take my tip—don't shoot it at people, unless you get to be a better shot. Remember? 』使えないのと使わないのは違うし、使えるのと扱えるのは違うのよ」
私は全員の瞳を順番に覗き込む。
……少々怖気づいている生徒もいるが、まあこんなものだろう。
私はまた壁際に移動し、ハーマイオニーに演台を譲った。
その後はハーマイオニーの司会のもとに練習する日の間隔や、どのようにその日を決めるかということを決めていった。
「さて、どこに集まるかだけど。いい場所を知っているわよ」
ハーマイオニーが話し出す前に私は話を切り出す。
「何かあてがあるの?」
「ええ、いい場所があるわ。必要の部屋よ」
私の言った場所に心当たりがないのか、全員が等しく首を傾げた。
「まあ言ってしまえば、都合のいい部屋ってところね。8階にあるからあとで場所を教えるわ」
この会合を開くにはぴったりの部屋だと思う。
防衛術を学習するなら、色々と教材などが必要になってくるだろう。
紅魔館を細部まで再現したあの部屋なら、それぐらいのものを用意すること自体は簡単なはずだ。
「わかった、後で場所を確認しに行くわ。最初の集まりの日時と場所が決まったら、みんなに伝言を回すことにします」
ハーマイオニーはそう言って話を締めくくる。
その後に何かを躊躇うようにして羊皮紙とペンを取り出した。
「私……、考えたんだけど、ここに全員名前を書いてほしいの。誰がきたか分かるように。それと、私たちのしていることをアンブリッジにも誰にも知らせないと約束して欲しいの」
私はその羊皮紙と羽ペンを見て、口を開きかける。
だが、考え直しもう一度口を閉じ直した。
あれには強力な呪いが掛かっている。
私がアンブリッジ先生に掛けたものと比べても、遜色ない代物である。
私が羊皮紙に視線を戻したときには、既に何人かの名前が書かれた後だった。
何人かは名前を書くことを躊躇ったが、結局ハーマイオニーの迫力に負けて羊皮紙に名前を書く。
ハーマイオニーは全員の名前が書かれた羊皮紙をスミスから受け取ると、最後に私に回してきた。
「さて、あとは咲夜だけよ」
私は羊皮紙の上で羽ペンを滑らせる動きをする。
もっとも、まだ文字は書いていない。
そして書き終わったように見せると時間を止め自分のペンで羊皮紙に名前を書いた。
その呪いには羊皮紙と羽ペンがセットになっていないといけない筈だ。
このようにしてペンを換え名前を書けば呪いの効果を受けることはない。
私は時間停止を解除し羊皮紙をハーマイオニーに返す。
それをもって会合は解散となった。
もっとも、会合中も10分に一度は時間を止め、アンブリッジを蹴飛ばしに行っていたが。
私は生徒が帰っていったのを見てハリーたち3人と共に部屋を片付ける。
そして部屋がすっかり元通りになったところで私は部屋を元の大きさに戻した。
「うゎーお」
ロンが感嘆の声を上げる。
それ以上にハーマイオニーが唖然とした顔をしていた。
「……そこまで驚くことじゃないでしょう? ただの空間を広げる魔法よ」
「……そうよね。ええ、そうだわ」
ハーマイオニーは何か自分を納得させるように言い聞かせ、ハリーたちと共に店を出ていく。
私も店主に一言お礼を言い、ホッグズ・ヘッドを後にした。
すでに毎日のように来ているアンブリッジ先生の自室に、私は時間を止めずに座っていた。
目の前ではアンブリッジがいそいそと紅茶の準備をしている。
なぜこのようなことになっているのか。
話を今日の朝食の時間まで戻そう。
ホッグズ・ヘッドで会合があった次の日、私は朝食を食べるために大広間へと来ていた。
昨日が土曜日なので今日は日曜日、授業はない。
1年生などはやることがないのかのほほんと朝食を取っている。
だが5年生ともなればそうとはいかないらしい。
ふくろう試験の年なので、先生方も山のように宿題を出すのだ。
皆さっさと朝食を腹の中に入れ、図書館や談話室へと散っていく。
ハリーとロンも昨日のことで少し浮ついてはいたが、ハーマイオニーに何処かへと引きずられていった。
では私はどうなのかと聞かれたら、時間による拘束などあるはずもなく、下級生に交じってのほほんと朝食を取っている。
下級生からしたら、どうも私は憧れの存在というやつらしい。
2年生から上は去年、大会に出場していた私を知っているし、1年生は上級生から耳にタコができるほど私の話を聞いていることだろう。
何年か前にお嬢様は私に目立てといったが、これでいいのだろうか。
まあなんにしても、休日にゆっくりできるというのはいいことだ。
週に一度は何もしない日を設けろと神も言っている。
……まあ紅魔館ではその教えは実行されていないが。
なんにしてもこのクロワッサンの焼き加減ときたら、うん、いい。
紅茶に合うように私が徐々に徐々に厨房の料理のレシピに手を加えているのだが、その成果が出てきているようである。
そしてこのベーコンの焼き具合など……あ、これは少しよくない。
この感じはウィンキーだろうか。
最近はクラウチショックからも立ち直って真面目に仕事をしていると思っていたが、まだ少し酒癖が治っていないようである。
多分二日酔いでこのベーコンを焼いたのだろう。
「少々いいかしら?」
私が朝食を食べていると後ろから声を掛けられる。
もっとも何者かに接近されたことは分かっていた。
だが、急に振り向くと逃げて行ってしまいそうな雰囲気だったのだ。
私はゆっくりと振り向いて、その人物を見た。
そこにはカエルが後ろ足で立っていた。
……違う違う。
アンブリッジ先生が後ろ足で立ってこちらを見ていた。
「どうしましたか? アンブリッジ先生」
私は表情を作りアンブリッジ先生に微笑みかける。
アンブリッジ先生はいつもの態度とは180度違うような、おどおどとした態度で言葉を続けた。
「今日の午後、空いているかしら。少しお茶をしたいと思ってね。いい茶葉が入ったの。あぁ、勿論用事があるなら無理にとは言わないわ」
ついに来たか。
私は内心ほくそ笑むとにこやかに笑って返事をした。
「そうなのですか!? 私、紅茶好きなんです。是非よろしくお願いします。今日の3時でいいのかしら」
「ええ、じゃあ3時に。私の部屋で待っているわ。……今も私の近くに悪霊はいるのかしら」
アンブリッジ先生は少し表情を暗くして呟いた。
勿論そんなものはいるはずがない。
「……そうですね、横に2体、後ろに3体と言ったところでしょうか。追い払っておきましょうか?」
「お願いするわ」
私は虚空へ向かって霊弾を撃つ。
アンブリッジ先生の表情が少し明るくなった。
私はテーブルを立つとアンブリッジ先生に体を向ける。
「では、今日の3時に。楽しみにしていますね」
そしてぺこりと頭を下げ、大広間を後にしたのだ。
で、今に至る。
「ロンドンにいる友人が送ってきてくれたものなのよ」
アンブリッジ先生は紅茶の入ったティーカップを私の前に置いた。
私は時間を止めアンブリッジ先生の出した紅茶のサンプルを取ると、紅茶を消失させる。
そして自分で入れた紅茶をティーカップに注ぎ直した。
「いい香りですね。……これはダージリンでしょうか」
私は紅茶を一口飲み、アンブリッジ先生にそう言った。
もっとも、私はアンブリッジ先生が淹れた紅茶を飲んでいない。
だが紅茶の銘柄ぐらいなら匂いを嗅ぐだけで判断できる。
「夏摘みですね。そして等級は……」
「TGFOPよ。本当に詳しいのね。去年の記事で読んだけど、確か貴方はメイドさんだったのでしたっけ?」
少し頭にくるが、ここは抑える。
何故過去形なのだろうか。
勘違いにしても、酷い。
「今もメイドですよ」
「でも貴方は学校に通っているでしょう? 仕事の方はどうしているの?」
「そうですね……休暇中は仕事をしていますし、ホグワーツにいる間は修行という意味合いも強いでしょうか。去年あの対抗試合に若輩ながら参加したのは、そういう意味合いもあるのです」
勿論嘘だ。
私はただお嬢様の命令を遂行しただけである。
「そうなの……ずば抜けた才能を持っていると他の先生方も自分のことのように自慢してましたわ」
「そんなことないです。まだまだ至らないことが多く苦労しています」
アンブリッジ先生はそわそわと周囲を見回している。
どうやら悪霊に襲われないかと気にしているようだった。
先生、悪霊は目の前にいますよ?
「いえ、貴方は素晴らしい力を持っているわ! ……その、ね。貴方ならわかるでしょう? 私についている悪霊が。見えるのでしょう?」
アンブリッジ先生は周囲を鋭く見た。
だが、その方向には悪霊はいない。
「……先生には見えないのですか? それは確かに怖いですね」
私は紅茶を一口飲む。
うん、自分で淹れた紅茶なので美味しい。
「貴方は悪霊については詳しいの? ゴーストとはどう違うの?」
アンブリッジ先生は藁にも縋るような顔でこちらを見た。
あの目は本気だ。
どうやら私の仕掛けている嫌がらせに相当参っているらしい。
もっとも、私としてもかなり手間が掛かっているので、それなりに参って貰わないと困るが。
「先生、悪霊というのは元々東洋の国の概念です。私の名前からも分かるように私は東洋から来た人間なのですが、そう言った悪霊を退治する『陰陽道』の家系に生まれた子供なのです」
勿論嘘だ。
私は生まれも育ちもイギリスである。
「そこでは扱う力の概念も、宗教観も違います。そして魔力ではなく違う力を使うのです。それは杖無しで扱うことのできる不思議な力で、私がいつも手から出しているこれですね」
私はアンブリッジ先生の前に手の平を出し、その上に小さな霊力のボールを作る。
アンブリッジ先生はその光の玉を愛おしそうに見つめた。
「これを使えば悪霊を退治することができる。そういうことね」
「はい。もっとも、悪霊の力が強いと追い払うことぐらいしかできませんが。悪霊の強さはその霊が持っている恨みの強さによって決まります。……先生、何か恨まれるようなことでもしたのですか?」
その言葉にアンブリッジ先生は大きく体を震わせた。
多分思い当たる節が多すぎたのだろう。
「ど、どうすればいいの? 私最近貴方がいない時間は常に何かに殴られているような痛みを受けて……。私にもその力が使えないかしら」
「遺伝的なものなので、多分無理かと……」
これも嘘だ。
パチュリー様曰く練習したら誰でも霊弾ぐらいなら出すことが出来るという。
もっとも、私のように時間が止められるかと聞かれれば、そうではないが。
「私が一緒にいる間は何とでもできますが、離れているとなってはどうにも……その様子ですと悪霊たちはすぐに戻ってきてしまっているようですし」
私は残念そうに首を振った。
アンブリッジ先生は私を見て少し絶望的な表情をする。
「では、私はこの辺で失礼しようかと思います。紅茶、ご馳走様でした」
私はぺこりと頭を下げて部屋から出ようとした。
「あぁああ待って待って!? もう一杯いかが? クッキーもあるの!」
「私、魔法薬学の宿題が……明日提出なんです」
「それは私の権限で免除するわ! だから私を独りにしないで!!」
アンブリッジ先生は私の腕に縋りついて懇願した。
私は心の中で大きくガッツポーズを取る。
調教完了。
あとは麻薬に溺れさせるようにじわじわと。
「……そうですね。では夕食までここでお茶にしましょう。悪霊に関して、私の知っている限りを話しますわ」
私は静かに椅子に座り直す。
その瞬間アンブリッジ先生の顔は安堵の色に染まった。
「え、えぇ。よろしくお願いいたしますね。はい、紅茶のおかわりです。ちょっと待っててね。今クッキーを持ってくるわ」
アンブリッジ先生はそう言って近くの棚を漁り出す。
私は出された紅茶を自分が淹れたものに入れ替え、先生がクッキーを持ってくるのを待った。
次の日の朝、私は日課であるアンブリッジエクササイズをしに時間を止めアンブリッジ先生の部屋に行こうと談話室を通った。
その時に談話室の掲示板に大きな告示が貼られているのが目に留まる。
「ホグワーツ高等尋問官令?」
そこにはホグワーツにある学生による組織は一度全て解散となるとの告示が書かれていた。
そして再編成したい場合は高等尋問官、つまりはアンブリッジ先生に願い出ればいいらしい。
登録なしに活動した場合、退学になるとのことだ。
「へえ、慎重にことを運んだつもりだったけど、噂程度は流れたということかしら。すぐに行動に移すなんて、アンブリッジ先生も意外と優秀ね。変な方向に」
つまりハリーたちが計画している防衛術の会合は、完全に校則違反ということだ。
逆に言えば、申請さえ通してしまえば、こっちのものである。
「さて、どのように偽造しましょうか」
私は取り敢えず姿現しでアンブリッジの部屋に行って目覚めの一発をお見舞いする。
そしてまた姿現しで談話室へと戻り、時間停止を解除した。
私はしばらく掲示板の前のソファーへと腰かけハリーたちが下りてくるのを待つ。
しばらくするとハリーが眠そうな目を擦りながら男子寮から下りてきた。
「おはよう、咲夜。君はいつも早起きだ。そして全然眠そうじゃないのはなんでなんだろうね」
ハリーが欠伸をしながら言う。
「さあ? でも、貴方もスグにぱっちり目が覚めるわ。これ読んでみなさい」
「「ん?」」
ハリーとロンはしょぼしょぼした目で掲示板の告示に目を通す。
そして意識を覚醒させた。
「な、え?」
ハリーが驚いたような声を出す。
ロンも目を大きく見開いて告示を何度も読み返していた。
「誰かが垂れ込んだってことか? 土曜日の会合のことを」
ロンが結論づけるようにそう言った。
「取り敢えずハーマイオニーに知らせに行こう」
言うが早いかハリーとロンは女子寮の階段に向けて走り出す。
「ああ、やめといたほうが——」
私が止める前にロンが談話室の方へと転がり落ちてきた。
女子寮の階段は男子が歩くと摩擦係数の低い滑り台へと変化するのだ。
「あー、僕たちは女子寮に入っちゃいけないみたいだね」
ハリーが笑いを堪えながらロンを引き起こす。
ロンも体についた埃を叩き落としながら苦笑を浮かべた。
「女子は男子寮に入れるのに、その逆は無理だなんて不公平だ。マーリンの髭!」
ロンはよくわからない怒り方をしているが、まああまり本気で怒っているわけじゃないんだろう。
そんな騒ぎを聞きつけたのか、ハーマイオニーが女子寮から顔を出した。
「誰か女子寮に入ろうとしたの? ……その様子を見ると貴方みたいね、ロン。ホグワーツの歴史に創始者は男の方が女よりも信用できないと考えたって書いてあるわ。……なんで女子寮に入ろうとしたの?」
ハーマイオニーの言葉にハリーとロンは無言で掲示板を指さした。
ハーマイオニーは掲示板へと寄っていき、告示に目を通す。
そして表情を硬くした。
「誰かがあのカエルに喋ったに違いない!」
「それはあり得ないわ」
ロンの言葉をハーマイオニーは即座に否定する。
そして羊皮紙に掛けた呪いのことを2人へと話した。
「ハーマイオニー、少しいいかしら。その呪い、細部を変更してもいい?」
私は説明を終えたハーマイオニーに声を掛ける。
ハーマイオニーは不思議そうな顔をしてこちらを向いた。
「細部を変更するって、どんな風に?」
「防衛術の会合を正式なものにしちゃおうと思ってね。アンブリッジ先生に申請を出すのよ」
「「「あの女が許可するはずないわ!(ないよ!)」」」
私の提案に3人が同時に声を上げた。
まあ、3人からしたら私のいったことは無謀そのものだろう。
「でも、デメリットは実はないのよ。防衛術の会合ということを隠して、違う組織として登録しちゃえばいいわ。必要の部屋を使えば中で何が起こっているのかなんて分からないわけだし」
「多分僕の名前が入っているだけで、あいつは申請を通さない。これは確実だ」
ハリーが首を振る。
ロンもそれに同意しているようだった。
「今のアンブリッジ先生なら、私の名前が入っているだけで申請を通すわ」
私は自信満々に言い切った。
その言葉に3人は目を丸くする。
私は小声で言った。
「不死鳥の騎士団の任務でアンブリッジ先生にかなり近づいているのよ。今のあいつは私を誰よりも頼りにしているし、機嫌を損ねないように必死になってる」
「一体なにをしたらそんな関係になるんだ?」
ハリーが驚いたような声を上げた。
「そうね。マッチポンプと飴と鞭?」
私は適当にはぐらかす。
「なんにしても、申請を通させることは出来る。もっとも、リーダーはハリー、貴方なのだからもし駄目だと思うのなら駄目だと言ってもいいわ」
ハリーは私の提案に乗るべきかどうかをじっくりと考え込む。
そしてハーマイオニーの方をチラリと見た。
「ハーマイオニー、君はどう思う?」
「……そうね。もし本当に申請を通すことができるのなら、これ以上にないほどこちらが有利になるわ。会合の告知も堂々とできるし、仲間も募りやすくなる。そしてなにより1回アンブリッジがそれを許可したという事実は、こちらにだいぶ有利よ。でも、申請が通らなかった場合や、違うことをしているとバレた場合などは、少し拙いことになるかもね。それは申請をしなくても同じだけど」
そう、申請を出すこと自体にはそこまでのデメリットはないのだ。
何かやっていることを感づかれてこのような令が出されたのである。
バレているなら、それでいいじゃないかと。
「……分かった。それで行こう。でも、申請が通らなくとも活動は続ける。それは譲れないよ」
ハリーは私を見て、はっきりと言った。
ハーマイオニーはその言葉に鞄から皆の名前が書かれた羊皮紙を取り出す。
そして杖で羊皮紙を叩き、呪いの条件を多少変更させた。
「会合の本当の目的をアンブリッジにバラしたら呪いが掛かるように設定し直したわ。これで、申請を通しても顔中が酷いことにならずに済むと思う」
私は手帳を取り出すと羊皮紙に書かれた名前を書き写していく。
「申請は私が出しておくわ。……組織の名前や目的はこっちで適当に決めておくわよ? どうせ偽装用の物なんだし」
「ああ、そうしてくれ」
私たちはそのまま談話室から出て大広間へと向かう。
どうやら掲示は全部の寮の掲示板に貼られていたらしく、大広間はいつも以上にざわついていた。
グリフィンドールのテーブルに着くや否や会合に出席したグリフィンドール生がハリーを取り囲んだ。
どうやら今後どうするかの指示をリーダーに仰いでいるらしい。
ハリーは先ほど談話室内で決まったことを小さな声で伝えている。
私はそんな様子を尻目にトーストにかじりついた。
その日の魔法薬学の時間、私はいつものようにドラコの横へと座った。
ドラコは今日もご機嫌そうだ。
どうやら朝一番に出しに行ったクィディッチチームの再編成が、その場で許可が下りたらしいのだ。
「先生は父上のことを良く知っている。父上は魔法省に出入り自由なんだ」
ドラコは得意げにそう言った。
やはりアンブリッジ先生は気に入った生徒にはとことん甘い性格らしかった。
これなら会合の申請もすんなりと通るだろう。
「そう、貴方のお父様って凄いのね」
私は感心したような声を出す。
私の言葉にドラコは更に鼻を高く上げた。
「そうだとも、僕の父上は凄いんだ」
……なんというか、ドラコって成長しないな。
これが甘やかされて育った子供の末路ということなのだろうか。
なんにしても、見ている分には面白いし、扱いやすい。
しばらく経つと教室にアンブリッジ先生とスネイプ先生が入ってくる。
私はそれを見て羊皮紙と万年筆、そして教科書を取り出した。
「気づいていることだろうが、今日は客人が見えている」
スネイプ先生は軽くアンブリッジ先生を紹介し、授業へと入った。
「今日は前回作った強化薬を仕上げる。前の時間に作った混合液が正しく調合されていれば、既に熟成は済んでいるだろう」
先生は杖を黒板へと向け、調合法を記した。
「説明は全て黒板にある。取り掛かれ」
私はいつものようにドラコと共に魔法薬を作っていく。
毎回私が手伝っていることを抜きにしても、ドラコは魔法薬学がかなり得意だ。
1人で調合しなくてはいけない試験の時にも、そこそこの成績を叩きだしていた。
私は開始10分で強化薬を完成させるとドラコの手伝いに掛かる。
そして手伝いつつもアンブリッジ先生とスネイプ先生の会話に耳を傾けた。
「このクラスはこの学年にしてはかなり進んでいますね。でも強化薬のような薬をこの子たちに教えるのはいかがなものかしら。魔法省はこの薬を教材から外すべきだと考えています」
スネイプ先生はアンブリッジ先生の方へと向き直る。
アンブリッジ先生は言葉を続けた。
「さてと……貴方はホグワーツでどのぐらいの年数教師をしていますか?」
「14年」
「最初は闇の魔術に対する防衛術の職に応募したのでしたわね?」
「左様」
「ドラコ、次はサラマンダーの血液よ」
私はドラコに指示を出しながら静かに会話を聞いた。
「でも、上手くいかなかったのよね」
アンブリッジ先生がスネイプ先生に問うと、スネイプ先生は少し自虐的な笑みを浮かべた。
「ご覧の通り」
アンブリッジ先生はクリップボードにその情報を書き記していく。
「赴任以来毎年応募し直しているみたいね?」
「左様」
「ダンブルドアが貴方の任命を拒否してきたのは何故なのか、おわかり?」
「本人に聞きたまえ」
先生は冷ややかに言った。
こっちが知りたいと言わんばかりだ。
その後もスネイプ先生とアンブリッジ先生は簡単な質疑を繰り返していく。
やがて聞きたいことは全て聞き終えたのか、アンブリッジ先生はパーキンソンに近づき授業についての質問をしはじめた。
私はドラコの強化薬が無事完成したことを見届けるとアンブリッジ先生に視線を送る。
するとアンブリッジ先生はこちらへと歩いてきた。
「貴方たちはどうかしら。この授業のことどう思う?」
先生は私とドラコに対して質問する。
「凄く良い授業だと思います。先生も素晴らしいです」
ドラコは笑顔でそう言った。
「ドラコの言う通りだわ。優秀な生徒には手助けを、出来そこないにはギロチンを」
その言葉にドラコはハリーをチラリと見て、噴き出した。
丁度今ハリーは魔法薬の入った大鍋を綺麗にされたところだ。
今日も0点だろう。
「そう。ああ、そうだ。今日の昼食を一緒にとれないかしら?」
アンブリッジ先生は私に対して言った。
やはり来たか。
「勿論です。食事に誘って頂けるなんて光栄ですわ」
私は作り笑いを浮かべて先生に微笑んだ。
先生はほっと息をつくと違う生徒に質問に行く。
「アンブリッジ先生と仲が良いんだね。少し意外だ」
ドラコは出来上がった魔法薬を小瓶に詰めながらぽつりと呟く。
「あら、そうかしら。ドラコもあの先生とは仲が良いんでしょう?」
「勿論。いい先生だよ、あれは。いろんな意味でね」
ドラコはニヤリと笑い、強化薬を教壇へと提出する。
そして私に手を振ってスリザリン生と共に教室を出て行った。
「さあ、では行きましょう?」
アンブリッジ先生がクリップボードを手に私に声を掛ける。
私はハリーたちに視線で先に行ってくれと伝えるとアンブリッジ先生と共に先生の自室へと向かった。
「さあさあ、お掛けになって。料理はいつものように机の上に現れるようになっているわ」
先生の言葉どおり、先生の自室のテーブルの上にいつものような料理が現れる。
私と先生はそれに少しずつ手を付けた。
「そう言えば、先生。少し見てもらいたいものがあるのですが……」
私は鞄から1枚の羊皮紙を取り出す。
ハリーたちの会合の申請書だ。
先生は私の出した羊皮紙に目を通すと質問を飛ばしてくる。
「ふくろう同好会? えっと活動目的は……伝書ふくろうの飼育と研究。これは昔からあるものなの?」
「いえ、元々ふくろう小屋でたまに集まる程度でしたが、今朝の告示を機に、正式なものにしようかと思いまして」
アンブリッジ先生は穴が開くほど羊皮紙を見ている。
多分参加者のところにあるハリーたちの名前が目にとまったのだろう。
「ハリーは優秀なふくろうを飼っているんです。ヘドウィグっていうんですけど、白くて可愛らしんですよ? それに、ロンも豆ふくろうを飼っています」
先生は何かを考えるように羊皮紙をよく読む。
そして私の顔色を窺い言った。
「貴方が責任をもって管理するというなら、許可を出しましょう。その代わり、危ない魔法や呪文を使っては駄目よ」
「勿論です。危ないのはフクロウの爪の手入れに使う鋏ぐらいですよ」
私はその後も学校にいるふくろうで可愛い子や、ホグズミードにいる豆ふくろうなどの話をしていく。
アンブリッジ先生は取り敢えず納得したように相槌を打っていた。
私は占い学、闇の魔術に対する防衛術と午後の授業を終わらせ、夕食の席で昼の事について詳しくハリーたちに聞かせていた。
許可が取れたという話だ。
「驚き桃の木。マジかよ咲夜」
ロンが良く分からない驚き方をする。
だがハリーもそれに同意しているようだった。
「ふくろう同好会とは……考えたね。これなら危険になる要素がない。アンブリッジも指を齧られる危険性があるとか言って禁止するぐらいしかできないだろう」
「これで申請は通ったわけだし。ハーマイオニー、告知をお願いね」
私は教員用テーブルで夕食を取っているアンブリッジ先生を見る。
あとはバレないように活動をするだけだ。
その日の夜、私は暖炉の前のソファーを陣取り本を読んでいた。
ハリーは魔法薬のレポートに取り掛かり、ロンとハーマイオニーはフレッド、ジョージの方を見ている。
フレッド、ジョージの2人はずる休みスナックボックスの1つを実演している。
歓迎会の時にアンブリッジに食べさせた、あのゲーゲートローチだ。
フレッドはトローチのオレンジ色の端を噛み、前に置いたバケツに派手に嘔吐する。
それから反対側の紫色の端を無理やり飲み込むと、たちまち嘔吐は止まった。
なんというか、私がお嬢様の命令で与えた賞金は、有効活用されているようである。
ハリーたちはその後も談話室に人がいなくなるまで静かに待っている。
どうやら、また暖炉でブラックと会話をするらしい。
私は暖炉の前を開けると少し離れた位置にあるソファーへと座り直した。
次の瞬間、暖炉の中にブラックの顔がぽっと現れる。
「シリウス!」
最初に気がついたロンが声を上げた。
その後ハリーたちは防衛術の会合のことをブラックに伝え、何かアドバイスはないかと聞いていた。
「なら話は簡単だ。咲夜に頼れ。一番頼りになるだろう」
「それはもうしているわ」
私はブラックの提案を素っ気なく流す。
なら何も言うことはないとブラックは満足そうに頷いた。
「そっちの様子はどう?」
ハリーが聞くとブラックは苦笑を浮かべる。
「母親と仲良くやってるさ。クリーチャーも一緒だったか」
その言葉にハリーも苦笑いを浮かべた。
「なんにしても、騎士団の動きが活発になってきている。君たちも十分に気を付けるんだ」
ブラックは念を押すようにそう言った。
ハリーはその言葉にしきりに頷いている。
ハリーにとってブラックは頼れる友であり、親であり、教師なのだろう。
「おっと拙い」
ブラックは少し横を見るとすぐさま暖炉からいなくなる。
次の瞬間アンブリッジ先生の手が暖炉から出てきて炎の中をまさぐるように動いていた。
ハリーたちは一目散に男子寮、女子寮へと別れて逃げていく。
私は少し離れて静かにアンブリッジ先生の手首を観察した。
本当に、有能なのか無能なのかよくわからない先生だ。
私は先生の手が消えたことを確認すると、女子寮の方へと上がっていく。
そして既にベッドに入っているハーマイオニーを確認すると、自分のベッドに入って眠った。
申請から数日が経ち、ようやく今夜8時に初会合が行われることになった。
私たちは羊皮紙に名前を書き込んだ生徒全員にその話を伝えていく。
会合の場所は8階の『バカのバーナバス』がトロールに棍棒で打たれている壁掛けの向かい側だ。
ようは必要の部屋の場所だった。
私は一足先に必要の部屋に向かい部屋を出現させに掛かる。
防衛術が練習できる、広く道具の揃った部屋。
私は石壁の前を何度か往復し、部屋を出現させた。
私は部屋に入り中を見回す。
壁には本棚が並び、椅子の代わりにクッションが並べられている。
奥の棚には様々なものが収められていた。
「まあ、及第点ね。防衛術を学ぶ程度なら十分だわ」
私がしばらく部屋で待っていると、ハリーたちが参加者を連れて部屋へと入ってくる。
そして8時には全員が集まった。
私は必要の部屋のドアにカギを掛け、これ以上外から入ってこれないようにする。
全員がクッションに座ったのを確認すると、ハーマイオニーが前に立った。
「リーダーはこの前ハリーに決めたから……名前を決めるべきね。っと、その前に咲夜から報告があるわ」
ハーマイオニーは私に目配せをする。
どうやら偽装の事を説明して欲しいということらしい。
私は必要の部屋に黒板を出現させると、『ふくろう同好会』と大きく書き記した。
「ふくろう同好会。これは私たちの会合の仮の名前よ。私はこの名前でアンブリッジ先生に申請を出し、許可を得たわ。つまり、貴方たちは今ふくろう同好会の集まりでここに集まっていることになっている。本来の目的は別として、表向きはね」
私は黒板を消し去った。
「だから外でこの会合の話をするときはふくろう同好会の名前を使いなさい。真の目的を教師や他の生徒に密告したものは……どうなるか分かっているわね」
その言葉に一部の生徒が冷や汗を流す。
別にナイフをちらつかせているわけではないのだが……。
なんにしても、前座はこんなものでいいだろう。
私は話し終えるとハーマイオニーに場所を譲った。
ハーマイオニーは意見を集め、会合の名前を決める作業に入る。
最終的には防衛協会とダンブルドア・アーミーを掛け合わせたDAという名称に決まった。
用語解説
Take my tip—don't shoot it at people, unless you get to be a better shot. Remember?
フリップ・マーロンの名言。撃っていいのは撃たれる覚悟のあるやつだけだ、という言葉はよく聞きますが、本来の意味はへたくそなうちは人に向けて銃を撃つな的な意味合いみたいですね。
でも私はルルーシュのイメージが強いです。ニッポンポン!
咲夜を引き留めるのに必死なアンブリッジ
咲夜がいなくなった途端に悪霊(笑)から蹴りが飛んできます。
申請
立場を利用してアンブリッジに申請を通す咲夜。アンブリッジとしても唯一自分を救える存在の機嫌を損ねないように必死です。
ふくろう同好会
活動内容は羽と爪の手入れと飛行時における休息の取り方の研究。
DA
ダンブルドア軍団よりダンブルドア軍のほうがすっきりしていると思うの。ダンブルドア軍よりダンブルドア・アーミーのほうがかっこいいと思うの。まあでもこの作中ではDAと表記していこうと思っています。
追記
文章を修正しました。
2018/11/27 加筆修正