奇跡を呼びし艦娘のIS世界における戦い 作:オーダー・カオス
代表決定戦は2、3話後になると思います。
楽しみにしている方々、すいません……
「本当にすみませんでした!!」
私は今にも床に額が着きそうな勢いで土下座した。
「ちょ、雪風さん!?」
そんな私の行動に布仏さんは慌てて止めようとした。
彼女のことだ。他人がこう言った行動を取れば、やめてほしいと思うのは目に見えている。
しかし、私が今日一日でしでかしたことはこれぐらいの謝罪程度では済まされない程のことだ。
私が今いる場所は生徒会室だ。
そして、私がなぜここにいるかと言えば
「へえ~?
初日から演説した挙句、クラス代表を決める戦いにまで立候補するなんて……
大胆ね?」
「うぐっ!?」
私の友人であり護衛任務の依頼主であり私の保護者的立ち位置の更識さんに今日一日の行動と護衛対象についてのことを包み隠さずに報告するためとそれと同時に今日一日における私の
私は更識さんに保護されている身でありながら、あえて火中の栗を拾うようなことをしでかしてしまったのだ。
しかも、一時の怒りに駆られて。
「中々やるわね?」
更識さんは嫌味なのか、皮肉なのか分からないが私の今日一日における行動に対してグサグサと私の胸に刺さるような言葉を笑顔で告げてきた。
そんな更識さんの行動にいたたまれなくなるが、それでも所詮は独り善がりとは思うが私は
「本当にすみませ―――」
再度、謝罪の言葉を口に出そうとしたが
「うん!予想通り、上手くやってくれてよかったわ!」
「―――んでし……え?」
なぜか、更識さんが口に出したのは私の予想していた叱責でも、失望でもなく、罵倒でもなく、恐らく皮肉でもない喜びの言葉だった。
よく見ると、『計画通り』と言う文字が書かれた扇子を彼女は広げていた。
「いや~、ここまで私の「予想」が当たるとは思いもしなかったわ。
雪風ちゃん、今日一日お疲れ」
「……はい?」
更識さんの言っている労いの言葉の意図が解らず私は素っ頓狂な声を出してしまった。
私は布仏さんにその真意を求めようとするが、布仏さんはどこか気まずそうな表情をしていた。
なんとなくだが、布仏さんの表情とこの三週間の経験から
「……まさか、私が目立つようなことをすると……予想していたんですか!?」
私が更識さんに『計画通り』の意味を訊ねると
「うん」
と彼女は即答した。
「え、ええええええええええええええええええええ!!?」
私は思わず叫んでしまった。
なぜならば、全く意味が解らないからだ。
そもそも、織斑さんの弟さんと箒さんの護衛を依頼したのは他の誰でもない目の前の本人である更識さんだ。
なのにその彼女が「目立つ」と言う護衛にとって致命的なことを許容、いや、この場合はあえて後押ししているのだ。
訳が分からない。
「さ、更識さん!?どういう事ですか!?」
更識さんの言動に動揺を隠しきれずに彼女に問い詰めると
「だって、雪風ちゃんのことだから今日みたいなことがあったら腸が煮えくり返っちゃうでしょ?」
「え?そ、それは……まあ、そうですが……」
更識さんは私が見た恐らくだがこの世界の縮図についての感想をズバリと言い当ててきた。
確かに私はあの瞬間を目の辺りして、怒りのままに動いてしまった。
「そんなあなたに我慢しろと言うのは身体に毒じゃないかしら?」
「う……」
彼女の次の一言に対して、返す言葉もなかった。
はっきり言おう。
あんな中で何も言わずに黙っていたら一週間も経たないうちに今回のような失態を犯す自信がある。
『郷に入れば郷に従え』と言う言葉があるが、それ以前に私にも「自己愛」や「自尊心」がある。
それを失った時点で私は私でなくなる気がしてしまう。
「それに……「初霜」のことをいつまでも隠しきれる訳じゃないしね……」
続けて彼女の出した事実に私は押し黙ってしまった。
私の「初霜」はある意味
「初霜」は過去に行ったISコアの量産計画のうち、なんとか量産に成功した
それはつまり、「IS」の量産の鍵と言うことを意味している。
しかし、私が来るまでは起動せず倉庫で埃を被っていたらしく、この装備もいつの間にか用意されていたらしい。
私が言うのもどうかと思うが不思議なものだ。
そんなことから、秘密にしておくべきものではあるが、弾薬やロケット弾、さらには整備にはやはり技術者や研究者などの専門家の存在が必要となる。
私個人としてはとても心苦しいがそのためにわざわざ「偽の予算」まで作ってもらってもいる(ただし、実際には殆どは織斑さんの弟さんの方に回しているが)。
だが、「偽の予算」を使ってもいることからいつかはばれることになるだろう。
そんな時、
「……!?まさか、更識さん……あなたは……!」
彼女がなぜここまで目立つことを許容し、「初霜」の話を振ってきた意図が見えてきた。
「そうよ、今度のクラス代表決定戦は「初霜」と雪風ちゃん自身のお披露目みたいなものよ」
「「………………」」
更識さんの告白に私だけでなく、布仏さんまでも黙ってしまった。
と言うか、訳が分からないのだ。
私と「初霜」が公衆の前に立つ必要性が。
あらあら……まあ、理解されないとは思っていたし仕方ないか……
私の発言に対する二人の反応に私は予想していたこともあって納得した。
「あの……お披露目とは……どういう事なんですか?」
雪風ちゃんは訝しめに訊ねてきた。
この反応は当然だろう。
彼女にとって私の発言は自分自身だけならともかく、「初霜」までもを「見世物」にすると言っているに等しいことだ。
初春型四番艦「初霜」。
あの「大和」と共に水上特攻に参加した駆逐艦の一隻だ。
「初霜」は一部のミリタリーマニアからは『雪風をも凌ぐ幸運艦』とも言われている武勲艦らしい。
それは「初霜」があの「大和」の最後の戦いで「雪風」すらも戦死者を出す中で死者を出さずに帰還したからとも、他の駆逐艦のほとんどが当時最新鋭艦でもあった「雪風」を含む陽炎型三隻、その陽炎型の改良型とも言われる夕雲型一隻、陽炎型の前身とも言われる朝潮型一隻、対空駆逐艦秋月型二隻と言った顔ぶれの中で旧型艦の初春型でありながらも撤退時には旗艦を務めたからとも言われている。
そして、「帝国海軍最後の喪失艦」でもある。
この世界とあちらの世界は違う歴史を辿っているらしい。
しかし、「雪風」の名を持つ艦娘がいるのならば、「初霜」の名を持つ艦娘だっているはずだ。
もしかすると、目の前にいる彼女にとっても戦友なのかもしれない。
そんな大切な意味が込められているかもしれない「初霜」の名を冠する「IS」を見世物にされるのは彼女にとっては堪え難いことだろう。
「さっきも言ったけど、「初霜」をいつまでも隠しきれないのは解っているわよね?」
だが、それでも私は怯まずに説明しようとした。
「初霜」のことを倉持の幹部たちには本当の話を通し、
だったら
「だから、今のうちに「嘘」をある程度
「「………………!」」
「初霜」の性能を限られた中で公表することで「初霜」とその所有者である雪風ちゃんが怪しまれないように先に実績を積ませておく必要がある。
「それに―――」
私には雪風ちゃんの気質や「初霜」の件を除いて、もう一つ彼女には目立って欲しい理由、いや、私の目的があった。
「雪風ちゃんみたいな競争相手がいた方が周りの子たちにはいい刺激になるでしょう?」
今のうちに「IS学園」の生徒全体、特に織斑一夏君には「例の組織」による襲撃に備えて強くなってもらう必要がある。
その為には雪風ちゃんはいい風を運んでくれるだろう。
「
私の一言に雪風ちゃんは不思議そうな顔をしていた。
「そうよ……
一つ訊くけど、今週戦うことになった二人に関して雪風ちゃんはどう思うかしら?」
自分でも容易に想像できるがあえて、雪風ちゃん本人に訊ねると
「オルコットさんに関しては分かりませんが、織斑さんの弟さんに対しては9割以上の確率で勝てますね」
と彼女は辛辣であるが正確に、いや、
本人は自覚していないようだけど学年最強の実力を持っているんだけどね……
恐らくだが、今週末の試合は酷いなんてレベルじゃないワンサイドゲームになるだろう。
そもそも「学園最強」と周囲から持て囃されている私でさえ雪風ちゃんに勝てるのは機体同士の相性が要因だ。
そんな雪風ちゃんに代表候補生なら可能性が一応残っているとは思う。しかし初心者が勝つなどほとんどありえないだろう。
言っておくが、これは「女尊男卑」なんていう風潮から来るものではない。
純然たる予測から来るものだ。
「ま、そうよね……
ただ……あなたにボコボコにされた相手に少しでも根性があったら負けず嫌いの何人かはやる気を出すでしょう?」
私はそう締めくくった。
最近きな臭い「あの組織」が「IS学園」にちょっかいをかけてくる可能性は低くはない。
さすがに更識であっても生徒全員を守り切るのは難しい。
だから、生徒それぞれにも自分を守れるぐらいの力を持って欲しいのだ。
「わかりました……結局の所、全部あなたの思い通りと言うことですか……」
私の説明を聞き終えると雪風ちゃんは苦笑しながらそう言った。
―バっ!ー
私はそれに対して、『当然』と言う字で示した。
「ゆっき~、お疲れ~」
「あ、お疲れ様です。本音さん」
私が生徒会室から自室に向かっている道中で待っていてくれたのか、先に自室に帰っていた本音さんが私に声をかけて来た。
「はあ……」
私は今日一日の出来事や更識さんの明かした事実に気疲れしてしまい、溜息を漏らした。
「ゆっき~、溜息ばっかりだと年寄り臭いよ?」
「本音さん、私の実年齢はあなた方よりも上ですよ……」
「あ、そうだったね」
意識している訳ではないとは思うが、本音さんは私の気を紛らわせるかのように他愛のない話を持ちだして来てくれた。
と、その後に
「でも、ゆっきー。
別に気にしなくても大丈夫だよ?」
「え?」
本音さんは一転してそう言った。
「もちろん、ゆっきーのことを『生意気』と思っている子も多いけど
むしろ、『よく言った!』とか、『かっこいい』とか言ってた人も結構いるよ?」
と下手に嘘を吐かないで事実だけを伝えて私を気遣ってくれた。
「そうですか……
それもそうですよね」
私は彼女の言葉を聞いて『人は皆に好かれるわけじゃない』と言う当たり前の事実と同時に『一人でも理解してくれる人もいる』と言うもう一つの当たり前のことを思い出した。
かつて、中華民国で軍事の顧問も務めていた時にも私のことを『遺物』とか『臆病者』呼ばわりしていた人もいれば、逆にそう言った人を非難する人もいたし、私のことを『正しい』とも言ってくれた人もたくさんいた。
だから、こう言ったことは慣れっこだ。
それに
「ありがとうございます。本音さん」
私は彼女の語った事実よりもただ私を励まそうとしてくれた彼女の気持ちが嬉しかった。
こんな気持ちに感じたのは中華民国に旅立つ時や総旗艦をしていた時に国や民族を越えて渡された子供たちからの手紙を貰った時や、慰問袋の中に沢山あった手紙などを貰う時だ。
今でも、あの手紙は私の私室に大切に残っているが今はどうなっているのだろうか。
同時に私は故郷と中華民国のことも気になった。
初梅、蔦、波風、宵月、楓、杉……最後まですみませんね……
私とは違い、既に艦を辞した身であるが、それでも座学を通して帝国と中華民国双方を繋げるため中華民国へ私と共に旅立った娘たちに後を任せる事になってしまった。
「じゃあ、今日はゆっくり休みますか……」
「うん」
私は既に戻れないであろう故郷に思いを馳せながら、護衛生活と学生生活の一日目を終えようと思った。
3-3で羅針盤に翻弄されて3-4はかなりクリアするのに無理だろうな……
と思ったら初挑戦初突破しました……
よく考えてみたら色々と羅針盤に翻弄されているうちに
戦艦と空母たちのレベルが高くなっていて策敵値が上がっててたんでしょうね……
しかも、初風来てポル○レフ状態になりました……
最後に陽炎型さいこおおおおおおおおおおおおおおお!!