奇跡を呼びし艦娘のIS世界における戦い   作:オーダー・カオス

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すみません。
最近、忙しくて短いです。
本当にすみません


第8話「罪の告白」

「はあ……

 知られちゃったか……」

 

「申し訳ございません。

 お嬢様」

 

「……いいわよ。

 仕方ないわ、何時かは何処かで知られることだったのだから」

 

 本音ちゃんから報告された私個人として隠し通したかった事実。

 よりにもよってそれが最も知られて欲しくなかった人間たちに知られてしまい、私は心が苦しかった。

 妹の失態に対して虚ちゃんが謝ってきたが、そのことを私は咎めるつもりは毛頭なかった。

 そもそもこれは私の個人的なわがままだ。

 自分の弱さ故に妹を危険な目から遠ざけようとした。

 本来、当主という組織の長を務める人間として失格だ。

 結果的にその妹を傷付け、その妹によって多くの人を傷付けたのだ。

 責められるべきは私なのだ。

 

「……「専用機」乗りの身内か。

 成る程、隠したくなるのも理解はできる」

 

「そうだね。

 うちらとしては一人でもいいからいて欲しいし」

 

「っ!」

 

 今回の件を偶然知った天龍さんと龍驤さんの二人はまだ未完成とは言え、「専用機」を任される実力がある私の妹、簪ちゃんの存在に興味を持ったらしい。

 そのことに私は不安を覚えた。

 

「……黙っていて、ごめんなさい」

 

 謝罪程度で許されることではないのは百も承知だった。

 私のやったことは戦力の隠匿だ。

 使える戦力があるのにそれを私情で隠した。

 ないものをある様にすることよりは危険度は低いが、それでも実際に戦いに身を投じる人間の負担は大きくなる。

 加えて

 

 今回のことで信頼を失いかねないわ……

 

 私は信頼関係を築いていかなければならない艦娘たちとの間に不信を招くことをしてしまった。

 本来ならばこの世界の住人ではない彼女たちがこの世界を守る為に戦う必要などない。

 そんな彼女たちが命懸けで戦おうとしてくれるのに私は妹可愛さに妹を戦いから遠ざけようとした。

 そのことに対して、不信感や反発を覚えられてもおかしくないのだ。

 

「……それで、雪風はこのことを……

 ま、知らないよね?」

 

「……はい」

 

 龍驤さんは私に雪風ちゃんが簪ちゃんのことを知らなかったのかを訊ねてきた。

 事実を私は包み隠さずに答えた。

 

「うちらに隠したのはわかるけど……

 どうして雪風にも隠したかな~……」

 

「それは……」

 

 彼女は私が自分たちに簪ちゃんという戦力を隠していたことについては納得はしてくれているらしい。

 確かに戦いに巻き込まれるという状況から妹を守ると言う点では、今、彼女たちに対して隠すのは一般的な姉としての感情としては間違っていないだろう。

 それが道理に反していても。

 しかし、それは「今」の状況においてだ。

 私が雪風ちゃんに簪ちゃんのことを隠していたのは、「深海棲艦」が現れる前だ。

 隠す必要がないに等しい。

 

「……私があの子に更識の仕事に触れて欲しくなかったからです」

 

「……何やと?」

 

「………………」

 

「お嬢様?」

 

 私は自らの私情を打ち明けた。

 

「更識は日本の対暗部を司る組織です。

 関われば命を落とすことだってあります。

 だから、私は少しでも妹を関わらせたくなかった……

 妹には弱いままでいて欲しかったんです……」

 

「弱いまま……?」

 

「どういうことだ?」

 

 私は妹に対して姉がいってはならない言葉をぶつけたことを告白しようと決めた。

 

「……昔、努力しているあの子の前で私は『あなたはずっとそのままでいなさい』と言いました。

 冷たい表情と声で」

 

「「!?」」

 

 私のエゴ。

 妹が危険な目に遭うぐらいなら弱いままでいてくれればいい。

 私を慕って私を愛そうとして自分を危険に晒すぐらいなら私のことを憎んでくれればいい。

 たったそれだけのことの為に私は妹を傷付け多くの犠牲にする。

 それは一人の人間ならば許されることかもしれない。

 けれども、この国の対暗部の長として目の前の彼女たちに協力を仰ぐ人間としては批判されるべきことだ。

 

「……あんた」

 

「はあ~……」

 

 そんな私の犯した過ち聞いて、目の前の彼女たちは呆れた様子だった。

 当たり前だった。

 私のしていることは姉としても組織の長としても間違っている。

 彼女たちにしてみれば軽蔑に値するだろう。

 

「……うちは何も言わん。

 その資格がないからな。

 天龍。任せるよ」

 

「おう」

 

 ようやく誰かに責めて貰えると思い、私は天龍さんの言葉を正面から受け止めようと思った。

 

「……お前はもう少し、妹と向き合ってやれ」

 

「え……」

 

 しかし、出てきたのは私を責める言葉ではなく、諭す様な溜息混じりの指摘だった。


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