奇跡を呼びし艦娘のIS世界における戦い 作:オーダー・カオス
「あ、いたいた。
お~い、鈴!」
昼休みに入り、俺たちは阿賀野さんを伴って食堂へと向かい、恐らくそこに照月さんを伴っているであろう鈴を探したところ直ぐに見つかり、予想通り鈴は照月さんを伴っていた。
「一夏じゃない」
俺の掛け声に気付き、鈴が手を振ってきた。
どうやら、昼休みまで顔を合せなかったのは照月さんを案内しているのが読み取れる。
「あ、もしかするとその人が二組の転入生!?」
俺たちが事前に打ち合わせしていた様に照月さんに声を掛けないでいるとクラスの好奇心の強い女子が照月さんに気付いて声を掛けた。
『一応、わたくしたちは照月さんとは初対面ということですので、彼女か鈴さんが彼女のことを紹介するまでは声をかけるのはやめておきましょう』
『その通りだな。
要らぬ詮索を招きかねない』
十分休憩の中でセシリアとラウラはこれから転入生と周囲に認識されている照月さんへの接し方について言及していた。
二人の言う通り、もしここで彼女のことを既に知っている様なやり取りをすれば、間違いなく周囲から余計な詮索を招き、色々と質問攻めに遭って、情報が漏れてしまうかもしれない。
だから、あくまでも初対面を装う必要がある。
「あ~、この子ね。色々と大変そうだから案内しているのよ。
ほら、
「あ、秋月 照代です!
よろしく!」
「よろしくね」
「よろしく!」
鈴に促されて何故か、かなりそわそわした感じで照月さんはそのまま人間としての名前を明かした。
「へえ~、鈴々がお姉さんみたい。
意外」
「「「「ぷっ!」」」」
「だから、その名前はやめてって言ってんでしょ!?
意外って何よ!?
あと、アンタたちも何笑ってんのよ!?」
のほほんさんは誰も言わなかった鈴の意外な一面を指摘すると俺たちは思わず吹いてしまった。
鈴は再び、のほほんさんにパンダみたいな名前で呼ばれたことに抗議すると共に『意外』という言葉が心外であったうえに俺達が笑ったことに怒りだした。
鈴て後輩的な相手とか妹分がいると面倒見がいいんだな
失礼だと思うが、いつも猪突猛進なイメージのある鈴が妹分の様な存在が出来ると面倒見のいい姉貴分になるのは意外だった。
そう言えば、雪風にもそんな一面見せてたよな
思えば、雪風に対してグイグイと見せていたから案外、鈴はこういうことに向いているのかもしれない。
「ったく!
で、そっちの人は?」
あ、割と分かってるんだ……良かった
「一夏……今、失礼なこと考えたでしょ」
やば……
鈴が打ち合わせもなく、阿賀野さんに初対面を装った会話をし出したことに俺が驚いていると鈴は心を読み取れるのか、またしても不機嫌になってしまった。
「阿賀野 香だよ!よろしくね」
鈴に促されて阿賀野さんは人間としての名前を言った。
昨日の件で龍驤さんの発破で色々と吹っ切れてくれたんだな……
一週間前までの阿賀野さんはかなり暗かった。
どうやら、彼方の世界では活躍できなかったことや長女であったのに妹たちを守れなかったことを悔やんでいるらしい。
しかし、今はそれがなかった。
ある意味、俺たちと本当の意味での同級生だな
これからは彼女たちも俺たちと一緒に強くなっていくことになるだろう。
そう考えると、新しい仲間というものに思えてしまう。
そこに俺は、いや、俺たち五人はどこか高揚感に近いものを感じてしまう。
「そう。よろしくね」
「うん!」
「そう言えば、照―――代さんはさっきからどうしてそわそわしてるの?」
二人の紹介が終わり、未だにそわそわした様子をしている照月さんに対してシャルが訊ねた。
「あ~……それはね……えっと……」
「「「「?」」」」
しかし、そのシャルの問いに何故か鈴が困り顔をした。
「……今日は何かの祝い事ですか?」
「「「「え?」」」」
照月さんは恐る恐ると俺たちにそう訊ね返した。