奇跡を呼びし艦娘のIS世界における戦い   作:オーダー・カオス

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今日のメンテ後に冬イベ……
皆さん、頑張りましょう!
しかし、個人的に良かったと思うのは……
バレンタインとか節分モードで決戦に臨まなかったことです(笑)
雪風に決戦ボイスが実装されないかも気になります。
山城のあのボイスがかっこよかっただけに雪風もかなり期待できます。
ちなみに私の鎮守府には磯風、矢矧、大和がいないのでかなり冬イベが不安です。
ダメージボーナスとルート固定的に不安だ……


第45話「後悔ではなく」

「一夏さん……それにもデュノアさんも……」

 

 セシリアさんに続いて、今度は一夏さんとシャルロットさんまでもが見舞いに来てくれた。

 いや、恐らく一夏さんの目的はそれだけじゃないはずだ。

 

「あ、一夏」

 

「鈴!もう大丈夫なのか?」

 

「大丈夫ですわよ、先ほどまで本当にお元気そうでしたし」

 

「ちょっと、セシリア……

 なんでアンタが答えるのかしら?」

 

「あら?わたくしは一夏さんが心配しているので安心させようとしているだけですわ?」

 

 一夏さんの姿を目にして鈴さんは機嫌がよくなりそうになったが、先程のことを根に持っているセシリアさんは三週間前の出来事の意趣返しとも言うのか、一夏さんに鈴さんが大事ないことを伝えた。

 その事に鈴さんは腹を立てて、セシリアさんは溜飲が下がっている。

 ただその様子を見て一夏さんとシャルロットさんはいつも通りと思って安心している。

 ある意味、鈴さんやセシリアさんを筆頭とした無理をする人間は第三者が大丈夫だと言った方が安心になるのかもしれない。

 

「デュノアさん……

 その……ありがとうございます……頼み事を聞いてくれて……」

 

 私はシャルロットさんにお礼を言った。

 私はボーデヴィッヒさんを助けるために彼女に鈴さんや一夏さん、篠ノ之さんを伴っての離脱を依頼し、彼女はそれを遂行した。

 そのおかげで私はボーデヴィッヒさんの救助に専念することが出来たのだ。

 

「……そうだね。

 その後に一夏を止めるのは本当に大変だったよ?」

 

「………………」

 

「シャル……?」

 

 シャルロットさんは恨めしそうに言った。

 それは単に一夏さんを引き止めることが大変だっただけでなく、友人が危険な場所に赴くのを黙って見送れと言った私の薄情さへの非難が込められていた。

 

「それは……その……ごめんなさい……」

 

 シャルロットさんの心中を思うと私はいたたまれなくなる。

 私自身、死地へと残る姉妹や戦友たちを見送る機会が多かったり、何度も置いて逝かれる哀しみを味わってきた。

 特にお姉ちゃんと磯風、野分のことは何時までも後悔している。

 そう言ったことに関する悲しみを知るからこそ、私はシャルロットさんにつらい役目を押し付けてしまったと感じているのだ。

 それに私は何度も肩を並べて戦っていた分、多少であるとも気負うものが薄れるが、彼女の場合はそれすらも与えられなかった。

 私に対して怒るのも無理はない。

 

「……今度から、こう言うことは止めてよね」

 

「う……」

 

 私は彼女の頼みに首を縦に振れなかった。

 なぜなら、私はきっと誰かが生命を落としそうになれば、咄嗟に身体を動かすだろうし、それに他人を巻き込むことを厭うだろう。

 私は誰かを助けることは間違っていないと考えているが、同時にそれを他人にそのことを強要するのは間違っていると考えている。

 でも、今回は別だろう。

 

「一夏だって、きっと辛かったはずだよ」

 

「……っ!」

 

「シャル!もういいから!」

 

「ちょっと、シャルル!?」

 

「そうですわよ、デュノアさん!雪風さんは……」

 

 シャルロットさんの糾弾に一夏さん、鈴さん、セシリアさんは止めようとした。

 本音さんは

 

「………………」

 

 ただ黙り、事の成り行きを見守るだけだった。

 いや、違う。

 きっと、これは本音さんが言いたかったことなのだろう。

 彼女は私に甘んじてこの言葉を受けろと言いたいのだろう。

 

「三人は黙ってて。

 雪風、確かに君の誰かを巻き込まないようにする姿は尊敬できるだろうし、素晴らしいことだと思うよ?

 でも……だからと言って、自分を蔑ろにしないでよ」

 

「それは……」

 

 シャルロットさんは三人に止められても続けた。

 彼女を突き動かしたものを理解できるだけあって私は反論できなかった。

 

「……一夏、ほら、言いたいことがあるんでしょ?」

 

「え?あ、ああ……」

 

 言いたいことを全て言い終えたのか、シャルロットさんは私の肯定を待たずに一夏さんに話を促した。

 一夏さんはシャルロットさんの剣幕に若干押されながらも私に何かを言いたげであるが、それでも彼女とは異なり後ろめたさを感じさせられていた。

 

「雪風、ごめん……!」

 

「一夏さん……」

 

 彼は開口一番に謝罪して来た。

 彼のそれを予期していただけに痛々しく感じてしまった。

 

「ちょっと、一夏!?

 何でアンタが謝るのよ!?」

 

 彼のその謝罪の意味を知らない鈴さんは彼の態度に驚いたようだった。

 あの時、鈴さんは気を失っていたのだ。

 だから、今の一夏さんに至るまでの経緯を知らない。

 

「……鈴さん、少しは待ってあげなさいな」

 

「セシリア……?」

 

 そんな鈴さんを見てセシリアさんが彼女を止めに入った。

 一夏さんの謝罪の意味を知る彼女は一夏さんの心中を察したのだろう。

 

「それでも、納得できないのであればわたくしが別室で説明して差し上げますわ?」

 

「え……?

 ちょ、痛たた……!?

 もう少し、丁寧に扱いなさいよ!?ちょっと!?」

 

 セシリアさんはさらに強引であるが、鈴さんのことをベッドから引きずり出し、医務室から連れ出そうとした。

 多分、普段ならば抵抗できるとは思うけれど、多少の怪我をした鈴さんは思いの外力を出せないのか引き摺られて行きそうになっている。

 

「それでは、お二人とも確りとお話しくださいな。

 さあ、行きますわよ鈴さん?」

 

「アンタねぇ……後で覚えておきなさ―――!!

 痛たた……!?ちょっと、力を入れるんじゃないわよ!?」

 

「自称、淑女のわたくしには力の加減がわかりませんの」

 

「アンタ、さっきのことを根に持ってるの!?」

 

 セシリアさんは既に鈴さんがほとんど大事ないことを承知の上で少し力を加えて強制的に連れ出した。

 その事に鈴さんは恨めしく言うが、セシリアさんはどこ吹く風と言わんばかりに連行して行った。

 

「ふ~ん……じゃあ、私も先に帰るよ、ゆっきー」

 

「……本音さん……」

 

 本音さんはそれを見て自分もここにいるべきではないと考えてか、もしくは私に何かを訴えたいと思ってか私室へと戻ることを伝えて来た。

 

「……心配をかけてごめんなさい……」

 

 去っていく彼女に私は謝った。

 どうしても私は彼女のことが時津風と重なって見えてしまうのだ。

 だから、彼女が心配する様を見ると心苦しくて仕方がないのだ。

 

「うん……わかってるよ……」

 

 本音さんはそう言って医務室を後にした。

 それは仕方なさそうな声だった。

 彼女は理解しているのだろう。

 私の悪癖を。

 それでも私を彼女は友人と思っていてくれている。

 それはありがたいことであるが、心苦しいものだった。

 

「「………………」」

 

 シャルロットさんを除いて、全ての当事者が去ったが私と一夏さんはお互いに視線を合わせるだけで言葉を出せなかった。

 そんな重々しい空気の中

 

「雪風、俺……」

 

「………………」

 

 一夏さんがようやく口を開いた。

 その顔はやはり心苦しそうだった。

 どうやら、どんな顔をして私と顔を合わせるかと。

 

「ごめ―――」

 

 再び彼が謝ろうとした時だった。

 

「謝らないでください」

 

「―――え」

 

 彼に謝って欲しくなくて言葉を遮った。

 私はそんなことを望んでなどいない。

 彼はきっと

 

「あの時のことは仕方のないことですよ」

 

 私だけを「VTシステム」との戦いに向かわせたことに彼は罪悪感を感じているのだろう。

 

「あれは権利であって、義務ではありません。

 だから、そんなに自分を責めないでください」

 

 あれはあくまでも戦えるから戦っただけなのだ。

 私や一夏さん、デュノアさんはあの戦いを義務付けられたわけではないのだ。

 むしろ、生徒である私たちは逃げるべきだったのだ。

 要するに私の方こそ、命令違反、いや、義務を怠ったのだ。

 だから、戦わなかったからと言って彼が罪悪感を抱く必要などないのだ。

 ない筈なのだ。

 

「だけど……!!」

 

 それでも一夏さんは後悔している。

 そうだろう。

 彼はそう言う人なのだから。

 少し危ういところはあるけれども、この少年は真っ直ぐな所がある。

 恐らく、私の知る彼らと同じなのだろう。

 自らの子供や恋人たちを私たちと重ねて、私たちが戦い傷つき、死んで逝くことに悲しさと憤りを募らせた彼らと。

 

 司令……

 

 そして、大切な私の初恋の人。

 あの人と最初に佐世保で出会った時、私が呉へと向かう時、反攻作戦の時、私が無事であった時の顔を私は忘れない。

 あの優しさと悔しさを滲ませたあの顔を。

 そんな人たちや大切なあの人の悲しみを知っているからこそ、彼がこれ以上自分を責めるのは止めて欲しかった。

 

「……篠ノ之さんの発言を気にしているようならば、それは間違いですよ」

 

「え……」

 

 私は彼を突き放すように言った。

 

「彼女の言い分は最もです。

 彼女からすれば、大切な人間であるあなたを危険な場所へと連れ出そうとした私は非難されるべき人間です」

 

「だけど……!」

 

「あなたの安全を願う人間の感情を否定してはいけません……

 それに私はあなたがそう思っていてくれるだけで嬉しいですよ」

 

「……くっ」

 

 篠ノ之さんの言葉は確かに乱暴であるがそれでも人間としては当然の情だ。

 私はそれを否定する気になれない。

 彼女の言葉を否定すると言うことは私が守りたかったものを否定するのと同然だ。

 私は元とは言え軍人だ。

 誰かが背負うはずの業を背負うのも軍人だ。

 私が戦場に出て、誰かが安全に暮らせるのならそれでいいと信じている。

 銃後の人間には銃後の人間なりの役目もある。

 そう言った人々をただ戦場に出ないと言うだけで責めるつもりはない。

 それに一夏さんは私に協力が出来なかったことを申し訳なく思っていてくれている。

 ただそう思っていてくれているだけで私はいい。

 むしろ、不謹慎であるが私はそれは嬉しくも思える。

 

「………………」

 

 シャルロットさんは私を非難するように見つめている。

 そのことを解っていながら何故私が自分を大切にしないのかと責めている様だった。

 彼女も私を止めたいと思っていた人間なのだ。

 そう言った人々の苦しみや悲しみを理解しているのに私は自分の信念を曲げられない。

 私の信念や行動は理屈や戦理、道徳的な考え全てに理に適っているのかもしれない。

 だけど、私は同時に誰かを危険にさらしたくないと思う人たちの想いまでもを否定できないし、したくもない。

 けれども、今、一夏さんは自分を許せないでいる。

 

「……もし、このことを気に病んでいるのなら一つ……あなたに頼み事があります」

 

 だから、私は彼の心を晴らせる言葉を贈ろうと思った。

 

「頼み事……?」

 

「はい」

 

 きっと一夏さんは私が何も悪くないと言っても、責任はないと言っても何時までも悔やみ続けるだろう。

 

「何時か私があなたの力を借りたいと思った時に力を貸してくれませんか?」

 

「え……」

 

 なら、せめてそれを後悔などではなく、励みへと変えたかった。

 

「何時か私も苦しい立場に立たされる時が来ます。

 だから、その時に助けてくれませんか?」

 

「それは―――」

 

 私の問いかけに一瞬だけ躊躇うも

 

「―――わかった」

 

 直ぐにその迷いを振り払った。

 そして、

 

「必ず、その時にはお前を助ける」

 

 強い意思を以って私にそう約束した。

 今の彼にはもう後悔も迷いもなかった。

 私はそれを見て、もう大丈夫だと理解した。




ちなみにFGOですが空の境界でガチャで十回召喚でふじのん(弓)、ふじんのん礼装×3と言うふじのんが四来たのは笑いました。
後、呼符で剣式も来ました。

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