「すまないがやはり星辰力の集中が上手くいかん・・・・援護のタイミングも普段通りというのは難しそうだ」
「大丈夫だ、そのための俺もいる」
ユリスが苦々しい顔で歯を食いしばりながらも、煌式遠隔誘導武装で光弾を防ぎながら言う。
「わかった、なら、作戦通りに移行」
直後綾斗と斑鳩の着地を狙ってトゥーリアの横薙の斬撃が走る。
「そうはさせねーよ!」
「それは、こっちのセリフだ!」
炎をまとわせたエリュシデータによる5連続突き、斬り下ろし、斬り上げ、最後に全力の上段斬りを繰り出すコンビネーションで、彼女の攻撃を弾く。
「ぐぅ…」
後方に下がるトゥーリア。斑鳩は間髪入れずにそこからミルシェに向かい。
「――そのリズム、貰った!」
体術スキルで、零距離で相手にイエローに輝いた腕で貫き手を繰り出す。そして、綾斗が叫ぶ。
「紗夜、今だ!」
「いわれなくても…ずどーん!」
次の瞬間、ステージを無数の筋の光の帯が翔け抜けた。
「んなっ!?」
そのうちの二つは綾斗の脇をすり抜けるようにして、トゥーリアの胸の校章を違わず正確に撃ち抜く寸前でガードされる。
「な、なんだ今の!?」
「危なかったわね」
「いきなり校章を狙ってくるなんてえ……」
次々と焦ったような声が漏れる。
「ちょっと、なんだよあれ?」
ミルシェ達の驚愕の視線は綾斗達の背後へ向けられる。そこに立つのは、
「四十一式煌型粒子双砲ヴァルデンホルト」
全身に六門の砲口を開いたその煌式武装を構え、紗夜がそういう。
「けど、普通のレーザーじゃなかったよね」
「あら、気づかれたか」
と地面に降りたった斑鳩がいう。
「あまりネタバレはしたくないが、気づいたから教えよう、ホーミングさ、といっても、無理やりこっちのレーザーとあっちをぶつけただけのお粗末なものだがな」
「ホ、ホーミングレーザー!?」
「んな、無茶苦茶な」
ミルシェが警戒するように後ずさり、パイヴィがあきれたように言う。
「だいじょーぶ、だいじょーぶ!今のモニカたちなら、十分対処できてるもん」
「…そうね、確かに狙いは正確だけど、威力はそこまででもないわ、私の防壁で防げる範囲よ」
「それにさ、あっちだって、あんなデカブツを背負ってたら動きも制限されちゃうって、むしろチャンスだと思わない?」
「ふむむ…それもそっか、んで、
とミルシェがそっちを見るので、斑鳩も釣られて見ると
「(おいおい、女の子がしちゃいけない顔をして戦っているぞ、あれ…シルヴィア的にいいのか?)」
観客もドン引きするほどマジな戦いをしている二人。シルヴィアに至っては今後の仕事活動に影響が出るレベルで強烈な顔をしている。しかもオーフェリアも同じような顔をしている。まさに鬼対鬼の戦いだ。
そして、両チームいい感じでドン引きする。
「よ、よし気分を変えてやっていこう!」
「え、えぇ、あ、あのトゥーリアさんは前に出すぎです・・・・・!パイヴィさんもその位置だと左側に防壁展開範囲の死角ができてしまうので戻ってください!」
厄介なのは最後列のマフレナだ。彼女のチームの綻びを見つけてそれを修正するのはピカイチだ。
「そうはさせん!」
遊撃のユリスの声が響く。
「しまった!」
六本の煌式遠隔誘導武装がパイヴィの音圧防壁をすり抜け、上空からモニカを襲う。
「ふっふーん!なによお、こんなの…って、あれえ?」
それを払いのけようとしたモニカだが、目的はそこではない。そして、モニカを囲むようにして等間隔に突き刺さる。
「――綻べ、
ユリスがそう叫ぶと同時に、モニカの足元に魔法陣が展開し、巨大な炎の柱が五本まるで、悪魔の詰めのように立ち上がった。
「なにゃっ!?」
巨大な炎の掌に囚われ、立ち尽くすモニカ。さすがに反応できなかったのだろう。炎の詰めが握りつぶすように閉じられる。
「あ、あっぶないわね、もお!」
が、パイヴィの防壁がそれを押しとどめるように展開される。ギリギリのところで防がれる。が、それを易々と見逃すほど、斑鳩は甘くはない。
「危ないのは――そっちだよ!」
救援に向かうミルシェを綺凛の剣撃が阻む。そして、モニカの下に向かうトゥーリアも綾斗が抑えている。斑鳩は、モニカの下に駆け出していった。斑鳩は、ステップを踏んでフェイントを仕掛ける。そこに飛んでくるパイヴィの光弾をはじき返し、彼女をけん制し、神速の域に到達する。
「馬鹿な!?」
「速い!?」
パイヴィが驚愕に目を見開き、マフレナが唖然とした顔でつぶやく。
「(一気に行くぞ!!)」
斑鳩は、炎の檻から出ていたモニカをとらえていた。