ソード・オブ・ジ・アスタリスク   作:有栖川アリシア

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パエリアを囲んで

 

「あ、棗さん!?それにもしかして、お、オーフェリアさん!?」

「久しぶりね、プリシラ」

やっほーといった感じに軽く手を振るオーフェリア。

 

「お礼が遅くなっちゃったけど、あの時はありがとね?」

「い、いえ、そんな…オーフェリアさんがしてくれたことに比べれば…」

照れくさそうにはにかみながら、プリシラが視線を落とす。

 

「プリシラ、五名なんだけど?空いている?」

「もちろんです、どうぞ」

そういうと、円卓の席に案内される。

 

「ねぇ、ここってプリシラの手作り料理を出しているの?」

「はい、一応」

「なら、折り紙付きね」

「だな」

とオーフェリアと斑鳩は顔を見合わせる。

 

「斑鳩さん、後ろのアルルカントの方は?」

「エルネスタ・キューネ、迷子だ」

「・・・え、あのエルネスタさん!?」

「まぁ、そういうことだ事情は深く聞かないでくれ」

「…迷子って言っていますよね」

「秘密な?」

「は、はい、あ、メニューを持ってきますね」

「ありがとう、頼むよ」

そういうと、露点の中に入っていくプリシラ。

 

「にしても、この面子って私が言うのもなんだけど、濃いよね~」

言い出したのはエルネスタだ。確かに、元レヴォルフと星導館の一位、それに期待の新星ともいわれる紗夜に、絶天と獅子派の筆頭だ。

 

「それで、彼女をどうみた?」

「足運びが違うし、体幹もずっとしっかりしているな」

「そうですね、私もわかりました」

綺凛も同調してくる。

 

「お待たせしましたー、こちらがメニューです」

二人が話していた時にプリシラがメニューをもってやってきた。一先ず、適当に見繕って代表して斑鳩は注文する。注文したのは、おすすめのパエリアだ。そして、ほどなくして注文していた料理がやってきた。

 

 

「おー、バスク風かな、美味しそうだな」

早速一口食べてみると、やはりおいしい。

 

「うーん、これは大したものだね、料理の面では、プリシラには敵わないわ」

「王竜星武祭の制覇者も弱いところがあるって感じ?」

「まぁね~面白いんじゃない?アスタリスクでの料理王決定戦とかね」

「それ、面白そうだね~」

オーフェリアの何気ない話にエルネスタが同意してくる。

 

「そういや、エルネスタって料理とかするの?」

「うーん、3分で出来る料理なら・・・するかな~?」

「それは料理とはいえるのか…」

「まぁ、ほとんどカミラが作っているし~」

だから、そんな体型が維持できているのかと思う斑鳩。そんな中

 

「そうそう、話が変わっちゃうけどさ、沙々宮ちゃんは、カミラのことどう思っているの?」

「カミラの事?」

エルネスタが紗夜に話を振った。

 

「…今は、ライバルだと思っている」

「そっか、それならねーまぁ、こういうことはカミラの前では言えないんだけど、沙々宮のお父さんのことは私は尊敬とはいかないまでもすっごいなーって思っているからね?」

「どうしてそれを?」

「ま、私は私だからってところかな~あんまり、同じように見られたくないってのが本音」

「わかった、ありがとう」

いつもは無表情な紗夜であるが、今回は、どこか嬉しそうな表情をしている。

「にしても、珍しい気がするな、エルネスタがこういうのって」

「ん?今の言葉、私も滅多に言わないんだけどね、こういうこと、レア中のレアだぞ~」

斑鳩の言葉ににひひと笑いながらいうエルネスタ。

 

 

「私も斑鳩君たちとは今後いろいろとあると思うからね~多少、仲良くなっておかないと」

「そのいろいろな事の中に面倒なことがないことを祈るよ」

パエリアを食べながらいうエルネスタにいう斑鳩。

 

「まぁ、ほかにも理由はあるんだけどね」

「なにさ?」

そういうとエルネスタはパエリアを食べる手を止め。

 

「まぁ、斑鳩君を気に入っちゃったからかな?」

満面の笑みで言う彼女。途端に、空気が凍り付く。もちろん、斑鳩もだ。その中でも特にオーフェリアは酷い状況になっている。ちなみに、そのあとの食事は、少しストレス性の胃痛に悩まされるのであった。


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