『沙々宮紗夜、
紗夜の校章が敗北を告げる。その場でしりもちをつく紗夜。
『おーっと、ここで天霧選手の攻撃が決まり沙々宮選手、思わぬ退場だ!』
会場はより一層盛り上がる。
「悪い、斑鳩」
「いんや、いいさ」
「あとは任せた――」
「あぁ、お疲れ様」
斑鳩は軽く彼女の頭を撫でてやる。紗夜は自らの足取りでフィールドを去っていく。
「さぁ、第二ラウンドを始めようか――」
斑鳩はスカーレットファーブニルとエリュシデータを構える。斑鳩は本気を出し始める。
「――ッ!?」
刹那、斑鳩の剣と綾斗の剣がぶつかり合う。
「綾斗!咲き誇れ――
ユリスの火炎球が飛んでくるが、それを一閃するだけで全てはじけ飛ばす。
綾斗はその隙を見ているが、後ろに紗夜がいない分、感覚が全てに研ぎ澄まされるので、綾斗の攻撃も全ていなされる。
「天霧辰明流中伝――」
斑鳩は言い切る前に、綾斗の動作を読みその剣戟を封じる。
「なにッ!?」
「バーチカル・アーク!」
綾斗をV状に斬りつけて攻撃をする。しかし、綾斗の防御に防がれる。舞うように連続で双剣を振るって、最後に小さく飛び上がって剣を振り下ろす。そこから、サマーソルトキックで綾斗を吹き飛ばす。すると
「そこだ!咲き誇れ――
斑鳩の頭上に炎の大輪を展開させる。それを落下してくる。
激しい轟音と熱波。そして、業焔が斑鳩を包み込む。
「――やったか!?」
ユリスの声。だが、その焔は一閃され、その焔が何かに吸い込まれていくように収束していく。
「…いくらなんでも、強すぎだ」
何も言わない斑鳩。其処に綾斗が突っ込んでくる。だが
「ッ!?」
イレーネと同じような重力攻撃が綾斗とユリスを襲い掛かり、二人の良く手を遮る。
「重力攻撃!?」
「これでは避けられるまい」
そういうと、二人の上空からレーザーが降り注ぐ。
「ええい!咲き誇れ、
咄嗟に焔の盾を顕現させるもののあっさりと打ち砕かれ、綾斗はユリスをかばうように星辰力を集中させる。四肢を引き裂く様な衝撃が綾斗達を襲う。
「ぐ、ぅ……」
綾斗は口元の血をぬぐいながら、よろよろと立ち上がる。
「ユリス……大丈夫かい?」
「あぁ、お前が守ってくれたおかげでどうにかな……すまない、助かった」
二人ともかなりのダメージを受けたようだが、何とか立ち上がる。
「――流石だな、綾斗」
綾斗を称えながら構える斑鳩。そして、綾斗は《
「はぁぁああ!!」
神速とも言える疾さで斑鳩の懐へ飛び込む。そして、下段で斬り上げてくる。が、斑鳩もそれを見切れぬわけではなく、それを適切に対処していく。何十もの打ち合いを経ても、お互い一歩も譲らない。そんな中、ユリスのスピアが、虚空に魔法陣を描き、巨大な焔の呑竜が姿を現す。
「咲き誇れ――
先ほどと同様に上空から襲い掛かる。綾斗と打ちあっている今、隙を見せるのは致命的だが
「――ッ!」
ほんの少し星辰力を一方向に放出させる。するとその余波で呑竜の姿がかき消える。だが、それを許すほど綾斗は甘くない。綾斗は連撃を加えてくる。斑鳩はそれを連鶴ではじきかえす。
「では、爆ぜろ!」
そして、全方位に向けたレーザー光線を繰り出し、文字通り床を抉った。
綾斗の視界全てが閃光で白く染まり、ユリスの悲鳴が轟音でかき消される。
塵のように再び吹き飛ばされ、あまりの衝撃に一瞬意識を手放しかけるが、幸いにも激痛により覚醒する。
「ぐ、ぅ……」
倒れ伏していた綾斗は何とか身体を起こし、状態を確認する。何とか校章は無事ではあるが、視線を上げ、思わず固まる。
視線の先のステージはものの見事に完全壊滅していた。観客席の防御衝撃も火花が散っている。唯一つ、斑鳩のいる地点だけが無傷だった。
そこに超絶ともいえる雰囲気を纏ってその場に立っている斑鳩がいた。しかも、完全に何かが吹っ切れた様に全てダダ漏れで其処にいた。