ソード・オブ・ジ・アスタリスク   作:有栖川アリシア

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ユリスvs斑鳩&綾斗

『なッ!?』

観客たちは信じられないといった表情で驚いていた。

「うっ……そぉ……」

「な、なによ…それ…」

「おいおい、今斬ったぞ」

「偶然じゃないのか?」

「マジかよ……」

野次馬達から驚きの声が聞こえる。無理もないこんなバカげたことを出来る輩などそうそういないからだ。

 

野次馬にかかわらずユリスは綾斗に攻撃を変えるがそれを飄々と避ける綾斗。

「ええっと、ユリス……さん?そろそろ許してもらえないかな?」

「ユリスでいい、で、それは降伏の意思表示と受け取っていいのか?」

「そりゃもう、いや、そもそも俺としては最初から戦いたくなかったんだけど」

「ま、それならそれで構わないが、その場合お前は変質者として、私に中までじっくり焼かれるか、自警団に付き出す――」

 

ギンッ!!

 

斑鳩の剣と彼女のレイピアがぶつかり合う。

「――よそ見をするな」

「話し合い中は攻撃を引けて欲しいのだが…」

「知らんな」

そういいながら斑鳩は彼女に襲い掛かる。

 

「…もう少し頑張ってみようかな」

とはいえ、相手もこれで下がる気はなさそうだ。その証拠に、彼女は力を集中させ始める。

 

「咲き誇れ――六弁の爆焔花(アマリリス)!!」

ユリスの目の前に巨大な火球が出現する。どうやら先ほどの寄り二回り大きい技みたいだ。

 

「やっべぇ!!大技だ」

「ちょ、冗談じゃねぇぜ!!」

「退避退避!!」

目の前の彼女は野次馬に見向きもせず、最適な軌道を瞬時に計算して火球を放ってくる。そして綾斗と斑鳩は身構える。そして二人に交わされる直前で彼女は拳を握りしめ

 

「爆ぜろ!!」

「天霧辰明流剣術初伝――"貳蛟龍"」

「蒼風斬!」

剣閃らしきものが煌めいたかと思うと、焔の花弁が十文字と斜めに切り裂かれる。

 

「なっ――まさか、流星闘技(メテオアーツ)!?」

そんな中、一気に綾斗が彼女にとびかかり、斑鳩は察知し二人とそれの間に入り込む。すると、斑鳩のやることに武器が反応し、剣に深紅色の力をまとわせて7連撃を繰り出す。

 

「伏せて!!」

その意味をユリスが理解する前に、身体ごと押し倒す綾斗。そして次の瞬間、閃光と轟音が鳴り響いた。

 

「――ったく、対物ライフルの弾丸より遅いな―――にしても無粋な真似を」

平然とそんなことを宣う斑鳩。そして、斑鳩はためらいもなくその飛んできた方めがけて絶対零度の冷気を極太のレーザーのように発射した。

蒼空を真っ白な光線により線が引かれた。

 

「お、おまえ、何を……!?」

ユリスに当たるものだけを直接弾いた斑鳩。ユリスの視線の先には光り輝く矢が地面に突き刺さっていた。

 

「――どういうつもりだ?」

明らかに彼女を狙った攻撃だ。

 

「どうのこうもあるか、あの爆発を狙っての不意打ちとしか言えないだろう、気づいたのは、俺と綾斗位いってところか」

「そうではない、なんでわざわざ私を――」

と斑鳩が視線を向けると其処には彼女を抱きしめるようにしてのしかかっている綾斗が彼女のその胸を鷲掴みしていた。

「(おいおい、なんだよ、この展開はどこぞのラノベか?)」

もはや呆れて何も言えなくなる斑鳩。そして、彼女の顔が赤く染まる。

「ご、ごめん!いや、あの、俺は別にそんなつもりじゃ全然なくて!!」

あたふたと飛びのいて頭を下げる。そして、それを囃したてる野次馬。

 

「お、お、おまえ…」

「(あーあ、こりゃ怒らすわけだ…)」

彼女の怒気に反応してか、周囲に焔が噴き出す。どうやら制御できなくなっているみたいだ。

 

「第三ラウンド、行ってみましょうかね?」

そういって再び構える斑鳩。そんな中

 

「はいはい、そこまでにしてくださいね」

落ち着いた声と共に、手を打つ乾いた音が鳴り響いた。

 

 

 

 


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