ソード・オブ・ジ・アスタリスク   作:有栖川アリシア

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RMD&ARCの合体

『――な、な、なんと!?リムシィ選手が落ちた!?』

会場にどよめきがはしる。斑鳩は重力魔法で文字通り、彼女を叩き落としたのだ。

 

「ということだ、これは予測できていなかったかな?」

「…一体、これは?」

「重力魔法、とでも言っておこうか?」

「――最大出力」

轟音とともに脱出しようとするが、脱出が出来ない。斑鳩は、彼女に迫りこむ。だが

 

「リムシィ!!」

アルディが助けに介入してくるが、それを軌道を観ずにエリュシデータで跳ね返す。

 

「――馬鹿な!?」

「紗夜が言っただろう、読みやすいってな」

そういうと、そこから、斑鳩はサマーソルトキックで彼を飛ばす。その隙に、リムシィは脱出する。

というか、わざと脱出させられる。

 

「――《フルバースト》」

ヴァルデンホルトから極度に圧縮された重光弾が放たれた。そして、リムシィが抜け出そうとした瞬間に着弾し、刹那の静寂の後、会場そのものを吹き飛ばすかのような大爆発が巻き起こり、荒れ狂う暴風と震動にステージを取り囲むすべての防護壁が割れんばかりにビリビリと震え、観客席の彼方此方から悲鳴が上がる。

そして、爆風が収まると、大きくクレーター状に抉れた爆心地にリムシィが苦悶の表情で膝を着いていた。その左腕や幾つかの装甲は完全に破壊され、火花と黒煙を噴き上げていた。

そして、其処に向かって紗夜のフルバーストが着弾する。

 

「間一髪であったな、リムシィよ」

「(あの防御障壁、自分の周り意外にも展開できたか」

想定外であったが、これも範疇である。

 

「リムシィ、よもや贅沢を言うまいな?」

「わかっています」

リムシィの声はいかにも悔しそうだ。

「まぁ、これで二体一、ってわけにはならないだろうな――奥の手があるだろうな」

目の前の二人に言う。

 

「どうして、そう思う棗斑鳩?」

アルディが聞いてくる。

「俺ならそういう風に考えるし、あの二人が布石を打たないわけがない、大方俺のよそうだと、合体とかあるのだろう」

というと

 

 

「…」

まるで、ネタのオチを最初に言われたかのような水をうったような静けさ。

 

「(あっ、やらかしたかな?)」

何とも言えない気まずい空気。やらかしてしまったネタバレ。非常に会場の空気が悪くなる。

 

『あ、これは棗選手、壮大にやらかしましたね』

『これでもし、本当に合体したら、試合の盛り上げ的には棗選手の負けですね』

戦には勝ったが、雰囲気で負けたらしい。

 

「ふ、不本意ではありますが、貴方の望み通りにして差し上げましょう」

「そ、そうだな、そうこなくてはな!こちらはいつでも準備万端である!」

機械でも、このような反応は出来るらしい。目の前の敵にものすごく申し訳なさを感じながらその合体を見守る。流石にここまで来て合体中に倒したら、下手すれば《絶天》という名前から《雰囲気壊し(ムードブレイカー)》という大変不名誉な名前になりかねない。

そして、リムシィはすこぶる不愉快といった顔で大きく両手を広げた。同時に、その身体からマナダイトの光が溢れだす。そして、合体していき

 

「ふはははははは!これぞ吾輩の真の姿である!」

そこに、誇らしげに佇む合体したアルディがいた。

 

「さぁ、どうであるか!威容を増し、貫録を深めた吾輩のこの姿は!」

まさしくフル装備と言ったところだ。其処に関しては少しカッコいいと思いが、思いのほか残念なところもある。

 

「ぐぬぬ…ちょおカッコいい」

「まぁ、カッコいいが、如何せんな」

「何か不満でもあるのか?」

「いや、展開が「それは言ってはならぬぞ棗斑鳩」あっ、はい」

機械に指摘される斑鳩。どうやら、最近の機械は空気を読むのにたけてるらしい。同時に、リムシィはゆっくりとした足取りで下がる。同時に、校章がリムシィの敗北を告げる。

 

 

 

 

「さぁ、どこからでもかかってくるがよい!」

アルディは手にしたハンマーを軽々と振り回し、その石突を地面へと突き立てる。

 

「どうやら、単にパーツが増えたってわけじゃないな、出力は上がったな」

「…」

小さくうなずく紗夜。ヴァルデンホルトの状態を確認するが、あまりに過冷却をすると今度は砲身がやられる。少し様子見の必要もあるが、

 

「ふむ、こないのであれば、こちらからいかせてもらおうか」

もう少し見ていたいところだったが、どうやら、此処までの要だ。

アルディがハンマーを構えたのを見て、紗夜は腹を括る。

 

「(――各個にとはいかなさそうだな)」

どうやら、第二回戦は此処からの要だ。

 

「スカーレット・ファーブニル」

斑鳩の左手にもう一本の剣が現れる。

 

「(…さぁ、ここからだ――)」

戦いは、二次局面へと移ろうとしていた。

 


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