「とはいえ、ここがどんな建物なのかを確認しなかったのはお前のミスだ。それにいきなり窓からはいってくるなど非常識極まりない」
「(ま、わざとじゃなかったらなんでも許されるわけでもないからな…特にこういうものはシビアだからな…)」
「それは、ごもっとも」
「お前にはお前の言い分があって、私は私でこのままでは怒りが収まらない、となれば、ここはこの都市のルールに従おうか、幸いお前も、そして、お前もそれなりに腕が経つようだし、文句はないだろう?」
どうやら解決策があるらしい。そして、彼女はこちらをまっすぐ見つめる。
「おまえ、名前は?」
「…天霧綾斗」
「棗斑鳩だ」
「そうか、私はユリス、星導舘学園序列五位 ユリス=アレクシア・フォン・リースフェルトだ」
そう名乗った少女は、そのまま制服の胸に飾られた校章を右手にかざす。
「不撓の証したる赤蓮の名の下に、我ユリス、ユリス=アレクシア・フォン・リースフェルトは汝ら天霧綾斗と棗斑鳩への決闘を申請する!」
「決闘!?」
驚く綾斗だが、冷静な斑鳩。そして、決闘の申請に対して、胸の校章が赤く発光する。
「おまえらが勝てば、その言い分を通して大人しく引きさがってやろう、だが私が勝ったならその時はおまえらを好きにさせてもらう」
そうなるのが当然というように、彼女がにやりと笑うが斑鳩は静かに構える。
「ちょ、ちょっと待った!俺はそんなに――」
「綾斗、どうやら聞く耳は立ててもらえなさそうだ…」
冷静にいう斑鳩。斑鳩の視線の先には彼女だ。
「早く承認しろ、いい加減、人も集まってきている」
承認したいのはやまやまであるがここで問題がある"やり方を知らない"のだ。
周囲を見渡すといつの間にか人だかりができている。
「ねーねー、なにごとなにごと?」
「
「マジで!?
「んで、相手はどこのどなた様よ?」
「知らなーい、なんか見たことない顔ねぇ、ネットは?」
「今見てるけど載ってないなー」
どうやらかなり盛り上がりそうだ。
「なぁ、あいつまさか"
そんな声が斑鳩の耳に入ってくる。その声を聞いて、彼女は表情を一瞬だけ変える。
「なんで、こんなに注目されているんだ?」
「(確かに、それは知りたいな…)」
そう思って彼女を一瞥すると
「理由は二つ、一つ目は有力生徒、つまり私のデータ収集だな、これでも私はこの学園の《冒頭の十二人》だし、隙あらば蹴落とそうと狙っている連中は少なくない」
「そういうことね…大体理解で来たわ」
一瞬で理解する斑鳩
「理解が早くて助かる、そして二つ目の理由は単純明快、ここの連中はみんな野次馬精神旺盛な馬鹿ばかりだからだ」
「(なるほどね…)」
「あの決闘って言われても、俺、武器持ってないし」
「なら、借りればいいだろう、おい、誰かコイツに武器を貸してもらえないか、剣がいい」
そう彼女がいうと、ギャラリーから綾斗に向かって短い棒状の機械が飛んでくる。
「そいつの使い方もわからないとは言わせんぞ」
不敵に微笑むユリス。
「はぁ…」
綾斗は大きく息を吐き、手にした武器を起動させる。そして現れたのは、一メートル程度のノーマルな武器だった。そして、彼女はレイピアを出現させる。
「さて、準備はいか?」
彼女が優雅に構え、二人を見据える。
「――我、天霧綾斗は汝ユリスの申請を受諾する」
「――我、棗斑鳩は汝ユリスの申請を受諾する」
綾斗のを見様見真似で交渉に手をかざし、呟く。すると校章が赤く煌めいた。
そして、5カウントで始まることになった。
「…」
カウントダウンが始まると同時に、周囲の歓声は斑鳩の中で小さくなっていく。同時に、全身の血流が早まっていき、戦闘を求める衝動に掛けた手綱をいっぱいに引き絞る。そして、僅かな躊躇を払い落とし、剣を身構える。そして、彼女もピタリと構える。そして、カウントの零と共に地面を蹴りだした。
「――ッ!!」
沈みこんだ体勢から一気に飛び出し、地面ギリギリを滑空するように突き進んでいく。
「咲き誇れ――
青白い炎の槍を展開させて、それを飛ばして攻撃をしてくるが
「遅い!!ヴォーパルストライク!!」
斑鳩はジェットエンジンのような轟音と共に 赤い光芒と共に剣による強力な払いを繰り出し、それを打ち払った。そして、それが横にそれ爆発が巻き起こる