ソード・オブ・ジ・アスタリスク   作:有栖川アリシア

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決着・極光の双剣

 

 

手元の煌式武装の部分がまるでブースターのようになり、まるで銀色の弾丸のように斑鳩に一直線でつっこんでくる。

 

「――『極光の双剣(シュヴァルトライテ・レーヴァテイン)』!!」

そして、その勢いのまま金色の光と共に双剣を振るってくる。

 

「いいだろう」

そういうと、斑鳩は真正面に彼女を捉え

 

剣技連携(スキルコネクト)!!」

彼女に向けて剣に黄緑色の光の帯を引きながら繰り出し、それをぶつけることによって彼女の速度を落とし、そこから、炎をまとわせた剣による5連続突き、斬り下ろし、斬り

上げを繰り出す。そして、剣を青白い残光と共に4連続で振るった。

 

「ッ!?」

その攻撃を喰らい、体勢を崩す彼女。だが、彼女はそのブースターで大きな弧を描き、瞬時に後ろに回るが

 

「良い攻撃だ、だからこそ、本気を見せてやる」

「…なにッ!?」

彼女の顔が驚き一緒になる。その直後、彼女が再び斑鳩を認識したときには、彼女の左手の人差し指がこちらを向いていた。直後

 

「チェックメイト」

その言葉と共に、斑鳩は偏向射撃を行い、彼女を文字通り"仕留めた"。

 

 

「――こんなもんかな」

「また…負けた」

「動き、それに気質もいい、今の君が今より3年早く君に勝負を挑まれていれば危なかっただろうな」

そういいながら斑鳩は手を差し伸べる。すると、彼女はその手を取って立ち上がる。

「にしても、君は守りどころか、攻めも強かったとはわな」

「それはどうも」

そういうと、彼女はこちらを見据え、口を開いた。

 

「いい経験になった、また今度相手をしてもらえるか?」

「あぁ、いつでもその挑戦を受けてたとう」

「よろしくたのむ」

そういうと、握手を交わし二人は別れた。

 

 

 

 

 

 

シオンとの戦いから数日後――季節は夏真っ盛りだった。

肌を刺すような七月の陽ざしは、放課後になっても衰えることも無く、斑鳩と綾斗は中庭を駆け抜けていた。

 

「――おいおい、これって間に合うのか?」

「さぁ、どうなんだろうね、俺の本気なら間に合うが、まぁ、そっちはちょっと間に合いそうにないかもな」

時間に厳しいユリスに呼び出された斑鳩と綾斗。綾斗がユリスとタッグパートナーを組んで《鳳凰星武祭》へ出場登録を済ませてから数日が経っていた。綾斗とユリスは毎日、斑鳩を交えて訓練に励んでいた。

それから、中庭を抜け、中等部校舎と大学部校舎を結んでいる渡り廊下を横切ろうとした時だった。

人の気配を感じた斑鳩がとっさに綾斗の腰を引き、後ろに投げ、斑鳩が前に出る。ちょうど、一人の女の子が現れた。

 

「――っ!」

一瞬遅れて彼女も気付いたようだ。無理矢理に方向転換をするが

 

「はっ?」

直後、なぜか真正面からふたりは派手にぶつかった。幸い、ちょっとした裏技で受け身を取っていたので、すぐに起き上がると地面に座り込んでいるその子に駆け寄った。

 

「キミ!大丈夫?怪我はない?」

「あ、はい……大丈夫、です」

恥ずかしそうに斑鳩を見上げてくる。綾斗も駆け寄ってくるが

 

「(先に行ってろ、こっちはこっちで処理しておく)」

アイサインで、綾斗に伝えると、その場を立ち去る。

 

「本当にごめん!」

深々と頭を下げる斑鳩。見れば、彼女の可愛らしいデザインの下着が見えているが、軽く目を反らしながら、彼女の身体に傷でもないかを確認する。とはいえ、銀色の髪を二つに結び、背中に流している。それにその容姿もかなり目のやり場に困るものだ。

 

「とにかくごめん、不注意だったな」

「い、いえ、わたしのほうこそごめんなさいです、音を立てずに歩く癖が抜けなくて、いつも伯父様に注意されるんですけど…」

 

「(ま、確かに気付くのに一般人より遅かったからな…)」

と思いながらいるとよく見ると彼女の銀髪に小指ほどの枯れ枝が絡まっていた。

 

「ちょっと動かないでね」

そういうと、髪を傷めないようにそっと小枝を取り除く。

 

「あ……ありがとうです」

「どういたしまして」

真っ赤な顔をしながら言う彼女。まるで小動物のようだ。

 

「んじゃあ、またどこかで」

「は、はい」

そういうと、彼女は一礼をして立ち去っていく。

 

 

 

「(さーて、どうすっかな)」

そういうと、斑鳩は綾斗の二倍のスピードで二人の所に向かった。

 


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