ソード・オブ・ジ・アスタリスク   作:有栖川アリシア

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シオン=フェルマイト=リージンベルグ

数日後――斑鳩は授業も終わり、中庭で一人寝そべっていた。

 

ひゅーるるる・・・

誰もいないこの昼開けの時間に、この中庭の比較的寝心地の良い庭の日向で斑鳩は只々午睡をむさぼっていた。そんな中だった。

 

「となり、いいか?」

瞳を瞑りながら聞いてくる声。意識がまどろんでいるため、男か女のか分からないが言葉じりで性別を捉え

 

「(まぁ、男だろうし、昼寝同盟なのかな…まぁ、いいだろう)どうぞ」

そういうと、再び午睡をむさぼる。それから気分も良く醒めた時だった。

 

 

 

 

「――イッ!?イイッ!?」

ショッカーよろしく驚いた声を上げる斑鳩。なぜなら隣には、少女がいた。紛うことなく少女がいた。余りにも唐突なことで地面に座ったまま後退り体勢をする斑鳩。その顔は驚き一色だ。

 

「あ、あの、あなたさんは?」

「この私を忘れたとは言わせない…棗斑鳩」

「……」

恐る恐る聞いたが、どうやら地雷を踏んだらしく、黙り込む斑鳩。

 

「記憶にないといったようだな」

そういうと、少女は立ち上がる。その少女の銀髪が風に揺らぐ。見れば片方の瞳は髪で隠れているが、反対は金色の瞳が煌々と光っている。

 

「(これはヤバいって…)」

今にもこちらに襲い掛かりかねない剣呑な雰囲気を出している少女。

 

「私はシオン、シオン=フェルマイト=リージンベルグ、貴様に三敗した者だ、そしてこの学園の序列13位だ!!」

そして、彼女はルークスを取り出し

 

「棗斑鳩、私と"勝負"しろ!!」

どうやら過去の斑鳩はめんどくさい遺産を置いてきたのだなと結論付け、頭を悩ませると同時に

「…あぁ、いいだろう」

そういって斑鳩は立ち上がった。

 

 

 

 

ヒュールルル・・・

誰もいない学園の中庭に一陣の風が流れる。

 

「…俺は序列に興味ない、非公式でいい」

「…もとよりそのつもりだ」

相対する斑鳩とシオン。とはいえ

 

「(こいつ……本当に13位か?)」

斑鳩がそう思うのは訳があった。この目の前の相手、シオンからはまるでコートのような濃密な何かを感じ取っているからだ。斑鳩は、指を鳴らすとエリシュデータが現れ、それを構える。

 

「(――あの構えは…)」

左足を前に半身に身を構え、腰を落とし、右手の剣は、ほとんど床に接するほどに下げられている。そして、左ては添えられているだけのようだ。斑鳩も、いつでも動けるように構えると

 

「いざ、参る!!」

言葉と共に先に動いたのはシオンからだった。低い姿勢で滑るように移動しながら、右手の剣が跳ね上がってくる。とはいえ、そのスピードは確かに"速い"。しかし、彼女ほどでもない。斑鳩は、手首から肩、腰を柔らかく動かすことによって 相手の攻撃を武器で受け流す。

 

「なにッ!?」

だが、彼女はそこから 2本の剣で舞うように連続で振るって攻撃をおこなう。 その攻撃を斑鳩は、剣で全て払い、彼女の攻撃のリズムを強引に崩す。

 

「(甘いな…ヴォーパルストライク!!)」

ジェットエンジンのような轟音と共に 赤い光芒と共に剣による強力な突きを繰り出すが、彼女は剣を交差するように防御して、 斑鳩の攻撃を受けると同時にクロス状に斬りつけてくる。

 

「っと」

軽々と躱して見せる斑鳩。そして、二人の剣戟がぶつかり合う。実力は、明らかにレスターより各上の人物だ。だが、《万有天羅》の彼女より遅い。

 

「(問題は、あの構えが何なのかだな…)」

謎は尽きないが今は剣を走らせる斑鳩。小柄な身であり、速度は速い。とはいえ、星露のような神速の域ではない。なので、一気にトップスピードまで自分の速度を押し上げる。

 

「(さぁ、行けるかな――)」

そう思いながらも剣を振るう斑鳩。とはいえ、二刀流と闘うのはこの世界に来て初めてなので、一気にヒートアップしだす斑鳩。

斑鳩は、一気に迫り込み、サマーソルトキックから、剣で彼女を斜めに斬りつける。

 

「――ッ!?」

それを彼女は、先ほどと同様に防ぐ。彼女はそこから、一気に斬りつけようとするが、斑鳩は直前で彼女の足を払い

 

「バーチカル・スクエア!!」

剣を青白い残光と共に4連続で振るう技だ。斑鳩の技を直撃で喰らい、そのまま倒れ込む彼女。

 

「(決着あり…かな?)」

そう思っていた時だった。丁度、彼女と斑鳩が直線に並んだ時だった。

 

「――見せてやる!!棗斑鳩!!私は、もう負けるわけにはいかないのだ…」

すると彼女の周りに圧倒的な量の星辰力が集まり、一瞬でそれが凝縮され、彼女の双剣の石の部分から桜光が噴き出しはじめ、それがまるでツバサのようになり、直後、彼女が銀色の弾丸のように突っ込んできた。


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