ソード・オブ・ジ・アスタリスク   作:有栖川アリシア

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《絶天》の称号

戦闘が終わると、戦闘が始まってからかなりの時間が経っていた。

「では、ここまでにするとしようかの」

ぐるりと中庭を見渡すと、そこにはこの学園の生徒の人だかりができていた。そんな中

 

「赤蓮の総代の使い、名は?」

「棗斑鳩、です」

「そうか、儂はお主を気に入ったぞ」

「ありがとうございます」

「にしても、お主齢いくつじゃ?」

「まぁ、17そこそこです」

「ほぅ、その年でその域か…それにしてもいつぶりじゃろうな、このような興奮した戦いは」

少し遠い目をする彼女。それに何かを感じる斑鳩。

 

「わかれるのが惜しいの、とはいえ、お主も帰る巣があるのじゃろ?」

「まぁ、寮がありますから」

「そうか、少し寂しいのぉ、とはいえ、これもまた定めじゃな」

そういうと、彼女は斑鳩に向けてその小さな手を差し出し斑鳩は彼女と握手する。

 

「お主がもしここの生徒なら、私が直々に二つ名を授けていたところじゃ、とはいえ、この数年の間なかった興奮を味あわせてくれた礼に非公式であるがお主に私が二つ名を授けてやろう」

その言葉で学園と共に、周囲にいた学生たちがざわめく。

 

「いいのですか?」

「おう、このことは誇ってよいぞ、この《万有天羅》を楽しませてくれたのだからな」

ニッコリと笑う彼女。そして、彼女はこちらを見つめ

 

「棗斑鳩、お主の二つ名は今日から《絶天》じゃ」

「《絶天》」

その言葉を反芻する斑鳩。"絶天"、その意味は天を絶やす者という意味だ。尚且つ彼女から受け取る言葉という意味の大きさもさながらだ。

 

「天晴な戦いじゃった、また遊びに来てくれ、《絶天》の使い手」

「はい、また来ますよ」

その言葉を交わすと同時に、界龍の学生達から割れんばかりの歓声が上がった。

そして、斑鳩は界龍を後にした。

 

 

 

「――虎峰か」

「師父、お疲れ様です」

「あぁ、ありがとう」

彼女が視線をやると、そこには、包拳礼をしていた趙虎峰がいた。

 

「見ておったか?」

「えぇ、この眼でしっかりと見させていただきました」

「そうか」

そういうと、彼女は彼の前で溜息をついた。

 

「師父?」

「惜しいのぉ、本当に」

「彼のことですか」

「そうじゃ、《絶天》棗斑鳩じゃ、儂は彼をあやつを気に入った、こういうのもあれじゃが、この学園外で、この儂の背中を預けれるのは、あやつぐらいじゃろうな」

「師父、そこまで絶賛なさるのですか?」

「無論、手放しというわけじゃない、じゃが、彼は遊び相手とちと違う領域のやつじゃな、あやつならば、五年――いや、三年も稽古をつけてやればいい相手になりそうじゃ」

「…はぁ」

「はぁ、返す返すも惜しい、なんで界龍に来てくれなかったのかのう……虎峰、今からでもなんとかならんか?」

「そう言われましても……」

「(とはいえ、あの"気配"、あやつがこの世界の"毒"の時になった時、我々は止められるのかのぉ)」

そう言いながら、彼女は遠い空を見上げるのであった。

 

 

 

 

 

斑鳩は特に寄り道もせず学園に帰った。すると、もはや情報がどこからか漏れていたのか、早速クローディアから呼び出された。その為、高等部校舎の最上階にあるところ、生徒会室に向かった。

そして、部屋に入ると、執務机についていたクローディアが、指を組んでニコニコ顔で待っていた。

「ただいまもどりました」

「おかえりなさい、斑鳩君」

こちらを試すように見てくるクローディア。

 

「界龍への書類の件、ご苦労様でした」

「いえ、お力になれて光栄です」

直立不動でいう斑鳩。そんな中、彼女はニコリと笑い。

 

「にしても、快挙ですね、彼女に触れると共に、彼女から《絶天》の二つ名を頂きましたか」

「お得意の諜報機関【影星】ですか」

「あら、わかりました?」

にこやかに笑う彼女。その腹の中にはどんな黒い物があるのかと推量するがあえてそれを無視し

 

「まぁ、報道という線も考えましたけどね、えぇ、非公式ですが《絶天》の二つ名を頂きましたよ」

「そうですか、我が星導舘学園は、貴方に期待しています」

「学園全体ですか…」

若干残念な気もするが気分を持ちなおすが、少し彼女に読まれていたらしく

 

「とはいえ、私個人としても貴方に期待しています、なにかありましたらいつでも言ってください、できるだけお力になりますよ」

彼女の美しい笑顔に少し元気をもらい、斑鳩はその部屋を後にした。

 

 


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