ソード・オブ・ジ・アスタリスク   作:有栖川アリシア

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第二巻突入!!


クローディアからの依頼

数日後の昼休み――

 

昼休みの中には、斑鳩は綾斗と共に中にはでパンをむさぼっていた。

「ふぃーいやー、ここの焼きそばパンは絶品だな」

「そうだね」

やきそばパンと牛乳といういわゆる定番なものを食べていると、高等部の校舎から見知った顔がやって来た。

 

「英士郎、どうした?」

やって来たのは夜吹英士郎だった。

 

「うちの生徒会長がお呼びだぜ」

「んじゃあ、ちょっとクローディアの所に――」

「いんや、呼び出されたのは斑鳩の方だよ」

「俺の方?」

若干のことで驚きながら確認すると

 

「そ、斑鳩の方さ、用件はなし"とにかく来い"だとさ」

「斑鳩、なんかやらかしたの?」

苦笑いしながら心配してくる綾斗。

 

「心当たりないがな、まぁ呼び出されたからにはいかねばならんだろ、ちょっといってくる」

「あぁ、いってらっしゃい」

そういうと、生徒会長のいる生徒会室に向けて足を向けた。それから数分も関わらずに生徒会室に到着した。

 

「失礼します」

「どうぞ」

ノックをして生徒会室に入る斑鳩。見れば、生徒会室にはクローディア一人だった。

 

「わざわざご足労をおかけし、申し訳ありません――棗斑鳩」

「いえ、恩義がありますからね、どうかされましたか?」

「えぇ、とはいえ、こんな堅苦しいと私も疲れますからね」

そういうと表情を崩すクローディア。

 

「…こっちも言葉を崩しますか?」

「それはお任せしますわ」

「はいはい、それで、用件は?」

斑鳩はクローディアに聞くと彼女は一枚のファイルを取り出してきた。

 

「えぇ、貴方にはこれから書類を運んでいただきたいのです」

「俺は郵便屋ではありませんが、それでもですか?」

「はい、お得意のというわけではありませんが、影星はどういんできないのでね」

「…その名前を出していいんですか?」

「いいんですよ、貴方ほどに人物なら知っておかねばなりませんから」

「・・・わかりました、ではこの書類をどこに?」

「界龍第七学院、生徒会長で序列一位の《万有天羅》范星露(ファン・シンルー)にこれを手渡しでお願いします」

斑鳩は、彼女の言葉をメモする。

 

「わかりました、すぐに出ますか?」

「えぇ、お願いしますね」

「わかりました」

ニッコリ笑う彼女を一瞥し、斑鳩は界龍第七学院に向かっていった。

 

 

 

界龍第七学院――

 

アスタリスクの南東に存在するこの界龍第七学院は、敷地の全体が回廊で繋がれた無数の建物で覆われていた。伝統的な中華風の建築様式の建物で、言ってしまえば宮殿のようなものだった。

 

「――というわけですので、通してもらえませんか?」

「いや、ちょっとさすがに他の学院の方で連絡が行っていないので、それは無理かと…」

「(にしても、困ったな…これじゃあ、クローディアの依頼がな…)」

正門で止められている斑鳩。流石に強行突破すればクローディアに迷惑がかかる可能性もあるし、なにしろ二度も来るのは御免被るレベルだ。とはいえここの門番も誠実な対応しているから不快感はない。そんな中だった。

 

「おう、到着していたか、赤蓮の総代の使い」

やって来たのは小柄な少女。長い黒髪を蝶の羽のように丸く結え、この界龍の制服が似合う女の子だ。

とはいえ、その気迫が尋常じゃない。斑鳩は、一瞬で身構える。

 

「おぉ、この状態で私の気を察したか、いやはや結構――とはいえ、こんなんじゃ話も出来んからな、ほれ、ついてまいれ」

「師父!?良いのですか、他校の者ですぞ?」

どうやら師父といことは、彼女がここのトップ、序列一位の《万有天羅》范星露(ファン・シンルー)みたいだ。

 

「私が傍にいればいいだろう、まぁいい、入れ」

「は、はい」

そういうと界龍の正門をまたいで校舎内に入る。とはいえ、こちらをじろじろと見ているこの学院の生徒たち。まるで珍しい物が来たと言わんばかりにこちらを見ている。

 

「すまんな、好奇心が旺盛な輩も多くてな――それで、例の書類は?」

そういうと、赤蓮とクローディア直筆のサインが入った書類の封筒を見せる。

 

「おぉ、彼女の物じゃな、にしても、遠路はるばるよくぞ来たな」

「いえいえ」

そう言いながら彼女の後ろを歩き、この学院の中央、黄辰殿の近くの応接室に案内された。


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