ソード・オブ・ジ・アスタリスク   作:有栖川アリシア

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スリーピング・ナイツ

ガキッン!!

火花が散り、ユウキの攻撃が大きくそれた。

 

「加勢するわ、斑鳩」

「サンクス、オーフェリア」

視線を交わし、再び相手を見据える。

 

「私はあっちの黒髪のユウキって子をやるから、そっちはアリスって子で」

「わかった」

そういうと、斑鳩はアリスに向き直った。そして、オーフェリアはユウキに向き直る。

 

 

「――さて、僕の相手は貴女だね」

オーフェリアの視線の先には、片手用両刃直剣。彼女の髪色と同じく黒曜石のような深い半透明の色合いを帯びていた。

 

「(煌式武装ではなさそうね……)」

と見定めると、目の前のユウキは長剣を中段に構え、自然な半身の姿勢を取る。対して、オーフェリアは右手を体側に引きつけ、細剣をほぼ垂直に構える。

そして、大きく息を吸い吐いたところで、隣にいたアリスとの剣がぶつかり合い、火花が閃いたと同時に、オーフェリアは地を蹴り、ユウキとの距離を瞬時に駆け抜けながら、体をひねる。

 

「――ッ!」

短い気合と共に、まるでライフルの弾丸のごとく右手を突き出し、ユウキに向けて突きを放つ。

初撃と二撃目は、読み通り避ける。先ほどと同様、ユウキはその突きの軌道をずらしている。

超高速の突きを弾き、カウンターの反撃を予想するオーフェリア。だが、ここで剣を戻せば体制が硬直するので、思いっきり体を左回転させる。

そこに雷光とも言える速度で、ユウキの剣が飛んでくる。身体を限界までねじり、その攻撃を避けるが、剣が胸元を掠める。

 

「(――技量、高いわね…)」

グリップのあるブーツで地面を蹴飛ばし、大きく左にジャンプする。そこで右足でもう一度飛び、十分な距離を取る。

 

今後はユウキが地面を蹴って飛び出してくる。そして、轟然と襲い掛かる黒い剣。それをオーフェリアは斬り払いで受ける。

 

「――ッ!?」

すさまじい衝撃が火花と共にオーフェリアの右手に伝わる。撥ね戻された剣を、ユウキが武器の重量を感じさせないほどのスピードで切り返し、次々と撃ち込んでくる。見てから反応したら間に合わないほどの速度だが、ユウキの動き全体を捉え無理やり対応させるオーフェリア。

お互い、超高速の剣戟を響かせる。

 

「(速い――けど、勝機はある!)」

そういいながら、ユウキの三連撃を潜り抜け、思い切り懐まで飛び込む。

そして、腰を落とし、右手の細剣をユウキの体の中心めがけて、思いっきり突き込む。

だが、ユウキは少し驚いたものの、それに反応し、剣をしたから切り上げてくる。

オーフェリアは、がら空きのボディーめがけて右手でショートパンチを放つ。

ユウキはその拳術に驚きながらもいるが、

 

「――カドラプル・ペイン!!」

レイピアによる稲妻のごとく4連撃をユウキに向けて繰り出す。この距離では回避不能。そして、直撃は目に見えていた。だが、オーフェリアの背中に戦慄が走る。

 

「(まさか、見えている!?)」

ユウキの赤紫色の瞳に驚きはなく、視線の先には細剣の尖端が映し出されてくる。

その瞬間、ユウキの右手が閃き、四回の火花が散る。

攻撃がすべて弾かれたのだ。

すぐさま体勢を立て直すが、もうすでに遅く、コンマ何秒の時間と共に、ユウキの黒曜石の剣が青紫色の光を帯びる。

 

「やぁっ!!」

「(この技は!?)」

まさに、スター・スプラッシュと似た技だった。だが、この攻撃は似ているからこそ反撃が可能だ。

今度は、こちらから、 星の頂点を突くようにして繰り出される5連続の突きスターリィ・ティアーを繰り出し、弾く。

 

「へぇ、やるじゃない――」

そういうと、ユウキは、空中で体を一回転させる。すると剣に黄緑色の光が灯り、次の瞬間光の帯を引きながら攻撃を繰り出してくる。だが、素直すぎるその攻撃はカウンターを誘いやすい。

 

「――ニュートロン!!」

レイピアによる高速の5連続の突きを繰り出す。その攻撃に、対処せざるを得ないユウキ。

ユウキはその攻撃を身体をねじって避ける。だが、これで攻撃が終わるわけではない。

 

ユウキの視線の先には白い光を放ったオーフェリアの細剣。

 

「――ッ!!」

彗星のごとく全身から光の尾を発しながら 突進して剣で攻撃をおこなうフラッシング・ペネトレイター

をオーフェリアは繰り出した。


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