①ミナトとクシナが結婚する
②クシナがトグロのハーレムに入る
③クシナが逆ハーレムを作る
④ミナトがクシナと結婚し、トグロがクラマと結婚する
さあどれ!?
「つまり、クシナは俺の嫁ってことでいいのかな?」
クシナの頭を撫でながら周りを見渡す。勝利宣言のときは、綱手とカルラがかなり勢いよく叫んでいた。今は呆然とこちらを見ている。
半蔵に視線を向ける。『俺に聞くな』とでも言いたげに睨まれ、プイと視線を逸らされた。大蛇丸はクツクツと腹黒そうな笑みを浮かべている。ヒルゼンはしまったという顔だ。
月は俺が勝ったと知って笑顔だ。小南もホッとしている感じがする。後から聞いたのだが、この2人はクシナが桃隠れにいた方が本人のためにいいと思っていたそうだ。桃隠れなら木の葉のように化け物扱いされない。逆にとても人気がある。ミナトに関しても、逆ハーが合法だから問題ない。などなどが理由だ。
ふと、クシナが話し始めた。クシナというよりクラマだが。
「わし、…………。あたしを舐めくさりおって。ゲームの勝敗で結婚を決めようなどと。だが、逆にこの機会を利用してやるわい。わし、……んっ、ががっ、ごほんっ。あたしはトグロの妻になる。…………って、てばね」
クラマよ。それでクシナの真似をしているつもりか? 目茶苦茶恥ずかしがってるじゃないか。かわいいと思えばいいのか?
「ク、クシナ、そんな……」
しかし、ミナトには通用したらしい。負けた衝撃で頭が真っ白になってるだけかもしれないが。
ミナトは呆然としてクナイを落とす。金属音が響く。
「おいミナト! これは違うだろう! 明らかに九尾じゃないか!」
「おいトグロ! 醜い真似はやめろ!」
「さすがですご主人様! 勝利ですね! その女はどっちでもいいですけどね!」
自来也、綱手、月がこちらに駆けてくる。
月は両手を広げて俺にダイブ。俺も両手を広げてキャッチする。
「きゃふっ。さすがです!」
「うむ。また勝ってしまったな」
「わしも入れろ。って、てばね」
「ふむ」
と、クシナも後ろからに抱きついてきた。クシナというより九尾だが。クラマと言った方がいいか?
両手に花だ。まあハーレムには両手で足りないくらいいるがな。
「ミナト! しっかりせい! こんなもの不正だ!」
「クシナが、クシナが僕じゃなくてトグロを……」
「おいミナト! チャクラを感じれば分かるだろう! あれは九尾だ!」
「ミナト、心配するな。うちはハーレム制だ。愛しあった男女には全組にチャンスがある。なんだったら私が慰めてやろうか?」
「つ、綱手ぇ……」
と、綱手の発言で自来也まで魂が抜けたようになってしまった。
「な、なにくそーっ! 諦めないど根性! それでわしは勝利をつかんだ!」
いや、すぐに復活した。この男は綱手が遊び人だと知っているからな。
その後、俺達は微妙な感じで解散した。帰り際に、若い女達がミナトのもとへ集まっていた。傷心のイケメンを狙っているのだろう。性欲に満ち満ちているのはいいことだと思う。
この日は桃隠れメンバーで同じ宿舎に泊まった。おいしいものを食べて、お酒を飲んで、お楽しみへ。ハーレムの中に九尾状態のクシナも交じった。
クラマは上機嫌だったが、やっている途中で、クシナの眼からつーっと涙が落ちた。
そこで、クラマの独り言が始まった。クシナと言い合っているらしかった。
「いい加減諦めろ! 貴様等が勝手にわしを封印したんじゃろうが! 何故わしが小娘の恋愛事情を優先せねばならん! 我がまま言うな! 今まで肉体の主導権を認めてきたじゃろうが! わしだってあの金髪の肉棒が入ってくるのを感じておったのじゃぞ! せめて同じ回数わしにヤらせろ! 不公平だぞ!」
長い独り言だった。
「はあ!? ミナトとかいう女みたいなガキより、トグロの方がずっと男前じゃろうが! はあ!? き、貴様、角をバカにするのか!? 阿呆が! 六道仙人の姿も知らんのか!? トグロこそあの爺ィに最も近い男じゃ! 女みたいな男など比較対象にすらならぬ! だいたい、木の葉はわしどころかお前を化け物扱いしとるじゃないか!? 何故帰ろうとする!? ミナトが火影になって里を変える!? あのガキにそんな力あるわけなかろう!? バカも休み休み言え!」
あんまり長いので、エッチは休止となった。しかし、クラマの独り言がとても新鮮だった。いろいろと事情が分かった。
クラマとクシナの感覚がリンクしているので、クシナが感じればクラマも感じること。クシナのエッチは、クラマにとって好きでもない男に縛りレイプされているようなものであること。六道仙人には角が生えていたこと。俺の容姿が六道仙人に似ていること。クラマが俺のことを六道仙人と比較するほど評価していること。そもそもクラマは六道仙人のいる時代に生きていたこと。
クラマが性別で言えば女であり、俺に惚れていたらしいことは知っていた。エッチすると喜ぶし、ある日恥ずかしそうに名前を教えてきたからな。だが、思ったより人間の女の子らしい思考をするのだなあと思った。年齢で言えばババアだが。
その日から、一週間に一度クシナが俺と寝ることになった。他の日は全てミナト行きだ。クラマとしては、6日対1日でかなり譲歩したと思う。が、クシナはまだ不満らしい。ミナトの方がクラマに理解を見せた。間接的レイプについて、土下座で謝ったらしい。その後も、クラマに軽く一言入れてからクシナとヤッているらしい。俺なんて、ヤった次の日は毎回クシナに土下座しているがな。それでもボコボコに殴られるし。
明らかに、俺とクラマの方が譲歩していると思う。周りはあまり認めてくれないが。忠誠心の塊の娘は認めてくれる。初、月、ミゾレ、ダイナ、カグヤ、サヨコ、マリ、小南、……。なお、小南は逆ハーにも理解がある。彼女も弥彦や長門とやっている。実はかなりエッチが好きで、体も綱手並みにエロい。昼の天使様、夜の淫魔様である。
同盟軍は基本的に雨隠れで生活する。休みの日には各自里に帰ることもあった。また、戦後まもなくでインフラ復旧に人手が不足しているので、里からの要請があればそちらを優先することもできた。
桃隠れは戦後復興がもう終わっていた。というか必要なかった。地理的に同盟軍の真ん中であり、第三次忍界では全く戦場にならなかったからだ。死者も率で見ると著しく少ない。よって、戦後の主な仕事は他国への支援だった。食料、着物、資源など。修行や研究にはもちろん力を入れたし、砂漠の緑化も継続して行った。あとは、ハーレムで桃色な生活を楽しんだ。
なお、クシナと俺は仲が悪いわけではない。むしろかなりいい。エッチが終わった朝は殴られるが、その後は笑顔で話ができる。くよくよ悩んだりしないのはクシナの美点だ。頭が悪いと言ってはならない。
しかしある日、クシナが俺に一枚の紙を見せてきた。見覚えのある名がズラッと書かれていた。紙の一番上には『クシナとミナトの結婚を認めるか』とあった。つまり、これは署名である。
「どうだってばね。綱手さんも三代目様もあたしの味方だってばね」
クシナはふふんと得意げな顔になった。俺は失笑を堪えつつ口寄せの術を使った。
「クシナ、民主主義ってなんだ?」
「えっ」
俺が口寄せしたのは、100枚近い紙だった。その全てにギッシリと名前が書いていた。紙の一番上には『クシナとトグロの結婚を認めるか』とある。
クシナがチマチマと著名していたのは知っていた。ならばと、こちらも数の力を見せてやることにしたのだ。
木の葉の娘はミナトを狙っている。ミナトには結婚しないで欲しい。火の国の一般層はクシナ、というより九尾を嫌っている。クシナが火の国に来ないでほしい。桃隠れはクシナと九尾が好きだ。クシナには傍にいて欲しい。俺と長年コンビを組んできて、2人なら上手くいくとも思っている。
つまり、木の葉と桃隠れで多数決を取れば、圧倒的に俺とクシナを結婚させたい層の方が多いのだ。
クシナは俺の出した紙に目を通し、ガックリと項垂れた。かと思えば、急に復活した。
「こ、こんなの! 違うってばね!」
「何が違う?」
「多数決は民主主義じゃないってばね!」
「うん?」
「多数決は民主主義じゃないってばね!」
「つまり、どういうことだってばよ?」
あれ? 語尾がつられちゃった?
「多数決は民主主義じゃないってばね!」
「民主主義ってなんだ?」
「多数決は民主主義じゃないってばね! 数が多いから正しいわけじゃないってばね!」
それは正しい。だが、お前がやろうとした著名は多数決による圧力だ。
「民主主義ってなんだ?」
「数の暴力だってばね!」
答えとしては微妙だが、表現が豊かになったな。学園の成果が無駄にこんなところで出たか。
その後、約30分、民主主義について語り聞かせた。クシナは著名の敗北を悟り、ぐだーっ、と大の字になって倒れた。かわいかった。
ある日の朝、クラマが言ってきた。
「桃太郎って知っとるか?」
驚きだった。前世の昔話がこちらにもあっただなんて。
「え? あの桃太郎か?」
「どの桃太郎じゃ?」
「いや、うん」
まあ、この世界の作者が日本人で、日本的な風習もたくさんあるから、ありえなくはないが。
俺はクラマに桃太郎の内容を語っていった。お爺さんが山へ柴刈りに、お婆さんが川へ洗濯に。すると川上から大きな桃が流れてくる。お婆さんは驚いてその桃を家に持ち帰った。そこで桃を割ってみると、桃の中から赤ん坊が出てきた。桃から生まれたので桃太郎と名づけ、お爺さんと一緒に育てることにした。
「なんじゃ? そのばったもんは」
「え? 違うの?」
「偽物に騙されおって。情けない」
今度はクラマが物語を語った。
「お爺さんは山へ馬狩りに。妖艶な奥方は、川へ血洗いに出かけた」
うん。ツッコミどころだらけだな。馬狩りってなんだ? 爺さんめっちゃ強いのか? 妖艶な奥方? お爺さんとのバランスは? 奥方はなんで血を洗ってんだ? 妖艶ってそういう意味か?
「桃みたいな実が流れてくるのは一緒じゃ。まあ、もとは白い実じゃったがの。血がついて桃色になった。奥方は桃を家に持ち帰る。ここも一緒じゃな。じゃがの、夫婦は桃を食べるのじゃ。大きい実じゃったが、食べ始めると止まらない旨みがあった。桃はあっという間になくなった。そこで、夫婦は精気が漲ってくるのを感じた。2人は驚いてお互いの顔を見合わせた。そこでさらに驚いた。お互いに若返っていたからじゃ。精力旺盛になった夫婦は、その日から子作りに励む。そうして元気な男の子が産まれる。名前は桃からとって桃太郎。桃太郎は強く、逞しく成長し、やがて鬼退治の旅に出かけた。必殺技は母から学んだチャクラの玉。道中、調子に乗っていた猿犬雉にブチかまして、口寄せ契約を結んだ。そいつら使って鬼をやっつけた。鬼に捕らわれていた娘を家に連れて帰った。母は反対するが、桃太郎は娘と結婚した。そんで母を置いて街に引越しちまうんだ。バカ息子がよお」
「へえ」
かなり似ているが、全体に生々しいな。それに、母が妙に出しゃばっている。というか、クラマが母に感情移入しすぎている。まさか知り合いか? 本人のような気さえするのだが。
「桃が実在するとしたらどうする?」
「へ? どうするって? そりゃ食べたいけど」
「なら作れ。わしが作り方を教えてやる」
「うへぃっ!?」
マジか。なぜ知ってる? やっぱ実話!? 奥方が九尾!?
「情けない顔をするな。さっさとやれ」
おそらくそうなのだろう。後でクラマが酔っ払っている時にでも確認しよう。
その後俺は、クラマに言われた通りの物を用意した。大地の実と、雪解け水と、若い娘の血だ。大地の実がある時点で、俺がいないと作れない代物。まさか、桃太郎の父は六道仙人だったりするのだろうか。彼は俺に似ているらしいし、俺に作れる実くらいは彼も作れるだろうから。それも酔っ払った時に聞いてみよう。
桶に入れた雪解け水に、大地の実を浸す。茶色い大地の実が、白く、透けていく。そこに若い娘の血を混ぜる。血が実に染み込み、実はピンク色になっていく。
「特別にわしのチャクラで作ってやろう」
クラマが実にチャクラを込めていく。実が途端に巨大化していく。パンパンに膨れ、桃のような形になる。ついには桶から飛び出した。
「まあ、こんなもんでいいじゃろう」
クラマはそう言うと、クシナの体で桃に齧りついた。それはそれは勢いよく。
いつ離れるのかと思ったが、最後まで離れなかった。全部1人で食べてしまった。
「えっ!? 俺にくれるんじゃないの!?」
「なぜお前にやらにゃいかん」
「いや、手伝ったじゃん。男女で食べるって話だったし。というか、食べたいなら作れって言わなかった?」
クラマは俺の言葉に応じなかった。
しかし独り言を始めた。クシナと喋っているらしかった。
不意に、クシナと人格が入れ替わった。チャクラの衣が無くなり、クシナの地肌がよく見えるようになった。確かにつるつるピカピカになっている。若返っている感じがする。
「なんて言ってた?」
「なんか口寄せして欲しいらしいってばね」
クシナは面倒そうに指を噛み、口寄せの印を結ぶ。
「口寄せの術!」
そして出てきた。金髪の美女が素っ裸で。
「な、何やってるってばね! あんた!」
クシナが美女の頭をバシンとしばく。しかし叩いた側のクシナが手首を押さえる。
当たり前だ。目の前にいるのはいつもより漲っている九尾なのだから。もっとも、クシナのダメージが彼女にも行くので、手首を押さえているが。
「どうじゃ? なかなか美人じゃろう?」
「うん。まあいいけど。変化でしょ?」
「愚か者が。その白眼は何のためにある?」
そう言われて、白眼で隅々まで見てみる。
おっぱいと股に目がいくのは仕方のないこと。だがそこで気付いた。あまりにも精巧に変化している。というか変化の術ではできない部分も再現できている。これは、変化ではない?
「やっと分かったか。これはお前達の使う偽物の変化とは違う。もとは、わしのような存在が人間になるのを変化の術と言ったのじゃ」
「へえ」
これは驚いたな。でも、前世のことを考えると、変化は狸や狐の得意技だった。ありえなくもないのか?
葉っぱの代わりに桃を使ったのかな? アレを桃と言っていいのかは分からないが。
「よし。ではわし等も子作りするぞ」
「今から? えっ? というか子どもできるの!?」
「チッ。情けない。桃太郎の話をもう忘れたのか」
「いや、うん。まあいいけどさ」
クラマの言う桃太郎って、人間が若返る話じゃなかったっけ? 若返るのは狐でもいいのか? というか九尾って狐か?
問題の正解は
④ミナトがクシナと結婚し、トグロがクラマと結婚する
でした。ものすごくツッコミ所満載で申し訳ない。
カグヤ姫がいるので桃太郎もセーフかなあなんて。クラマは元がカグヤなので性があるとすれば女かなあと。金毛九尾と言えば女ですし。元が木なので両性かもしれませんが。
民主主義とはなんでしょう? イザナミでしょうか?
このネタですが、初めはダンゾウに選挙ラップを歌わせる予定でした。
以下の感じのネタでした。
「火影になりたいが、わしは暗いイメージが強すぎる。よって、俗世間の人気取りの真似をしてみることにする。若い娘の票を狙うのじゃ。決してモテたいわけではない」
ダンゾウ、グラサンのラップダンサーを雇う。
「はいワンツーワンツー!」
「ワンツーワンツー」
ダンゾウ、ダンサーの声に合わせて手を叩く。ラップを歌い始める。
「卑劣主義ってなんだ!」
「なんだ! ちぇけら」
「卑劣主義ってなんだ!」
「なんだ! ちぇけら」
「名声などいらぬ」
「名声やめろ!」
「たとえ卑劣となじられようとも」
「ヘイトスピーチ容認!」
「あらゆる苦難に忍び耐える」
「あらゆる戦争反対!」
「全ては里のために」
「全ては世界の子ども達のために!」
「勝手なアレンジはやめてもらいたいが」
「重-い! 重い重い重い! ちぇけら! それじゃあユーのソウルはビートに乗ってこねえぜ! ちぇけら!」
「そ、そうか?」