【Blaze.Over.Color・紅蓮の巨人は何のために戦う】   作:三号機

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第14話、闇の中の光・少年答えを見つけるとき・後編

「おい、なんだあれ?」

 

と…この異常事態を見守る観客の中に

 

 

場違いなデュエルアバターがいた、いやデュエルアバターではない。

人間…正確には、ヒト型ダミーアバター。

 

その姿は年老いた燕尾服を着た老人、右手にはステッキを持って…これで終わりか?

と、様子を見ながら観客席をみている。

 

 

そこに

 

 

「そこの紳士の方お隣かまいませんか?」

と声かけられたので、振り向くと紳士の老人は目を奪われる。

 

その声をかけたものは、同じ人型のダミーアバターだった。

だが、容姿は真逆、若い金髪の少女のアバター、目元には琥珀色の蝶の仮面をつけている。

 

 

「ふぉふぉふぉ、いいですよ…終わりかけですがお祭りを

ゆっくり、みたいでしょうから…どうぞ!どうぞ!同じダミーアバターじゃないと

騒がれる身なのでしょう?それに麗しきレディーなら、尚のことですよフォフォ」

 

紳士は満面の笑みで、少女に隣り座るよう促した。

 

「すいません、内密で来たようなものですから…」

少女は紳士の隣に座り…。

 

 

「で不躾じゃが…この終わりそうな戦いどう見える?」

 

指をさし、今二人が見ている物…

 

もう一方は立ち上がった右目の眼帯が削れ閉じた状態の傷を負った右眼が

露わになった、ダークブルー・アサシン。

 

もう一人は濁った炎色で倒れ動けなくなった、ブレイズ・パイロット

 

 

 

「一方は満身創痍ながらも、立ち上がり…もう一方は零化現象で再起不能

まぁ状況を見れば、一目瞭然じゃが…あなたはお嬢さんはどう思う?」

 

再度同じ質問かつ、状況を説明をしもう一度聞く。

 

「クスクス、貴方答えが解っていて聞いていますよね?

答えは簡単ですよ、まだ終わりじゃない」

 

 

「フォフォ、あなたもそう思いですか…

なら楽しみましょう、祭りは始まったばかりですから…ふぉふぉふぉ」

 

 

 

 

14話、闇の中の光・少年答えを見つけるとき・後編

 

 

ある少年がいた、彼は将来有望な野球少年だった。

 

 

才能とも言うべき、強靭でしなやかな肩から繰り出される剛速球

どんな、返しでも見事にキャッチできる反射神経と運動神経

そして、野生の動物のような感と、知将のような戦術で

リトルリーグでエースを張っていた少年。

 

 

 

 

 

だが、彼を襲う事件は起こる…。

 

1軍と2軍とのメンバー全員を、ミックスした混合軍同士の練習試合で

 

7回表、同じ一軍そして親友だった友がバッティングするとき

3回から投げていた少年は、体力が切れかけていた状態だった。

 

友との打順が終われば、交代する手はずだった…。

 

少年は最後でもあってライバルだった親友との一戦で

力みと体力切れが相まって、豪速球の球がすっぽ抜け…

 

そのまま、キャッチャーミットではなく…

 

親友の顔に向かって迫り…

 

親友は避けきれずに…顔面に直撃し…

 

そのまま後ろに倒れこむ…。

 

それを見た、少年は絶叫する大好きなもので大切な親友を傷つけた事によって…。

 

幸いかつ奇跡的に怪我は軽傷で、後遺症も残らずにすんだが傷跡は残った…

この事件により両者の間の交友関係は、ひびが入り

親友はそれを引きずることになる。

 

 

これが、ある男の傷…

 

 

そして電脳世界の特殊なオンラインゲームで、デュエルアバターを操作するようになった

成長した少年は…ある理由で

 

 

再度友情の輪が崩壊するのを恐れて…

 

功を焦りすぎて…

 

 

 

『宣告・抱擁による死(デス・バイ・エンブレイシング)!』

不意打ちにより、首を叩き落された。

 

今度は、焦りすぎた結果…友の手を汚させてしまった…。

 

 

加速世界から退場するはずだった、銃匠と呼ばれた男の傷…。

 

そこで消えるはずだった…

 

 

 

ある悪意に捕まり、精神だけハイエストレベルに幽閉されていたある日。

 

 

赤い中国胴衣を着、背には両翼とも炎の翼をはやした

赤い長髪の男に出会う。

 

否、意識のみの黒い空間で自分すら自分がどこにいるかわからない。

なのにその男は自分がそこにいると確信している。

 

―誇り高き小さな戦士よ、卿の無念…四神の一柱、【ス■■】である我が心を動かした。

あの【儚き永遠】の名を持つものに感謝せよ、そしてあの儚き永遠に一泡を吹かせたいのであれば、我と契約せよ…なぁに、対価は簡単よ、帝城の奥の更に奥…八神を超え…

≪∞である∀の陽光≫を手中に収め、三騎士に守られている

かの者を玉座から引きずりおろす…その為には―

 

 

―αであり、Ω司る太陽…未だ富士の頂上の火口で眠る魔剣を

抜く者…あの騎士が興味を示した、我が祝福、アイングラットの祝福を受けた者を

卿がほんの少しでいい、手を差し伸べてやってくれ―

 

―どうだ?また限定的だがミーン・レベルの世界に行けるぞ?

何、戦友を傷をつけた?戦う相手だったのであろう?

何故、他者の傷を労わろうとする?それは戦いの勲章であろうに…

なるほど、相手を知らず知らずに追い詰めすぎ、相手に余計な心の傷をつけさせて

しまったのか…それが卿の無念だったな…―

 

 

何も言わずに、黒く濁った海のなかで拘束された

赤いデュエルアバターに独り言をいう、赤い鳥を彷彿させる男。

 

―何とも人間というのは、少々面倒な生き物であるな…。

闘う友であれば、いっそ貴様を殺めた絶対切断の様に壊せばよかろうなのになぁ…

なら一ついいことを教えてやろう、小さき戦士よ、銃匠の名を持つものよ、

我が観測したところ我が祝福を受けた物は、今は暗黒星雲の名の集団と行動をともにしている、これでやる気が出たのではないか?―

 

 

ロータスのレギオンに?

 

 

―如何にも、さらに詳しく説明をすると

卿達が言うレギオン成るものに所属し、赤騎士…天に聳える岩の世界の

王が面白き余興を施したのだが…如何せん、私も面白がって様子見をしていたのが

悪かった、彼の者は少々時間が足りなかったとみる…。このままでは、我らの悪乗りで…

希望が消えかねないが、今の我の本体は帝城の門の一つを守護する役目を持っている…

早く言えば、動けないのだよ。

ここまで言えば解るかな?小さき者たちの戦士の王よ―

 

 

―元・王か…まぁ言い我らには些細なこと、肝心なのは…

替えが利かない、太陽の魔劔の適合者、われのお眼鏡に叶ったものがようやく出てきたが…

このままだと消えるのだ、あの魔劔は陽光に至るための重要な最後のピースだ

われら二人の悪乗りが悪いのだがもし、少年が消えるのであれば…

前の2世界同様な道をたどるやもしれない…

その言葉を聞けば、絶体防御ともにハイエストレベルを調べてた

卿には解るはずだ―

 

 

グランデと俺が…そう言うことか…

争いを象徴するAccel Assault 2038と平穏を象徴するCosmos Corrupt 2040

両世界…グランデと俺の推理は有ってたのか…

 

イイだろ…四神…!

 

 

「その契約乗った!」

 

声が出ず、意識のみだった少年はその瞬間

 

赤くカウボーイハットのデュエルアバターの姿になり、其処から更に白く輝いた

球体に変化し飛び立っていく。

 

 

―契約成立だ、【Heathcliff】…お前だけに余興はやらせはせんよ。

それに、我は我の私案がある。

彼の者は何としても、我が前に来させなければならん…

四神、否…我は我の思うが儘に…動くために!

故に四神の役目という呪縛を断つ、一振りの劔がいる…

期待しているぞ、我が名を受け継ぎし少年よ…

我が野望成就を果たさんが為に…速くその殻から出るのだ―

 

それを見送った、赤髪の男は不敵に笑い

 

自身の体が炎に包まれた瞬間、一つの赤い羽根を残し暗闇の空間から姿を消す。

 

 

 

 

 

 

 

 

『あああぁああああ!?』

 

 

『嫌だ嫌だ嫌だ!!』

 

 

『どうして、あいつばっか』

 

『たすけてぇええええええええええええええ!!』

 

『よくも裏切ったな!!』

 

『テ、テイカー!お、お前!!うわああああああああああ!!』

 

『あははははははは、全部こわれちゃえ!』

 

『なんで…!マゼンター、止めて!?』

 

 

黒くどろどろの沼のような怨念と怨嗟、後悔が渦巻く

 

どこかの世界…

 

僕はその世界にいた。

 

デュエルアバター体ではない、リアルの自分がそこにいた

 

「ここは何処?」

 

檻なのか?ふとそう思えるような世界…。

 

自分はさっきまで…ああ、戦っていて…

自分が化け物だって解ったんだ…

 

そう今思えば

 

空手が好きだったんじゃない

 

 

戦うことが好きだったんじゃない

 

 

友が辞めた理由を知りたかったんじゃない

 

ネガ・ネビュラスに入ったのも、レベル10になることじゃなかった。

 

 

 

ただ単純だ、人を傷つけたかった…それが僕の本心

 

 

本質であり、本当の僕の素顔だ。

 

 

加速世界に、あの三人の下には帰れない!

僕は彼らの崇高な使命を果たせる資格はない。

 

僕はネガ・ネビュラスに入っちゃいけなかったんだ!

彼ら戦士だ、チャレンジャーだ。

化け物がいていい場所じゃない。

 

そうだ、解っていた

あの事件の後押し寄せてきた、どす黒い感情に酔いしれそうになった。

誰かを傷をつけて喜びそうになった、自分自身に恐怖をした。

前々人づきあいが苦手だったのも、誰かを傷つけないためだった。

触れただけで壊れそうで脆い…

そしてその後、近づいてくる人間をまた傷つける

それが怖かった、また、また…自分が抑えられなかったら…

あの悪夢が…再現されてしまう。

 

怖い自分が、どうしようもない自分が、醜い自分が…

抑えられない自分が

 

 

「怖い!!」

 

 

ああ、この檻は僕にふさわしい…

 

 

 

≪おいおい、未だ隠されているが…あいつが創ったこの憎悪の嵐の中で

意識がしっかりしてるって、マジでお前すごいな…

まさか俺の鎖をたどって、ここに来るとは大丈夫か?≫

 

 

怨嗟ではない声が聞こえた、振り返ると

 

白いカウボーイハットのデュエルアバターがそこにいた。

 

「貴方は…?」

この声どこかで…

 

≪ん…?おれかそうだな…俺の名は使ってもいいけど…

もういない身だしな…ここは親戚の名をとってアンドリュー・ギルバート・ミルズ、

アンドリューと呼んでくれ…少年≫

 

色表記の名前じゃない?いや今思い出した、この声頭に響いていた声だ。

 

 

 

≪帰らなくていいのかい、色のない少年…まだバトルは終わってないぞ?

何なら、先輩であるこの俺が相談に乗ってもいいのだが?

年齢は、お前のレギオンマスターと同じだから、1つ上だけだが…

加速世界年齢では、年長者だぞ≫

 

右手を自分の胸に押し当て、任せろというかのようなポーズをとる

アンドリューさん。

 

ロータス先生を知っているのか?というよな口ぶりでしゃべる

 

「…それじゃ…」

と重たい口を開く、自分…

 

 

 

≪…成程な、それがお前の本質で…このバトルで答え見つける前に…

自分の醜い部分を見つけてしまったのか…しかも大事なバトル中に零化現象…

うわぁ…加速世界でも最悪なケースだな…≫

 

「れ…零化現象?」

 

 

≪日本語では零化現象、英語訳するとゼロ・フィル…

後者よびが基本、ここテストに出るからな!

BRAINBURSTは、俺たちが首についている、ニューロリンカーが

脳の思考電流、簡単に言えば魂から送られてくる情報信号が

0に埋め尽くされたときに発生する現象…

無力感や、諦めのようなイメージがニューロリンカーの

イマジネーション回路を大量に流れ込んだ結果、デュエルアバターを≪動けない≫という

情報に上書き…オーバーライドすることを言うんだ。

一度、これにかかると復帰は難しいが…お前の場合は

やろうと思えばいつでも復帰できるだろ?

なんて羨ましいやつ、俺なんかリアル三日これにかかって戦えなかったからな。

こんな悪趣味な檻から出て、レギオンの仲間のところに帰ろうぜ。

レギオンメンバー、しかもロータスの処だ、負けても怒りはしないさ≫

 

零化現象ゼロ・フィルの説明を聞き

 

最後にとんでもないことを聞く、戻る?

戻れるのか?ここから…だが

 

「駄目だ、ゼロ・フィルだろうと、檻だろうと…

僕は出ちゃいけない、答えは出た!

ボクハ前ニ進んジャイケナインダ!

モウだレカヲ傷つけたくナイ」

 

蹲り叫ぶ、少年田所龍馬。

 

 

すると、足下の黒いものが足を絡め飲み込もうとしている。

 

同化しようとしているのだ。

 

 

≪おいおい、止めろ!ここに居続けたら正気を保てる。

お前でも飲み込まれるぞ!そんなもの、お前の親も!仲間も!ロータスも望まねぇ!≫

 

叫び手を伸ばそうとする、アンドリュー。

 

 

「ボクハもう…闘えナい」

 

≪ダメだ、ダメだ!お前が何故すぐにゼロ・フィルに

復帰できるか解るか!?それは原因であるお前のデュエルアバターのお蔭だ!

目を覚ませ、壊したくないと思い焦った俺と!

俺と同じ道をたどるな!そこから先は絶望と後悔の世界だ!≫

 

 

 

 

叫ぶアンドリュー、だが今の彼では声が届かない。

 

 

 

 

 

 

 

一方そのころコロシアムステージ

 

 

カツンカツン、ゆっくり立ち上がり歩くダークブルー・アサシン

 

会場はさっきの歓声を鳴りを潜め、目の前の倒れたデュエルアバターを注目する。

 

会場内は、この現象を知ってるのかもう無理だ、まさか…何で?

という言葉と意識が統一している。

 

「…くっ!逆効果だったか!」

 

総司郎は、歯ぎしりをし…失敗したと思った。

彼の狙いは、サンの計画は眼中にはなく最初から

龍に100%の力、本気を引き出させあの事件を吹っ切らせようと…思った。

 

 

 

俺は少なからず昔のこいつを知っている。

ビビりだったが、格闘技が強く…

相手を見下さず、礼儀正しく優しい奴だった。

今思えばこいつの周りにはそれを親しみやすかったのか

人があいつを中心に集まっていたな…。

 

その輪を俺が壊した。

 

 

ここまでの戦うまでの流れは、俺の予想通りだった。

 

ああ、戦いで俺の本気まで使わせて…あと一歩のところだった。

それが引き金だったか…

 

どういう現象かはわからないが…これだけは解る。

 

もうこいつは戦えない、誰もがそう思った

俺もそうおもいこれ以上戦いを長引かせないように…

 

光滑刀を腕の甲から展開する。

 

 

「すまない…全部俺が悪かった…終わりにしよう!」

 

光滑刀の腕を上げ、自分の最強の必殺技

【刃乃園】をコールしようとした時だった。

 

 

 

『…おきぃやぁがれえええええええええええ!パイロットォオオオ!』

 

「っ!?」

会場内を震わす大絶叫、不意打ちでくらった為自分も片方の腕で耳を抑える。

 

今叫んだ主は、間違いない実況席の変なデュエルアバターだ。

 

『こんな、こんな所で倒れるなぁ!立ち上がって!…トラや私のとき見たく立ち上がって!逆転して見せろぉ!』

 

実況の役を放り投げて、叫ぶラプター。

 

 

 

『そうだ立てパイ!おまえを倒すのはおれだぁ!!何時までもルーキーに負けっぱなしは

性に合わねぇ!立ちあがれ!』

 

今度も実況席から、ラプターに感化され止めるどころか自分も解説を放り出して叫ぶ

ホーン。

 

 

「いいや、そいつは俺様の獲物だ!だから立ち上がれパイ!!お前は部族

蒼灯武装団が倒すんだ!頼むから立ち上がれ!」

 

「立ち上がってください!族長倒した男が、そんなところで倒れるなんて

僕は許さない!」

 

「戦えパイ!戦友!!ダチ公!」

 

今度はへんな民族衣装三人組がそれに当てられて、叫ぶ。

 

 

そしてそれが切っ掛けだった。

 

 

「そ、そうだ!59連勝の鬼がこんな所で負けるなぁ!」

 

「立て!また強豪と戦った時のように、立って戦え!」

 

「お前を倒すのはこのおれだぁ!だからそんなやつ倒しちまえ!」

 

「ヒーロー立って!」

 

「消えないでくれ!?」

 

「同じ赤系で、尊敬していたんだ!!」

 

「俺はお前をヒーローだと思ってるんだ!ヒーローがこんな所で負けないでくれ!」

 

 

「「パイ!パイ!!」」

 

ラプターの叫びが切っ掛けで、会場プロミネンス組とネガ・ネビュラス組以外の

大多数100名近いバースト・リンカー達、ダークブルー・アサシンのファンでさえ…

 

パイに向かって叫ぶ…

 

【立ち上がれ】と

 

【目を覚ませ】と

 

【戦ってくれ】とパイに向かって叫ぶ。

 

 

VIPルーム

 

「な!?」

 

レディオが椅子から立ち上がり、この状況を見て驚愕する。

 

 

「凄いわね…会場の心が約一部を除く全員一つに揃った。

あの子の何にひかれているの…?」

ゼロ・フィルをみて、もう終わったかと思っていたソーンですら席から立ち上がり

会場の下を眺める

 

 

「奴の戦い方、戦う姿勢にある種のカリスマ性が生まれたのか…

いや元々会った魅力が会い余って…会場の心をつかんだ

それにこの状況で立ち上がれば…」

 

 

「まさにヒーローか…パイロットこの声が聞こえないか

聞こえるのなら…パイロット立ち上がって見せろ…」

そして、ブルーもグランデも立ち上がって…

 

 

このバトルを眺める。

 

 

 

 

違う席にて

 

口を開けて、この状況に一番驚いている男がいた。

何を隠そう、彼ブレイズ・パイロットの親である…

 

ヴィジリアン・ランナー事金案寺信彦その人だった。

 

会場は今まさに、パイコール一色である。

 

「ふふふ、不思議そうね狼君」

と横から声をかけてくる、レイカー。

 

「ええまぁ、まさか自分の子がこんなに人気だったとは…」

ポリポリ頬をかくラン、これは自分ですら予想外である。

 

 

「あの子が出てきて、ネガ・ネビュラスに入った切っ掛けの

59連勝の記録、そしてネガ・ネビュラスに入ってもなお…

彼を倒したのは、極僅か2人ぐらいって話よね?

かなり危ないバトルをしても、どんなに追い込まれても

立ち上がって勝つ、そんな彼はまさにヒーローという希望だって

アッシュが言っていたわ…私から言わせたら、あの子は起爆剤ね」

 

パイコールに参加しているメイデンを他所に話が進む。

 

 

「起爆剤すか…?」

 

「そう起爆剤、知ってるラン…あの子が出てきて以来

何度でも使える、リプレイ・カードが流行しているの…

皆彼を倒そうとして、研究目的で買ってるみたいよ…

この六王たちによる不干渉条約が引かれ、レベルが上がりにくくなった

今の停滞期のこの状況で、彼を倒すために腕を磨き研究し、他のバースト・リンカー

さらに中小規模のレギオンですら、彼のおかげで活発になって激しく凌ぎを削っている

らしいわ。また上を目指すために」

 

そう、鴉の飛行アビリティでの希望を見出し

パイによって、また上を目指そうと駆け上がろうと

 

思い始めたバースト・リンカーそしてひいては六大勢力以外の

無名のレギオンですら、彼のバトルを見て熱くなり…

活発に領土戦を繰り広げ、赤・青・黄・緑・白・紫の六大勢力にも喧嘩を吹っ掛ける

レギオン達が増えているのだ。

 

「誇っていいのよ、ラン。貴方があの子を子としたから

皆がまた上を目指そうとしているわ、私はそれが羨ましい…。

あの子なら私が、私が見れなかった世界を風景を見れるかもしれない…

お願いまた、立ち上がって私に見せて…」

 

そして願うように祈るレイカー

 

 

「ああ、やっぱスゲーわ。うちのガキわよぉー

本当に俺なんか…いなくても…だからよぉ…立ち上がれ…

俺とは違うってところ見せろやぁ」

 

笑いながら、顔は悲しい表情をするラン…

 

 

 

 

 

 

 

 

???・怨嗟と絶望の世界

 

 

≪なんだ声が!?≫

 

叫び手をつかみ、泥沼から引っ張り出そうとしている

アンドリュー、その時だった。

後ろから幾重の小さな光の筋が、何本も彼を照らす用に現れ

おまけに微かだが、声が聞こえてくるではないか。

 

 

 

 

『パイ!?起きろ!?』

 

『起きるんだ!ゼロ・フィルに負けるんじゃない!?』

 

『僕が言った言葉を思い出せ!?』

 

『勝ち逃げなんて、許さねーぜファック!』

聞き覚えのある声と同時に、次々と呼び続ける声が

 

 

『パイ!』『パイロット!?』『色被り!』

『パイロット!』『起きやがれ!パイ!』

みんな自分を呼び、たてと…頑張れと叫ぶ

 

 

「な…ンで・・・?」

 

どうして…?僕はそんなことを言われる資格はないのに!?

 

 

『それは君が好きだからだよ…田所龍馬君』

 

その時だった、暗闇の空間が震えて

真紅の扉が出現し…扉が開かれ現れる。

 

 

ルビーの用に赤く塗られた真紅の鎧

そして顔は、六角形のルビーの鉱物が合わさり、クロウのような

バイザーを形造り、後ろは金髪の髪がはみ出ている

そして背には純白のマントを羽織っている。

 

『私の名は、ノーバディ・グランドマスター…と言っても

私の存在は後で消去させてもらうが、それはさておき、ハイエストレベルを不法アクセスする、存在が現れたと思い…じゃんけんで負けて来てみたら

こっちに来て正解だったな』

 

沼に沈みかけ、光が当たった龍の前に庇うように立つ

アンドリュー

 

≪やはりか、ノーバディ…グランデが言っていたことが正解か!?

こいつをどうする気だ!?≫

 

『やー、元・赤の王…私の推理通りやはり君だったか…

さしずめ、第二形態の彼に龍馬君のことを頼んだか…まぁいい

そんなことより、ここで出会ったのも何かの縁だ…。

龍馬君、思い出すがいい…君がなぜ空手をし続けたきかっけを…』

 

こちらの意思と関係なしで、こちらに近づきノーバディ・グランドマスター

と言った物の手が、こちらの頭に触れる

 

 

その時頭の中に閃光が走る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

記憶というフラッシュバックが過去に向かって次々と

展開されていく。

 

 

 

そして記憶は、ある風景にたどり着く。

 

暑い夏の日

 

あれは…そうだまだ僕が小学生に入る前の時だった。

 

その時から交流があった、ノブと一緒に

遊んでた時だった。

 

 

 

あの人に出会った、少し上の小学生ぐらいのお姉さん。

顔も名前も思い出せないけど確か近所に住んでいた…。

 

その人に出会って、1年ぐらいだったはず。

 

また夏の日、その時はノブがいなくて二人で遊んでいた。

 

『最近怪我が多いけど…どうしたの?』

大きい麦わら帽子が似合っていたその人が、僕にそう言った。

 

その頃から空手を始めたんだっけ…けど、そういうのが嫌だった。

それに上手くできなかった僕は辞めたがっていた。

 

 

それを話したら…

 

『へぇー、凄いわねー。形だけでいいから見せて見せて!!』

お姉さんはそう言いながら詰め寄って来たので…

 

嫌々、構えと軽い技を披露したら…

 

 

『上手い上手いよ、龍君!』

 

と自分が予想だにしないような、返答が返ってきた。

そう…空手で初めて褒めてもらったのだ…。

 

 

『ありがとう!』

 

笑ってお礼を言う幼かった僕…。

 

 

ああ、そうだった…

 

自分の本質じゃない…

 

最初はただ褒めて貰いたくて…

 

褒めて貰いたい人がいたから、僕は空手をつづけたんだ。

 

【あの人が褒めてくれたから】、自分の怖さを無しで

空手が好きになれたんだ…。

 

どうして、忘れていたんだろ?

 

 

ザーと舞台が変わり…

シルバー・クロウと戦った後…。

 

『やっぱり強かった、あのできればいいんですけど!

パイさん友達になってください!』

 

と言われたとき…

 

 

そこから、ブラック・ロータスとの戦いの後

 

『合格だ、対戦の技術と度胸…そして君の思い

しかと受け止めよう…ようこそ…ネガ・ネビュラスへ』

 

 

そういい、受け入れてくれたロータス先生

 

 

『被害者が気にするなと言っているんだし…

もう少し素直になったらどうだい?

それにどんな決断をしても僕らはネガ・ネビュラスは、いつでも仲間だから…』

 

悩み苦しんでいた僕を、自分のトラウマを告白し

仲間だと言ってくれたシアン・パイル。

 

 

「「「帰ってこいパイ!!」」」

 

 

ああ、こんな僕でも帰っていいのか…僕は!?

 

 

≪お前の本質は誰もが持っているもんだ!仲間が!戦友が!皆が帰って来いって

言っているんだ!立ち上がって戦えと言っている!?

少年、この世界はお前を肯定する!≫

 

アンドリューの声が響く…。

 

 

ピキっと音が鳴る。

 

僕何か大きな勘違いをしていた。

 

ピキピキと何かが崩れる音がする。

見ると体のあっちこっちが、罅が入っている。

 

僕は、あそこに帰っていいのか…こんな化け物を

 

 

パキンと、罅が入っていた体は砕け散り…。

 

 

≪さっきも言ったが、お前のデュエルアバターはゼロ・フィルに成ったのは

心のブレーカーを落としたのは、誰かを傷つけないために

強制的に落とした!そしてデュエルアバターはお前の心そのものだ!

殻だろうと、それは変わりはない!

お前は化け物なんかじゃない!そんな相手を気遣うような、デュエルアバターを

作れるやつが化け物なんかじゃない、お前を化け物呼ぼうと思うなら…

俺がゆるさねぇー!お前は≫

 

 

 

バキバキと過去の世界が崩れ、光が差す世界に帰ってくる。

ノーバディ・グランドマスターの姿がもうどこに見当たらない。

 

 

体が崩壊し何もない黒い鉄が、剥き出しになり

顔がない自分だが

 

目の前のアンドリューと共鳴するかのように、光る。

 

アンドリューの姿も同様であり光っている。

 

≪やさしい奴だ!お前はまだ、加速世界に去っちゃいけねー!≫

 

 

≪契約とか、ロータスの詫びとかもう知るか!!お前を見てると昔の俺を見て

腹が立つ!!お前は俺の意思で助けてやる!

色がないのならくれてやる!何時までも、そんなかぶった色使ってんじゃねー≫

 

そう叫ぶアンドリュー、その瞬間光が赤く赤く…

誇り高い混じりけのない赤一色になり

 

 

黒い鉄の体に、赤い光の球体が吸い込まれるように入った瞬間。

 

 

≪お前を必要としている奴のもとに帰るぞ!≫

 

 

ある闇の本体全体、真紅の色が光が差し…

 

 

 

 

 

 

コロシアムステージ

 

 

パイコールで叫ぶ、コロシアムにある異変が起こっていた。

 

ビキとビキと、ブレイズ・パイロットのアバター体がひびが入り。

その罅から赤い光が、発しているではないか。

 

 

「何が起きっている…?」

 

いまだBRAINBURSTの日が浅い、ダークは何が起こっているのか解らない

 

近づこうとした瞬間、突如赤い閃光と炎がパイを包み。

 

暴風を巻き起こす。

 

 

「なんだこれは!?」

吹き飛ばされそうになりながらも、それを凝視するダーク

 

 

 

 

VIPルーム

 

 

「馬鹿な正気か!?あの光、心意の光!

あのブレイズ・パイロットとかいうデュエルアバター、こんな場所で心意システムを!?

早くマッチ・メイカーにいってバトルの強制中止を!」

 

その光を見て憤る、イエロー・レディオ

 

「いや待て、あの紋章を見ろ!?」

ブルーがあるものを指をさす

 

「う、うそ…貴方なの!?」

 

 

「…ハイエストレベルで何かあったか?…」

 

あるものを見て驚愕する、ソーンとレディオ

 

そしてぼそりと、あることを呟くグランデ

 

 

 

違う席

 

「あの、紋章…なんですかな?銃がクロスしたエンブレム…

それにこの強力な心意…あの色被り君じゃできない

強力な心意…」

紳士が考えながら語ると

 

金髪の少女が立ちあがる…。

 

「あり得ない…」

 

と呟く

 

ネガ・ネビュラス席

 

「ありえない、教えてもいないのに【あれ】をつかえるのもそうだが…

あの紋章!?いったいどうして!?」

 

各王たち同様、ゼロ・フィルからのこの異常事態に

驚愕し動揺する、ロータス。

 

 

「イ、 いったい何がお、起こっているんですか!?先輩あれって?というか

あの紋章は!?」

 

 

「あれは…」

 

 

そしてプロミネンス席では大混乱に落ちていった。

 

パイから現れた巨大なガンクロスエンブレムの正体に

殆どのプロミネンス所属のバースト・リンカーが気づいていたのだ。

 

 

「ありえねぇ…なんでアイツから、先代の心意が出てくるんだ!?」

 

落ち着けと言いながら、レインは凝視するかのように…

 

成り行きを見守り…

 

するとまた違う変化が起こりだす。

 

 

「おい!パイロットのネームタグが!?」

 

誰かが言うと、全員上空の対戦ゲージのネームタグを注視する。

そこにはブレイズ・パイロットのネームタグが横にひびが入ってるではないか

 

そして…

 

 

炎の影響がさらに変化し、生き物のごとく…動き始め

炎が鳥の姿になった瞬間…

 

 

「ス…ザク…?」

巫女は呟くように言い

 

 

炎の鳥はエンブレムを通過し罅が入った…

パイロットのようなものを飲み込む。

 

 

「ダーク!!いいからささっとそいつを得体の知れないあいつを倒せ!

ブレード・エデンをつかえ!」

 

いつの間にか、すぐ近くの席に移動し叫ぶサン。

 

レッド・ライダーのエンブレムを見て半ば切れかけている。

 

 

「仕方ない…か…刃乃園(ブレード・エデン)!」

 

左手を光滑刀を掲げた瞬間

目を眩まんかばかりの光が、刀に集中し

 

一閃振り落した時、光の斬撃が飛び…

 

炎が覆うパイロットに直撃し爆発おきた瞬間。

 

 

 

ネームタグが砕け散り…。

 

 

そして、ありえない音声が会場に流れる。

 

 

【HERE.COMS.A.NEW.CHALLENGER!!】

ニューチャレンジャーという音声、HPは持ち越しで

 

ネームタグが炎を吹き上がり…

名前が変わる

 

 

爆発した、煙からゾクッと言い知れないものを感じ

 

その刹那、脳内に

 

 

炎の巨人に掴まれたビジョン赤い髪の男が笑うビジョンの二つと

 

 

そしてどこか知らない、部屋の前で

 

《SLEEPING.KNIGHS》の名前そして

 

 

黒髪の少女の剣士の後ろ姿…意味が分からないビジョンを見て

膝を地面につく

 

 

 

 

 

 

ハイエストレベル・同時刻

 

「うっ!?」

 

同じころ、ノーバディ・クリアブレイドも

頭を押さえ、地面に膝を立てていた。

 

 

「どうした、ブレイド!?」

 

こちらでも想定外の連続で、四苦八苦しているロードナイト

いきなり仲間が、苦しむでさらに絶句する。

 

「大丈夫…ちょっと昔の過去を思い出しただけ…

ロード…この青い子、ぼくの亡くなったリアルと縁があるよ…」

と指をさす

 

そのさした人物はダークである。

 

 

風がやみ…心意の炎と、ガンクロスエンブレムは消え

 

煙からコツとコツ煙を突き破って現れたその物

 

 

赤い鉄のような体、後ろの尻あたりにはクジャクのような尻尾

 

背には翼のようなスラスタースラスターの下には赤いマントをつけ、

足裏にはブースター、両手足の四か所、そして手の裏にバーナーを搭載

 

胸は赤い鳥のようながアーマーが付き

 

頭はヘルメットでなく赤い人の顔、頭にはカウボーイハットをつけ

首にはスカーフを付けた、160位の背のデュエルアバターがいた。

 

 

これが色がなく黒鉄鉱石の化け物になるはずだった田所龍馬が

レッド・ライダーの最後の心意の力を受け

 

 

生まれ変わった、パイロットでもなく…化け物を象徴した姿でもない。

 

メテオメタル・レッドフェニックス

 

隕石であり、宇宙から来たレアメタルのメタルカラーチャート

 

そして、ネガ・ネビュラスの二羽目の鳥が羽ばたくとき…。

 

 

 

 

 

 




メタルカラーチャートのパイの誕生だぁー!?


か、かけた…タイムリミット1時間過ぎてるが…なんとか…
一週間、ほぼ土日でっかきあげた文字数11703文字俺頑張った…

今回はかなり詰め込んだけど、まだ倒せてない…。
というか、本当は転生?みたいなものは、プロ三最終決戦でやりたかったけど
あっちもいろいろイベント盛りだくさんでこっちにした。
ここで終わらせるきやったんだが…

あといろいろイベントがあるので…ここで切ったよ。

あとメテオメタルは隕鉄、宇宙から来た金属だと思ってください。
弱点はきた隕石の中身によるンですが…一応ネタバレですが
クロウと同じだと今は思ってください…

次回でVSダーク決着!
追記訂正頭がふやけたマッチ・メイカーを間違えるなんてw
ちなみに、後半復活時まで書いていたときに聞いていた曲は
メイジン~通常のフラメンコの6倍の情熱~を聞きながらモチベを維持していました。

後、次回は来週?ぐらいに行けそうかな(白目

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