呀 暗黒騎士異聞(魔法少女まどか☆マギカ×呀 暗黒騎士鎧伝)   作:navaho

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本編に番外編の方々が本格的に絡みます。




第弐拾捌話「 転 廻 (肆)」

 

 

 

巴マミと千歳ゆまは、アスナロ市よりきた。メイ・リオンの誘いと提案により、見滝原のホテル最上階のレストランで会話と食事を楽しんでいた。

 

「それでさぁ~~、一緒になってガツンと言ってやったんだよね♪詢子さんと」

 

メイは二か月前にシステムの導入の為、見滝原に訪れており、その際に頭の寂しくなった親父を鹿目詢子という営業職の社員と一緒になって目にモノを見せてやったことを痛快に話していた。

 

「そういうのって、なんだかスカッとしますね。今も昔もやり方を変えない偏屈親父の焦る姿は、不謹慎ですけど思わず、にやけちゃいますね」

 

マミは少し愉快そうに笑った。物騒な話とかではなく、軽く仕返しをした話は久々だった・・・

 

その頭の寂しくなった鹿目詢子の上司は、今では新しいやり方を素直に学んでおり、かつての様な嫌な偏屈親父ではなくなっているとのこと・・・

 

「メイお姉ちゃんって、すごいんだね」

 

ゆまは年が年なのでメイが何をしたのか、完全には理解できなかったが、メイが大学生でありながら既に自身の会社を立ち上げていたこと(社員は彼女一人であり、社長職も兼ねている)ゆまが知らないことを色々と知っている事に素直に感心していた。

 

「ゆまちゃん、もっと褒めて褒めて♪マミちゃんも褒めても良いよ♪」

 

「本当に凄いですね。メイさんは・・・それに何だかカッコいい」

 

マミは素直にメイ・リオンが、自身の力でしっかりと生活基盤を作っている事と自分の居場所は自分で作る努力をしていることに感心していた。

 

「そういってくれると嬉しいかな。ボクは、ボクなりにやりたいことをやっているだけなんだけどね」

 

メイの生い立ちは、過去に交通事故で両親を亡くし、その後祖父母に引き取られたが、謎の死を遂げたことにより一人になったと聞かされた。

 

「だからかなぁ~、マミちゃんとゆまちゃんはボクとしては他人とはどうしても思えないんだよね~」

 

少し寂しそうな表情を見せるモノの直ぐに明るく笑い、

 

「今日は!!思いっきり、楽しもう!!!一度しかない人生は、楽しんでなんぼだよ♪」

 

「そうですね。ゆまちゃんも一緒に今夜は楽しんじゃおうか」

 

「うん!!!」

 

笑顔で楽しんでいる三人の様子を青く輝く蝶がその様子を見ていたが、すぐに離れた・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

使い魔が巴マミの現在の様子を主である 暁美ほむらへと伝える。

 

「メイがこっちに来ていたなんて・・・巴さんと千歳ゆまが一緒に居るなんて珍しいわね」

 

アスナロ市で色々と気を遣ってくれた彼女が一緒ならば、巴マミと千歳ゆまも大丈夫であろうと思う。

 

自身もまた彼女との交流があって今があるのだから・・・

 

それに三人が楽しんでいることろを邪魔したくないという気持ちが強かった為、三人をそっとしておくことにするのだった・・・

 

「ほむら、マミの奴はどうしたんだ?」

 

「巴さんは、私の知り合いと一緒に居ます。小さな女の子も・・・・・・」

 

「あ、その小さな女の子ってゆまちゃんだね。ほむらの知り合いと一緒って、なんだか不思議な気持ちだよね」

 

「なんだよ・・・今夜はマミはお楽しみかよ・・・まぁ、大変だったみたいだから、時々休んでも良いよな」

 

ほむらとさやかから、マミの近況を聞き、彼女も彼女で”守るべき希望”が傍にあることを杏子は知り、物騒な集まりに誘う事に戸惑い、明日学校で顔を合わせた時に話をしようと思うのだった・・・

 

(ジンお兄ちゃんも来ていて、両親のところに・・・メイがこっちに来ているから、まさか、カラスキさんも来ていたりなんてことは・・・)

 

まさか、アスナロ市で世話になった京極神社の神主こと京極 カラスキが明日、美樹さやかと接触することになるとは思ってもいなかった・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜、見滝原の街に一人の青年が降り立った・・・

 

パーカーのフードを目深に被り、周囲を品定めをするように視線を巡らす。

 

いつもの聞きなれた木々の騒めく音が耳に入るが、彼 植原 牙樹丸は穏やかに笑みを浮かべる。

 

「慌てないでよ。沢山食べられるから・・・あのお嬢様が食べていいって言ってくれたからね」

 

手元には先日、支給された”スマートフォン”が存在しており、その画面には”見滝原中学校襲撃計画”のタイトルが記載されていた。

 

この連絡用に渡された”スマートフォン”に記録されたデータを読む度に彼、植原 牙樹丸は普段の物静かな様子ではなく、これまでになく気分が高揚していた。

 

沢山の人間を”彼女”に捧げてきたが、今回は若くて瑞々しい少年少女の魂と肉体を好きなだけ捧げてよいというこれまでにない好条件であったからだった・・・

 

襲撃メンバーに真っ先に植原 牙樹丸は志願した。

 

普段ならば人嫌いであり、街に出たら出たで気分が酷くなり吐き気すらするのだが、今回だけは人混みに出ても平気なほど、気を良くしていたのだった。

 

明日には、決行されることになっており、合図が上がり次第”無差別攻撃”を仕掛けろと言うのが、依頼者からの希望であった・・・

 

「二樹も良い仕事を回してくれるじゃないかぁ~。あぁ、改めて彼の誘いに乗ってよかったと思うよ」

 

奇妙な、発作の様な笑いを上げる彼を怪訝な視線を周囲は向けるが、彼は気にすることなく目的地へと向かう。

 

「仕事もしないといけないな・・・依頼人の希望にはしっかりと添えられるようにしないと・・・」

 

スマートフォンの画面に記載された文章化された”希望”を見ながら、植原 牙樹丸は準備を開始する。

 

 

 

 

 

 

 

その頃、依頼者である志筑仁美は上機嫌な様子で自身の計画した”見滝原中学校襲撃計画”の概要を見直していた。

 

アスナロ市より来客用のヘリを使い、協力者である”明良 二樹”らとその仲間達を迎え入れ、ささやかなではあるが歓迎会を開き、交流を深めた後、今に至っている。

 

まとめ役の明良 二樹はもちろん、逸れ魔戒騎士の斬刃、不知火 リュウジ、鼎 などかという魔法少女が来ている。

 

既に見滝原に入っているメンバーが二人居り、訳ありの一般人と魔法少女が一人とのことだった。

 

来ていないメンバーも居り、その中に香蘭と紅蜥蜴の名前があった。

 

香蘭は魔戒騎士や法師、番犬所に追われている為、今回はバックアップとして魔導具等の提供を行うことになっている。

 

紅蜥蜴は最高戦力ではあるが自身を否定するような視線と物言いが気に入らず、今回の件は志筑仁美の希望で外している。だが、何か行動を起こすかもしれない為、香蘭にその監視をお願いし、万が一の邪魔を阻止すると同時に同士討ちをしてくれれば、彼女としては望む限りであった・・・

 

将来的には、明良 二樹もまた志筑仁美にとっては邪魔な存在になる為であるからである・・・

 

「いよいよですわ・・・わたくしが奇跡を叶える時が・・・」

 

彼を切り捨てた俗物への制裁と奇跡を叶える為の”因果”を爆発的に高める為の生贄として志筑仁美は、自身の通う学校関係者を生贄とするつもりであった・・・

 

盛大に狼煙を上げたと同時に、アスナロ市からの”協力者”と自身の戦力を動員して一気に、そこにある命を刈り取る。

 

空のソウルジェムが満たされ、輝いた時が楽しみで仕方がなかった・・・

 

まるで収穫祭ではないかと志筑仁美は笑うが、収穫されるのはこの先生きていても無駄に生を浪費するだけのただ、息をするだけで何も為さない存在である。

 

「その先には何もありませんわ・・・だったらここでわたくしの役に立ってくれた方が有意義というものです」

 

志筑仁美は、クラスの集合写真を取り出すとそれをライターで火をつけた。

 

燃え上がる光景に志筑仁美は静かに笑った・・・

 

燃えてしまえ、彼を否定した世界などきれいさっぱり消えてしまえと・・・

 

自分を否定した”魔法少女”達も・・・希望ではなく絶望を見せた貴女達には・・・

 

偽りの”奇跡”ではなく、本物をこの手で起こして見せると・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

「やれやれ・・・僕も色々と手を貸してみたけど、ちょっとばかり抜けてたことは流石に謝るよ」

 

物陰から志筑仁美の姿を確認し、人型 インキュベーター カヲルはインキュベーターでも死者の蘇生が叶わないことを今更ながら知ることになった。

 

上条恭介を復活させても肉体こそは、復活させても完全な蘇生は叶わないとのこと・・・

 

それを知った時、内心冷や冷やしたが、あの魔針ホラー 二ドルがある”魔導具”を彼女に提供することでそれすらもクリアされるとのことだった・・・

 

「これからどうなるか見ものだね・・・正義の味方は不死身とはよく言ったモノだよ」

 

カヲルは中性的で優し気な顔に似つかわしくない下卑た笑みを浮かべた。

 

”正義の味方”を名乗り、無様に消滅した”彼”もまた、攻撃隊に加わることとなっていた・・・

 

見滝原中学付近で蠍とも蟹とも人ともつかぬ怪人が目撃されることとなるのだが、それは一時の噂話でしかなかった・・・・・・

 

怪人の噂話と前後して白い”顔のない”怪物の姿の噂もあったが、この噂はすぐに立ち消えてしまった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

見滝原市に存在する高級住宅が並ぶ一等地は、既に陽が落ち夜の闇に包まれていた。

 

その夜の闇に紛れるように進む影が一つ・・・黒いローブを目深に被った男は、一軒の豪邸に真っ直ぐに向かっていく。

 

『・・・二ドルめ。ここに現れていたか』

 

男の指に嵌る”魔導輪 ギュテク”は、一軒の豪邸 志筑仁美の自宅から感じられる気配の残り香を察知していた。

 

「すでにここには居ないのか?奴は何処に居る」

 

ギュテクとの契約者バラゴは見滝原に現れた使徒ホラー 二ドル。

 

アスナロ市に現れた魔雷ホラー バグギに続く二体目の使徒ホラーである。

 

『この様子だと気配を遮断し、何処かに身を隠しているな。結界を張ってな』

 

「奴の結界はそれほどのものなのか?」

 

『魔針ホラーとはよく言ったものだが、奴自身の能力である”魔針”を使い結界を作ることが出来る。こいつが思いのほか厄介だ。如何なる方法でも捜索することが出来ない。唯一見つける方法は、目で探る以外にない」

 

「目で探る?」

 

誰にも捜索が出来ない結界が目で見えるということにバラゴは疑問符を浮かべた。結界としては、あまりにも奇妙だからだ。

 

『言葉のままだ。奴は敢えて堂々と人前に現れる。こそこそ隠れて魔戒騎士や法師の目を逃れようとはせず、敢えて目立つことで目を背けさせる』

 

ギュテクの言葉にバラゴは、二ドルがアスナロ市での魔雷ホラー バグギと相違ない程、厄介であることを察した。

 

その結界は、堂々と晒されているのだから、何かしらのアクセサリーかまたは今目の前にある豪邸の様な建築物であることの考えられるのだ。

 

『ここに現れたということは・・・奴はこの家の関係者も当然見ていたな・・・』

 

ギュテクは、二ドルが面白がって近づきそうな存在が居れば、おそらくはこの家の関係者に何かしたのではと察する。

 

「分かるか?ギュテク」

 

バラゴは、素直にギュテクのその能力の高さに関心をする。

 

『奴の残り香を調べれば何を見ていたかを察することぐらい容易だ。お前もホラーの出現した場所・・・陰我が現れた場所ならば見えるのではなかったのか?』

 

「その通りだ。どのように現れ、何をしたか見ることはできる」

 

ギュテクの言葉をバラゴも肯定する。

 

彼もまたホラーが現れた場所に意識を向けることにより、その場所で起こったことを知覚することができる。

 

バラゴが近くできたのは、志筑家の人達が海外旅行の際に購入した奇妙な面が二ドル出現のエレメント、ゲートになったことである。その後は・・・

 

「なんだ・・・こいつはインキュベーター?」

 

『これは随分と愉快ではないか。クククク、ホラーに憑依されるわけでも下僕にされるわけでもなく、自ら”陰我”に塗れるとはな』

 

二ドルが見ていたと思われる光景は、志筑仁美が白い少年より”因果”を高める方法を教わり、実行に移し、自らの両親をその手に掛けたこと・・・

 

出かけて暫くしてから、二ドルが志筑仁美の左目を潰しそこに自らの結界を作り上げた光景がバラゴの正面に存在していた。

 

そのまま志筑仁美は何処かへ行ってしまった。

 

タクシーに乗り込んだと同時に二ドルの気配は消えてしまう。

 

『小賢しい。遮断結界など張って追跡を逃れるとはな・・・』

 

ギュテクは自身が知りえないインキュベーターの技術による遮断結界により、その行方を追うことはできなかった。

 

結界を張った二ドルが志筑仁美と一緒に居る事は分かった。だが、その居場所は分からなかった。

 

元々が感知が略できない結界にさらに結界が重ねられた為である。

 

バラゴは、無言ではあるが僅かに怒りの念を抱いていた。

 

志筑仁美と関わった二ドルは、間違いなく彼女・・・暁美ほむらと遭遇することに・・・

 

『ほむらに手を出したら、お前の怒りを買うことになる・・・既に買っているか二ドルよ』

 

内心、二ドルの行く末が決まったことに同情したが、相手は戦闘能力以外でも相当厄介な性格をしている為、一筋縄ではいかないであろう・・・

 

ギュテクも二ドルの事は本質的に嫌っている為、周りに居るだけでも鬱陶しいので排除する意思であった。

 

「使徒ホラーは最凶と聞いているが、二ドルはどうなのだ?」

 

『アイツはホラーの中でも群を抜いて気が狂っているというか、いかれている。魔界でも他のホラーも関わり合いを持ちたいとは思わなかったな』

 

ギュテクより語られる二ドルの能力、その性格の性質の悪さにバラゴは早急に自身の手で斬ることを誓うのだった・・・

 

「・・・・・・これ以上、彼女を傷つけられるわけにはいかない・・・・・・」

 

『今夜は風雲騎士らと一緒に居るようだが・・・やはり二ドルとの関わりは避けられそうにないな』

 

自身の複製の会話は聞こえており、志筑仁美の行方を追うらしい・・・

 

事の発端は、美樹さやかが上条恭介の為に願った事であり、その後様々な出来事を経て今に至っている。

 

ほむら自身の境遇をさやかに話していた。

 

志筑仁美に近づけば、当然のことながら二ドルとの衝突は避けられない・・・

 

バラゴは、内心”暁美ほむら”は様々な事件に巻き込まれる運命にあることを嘆いた。

 

魔法少女と魔女に始まり、さらにはホラー等と言ったモノと遭遇する運命に・・・

 

一番は早急にバラゴが二ドルを見つけ、討滅することであるが、使徒ホラーの一体である為苦戦は免れないだろう・・・

 

不本意ではあるが、風雲騎士も目的は同じである為、今回ばかりは共闘も視野に入れておくべきかと考えをめぐらす。

 

以前の暗黒騎士 呀らしからぬ発想であるが、彼の優先すべき事にほむらの身の安全である為に、その為ならばいかなる手段をも取るつもりだった。

 

彼自身も僅かではあるが、少しずつかつての彼とは違ってきていた。

 

『二ドルの事だから至る所に仕込みを入れているだろうから、手数は多ければ多い方が良い。アスナロ市と違って戦える戦力もそれなりにあるだろう』

 

ギュテクもバラゴの考えを察しているのか、自身の複製を通じて風雲騎士がほむらと協力関係を築こうとしている事を把握しつつ、確実に二ドルを倒す算段を巡らせた。

 

『それはそうと・・・あの魔戒導師は何をしている?我をこのような姿にしたことと同じように何かをしているようだが?』

 

「ほむら君に関わることだそうだ。詳しくは私も分かりかねる・・・」

 

エルダによる”占い”によると見滝原に何らかの”勢力”が襲来するらしく、それに備えてほむらの為に彼女と縁のある”魂”と”契約”を結ぶとのことだった・・・

 

 

 

 

 

 

 

暁美家では、ジン・シンロンがアスカの遺影に話しかけていた。

 

先日、アスナロ市での復興作業が落ち着いたため、心配してくれた暁美家に顔を見せに見滝原に来ていたのだ。

 

「ほむらの事だが、色々と頑張っているぜ。アスカ・・・お前も俺達の妹の為に何かするんだろ」

 

叶う事ならば安らかに眠っていてほしかったが、あのお転婆娘であり、誰よりもほむらを気に掛けていた少女がほむらの現在の事情を知れば、居ても立っても居られないだろう・・・

 

「・・・バラゴさん達を見てたら、アスカはあの人たちに願うんだろうな」

 

ほんの少し苦笑しながら、ジンはココアを供えて部屋を後にした。

 

かつてキュウベぇが見ていた半透明の少女は知っていたのだった・・・

 

死後、自身の妹分が自ら苦難の渦へと飛び込んでいたことに・・・

 

そして何もできない、伝えることが出来ないことを嘆いていた。

 

故に彼女は、生前は人として最期を迎えたが・・・今夜・・・・・・

 

”・・・私は、引き返せないかもしれない。ジン、アンタとはもう会うことはできなくなるけど、それでもアタシは妹の所に行くわ。アンタがほむらの兄でいるように・・・”

 

半透明の赤毛の少女は、青年の背を見送った後、名残惜しそうにではあるが部屋を見渡す。

 

”おばさま、おじさま。アタシ、アスカはほむらの元へ行きます。必ず、ほむらを此処に帰します”

 

駆け出すように部屋を飛び出し、青年とすれ違った・・・・・・

 

すれ違い様にジンは、最期に見た”ほむらの姉”の後姿を見た・・・

 

「・・・・・・アスカ。行ってこい、どんなになってもオレはお前の事をずっと想い続けていくよ」

 

一瞬の後姿を視界におさめた後、佇む。そこへ、ほむらの母である れいがジンの前に現れた。

 

「ジン君、気のせいかもしれないけど、もしかしてさっきのアスカちゃん?」

 

「アスカですよ・・・アイツ、ほむらの事を探しに出ていったみたいです」

 

「まあ・・・やっぱり、あの子の事が心配なのね」

 

二階から聞こえてきた足音に聞き覚えがあったのか、れいは懐かしそうに今も傍に居る”彼女”の姿を思い返すのだった・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

エルダは、ある魂と出会っていた。

 

特殊な結界で周囲を覆い、中央の祭壇には”魔戒獣”の亡骸が安置されていた・・・

 

一枚の魔戒札を掲げる・・・・・・

 

「自らの魂を・・・ほむらの為に捧げるか・・・」

 

本来ならば許されない”儀式”であろう・・・だが・・・

 

この先に現れる脅威・・・使徒ホラー 二ドル。さらにその先に存在する”死と救済”の化身・・・

 

エルダの前に赤毛の青い目の少女は、決意を秘めた視線を向ける。

 

「私は、あの子の為に一匹の獣になる」

 

全ては・・・かつて”死”をいう絶望を見せてしまった不甲斐ない”姉”にできる精一杯の”償い”だった

 

そして、それは・・・暁美ほむらに更なる力を齎す・・・彼女はそれを手にすることができるだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






あとがき

アスナロ市編の方々が本格的に参入し始めました。

志筑仁美による”見滝原中学校襲撃計画”・・・

おりこ☆マギカで織莉子が行ったそれよりも性質の悪いモノになります・・・

さやか、マミ、杏子、ほむらにとっても最悪な事態が迫っているという具合です。

さやかは、次回より京極カラスキよりかつての姉”蓬莱暁美”の切り札を受け取ることになり、ほむらはほむらで自身の知らないところで彼女の為に”姉”が動きました。

バラゴもバラゴで早急に二ドルを討滅すべく動いており、場合によっては風雲騎士と手を組むことも選択肢に入れている辺り、変わってきています。

明良 二樹組では、見滝原に来ていないメンツは、火車、香蘭、紅蜥蜴が着おりません。香蘭は香蘭で割と用心深いので”風雲騎士”の事を警戒し、今回は身を隠しています。それでも性質の悪い”発明品”が出てきますが・・・

紅蜥蜴は、仁美に意見した為、外され、さらには香蘭より監視されることになりましたが、この二人が仁美の思惑通りになるかはお察しの通り・・・

仁美の船に居ますが、その辺りの様子は後々描いていく予定です。





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