呀 暗黒騎士異聞(魔法少女まどか☆マギカ×呀 暗黒騎士鎧伝)   作:navaho

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番外編的な正義の味方さんの結末・・・

今更ながらですが、彼の不幸は一時の感情の勢いに任せてしまった事だと思います。

踏みとどまっていれば、このような結末にはならなかったでしょう。

それは彼女にも言えることです。どんな結末になるかは彼女次第ですが・・・




幕間 「正 義 (後編)」

 

こんなはずじゃなかった・・・

 

魔導具 鋼殻装甲の宿主である”彼”は、今更ながら嘆いていた。

 

自分の生まれた街の為に育った街の為に立ち上がることも出来ず、余所者に好き勝手されたことが許せなかった・・・

 

それを解消してくれたはずの与えてくれた”正義をなす為”の力を”偽物”が圧倒することが認められなくて・・・

 

自分のしていることが間違っていることに向き合うことが出来なかった・・・・・・

 

結局のところ自分は、”正義の味方”と煽てられて、体よく利用されただけの”道化”でしかなかった

 

一時の感情の勢いに任せて、”人生を棒に振って”しまったことを・・・

 

もう少し冷静になっていればと・・・目の前の現実を受け入れていればと・・・

 

やり直しができないことになってしまったことに今更ながら気づいたのだった・・・・・・

 

そして・・・自身の破滅を知らず知らずに歩んでいたことを・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

『ギャアああああああ!!!!な、なんなんだっ!!!俺が、く、喰われる!!!いやだ!!!俺は、こんなところで死にたくない!!!!』

 

 

 

 

 

 

彼は自身の身体を黒い模様が侵食し、それが音を立てて肉体を喰らう感触を直に感じていた。

 

肉が千切られ、神経が凄まじい痛みを直接脳に伝える。あまりの衝撃に狂ったように叫んでいた。

 

喰われた腕が甲殻類の生物的な殻ではなく、金属を思わせる無機質なモノへと変化し、さらには下半身が弾けるように吹き飛び巨大な節足動物の脚が現れる。

 

『あぁああああああっ!!!!お、俺の姿が!!!これじゃ、正義の味方じゃなくて、化け物じゃねえか!!!!』

 

顔も”鋼殻装甲”を鎧のように纏う普段のプロセスではなく、頭の内側より何かが飛び出してくるような衝撃が襲い、人の頭部が中心よりずれていき、別の生き物の頭部が取って代わるように中心になっていく。

 

『お、俺の・・・身体が・・・うわぁああああああああっ!!!!!!!』

 

波打つように肉体が変化していった。

 

10メートル近くまでに巨大化し、かつての人の面影がない醜悪な怪物の姿がそこにはあった・・・

 

突然の様子にゼロナインの衣装をまとった勝巳 ゲキは・・・

 

「・・・訳の分からないモノに安易に手を出したからだ。本当にどうしようもない奴だよお前は・・・」

 

特別親しかったわけではなかったが、良く分からない力に振り回されて、結局はその力に喰われるという自業自得な末路に僅かながら同情の念を抱いた・・・

 

さらに胸より黒い悪魔の顔を模した紋章が浮きあがってきたと同時に・・・・・・

 

勝巳 ゲキが知ることはないが、黒い悪魔の顔の紋章は、陰我ホラーのそれであり、魔導具 鋼殻装甲が内に陰我のゲートを開き、現れたホラーを取り込んだ証であった・・・

 

『ああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・・』

 

激痛に悶えていた彼の意識が黒い何かに侵されるようにして削り取られるようにして消滅した・・・・・・

 

彼の身体と魂を喰らい、”魔導具 鋼殻装甲”は内に秘めた”陰我”と”ホラー”の力を持って、その真の姿を現すのだった・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

見滝原市

 

「”鋼殻装甲”のアレは、真実だったのか・・・」

 

バドは、目の前で異様な姿へと変わっていった青年の姿に舌打ちをした。

 

影の魔戒騎士の話によると魔導具”鋼殻装甲”は寄生したら、宿主が”鋼殻装甲”自身に食われるまで解除することはできないとのことだった。

 

故にホラーと同じであり、逃亡した魔戒法師の作品故に寄生された”宿主”を見つけたら、ホラーに憑依されたモノとして扱い、斬るように厳命されている。

 

「伯父さん・・・アレ一体、何なんだよ?あんな魔導具、噂の魔獣装甲って奴じゃないのか」

 

「確かにあれに似ているが、アレはソウルメタル製の鎧と違い、女でも使える。だが、鍛錬が不足していたり実力が伴わないと喰われてしまう。その点、鋼殻装甲は魔導具自身が宿主をそれに適するように作り変えてしまうから、喰われることはない。意図的に操作をしないかぎりはな・・・」

 

宿主の素質が優れていれば優れる程、力は増すが、その素質が平凡であれば大した力は得られないだろう。

 

それでも訓練なしで低級ホラーを倒せるまでのモノを宿主に齎す点は脅威である。

 

だが、その実態はホラーに憑依されるのと同じであり、魔導具が宿主を作りかえるが、鎧を解除するなど切り替えができ、制御が利くことは魔獣装甲よりも良いのだが、奏者の指示により宿主を喰らってしまうところは魔獣装甲よりも性質が悪い。

 

ホラーと戦う法師や騎士の数が限られている為、ホラーに怨みを持つ一般人を”道具”として使う意図であることが明白であった・・・

 

ホラーを倒す為に”陰我”のゲートを内に秘め、そのホラーをさらに内に取り込む事でその力を発揮するのである。

 

ホラーを取り込み”力”とする”魔導具”故に寄生されたら憑依されたも同然・・・

 

伯父の口から語られる鋼殻装甲の実態に杏子は憤った。

 

「なんてもんを作ったんだよ。その魔戒法師は!!!」

 

訳の分からないモノが身体を作りかえ、それでいて意図的に”駒”のように扱う魔導具に対して杏子は声を上げた。

 

『杏子、COME DOWN。限りなくホラーに近い魔導具との戦いだ。冷静さを欠いちゃだめだよ』

 

普段の怪しい言葉遣いをしつつも、冷静になるように伝えるナダサに対し杏子は

 

「ったく、ナダサ。いつもそんなんだったら、アタシもイラつかないんだけどな・・・」

 

『そう言わずに、MEだって、場面場面弁えているよ。そこんとこは分かってるよね、伯父さん』

 

「お前とはそれなりに長い付き合いだが、こういう場面だと頼もしく感じるな。ナダサ」

 

笑みを浮かべると同時にバドは二振りの風雲剣を取り、杏子は魔戒筆を構えた。

 

普段ならば身体能力の底上げの為に”魔法少女”に変身するのだが、今回は変身を控えることにした。

 

出し惜しみをしているのではなく、クラスメイトの保志の存在が理由である。

 

後で聞いた話ではあるが、彼は痛い言動を発する年頃の少年である。だが、魔法少女関連が大の苦手と言うよりも一種の”トラウマ”になっている。

 

”魔法少女”を趣味としていた”ニルヴァーナ事件”の教祖の件があったからだ・・・

 

魔法少女として割り込んで、下手に彼を錯乱させるわけにもいかない為、ここは法師として伯父の援護と支援に回ることにするのだった・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

アスナロ市 BAR Heart-to-Heart 

 

営業時間まで一時間前の店内に一人の女性が瓶に閉じ込められた奇怪な生き物を覗き込んでいた。

 

女性の名は、アスナロ市に身を潜める魔戒法師 香蘭。

 

とある理由で、元老院から逃げ出し、追われている身の上の法師である。

 

「いつ見ても惚れ惚れするわね・・・この”鋼殻装甲”・・・仁美ちゃんも楽しんでくれればいいんだけどね」

 

瓶の中に居るのは、かつて”正義の味方”に憧れていた”青年”に渡したそれに酷似した生き物であった。

 

「それって、生き物じゃなくて、魔導具って奴なんでしょ」

 

気が付けば、背後に魔法少女 聖カンナが立っていた。カンナは、魔導具に興味こそはあったが、それ以上近づくことはなかった。

 

魔導具を近くで見てみたいという気持ちはあったが、近づきたくない理由は魔戒法師 香蘭の傍に寄りたくなかったからである。

 

「カンナちゃん♪そんなところに立ってないで、隣に座ったらどう?」

 

にこやかに笑う気さくな女性にこそ見えるが、実態は人の好さそうな外見とは真逆の”本性”であることを聖カンナはよく知っていた。

 

「このままで構わない・・・その魔導具の効果は一体なんなの?」

 

聖カンナの表情は、これ以上にないくらい強張っていた。言うまでもなく目の前の女性 魔戒法師があまりにも恐ろしかったからだ。

 

ありとあらゆるものを楽しむ明良 二樹もどうしようもない程の”悪”には違いないが、”悪”としての分別がある程度ついている為、付き合うことはできる。

 

香蘭は違う。香蘭の場合は、”魔戒法師”・・・

 

”守りしもの”の家系に生まれながら、人を人と思わない性格であり、その思考は”悪”と呼ぶには生温い程のどす黒いモノを内に抱えていたのだから・・・・・・

 

「これね・・・魔戒騎士も法師もこう言っちゃ悪いんだけど、どいつもこいつも命を奪うことに大義を求めて”守りし者”を気取っている・・・私としては自分達の所業があまりにも後ろめたいからそう名乗って、もしくは他者に認めてもらいたいのかしらね~~」

 

上機嫌に話す香蘭の姿は、人のそれではなく”獣”のそれであった・・・

 

「魔戒騎士とホラーの戦いは、ある意味終わりのないマラソンみたいなものね。ホラーが強力になって行く度により強力な戦士を武器を、魔導具を求めていったわ。此度は、魔戒法師も低級ホラーなら倒せる号竜が完成されたわ」

 

魔戒法師に大きな戦力を齎した発明に法師達は大いに沸いた。魔戒騎士と肩を並べられると・・・

 

そしていつかはこう願うだろう・・・

 

魔戒騎士が生まれる前の魔戒法師が守りし者として戦っていた古の時代を蘇らせようと・・・

 

あの天才とは顔を何度か合わせたが、良いとこの坊ちゃんという印象しかなかった・・・

 

「守りし者?そんなもの只の言い訳に過ぎないわ。武器も騎士も魔導具も人がホラーと言う脅威を倒すために生まれたのよ。だから私は、人を護るのではなく、あらゆる脅威を”殺す為”だけに”魔導具”を作って来たわ。敵対するのならば法師も騎士もホラーも関係なくよ」

 

故に元老院に召集されながらも、その危険な思想故に処罰を受けるに至った。

 

(・・・・・・紅蜥蜴が言っていたわね。この女は作った魔導具の性能を試す為だけに、意図的にホラーを人間に憑依させて実験に使ったって・・・・・・)

 

彼女 香蘭作成の魔導具は強力で有用であったが、どれも禍々しく殺傷能力が高い為に元老院の神官よりその全ての使用が禁じられ、ほとんどの魔導具は封印ではなく抹消された・・・

 

だが、香蘭の天才的な頭脳は貴重な為、それのみを生かすために脳だけが生かされることになったが、寸前に脱走。そのまま行方を晦ませてしまったのだった・・・

 

「鋼殻装甲は、人手が足りない騎士や法師を補助する為に・・・と言いたいけど、即席の戦力にする為に魔導具が扱えるように体を作り変える代物よ・・・ソウルメタルや他の魔導具はそれなりの鍛錬と長い時間が必要だから、その時間があまりにも惜しいのよね・・・」

 

寄生型魔導具 鋼殻装甲の本質は、ホラーと戦う為の”力”を年単位の鍛錬抜きで、それを得ることが出来るというモノであった。

 

寄生した宿主の素質に依存する為、素質がなければ、大した力を得ることはできない。

 

あの”正義の味方”はそこそこの素質があった為か”低級ホラー”程度ならば、戦えるぐらいの力を得ていた。

 

とはいっても”鋼殻装甲”は対ホラー用に人間を作り変えてしまう魔導具故に魔戒騎士やそれなりに腕の立つ人間相手では、そこそこの素質では少々荷が重く待ってしまう。

 

故に”鋼殻装甲”には、最後の切り札として宿主を喰らい、”魔導具”自身が直接戦う為の形態に姿を変える機能を付けていた。

 

これは宿主には伝えておらず、鋼殻装甲を”駒”とする奏者により発動させることが出来るのだ。

 

志筑仁美は、鋼殻装甲の”真の姿”を発動させているであろう・・・

 

遠く離れたアスナロ市ではあるが、何となくではあるが分かるのだ・・・

 

おそらくは愉快なことになっていることを・・・

 

そう思うと見滝原に無理にでも足を運んでいればと今更ながら後悔の念が浮かぶのだった・・・・・・

 

だが、あの見滝原には自分を追っている影の騎士達所縁のモノが居ると聞く為、迂闊な事は出来なかった。

 

それでも少しだけでも愉快な気分を味わいたかった・・・・・・

 

その様子に聖カンナは改めてではあるが、紅蜥蜴の言うようにこの女は何らかの事故で居なくなってくれたほうが世の中の為になると心の中で彼に同意するのであった・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真の姿を見せた鋼殻装甲の姿に、元は人型であった頃の面影はなかった・・・

 

『KUUUUUUU・・・・・・』

 

下半身が蠍か蟹のそれであり、長大な尾を擡げる姿を見上げ、勝巳 ゲキは

 

「言葉までなくしたのか・・・お前はそんなになってまで・・・いや、こんな事になるなんて考えても居なかったんだろうな」

 

痩せ型だった体格は骨格そのものが膨れ上がり筋骨隆々に相応しいものへと変化しており、頭部は人間のそれではなく、蟹と蠍の顔を掛け合わせたようなモノへと変わっていた。

 

胸元には不要として除けられてしまった”彼”の顔がへばり付いていた。

 

世の中どう変わるか分からない・・・

 

ありふれた日常と言うモノは案外脆いモノではないだろうか・・・

 

かつての自分が幼馴染の死を後悔したように・・・

 

特別誰かが不幸な目に遭うわけではなく誰にでも起こりうることなのかもしれない・・・

 

ただ、その崩壊が”彼”はあまりにも惨く、それでいて悲惨なものであった・・・

 

「に、兄ちゃん・・・・・・」

 

保志少年は、目の前に現れた”非日常”の怪物に対し、目を見開かせていた。

 

「大丈夫だ。こういうピンチはいつもの事だ、心配するな」

 

逃げなければ危うい状況なのだが、まだ逃げきれていない気絶したスタッフも居る為、勝巳 ゲキはせめて従兄弟だけでもこの場からと考えていた。

 

「でも、アイツは、兄ちゃんの演じているゼロナインと戦う相手とは違うんだよ!!!こんなことって!!!」

 

「そうだな・・・だけど、こういう時こそ冷静にならなくちゃいけない。一時の感情の迷いと勢いに任せてしまったら取り返しのつかないことになってしまう」

 

こういう時こそ、落ち着かなければならないと従兄弟を諭す。

 

どうやって切り抜けるかは、正直分かりかねるが・・・

 

目の前の非常事態から目を逸らし、喚いていたら、それこそ終わってしまう。

 

こんな状況でどうするんだと保志は、声を上げようとするのだが・・・

 

「その通りだぜ、保志ぃ。頭に血が上った時はこれでも食って落ち着いとけよ」

 

気が付くと見知ったクラスメイト佐倉杏子が隣りに立っていたのだった・・・

 

「こういう状況は、誰だって錯乱するものだが、やはりヒーローは違いますね」

 

黒いコートを靡かせた男が三人を庇うように立った。男ことバドは、笑みを浮かべていた。

 

取り乱しても仕方がない状況であるのに冷静に振舞、誰かを気遣っているヒーロー衣装を着た

 

「あ、あなたは・・・待ってください。アレは、普通じゃない悍ましい何かです!!」

 

撮影用の小道具ではない二振りの剣を持っていることを察するにあのおぞましい怪物と戦うつもりのようだった。故に止めなければと声を上げる。

 

「心配ご無用ですよ。仮面騎士 ゼロナイン、アレは俺達の狩るべき存在です。ですから、専門家にここは任せてください」

 

「そういうこったよ、兄ちゃん。伯父さんがあんな不味そうな蟹モドキに負ける事なんざあり得ねえよ」

 

杏子の視線の先には、鋼殻装甲に向かって駆け出していく風雲騎士の姿があった・・・

 

 

 

 

 

 

 

吼える鋼殻装甲に対して、バドは二振りの風雲剣で斬りかかる。

 

巨大な体躯を持ったホラー相手に対して、まず最初に攻撃すべき個所はその体躯を支える脚である。

 

10メートルの体躯から繰り出される攻撃は脅威ではあるが、二振りの剣と術による手数による攻撃と身軽さでそれぞれの脚を傷つける度にホラーを思わせる黒い血を吹き出す。

 

口より強烈な酸を吐き出すが、それは術により発生した風により弾かれてしまった。

 

巨体を生かした攻撃も圧倒的な速さを持って制するバドとは相性があまりにも悪い。

 

一般の魔戒騎士ならば、それなりに苦戦する鋼殻装甲であったが、風雲騎士バドの相手としては不足であり鎧を召喚するまでもなく、二振りの風雲剣によりその身体は十字に両断されてしまうのだった・・・

 

 

 

 

 

「ほらな。いった通りだろ」

 

崩壊しホラーのように消滅していく鋼殻装甲と最期まで油断せずに佇む伯父の姿に杏子は笑みを浮かべるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・アイツとは分かり合う事なんてなかったけど。正義って多分、みんなが思っている以上に凄く個人的な欲求なんだろうな・・・」

 

「兄ちゃん、それって・・・・・・」

 

「リン、俺の単なる呟きだ。聞き流してくれていい・・・俺はミドリの夢を代わりに叶えたくてこの道に入った。それが俺がアイツにできる正義なんだと思う・・・」

 

勧善懲悪のヒーローを演じている者としては、あまりにも個人的な”正義”であるが、誰かの為に行動することこそが”正義”ではないだろうかと勝巳 ゲキは思う・・・

 

異形と化した彼もまた”正義の味方”を名乗っていたが、彼の”正義”は彼だけの欲求を満たすモノであった・・・

 

その為に平然と誰かを傷つける行いをすることに”正義”はない・・・

 

もしかしたら、自分も気づかないところで誰かを傷つけているかもしれない。

 

過去の自分のように・・・・・・

 

だが、夢を追えずに叶えられなかった幼馴染の望みを実現するためには、立ち止まってはならないのだ。

 

自身が完全無欠の正義など名乗るつもりはないが、時がたてば後の誰かが判断をしてくれればそれで構わない。

 

その評価を自分は、ありのままに受け入れよう・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

見滝原の何処かで・・・

 

「・・・・・・意外と役に立たなかったですわ。もっと面白いモノを見せてくれると思ったのですが」

 

内心、何処かでイラつかせてくれたクラスメイトが健在であった事に志筑仁美は不満そうにつぶやいた。

 

鋼殻装甲を操作する蠍の腕輪に変化が起こった。

 

「こういうものは、操作するモノが壊れると一緒に壊れるものかと思いましたが、そうでもないんですね」

 

皹が割れるどころか、鋼殻装甲の髑髏を思わせる口より小さな”幼虫”が一匹吐き出された・・・

 

それは、映像を早送りするかのように成長していき、一人の”少年”の姿へと変わった・・・・・・

 

顔立ちこそは幼いが”彼”によく似ていた・・・・・・

 

「これは・・・中々愉快なモノですわね」

 

目を開けた少年は、目の前で笑う志筑仁美に対し、怯えを含んだ視線を向けていた・・・

 

 

 

 

 

 

「なんで・・・俺・・・死んだんじゃなかったの?あぁ・・・・・・」

 

 

志筑仁美は蠍の腕輪を少年に翳す・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

”彼”の”嘆き”は続いていた・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

魔導具 鋼殻装甲

 

操作する腕輪が”核”であり、寄生した宿主の魂を取り込む。

 

”核”が破壊されない限り宿主の魂は、永遠に魔導具 鋼殻装甲に囚われ続ける・・・

 

宿主が肉体を失ってもまた、新たに”陰我”と共に囚われた魂を削り取りながら再生する・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





あとがき

なんというか、正義の味方さんは魔法少女相手ならそこそこ善戦できたきた思いますが、バド伯父さんが相手だとこうなってしまいました(汗)

上条君のホラー化も書いていて、苦戦せずに勝ってしまい、第三者の横やりを入れないと生存できませんでした・・・

やっぱり、見滝原の魔戒騎士は強すぎます。公式最強の暗黒騎士は言うまでもなく

苦戦させそうなのは”使徒ホラー”クラスのホラーか、かなり狡猾な手段を取る人間ぐらいでしょうね。

魔戒法師 香蘭は、明良 二樹のグループにおける”マッドサイエンティスト”の役割を担っています。

魔号機人らの整備や改修、さらには自身の魔導具製作などによる戦力の増強をしています。

追われた理由は、かの閃光騎士の家系の兄弟に比類する天才でありながら、あまりにも自分の欲求に正直であったことと自分以外の人間は実験動物としか見ていない”外道”だったため・・・

明良 二樹には友好的に接しているように見えて、単に彼と一緒に居る方が面白そうだからと身を隠すにはちょうど良いという理由で居るので何時、裏切るか分かりません。

ちなみに明良 二樹は、裏切りは誰にでもあるから気にするだけ無駄といって、自然体で接しています。

今は亡き 魔法少女喰い 真須美 巴とも友人だったこともあり、こういう癖の強い”悪女”らとは、上手い事付き合えるのでコミュ力はかなり高いです。

鋼牙らの時代には、白海法師、絶心法師のような存在も居たので、兄のシグマ以外にレオと対になるような存在がもしかしたらいたんじゃないかと思い香蘭はこのような設定になりました。

実際レオの対となるのは、兄のシグマだと思いますが、シグマの存在は元老院や番犬所では話題になっていなかったので、レオと違い認知されていなかったかもしれません。

元老院や番犬所に認知され、レオと肩を並べられながら、守りし者としての心を持たなかった外道 魔戒法師が香蘭です。

シグマはシグマで守りし者としての在り方を間違えてしまった事とMAKAISENKIは、第一期と違い魔戒騎士と法師の内輪揉めだったので、世間一般には、そこまで実害はなかったと思います。

GAROシリーズで世間一般に実害が大きかったのは”闇を照らす者””炎の刻印”辺りではと思います。前者は都市全体、後者は国が壊滅寸前という事態に陥っていますし・・・

メンドーサは、守るべき人々の身勝手さに嫌気がさしたことと自身の優れた才能に自惚れていた感もあり、こちらもこちらでまだ理解はできます。

香蘭は、最初からそう言った心を持たない一種の”サイコパス”なので、シグマやメンドーサとは違う感じにしたいと思います。

VERSUS ROADも様々な人達を巻き込んだところを考えるとこっちもこっちで一般社会に大きな傷を残していますね・・・

最後ですが、正義の味方さんの悪夢はまだ続きます・・・




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