呀 暗黒騎士異聞(魔法少女まどか☆マギカ×呀 暗黒騎士鎧伝)   作:navaho

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今回はさやかの回です。

筆が乗り、割と早く上がりました。

さやかは、かなり書きやすいです。






第弐拾漆話「 回 転 (伍)」 

 

今現在の住まいに戻ったさやかは、上条恭介の父から受け取った”ヴァイオリン”のケースを机に置き、ヴァイオリン本体、弓、肩当、松脂等を確認していた。

 

これらはヴァイオリンの付属品である。

 

四本の弦も予備があり清掃用の布も何枚かあり、かつての持ち主 上条恭介の入れ込み具合が察せられた。

 

さやかは、ヴァイオリンのメンテナンスや弦の交換の方法等もある程度、身に着けていた。

 

ケースの予備の弦を入れているケースに小さな包みと一緒に手紙が添えられているのをさやかは見つけた。

 

「なんだろう?これ・・・」

 

手紙を開くとそこには、上条恭介の父からの言葉が綴られていた。

 

”やあ、さやかちゃん。これを見ているってことは、私からのプレゼントを見つけてくれたってことだね”

 

”魔法少女の君は、これから辛くも苦しい出来事に遭遇するかもしれない。私はできるかぎりさやかちゃんの助けになりたいと思っている。これは偽らざる本心だ”

 

”これから強く前に進んでほしいことを願って、これを贈るよ。意味はもちろん、分かるよね”

 

包みを解くと中から”ff”の髪飾りが出てきたのだ。

 

”ff フォルテッシモ”意味は、きわめて強く・・・・・・

 

上条恭介の父は、さやかに強く前に進んでほしいと願いを込めて、この髪飾りを贈ったのだ・・・

 

「・・・・・・おじ様」

 

自分への気遣いに穏やかな笑みを浮かべ、髪飾りにを改めて机に置き、身に着けようとするのだが・・・

 

突然、スマートフォンが鳴りだす。知り合いの警察関連人物からだった。

 

さやかは、伝えられた内容に目を見開かせた・・・・・・

 

「・・・うそでしょ・・・おじ様が・・・どうして・・・・・・」

 

思わずスマートフォンを落としてしまう程、さやかは今までにないぐらいに動揺していた。

 

 

 

 

 

 

 

見滝原 警察署

 

さやかは、時間と共に多少なり落ち着き、上条恭介の父が殺されたことで確かめる為に警察署を訪れた。

 

そこで聞かされた内容はあまりにも”残酷な事実”だった。

 

(来週、レッスンの約束をしていたのに・・・・・・どうして・・・一体誰がこんなことを?)

 

自分の大切な人を理不尽に奪った犯人に対して、憎しみの感情が沸々と湧いてくる。

 

「さやか。落ち着いてください、私も正直、このことは・・・」

 

ソラ自身もあの穏やかな人物が何故殺されなければならないのかと疑問を抱く。

 

「・・・・・・ソラ。少しだけ席を外したいんだけど・・・」

 

「私が話を聞いておきます」

 

「迷惑かけるね、ソラ」

 

心情を察してくれるソラにさやかは、感謝していた。

 

 

 

 

 

 

 

席を外したさやかは、少しだけ外の空気を吸いに行こうと足を進めた時だった。

 

「あ、あれ?三年生じゃなくて・・・巴先輩?」

 

目の前より歩いてくる巴マミにさやかは、思わず声を上げてしまった。

 

「あ、あなたは・・・美樹さん。どうしてこんな所に?」

 

意外なところで出会ってしまったことに驚くが、マミは待たせている子が居ると言い、そこで話をしないかと誘われるのだった。

 

マミはベンチで眠っているゆまの頭を優しく膝に乗せる。

 

その光景にさやかは、過去に自分がゆまのように誰かの温もりが傍にあったことを思い出したが、今は感傷に浸っている場合ではなかった。

 

「美樹さん。ここでこういうことを言うのもだけど、アレから大丈夫だった?」

 

「はい。色々ショックでしたけど、何とかやっています」

 

巴マミが佐倉杏子と反目していたことで意味のない反発をしていたさやかであったが、魔法少女の残酷な運命を知った今は無用な反発をするつもりはなかった。

 

「魔法少女は命がけよ。時折、いきなりいなくなる子も居るから・・・もしかしたらと思って・・・」

 

「心配してくれてありがとうございます。アタシこそすみませんでした。話を聞かずに、自分の事だけしか見えていなくて、先輩に嫌な思いをさせて・・・・・」

 

「良いのよ。魔法少女の願いは、その子が必死になって願った事だもの。それを他の人が口を出すこと自体が間違っているんだもの。その為の覚悟もだけど、もう誰のせいにもできない自業自得な存在であることだけは忘れてはならないわ」

 

マミもあの夜の事については、特に何も言う気はなかった。殺人犯とはいえ一人の人間を手に掛けたさやかであったが、今はそれを不思議と責める気にはなれなかった・・・

 

何故なら、マミは少し前に考えていたことをさやかに語る。

 

「美樹さん・・・私も思うことがあるわ」

 

「もしも・・・私が自分の命を投げ出して叶えた奇跡を誰かに理不尽に踏み躙られたら・・・私はその誰かを怒りのまま手に掛けていたかもしれない」

 

マミは眠るゆまに視線を向ける。その様子にさやかは・・・

 

「それは考えるだけにしてくださいよ先輩。アタシは色々とやらかしちゃって、当たり前だったモノがほとんどなくなっちゃたんですから」

 

さやかは、魔法少女となってからの事を思い返していた。

 

想い人である上条恭介の不幸を救う為に”奇跡”を願った・・・

 

だが”奇跡”を叶えられた自分と違い、叶える事のできなかった”親友” 志筑仁美との仲は修正が不可能なほど拗れてしまった・・・・・・

 

そして、奇跡を踏みにじられ、彼は”陰我”へと墜ちていった・・・・・・

 

自分に残ったのは”魔法少女”としての救いのない道だった・・・

 

「魔法少女になって奇跡を叶える覚悟はあるって粋がった結果が今のアタシなんだ・・・もっと別にやれることがあったのに、どうしてって今更ながら思うんだ・・・」

 

「・・・美樹さん。貴女は・・・私よりも多くのモノを見てきたのね」

 

そして”多くのモノ”を失った・・・・・・

 

「そんな格好の良いものじゃないですよ。本当は見えるはずだったのに、それを都合の悪いモノだってアタシは無視して何も見なくて、恭介の一面だけを見て・・・何にも分かっちゃいなかった」

 

もしも時間を巻き戻せるのならば、あの頃の自分に忠告したい。

 

魔法少女になるよりももっとやれることがあると伝えたい。

 

すべてを失ってしまったら、取り返しがつかないのだと・・・・・・

 

だが、それをあの頃の自分が忠告を聞くとは思えない。

 

結局は我が身に降りかからないと理解することなどできないのだ・・・

 

「本当にアタシは馬鹿だった・・・・・・」

 

「それを言うならば私もそうよ。私は自分が助かることだけを考えて、瀕死の両親を見殺しにした大馬鹿者よ」

 

もしもあの時、両親と一緒に助けてほしいと願えば・・・二人は今も健在だったかもしれない・・・

 

自分の事しか見えなかった死に際の自分の本性は、周りを見ることのないただの”子供”でしかなかった。

 

「でも、今の先輩には、その子が居るじゃないですか。決して何もないわけじゃない、アタシと違ってずっと恵まれている」

 

自分には”ソラ”という妹分が居るので十分に恵まれている。だが、マミは・・・

 

自分と違い”守るべき希望”が傍に存在している。

 

「結局は・・・自分自身が痛い目に遭わないと何も分からないのね、私達は・・・」

 

マミは少し悲しそうなに笑う。今まで”自分に護るべき願い”はなかった。

 

だが、今は”千歳ゆま”を支え、護りたいという願いがある。

 

一方的な想いかもしれないが、マミはそうしたかった。

 

さやかは、マミの姿に”守るべき大切な存在”が在ることを察した。

 

自分を支えてくれる妹分の存在は心強いが、もう自分には”守るべき希望や願い”はない・・・

 

その果ての”末路”でしかない自業自得な結果だけ・・・・・・

 

「アタシのようなどうしようもない魔法少女はアタシだけにします。先輩はその子を絶対に守り通してください」

 

さやかは背を向けて二人から去ろうとする。

 

「どうしようもない魔法少女なんて居ないわ。ゆまちゃんが私に言ってくれた言葉を話すわね・・・」

 

小さな暖かな手を差し伸べてくれた”希望”の言葉は・・・・・・

 

「辛いことは永遠に続かない。いつかは、終わるって・・・・・・」

 

ゆまの身の上を語りながら、マミはさやかの背中に語り掛けた。

 

「・・・・・・良い言葉ですね」

 

自分達よりも余程人間が出来ているであろう小さな少女にさやかは振り返りその小さな頭を撫でた。

 

「・・・ありがとう。ゆまちゃん」

 

マミに会釈をして、さやかは背を向けて去っていった・・・・・・

 

その背中をマミは見えなくなるまで見送る・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・さやか・・・・・」

 

「ソラ・・・おじ様は一体、誰にやられたの?」

 

結局自分は大切な人を奪った相手をこの手で”決着”を付けたいと願っている。

 

まさかと思うが”ホラーと化したあの柾尾 優太”なのだろうか?

 

死因の一つに”拳銃”で撃たれたことから柾尾 優太が手に持っていた”拳銃”を連想したのだが・・・

 

「さやかの考えている相手ではないと思います。ただ・・・少し気になることがありまして・・・」

 

「うん?気になること?」

 

ソラが何か手掛かりを見つけたようだが、確信にはまだ至っては居ないようだった。

 

「はい・・・上条氏が亡くなってから数時間も経たないうちに通り魔事件があったそうです。拳銃でこそは撃たれてはいませんがナイフで刺されたという点は一致しています」

 

たった一日にも満たない時間でナイフで人を殺害するという事件が同じ市内で起こるであろうか?答えは否であろう・・・・・・

 

「じゃあ、おじ様に怨みを持ってる誰かが殺したってこと?それにゆまちゃんのお祖母ちゃん達もって・・・」

 

さやかは先ほど、マミからゆまの家族が祖父母に通り魔によって殺害されたことを聞いていた。

 

「ちょっとまって・・・ソラ。おじ様とゆまちゃんの家族に手を掛けたのは・・・同じだってこと?」

 

「おそらくは、同一犯の可能性が高いでしょう。最初の上条氏は怨み目的であの子の家族を殺したのは、おそらくは、あの子自身が目的だったと考えられます」

 

「ゆまちゃん自身?まさか・・・」

 

「はい。巴マミが魔法少女であることを考えるに千歳ゆまは魔女と遭遇したのでしょう。そこで巴マミに保護されて今に至ると考えられます」

 

通り魔の現場に魔女が現れたことにさやかは、世の中は思った以上に厳しく優しくなく、それでいて残酷なのだと思う。

 

「それに・・・千歳ゆまは魔法少女の素質があります」

 

「魔法少女の素質っ!?じゃあ、近くにインキュベーターが・・・」

 

「ええ、私達を遠巻きに見ています。一匹捕まえて吐かせれば犯人の事を教えてくれるかもしれません」

 

ソラ自身は言いたくはなかったが、彼女が襲われた理由はあることを犯人が目的としていると説明がついてしまうのだ。

 

「おじ様が怨みを買うなんて信じられないし・・・本命がゆまちゃんなのは・・・・・・・」

 

さやかは改めて幼い少女を狙った事件に過去に経験した”ニルヴァーナ事件”もまた、幼い少女を狙っていたことを思い出していたのだ。

 

「実を言えば・・・魔法少女の素質のある子を狙ったのならばその子を”生贄”にして、”因果”を高めようとしたのではないかと考えられます」

 

ソラは、この世界には”魔獣ホラー”、”魔女”とは別に様々な”怪異”が存在していることを話す。

 

その中の一つに”生贄”を捧げることで自身の”因果”を高めて”奇跡”を叶えようとしていた歴史があったことを

 

通り魔事件の真相が自身の”因果”を高めることにあったのならば、その人物は”魔法少女”の事を知っていて、何かしらの理由で願いを叶えることが出来ず、その願いを叶える為に必要な”因果”を多くの人達を”生贄”にしようとしているということなのだ・・・・・・

 

「な、なによ、それ・・・そんな理由でおじ様とゆまちゃんの家族の命を奪ったの?ふざけんじゃないわよ!」

 

「さやかの怒りは最もです。私も正直、これを行った人間はホラー・・・いえ、それ以下の畜生でしょう」

 

人ではないがソラもまた犯人に対して嫌悪感を抱いていた。

 

顔の分からない犯人に対して怒りの声を上げる二人に小さな白い生き物が足元に近づいた・・・

 

「君たちの悩みだけど、僕も同じ悩みを抱えているんだ」

 

魔法少女にとっては顔なじみの存在 キュウベえである。

 

「君達の目的は上条恭介の父親を殺害した犯人を見つけ出したい。僕達は、魔法少女候補を害する存在を排除したいんだ」

 

現れたキュウベえに対し、二人はこれまでにない冷たい視線を向ける。

 

「・・・・・・ソラ。吐かせる手間が省けたね」

 

「そうですね。こいつらにとって魔法少女は単なる道具で、道具が傷つけられるのが嫌だから私達に声を掛けてきたんでしょうね」

 

「美樹さやかも随分と持ち直したみたいだけど、君は他の魔法少女とは違う気がする。一体何者だい?」

 

興味深そうにキュウベえはソラを観察するが、さやかは不機嫌な表情でキュウベえの視線からソラを隠すように庇う。

 

「私のことはどうでもよいでしょう。私達を態々尋ねるのは魔法少女候補を害している存在を何とかしてほしいからでしょう。インキュベーター」

 

「回りくどいことは良いのよ。アタシ達はアンタのやってることぐらい承知している」

 

ソラとさやかの視線はそれぞれ冷たくキュウベえも若干の居心地の悪さを覚えるのだが、あの志筑仁美を排除できるのはこの二人しか話を聞いてはくれない為、堪えた。

 

「彼女は”魔法少女の素質”が無くてね。それで自身が魔法少女になる為に”因果”を高める為に”生贄”を求めて魔法少女候補を害しようとしている。僕だととてもじゃないけど抑えられないんだ」

 

「抑えられないんじゃなくて、お前達が何か仕出かして、その後始末を私達にさせたいのでは?」

 

ソラは”カヲル”の存在は知らない。

 

今回の件を下手人である”少女”が自力で”因果”を高める方法に行きついたとは考えづらく、インキュベーター側で余計なことをしたが為にこのようなことになったのではないかと考えていた。

 

このように魔法少女に泣きついてくる理由のほとんどがインキュベーター側で何かしらの不手際が発生し、それを自分達で解決ができない為にこのような態度に出てくるのだ。

 

「碌なことしないわね・・・ホントに・・・でも構わないわ。今回だけはアンタ達ロクデナシの話を聞くわ」

 

「っ!?さやかっ!」

 

「良いのソラ。今回の件はアタシ自身でしっかりとケジメを付けたいから・・・・・・」

 

ソラに詫びを入れつつさやかは、今回の犯人が誰なのかをキュウベえに問いただした。

 

「ズバリ言わせてもらうよ。犯人は、美樹さやか、君が良く知る 志筑仁美だよ」

 

さやかは、もしかしたらという考えが何処かにあったのか、これと言って取り乱さずに落ち着けるように生唾を飲み込んだ。

 

キュウベえは二人に志筑仁美の犯行であることを告げ、魔法少女候補を傷つけられたくないので排除を願う。

 

「・・・・・・アンタ達は嘘をつくことはないし、必要性がないことは知っているわ。どうして仁美は”因果”を高めるようなことを始めたの?どうやって、それに行きついたの?」

 

「・・・・・・僕には答えられないかな・・・・・・彼女の考えていることは分からないよ」

 

「おかしいですね。インキュベーターにしては随分と感情的に感じられますが・・・」

 

「ソラ、その辺にしてあげな。こいつらにも都合の悪い事ぐらいはあるわ」

 

敢えてさやかはそれを聞かないで置いた。

 

まずはキュウベえの言っている事が”真実”なのかを確かめなければならなかった。

 

「アタシもアンタ達の全てを鵜呑みにするわけじゃない。だから、仁美の所へ行く・・・」

 

”魔法少女”の事を知り、”素質”がなく、それでいて願いを叶えようとする動機。

 

さらには、ある意味恭介を見殺しにしたともとれる彼の父を恨む感情。

 

それらを考えると彼女が”犯人”の可能性が高い・・・だが、

 

「もしも”真実”でもアタシは、仁美をアンタ達の望むように排除はしない。話し合って、仁美に馬鹿な真似を辞めさせる」

 

それでいて、罪を認めさせ、然るべきところで裁きを受けさせる。

 

一番の”元凶”でもある自分が志筑仁美を説得するなど滑稽ではあるが、彼女は自分とは違い”人間”なのだ・・・

 

故に苦難を極めるかもしれないが、”志筑仁美”・・・親友には人としての”人生”を歩んでほしい。

 

それがさやか自身の”エゴ”でもあることを自覚しつつも・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

志筑仁美の元へ向かっていくさやからをキュウベえは、無機質に見ていたが途端に赤い目が”喜色”の色を浮かべたのだ。

 

さやからは気が付かなかったが、キュウベえの首元に極小の”針”が刺さっていたことに・・・・・・

 

そこを通じて、魔針ホラー 二ドルが自身の住まう”結界”の中で笑っていたことに・・・

 

キュウベえ自身もまた気が付いていなかったのだ・・・

 

それが自身の意思なのか・・・はたまた意識に介入する”魔針ホラー 二ドル”のモノなのか・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

見滝原 志筑仁美の自宅

 

「美樹さやか・・・わたくしの邪魔をするつもりですか」

 

キュウベえに刺した”魔針”より、二ドルから知らされた状況に対して仁美は忌々しく表情を歪めた。

 

『でぇもぉさぁ~、少し面白くなってきたと思うよぉ。障害は多ければ多いほどやりがいがあるってものだぁよ』

 

他人事のように面白がる”二ドル”に苛立つが、この”ホラー”が気を利かせてくれたおかげで美樹さやかの動きを知ることが出来たことだけは感謝していた。

 

左目を通じて、”魔針ホラー”の能力の一部が使えることにその有用性を仁美は検証する。

 

今のところ、これといったリスクはないので有効に使わせてもらおうと考えた。

 

だが、美樹さやかが勘づいている事から時間はあまりにも少なくなっている。

 

千歳ゆまを狙うには巴マミを何とかしなければならないのだが、解決策はこれと言って浮かばなかった。

 

「千歳ゆまに拘らなければ・・・他にわたくしの”願い”を”因果”を高める為には・・・・・・」

 

一人一人狩っても”因果”は微々たるものであり、故に大量に”因果”を一気に集める方法を考えなければならない。

 

自室の机には”見滝原中学校のパンフレット”が置かれており、”天才ヴァイオリニスト 上条恭介”も紹介されていたのだが、その後のパンフレットでは名前を削除され、まるで居ないもののように扱い、切り捨てた学校側の対応に怒りを感じていた。

 

「あなた方があの方を切り捨てるのならば、わたくしが切り捨てます」

 

因果を高める為にある計画が閃いたのだ・・・

 

彼女にとっては天啓であり、それ以外の者にとっては災いである・・・・・

 

一人では難しいのだが、”魔針ホラー”の協力があればこそ可能な計画・・・

 

それは”見滝原中学校襲撃計画”であった・・・・・・

 

二ドルに計画の詳細を伝えなければならないが、今は場所を移動しなければならなかった・・・・・・

 

志筑家のグループが企画しているある”場所”へ足を向けることにしたのだ・・・

 

そこならば、魔法少女であっても容易には入ってこられないのだから・・・・・・

 

志筑仁美のこれからの行動が面白くなりそうだと”魔針ホラー 二ドル”は笑う・・・・・・

 

『やっぱぁり、人間界は面白いなぁ~。魔界は何もなくて退屈だから、こっちは飽きないんだぁ~』

 

見滝原市に存在する巨大な”湖”周辺の開発計画としての一環・・・・・・

 

”水上ホテル計画”の為に現在、停泊している巨大船を拠点とすべく志筑仁美は足早に自宅を後にするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 





あとがき

劇場版のまどマギでのさやかの髪飾りが印象的だったので、出したもののとてもじゃないですが書いていて、さやかの苦難は増してばかりだと今更ながら思います。

キュウベえより、犯人の名前が告げられましたが、鵜呑みにするのではなく仁美に会い、真実を確かめてから説得をしようとするさやかは、仁美が罪を認め、自首するのならば親友として支えていくつもりで居ます。

自身の怒りもそうですが、仁美がこのような行動に走ったのは自分が原因だと考えているが故です。

ですが仁美にさやかの想いは届くのでしょうか?彼女の暴走は、いよいよ個人ではなく自分が通う”学校”関係者までに向かい、さらには”魔針ホラー 二ドル”によりとんでもない事になりつつあります。

さやかにホラーを斬ることのできる”霊刀”を届ける役目で京極神社から 京極カラスキが来る予定ですが、見滝原にもアスナロ市編の方々も出そうかと考えています。

新たに敵キャラを出すよりかは既に出ている方々を出した方が話の流れとしては良いかと考えていますので・・・

ちょっとやってみたいのが、そっくりさん対決(笑)

改めてみるとさやかが初期の頃よりも大きく成長したと思います。

守るべき希望も願いはないけど、それでも前に進まなければならない。

こうなったのは全て自分の行いの結果だということを自覚して・・・・・・

このさやかだと、”円環の理”には行きそうにないですね・・・・・・


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