呀 暗黒騎士異聞(魔法少女まどか☆マギカ×呀 暗黒騎士鎧伝)   作:navaho

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バド伯父さんが書いていて強すぎると思ったり(笑)

風雲騎士 バドですが、バラゴとほぼ互角と言うか若干ながら押していた描写がありましたので、かなり強い部類の騎士だったのではと今更ながら思ったり。

初期の鋼牙、零よりは強いんだろうなと思います。

設定だと 風 水 雷 瞬間移動 幻覚技等を使うので魔法少女の味方サイドとしてはかなり相性が良いと思います。




第弐拾六話「上条 恭介 中編 弐」

「さやかっ!!」

 

ソラは背中の痛みを感じつつ、ビルから飛ばされてしまったさやかを追うべく、駆け出した。

 

眼下では、さやかの直ぐ近くに赤毛の黒いコートを着た二振りの剣を握った男が立っていたのだ。

 

さやかは、魔法とは違う”力”によって守られており、彼女は水で作られたクッションの上に居た。

 

「良かった・・・あの男は”魔戒騎士”・・・・・・情報にはない顔ですね・・・」

 

魔戒騎士の介入には驚いたが、さやかを助けてくれたことにソラは感謝していた。

 

だが、戦いのさなかに異変が起こった。何者かが、ホラーとの戦いの最中に”魔女”を出現させたのだ。

 

”意図的に”・・・

 

「この魔女の気配・・・・・・どういうことですか?何故?さやかの魂と酷似しているのですか」

 

”人魚の魔女 オクタヴィア・フォン・ゼッケンドルフ”の放つ気配は、さやかの魂 ソウルジェムの気配そのものであった・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 突如として現れた”人魚の魔女”は風雲騎士 バドに対し敵意を向け、志築仁美に酷似した使い魔たちを差し向けてきた。これ以上にない数であったが、

 

「飛び入りながら、即興でやってくれるな」

 

孵化したばかりでありながら大量の使い魔を呼び寄せる事を察するに魔女がそれなりに力が強かったのか、はたまた、ホラーの邪気により影響で強化されているのかは定かではない。

 

少女の姿をした使い魔に刃を向けることに罪悪感を感じないわけではないが、か弱い女性を装って人間を襲うホラーも存在する為、ここは仕事として割り切ることにした。

 

風雲剣に雷を纏わせ、上下に構え、刃の切っ先でS字を描くと同時に眩い光と共に雷が龍の姿へと変わっていく。

 

振り下ろされた風雲剣に後押しされるように雷の龍は咆哮を上げて使い魔達を一気に雷の威力を持って一掃し、さらにその先に居るホラー ミューゼフと人魚の魔女が居るステージに降り注いだ。

 

ステージに衝撃が走り、使い魔達が結果内に飛散する。威力により使い魔は瘴気と共に消滅していく。

 

バドは鎧独特の金属音を立てながら、ステージで態勢を崩している二体に向かっていく。

 

「オオオオオオオオオッ!!!」

 

『クソッ、こ、こんなところで・・・』

 

自分を狩りに来た魔戒騎士が予想以上に強敵であることにミューゼフは悪態をつくが

 

『嗚呼あああああああああッ!!!』

 

ミューゼフを護るかのように”人魚の魔女”が立ちふさがり、手に持った剣をバドに向けて振り下ろす。

 

風雲剣で防ぐと同時にしなやかな動きで態勢を変えて、反撃を行う。

 

ミューゼフも”人魚の魔女”に加勢する形で衝撃波をバドに向けて放つが、ギリギリのところで回避される。

 

『・・・・・・・・・』

 

『君は、何故僕を助けてくれるんだい?喋れないのか・・・でも、このままだと』

 

目の前の白銀の狼の騎士は恐ろしく強い。二人ではおそらく勝てないとミューゼフは考える。

 

ミューゼフの昆虫に似た目は複眼のように機能しており、その複眼の内の一つが”彼女”の姿を捉えたのだった。

 

『そうか・・・・・・君は確か僕を助けようとしたんだったね。だったら、役立ってもらおう』

 

志築仁美に使い魔をけしかける。杏子、さやかも動くが行く手を阻まれてしまう。

 

「あんの野郎!!!ホラーにすっかり染まりやがって!!!!」

 

「ホラーは取り憑くんだっけ?ほんとにいい加減にしなさいよっ!!!恭介!!!!」

 

二人は志築仁美を助けるべく動くが、使い魔達がいつの間にか多数集まっていた為、中々近づくことができなかった。

 

仁美に集まる”使い魔”達は、何故か彼女に対して強い敵愾心を持っており、一部の使い魔達の気配は鬼気迫るものであった。

 

バドは急いで仁美を助けるべく、ミューゼフと人魚の魔女より離れる。だが、助けるためには、いったん鎧を解除しなければならなかった。

 

鎧のまま彼女に触れることができない為である。術を使えばその余波で傷つけてしまうこともあり得る為、直接助けなければならなかった。

 

通常に解除するのではなく、意図的に使い魔達に当てるように鎧を飛ばした。

 

金属音と共に使い魔に当たった幾つもの部位ごとに分かれた鎧に弾かれるようにして使い魔が吹き飛ぶ。

 

バドは仁美を抱えると、自身の得意とする”瞬間移動”を駆使し、杏子、さやかの元に行く。

 

「伯父さん!!!」

 

「伯父様!!!!」

 

「二人とも無事だな。この娘をお願いできるかな」

 

抱えられた仁美は、バドが再び”上条恭介”に危害を加えると察し

 

「させませんわ!!!これ以上、上条さんを傷つけたりはさせませんわ!!!!」

 

仁美はバドの腕を抑え込むようにしがみ付く。

 

「っ!!こいつ・・・」

 

「仁美っ!!!アレはアタシ達の知っている恭介じゃないんだよ!!!」

 

杏子とさやかが”現実”の見えていない仁美に声を上げるが、

 

「それでも!!!あの方は生きていますわ!!!わたくしがお守りして!!!」

 

「君も辛いが、ホラーに取り憑かれるのももっと辛いんだ」

 

バドは若干の罪悪感を感じつつ仁美を強引に振りほどき、再び鎧を召喚すべく駆け出すが・・・・・・

 

魔女の結界が突如閉じ、そのまま結界と共に”ホラー ミューゼフ”は”人魚の魔女”と共に姿を眩ませた。

 

「・・・・・・逃げられたか・・・・・・」

 

風雲騎士の称号を持つ者として若干屈辱を感じるが、姪とその友達が無事ならばそれでもかまわないと思うことで自身の感情の高まりを抑えるのだった。

 

気まずそうにしている杏子とさやか、対して仁美はこれ以上にない怒りの目をバドに向けていた。

 

「みんな、怪我はないか?」

 

振り向きざまにバドは”気にするな”と二人の魔法少女に笑いかけるのだった。

 

 

 

 

 

 

「怪我ですって!!!上条さんをあんな風に痛めつけておいてよくもそんなっ!!」

 

「仁美っ!!」

 

「てんめぇ!!さっきから、やりたい放題しやがって!!!伯父さんの仕事を邪魔しただけじゃ飽き足らないってのかよッ!!!」

 

バドに詰め寄ろうとする仁美に対して、杏子は彼女に近づき、そのまま胸ぐらを掴む。

 

「アレが仕事?人を不幸にする殺し屋じゃないですか?上条さんの音楽はみんなを幸せにします」

 

自分は何も間違ってはいないと言わんばかりの仁美に対して、杏子は思わず手が出そうになった。

 

「杏子ちゃん。放してあげなさい」

 

「でも・・・伯父さん・・・分かったよ。魔戒法師も一般の人に手を出しちゃいけないんだよな」

 

伯父の言わんとしていることに渋々と了承し、杏子は手を離した。

 

「仁美・・・アタシも納得は難しいけど、伯父さまは仁美の命を助けたんだよ。あの恭介は、仁美を自分の為だけに利用してた。仁美のことはもう何とも思っていないんだよ・・・アタシの事もだけど・・・・・・」

 

さやかも自身の心情を仁美に明かした。事実、もしかしたらホラーに取り憑かれた恭介が呼びかけに応えてくれるかもしれないと何度も彼の名を呼んだが、結局、彼の声でホラーが応えただけに過ぎなかった。

 

自身が逃亡するために人質をとるようなやり方で仁美を利用したことから、彼女らの知る”上条恭介”は死んだのだろう。

 

幼馴染をあのように追い詰めてしまった原因は自分にあるのだろう。さやかは、震える声で語った。

 

「だから仁美・・・・・・恭介のことは・・・・・・」

 

「それは、美樹さやか。貴女だったから、このような結末になってのではないですか?奇跡を叶えることができてもそれを生かすことのできない貴女だからです」

 

「お、おいっ、何言ってるんだ?」

 

突然の仁美の嘲りに対し、杏子は声を上げ、さやかは呆然とする。

 

「だって、そうじゃないですか。佐倉杏子も美樹さやかもみな、奇跡を叶えてもその奇跡は結局は、無駄にしてします。わたくしでしたら、こんな結末はあり得ませんし、奇跡だってもっと有効に叶えられます」

 

仁美の表情は光悦としていたが、はっきり言って正気ではなかった。畳みかけるように声をさらに上げるが

 

「それは、結果論だ。後になってこうすればよかったなんて、いくらでも言える」

 

「わたくしは、魔法少女の奇跡について話しているんです。あなたには・・・関係」

 

「世の中はハッキリってどうしようもないくらいロクでもない場所だ。だけど、一途に何かを行いたいと願う気持ちに間違いはない。裏切られることなんてしょっちゅうだ。だが、それはみんなが通らなければならない道だ。その道を避けてはならない。理不尽を味わい、悔しい思いをして、みんな前に進む。杏子ちゃんもさやかちゃんもそうやって、前に進もうとしている。そんな二人を悪く言う権利は誰にもない」

 

「そ、それは、説教ですか?大人だからですか?あなたが・・・・・・」

 

バドの話に対して、仁美は反論するが、

 

「俺は誇れるほど立派な大人じゃない。色々やらかしているし、怨みもそれなりに買っている。だから、俺みたいにはなってほしくはないのさ。杏子ちゃんもさやかちゃんも・・・そして、君もな」

 

その話を受け止めるかは各々によるところであるが・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

一夜明けて、さやかと杏子は学校に登校していた。

 

あれから直ぐにソラと合流し軽く紹介をしてから、周囲を探索したが、ホラー ミューゼフ、人魚の魔女は完全に行方は分からずであった。

 

仁美がやはり騒ぎ立てたが、病院から抜け出したことが病院側で発覚し、そのまま両親に腕を掴まれて家に連れ戻されてしまった。

 

ホラーが動くのは夜の為、昼間はおそらく動かないことと、”人魚の魔女”が結界を張り逃げてしまった為、その捜索を伯父が行っているのだが、今回の件には何者かの横やりがあった為、”番犬所”に足を運んでいる。

 

「番犬所に確認か~。あんまり、いい感じじゃないんだよな」

 

「えっ?番犬所って、伯父様達の上司でしょ?」

 

「そうなんだけどさ。言っちゃ悪いけど、神官の連中は結構冷たいというか、堅いのが多くて結構苦労しているって」

 

正直に言えば、伯父も仕事以外にはあまり関わり合いたくもないと言っていた。

 

「それでも、キュウベえよかマシだと思うよ、アタシは」

 

「それは言えてるな」

 

二人は軽く笑いながら校門をくぐるのだった。

 

「そういえば、さやかンとこの妹はどうしてるんだ?」

 

昨夜、さやかから紹介されたさやかによく似た少女に対して、杏子はしっかり者の妹のような印象を抱いていた。

 

「ソラなら、お留守番なんだけど・・・あの子、抜け出してないかな~~」

 

「ハハッ、いっちょまえにお姉ちゃん面かよ」

 

「抜け出して変な男に絡まれたら嫌だな~~特にキュウベえとか・・・」

 

「人の話聞けよ。さやかぁ」

 

 

 

 

 

 

 

 

西の番犬所

 

「さっそくですが、見滝原での昨日の件は何者かが暗躍しています。暗黒騎士以外の何者かが」

 

異空間に存在する番犬所はそれぞれの地域を管轄しており、ここはバドが所属する西の番犬所である。

 

「はい。暗黒騎士は使徒ホラーに惹かれて見滝原を離れています。今回、暗躍したのはインキュベーターに間違いないでしょう」

 

神官よりまさかの”インキュベーター”の名前が出たことにバドは少しだけ驚いた。

 

「あれはホラーとは違う別の外の世界からやってきた存在。しかし、所業はホラーと何ら変わりのない”陰我”を振りまく存在です」

 

「そこは私も同意します。しかし、ここまでインキュベーターが魔戒騎士を敵視するようなことはあったでしょうか?まさかと思いますが、魔法少女を魔女にすることが目的を果たすために・・・・・・」

 

「それは私にもわかりません。ですが、インキュベーターにしては悪意を持ちすぎています。何者かがそのインキュベーターを唆し、今回の件を引き起こした可能性は十分に考えられます」

 

「連中の中に”悪意”を持った個体が存在し、そいつを誰かが”利用”、もしくは唆しているということですか?」

 

「おそらくその予想で合っているでしょう。その者はおそらくは暗黒騎士と関りがあり、今回は暗黒騎士が離れたことにより、見滝原に介入してきたのでしょう」

 

”介入してきた黒幕”が何者かまでは分からないが、少なくとも暗黒騎士が見滝原では、東の地のように暗躍を行わずに過ごしているという事実とアスナロ市に足を向けたことによる留守を狙ってのことだと・・・・・・

 

「何処の何者かは分かりませんが、空き巣紛いなことをやられた側にしてはたまりませんな」

 

大げさに両手を上げて、バドは返した。神官の前で取るような態度ではないのだが

 

「それは私も同じです。ですが、暗黒騎士が戻るまでにホラーを殲滅しなければなりません」

 

神官の言葉にバドは頷き、その場を後にするのだった。

 

(バラゴの件は今は、俺が動く必要はないだろう。今は、ホラー狩りに専念すべきか・・・バラゴと繋がっている存在・・・まさか”東の番犬所”・・・千体のホラーを狩るのならば、当然のことながら番犬所は抑えておきたい。しかし、これはまだ確証がない。東の番犬所の神官の評判はハッキリ言って最悪だ。だからと言って疑うのもな)

 

バドは、計画的にホラーを狩る上で必要なことを考えながら、自身の発想があまりにも突飛しすぎていることを感じながらも一応の探りだけは入れておかなければならないと考えるのだった・・・・・・

 

東の番犬所を疑う理由は、バラゴの活動の中心が東の番犬所の管轄内がほとんどなのだ。

 

番犬所が暗黒魔戒騎士を見逃すとは考えられないとは言い切れない。時折、番犬所の神官の中には珍しいからという理由で”危険故に封印、破棄された魔導具”を隠し持っているケースも少なからず存在する。

 

”番犬所の反乱”は罪が重い。上位組織である”元老院”より刺客が差し向けられる。

 

(一度、閑岱へ行き、邪美に探りを頼むか。そういえば、邪美は大河の息子 鋼牙と幼馴染だったな)

 

どうでも良いことを思いつつも、バドは”魔戒道”に入り、閑岱へと足を進めるのだった・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

見滝原 中学

 

「アレ?今日もまどかの奴は居ないのか?」

 

「あぁ~。姐さん、まどかは今日、定期健診だよ。ずっと前に交通事故に遭っちゃって・・・・・・」

 

杏子は、いつもなら学校で合う鹿目まどかが居ないことに声を上げるが、さやかがその疑問に応えた。

 

「あいつ、事故に遭ったのか?随分と難儀してんだな・・・」

 

「そうなんですよ・・・あの時は恭介も一緒で・・・・・・」

 

さやかの脳裏に数か月前に起こった痛ましい事故が浮かんでいた。

 

突然の車両が歩行者通路に乗り込み、数人の通行人と学生を巻き添えにしたのだった。

 

あの時に恭介は左手が動かなくなる重傷を負った。そしてまどかは・・・・・・

 

「まどかは・・・特に酷くて・・・・・・もう目覚めることはないんだって・・・・・・」

 

当時のあの光景は今でも恐ろしいものだった。親しい友人が痛ましい姿で横たわる姿はとてもではないが見ていられなかった・・・・・・

 

「おい、まどかは今・・・」

 

「それがですね。一か月後に目覚めたんですよ、奇跡だってみんな、燥いじゃって」

 

「なんだ・・・そうだったのか。アイツも運が良い・・・・・・って、待てよ」

 

杏子の脳裏に、今は見滝原を離れている”暁美ほむら”の姿が浮かんだ。

 

まどかが明かしてくれた自身には”これから起こる未来”の知識があることとほむらが”時間遡行者”であることを思いだしたのだ。

 

(二度と目覚めない奴がたった一か月で目覚めた?奇跡って・・・それこそ、何処かの誰かがまどかの為に祈ったのか?まさか、ほむらじゃないだろうな・・・ほむらが、この”時間軸”にやって来たから”まどか”が目覚めた)

 

「ど、どうしたんですか?姐さん、急に深刻な顔をして」

 

「あぁ、何でもねえよ。ただ、ホラーと魔女がちょっと気になってな。そろそろ人手が欲しいなって・・・ほむらが早く切り上げて戻ってきてくれたら、楽なんだろうなって思ったんだ」

 

「そういえば、三年生もだけど、ほむらの姿を最近見ないけど何処に行ったの?」

 

「ほむらはな、アスナロ市の方に用事があるって行ってるぜ。多分、あと二日ぐらいで戻って来るんじゃないか」

 

「ほむらは、色々魔法少女については知っているみたいだし・・・来てくれると助かるんだけどね」

 

さやかも、あの夜にキュウベえから聞いた”魔法少女の秘密”について考えていた。ほとんども魔法少女が認めないというか信じない”秘密”を知っているほむらに対し、その助けを必要としていた。

 

「そうだな・・・アイツ、魔戒導師なんだぜ。知ってたか、さやか」

 

「えっ?魔戒導師って、法師と何か違うんですか?」

 

「それはな・・・ほんの少しだけ未来が見えるらしいんだ」

 

杏子もまた魔法少女であり”魔戒”の力を用いる彼女の事を気にしており、今現在、連絡が付かない巴マミとの合流を望んでいた・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

見滝原市のとある場所

 

白い空間に一人の少年と背の高い執事服の男が退治していた。

 

少年の名はカヲル、執事服の男は コダマである。

 

「君のお母さんのガルム・・・いや、今は、ケイル、ベル、ローズで良かったんだね」

 

カヲルはつい先ほど、渡された二つのグリーフシードを上機嫌に弄んでいた。

 

「君のお母さんの遊び好きには本当に参るよ。いやぁ~~~こんな、貴重なグリーフシードを僕に譲ってくれるなんてね」

 

鼻歌を歌うカヲルに対して、コダマは何も言わずにただ見つめているだけだった。

 

その二人を傍からキュウベえは・・・・・・

 

「やれやれ、今回の件はイレギュラーが出たかもしれないね。それにしても・・・美樹さやかに味方するあの少女は一体・・・・・・」

 

キュうべえは、さやかと共に現れた彼女によく似た”ソラ”を警戒していた。そして・・・

 

「ホラーはミューゼフだけじゃない。フェイスレスもまだ健在だ・・・あと少ししたら、暗黒騎士と暁美ほむらも見滝原に戻ってくる・・・・・・その間に何とか事態が収まってくれればいいんだけど・・・・・・」

 

自身には感情がないはずなのに、人間でいう”不安”を彼は覚えていた・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

東の番犬所

 

異空間の中で三人の白い少女が姦しく話していた。

 

「ほんとうに愉快なことになっていますね」

 

「えぇ・・・あのホラーに加勢したのは予想通りとして、魔法少女の奇跡を巡って”陰我”が生まれるかもしれません」

 

「もともと魔法少女は魔女の前身、呪いを生み出すところ。”陰我”は生まれていたのでは?」

 

「いえいえ、魔法少女ではなく、それに魅入られた”娘”がいるんですよ。ほら・・・」

 

ベルが泉を指さすとそこには、昼間であるのにカーテンを閉め虚ろな表情でベッドにうずくまる志築仁美の姿があった・・・・・・

 

 

 

 

「絶対にわたくしは・・・上条さんを・・・・・・その為には・・・・・・」

 

志築仁美の脳裏に未だに願いを叶えていない少女 鹿目まどかの姿があった・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

そのころ、まどかは定期通院で病院に父 知久と弟のタツヤも一緒に居た。

 

「まどかもだいぶ良くなったみたいだね。先生も通院もしばらくは大丈夫だって」

 

「わたし・・・一か月も寝たきりだったんだ。まだ実感が湧かないんだけど」

 

正直に言えば、まどかはあの”事故”の事を覚えていなかった。目覚めたら知らない天井が目の前に遭って、病室に居たときは、心底驚いてしまったのだ。まるで”彼女”のようだったから・・・・・・

 

「あの時はママもパパもみんな大変だったんだよ」

 

穏やかに笑って言えるのも、娘が回復してくれたからこそであった。もしも、今も意識不明だったら、こんな風には言えなかっただろう・・・・・・

 

「なんか、ごめんね。迷惑をかけちゃって・・・」

 

「良いんだよ。まどかがこうして元気になってくれたからね。今日は買い物してから帰ろうか」

 

「じゃあ、わたしも手伝うね」

 

タツヤも嬉しそうにまどかと知久の間に入り笑っていた。そんな三人の前にある人物が同じタイミングで病院の入り口の前に立った。

 

「あ、あなたは・・・」

 

知久はその人物を知っていた。そう彼は、あの大河と共に自分達を・・・生まれる前のまどかを助けてくれた。

 

「懐かしいな。大河が助けた子がまさか、まどかちゃんだったとは・・・」

 

「杏子ちゃんの伯父さん!!」

 

かつて鹿目まどかの母 詢子がホラーの血に染まりし者になったとき、自分達を助けてくれ、娘の名付け親になってくれた”大河”と共に戦ってくれたもう一人の魔戒騎士 風雲騎士 バド。

 

「あぁ、あの時も大河と違い名乗らなかったが、今も”ナナシ”と呼んでくれ、知久」

 

 

 

 

 

 




あとがき

ある意味、恭介 さやか、仁美による三位一体の連携にも見えなくもない状況(笑)

内訳 ホラー 魔女 人間。

仁美ちゃんが良からぬことを企んでいますが、うまくいくのやら・・・・・・

今回、色々とまどマギキャラとGAROキャラが本格的に交わり始めました。

まどかの両親は、大河と知り合いでさらには、バドとも知り合いでした。

ちなみにバドが病院に居たのは、病院に存在していた”陰我”のゲートを封印する為でした。既に邪美さんにはお願い済です。

ホラー ミューゼフが出たことと、某青年による行いにより、”陰我”のゲートが出ていた為です。

次回辺りは、アスナロ市におけるバラゴとほむらか、もしくは、鹿目家とバドが大河の思い出話をするお話のどちらかになります。

こうしてみると、バドが主人公になってるような気がしますが、この小説のタイトルは 暗黒騎士 呀です、ですのでバラゴが主人公なんですが・・・バラゴはバドと違って妙に暗いので話が重くなるかもと思います(笑)

なにげにほむらは、杏子、さやか、マミからの好感度は高かったりします。


杏子 同じ魔法少女で魔戒の力を使う境遇。さらには騎士と一緒に居る。

さやか 病院の件で助けてくれた事と魔法少女の真実を同じく知っている。

マミ さやかと同じく、病院の件で助けられ、一緒に戦ってくれると言ってくれた。

ちなみにまどかは、ほむらのことがすごく気になり、暁美一家とも知り合っていますので、早く見つけて家族に会ってほしいと願っています。


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