転生したら始祖で第一位とかどういうことですか 作:Cadenza
本日、傷物語熱血編を観てきました。作画も良かったし、面白いっちゃあ面白いんですが、あの三人とのくだりがかなーり削られていたのが残念。あと、PG12だったけど、あれは納得。まさか何の規制もなく、そのままとは。
一番思ったのが、田舎町の癖にどんだけカオスなんだよ、でした。田舎町に九車線道路とか意味わからん。
「……まぁ、この程度、じゃろうな」
斬撃皇を地面に突き刺し、その傍らに立つキスショットは、目の前の光景を端的にそう表した。
ほど近い地面に二人の人間が倒れている。言うまでもなく、唯一動ける者としてアークライトに斬りかかっていき、突然現れたキスショットに離されてしまった暮人とグレンの両名だ。
その身体は見るからにボロボロで満身創痍。二人の鬼呪装備である《雷鳴鬼》と《真昼ノ夜》は無造作に地面へ転がっている。
二人共々、他の帝鬼軍がこの神代の空気の中で倒れ伏している中、鈍っているとは言え動ける強者であり、あれだけの存在感と威圧感を放つアークライトを目にしても戦意を失わない強靭な精神力の持ち主だ。
しかし、月の落下を止めるにはアークライトをどうにかするしかないと見切りをつけたのはいいものの、そこに横合いから乱入してきたのがキスショットである。
なんにせよ吸血鬼を全滅させなければ人類に未来はない、と意気込み二人で挑んだのは良かったのだが……
「ぐ……っ」
「クソ……ッ!」
結果、二分もかからずに地面へ這う事となった。
人間には劇薬である神代の空気が蔓延している上に、相手は千年クラスの始祖でありアークライトの眷属。
生物としての性能、戦闘経験に加えて、挑発や揺さぶりが効かない冷静さ。あらゆる意味で格が違う。
例え二人が万全の状態であったとしても、元より勝ち目など皆無だったろう。
「まだ動けるか。殺す気はないとはいえ、それなりに力は込めたのじゃが」
そう言うキスショットは余裕も余裕。既に眼中になしと言わんばかりに、倒れ伏した二人を見下ろしている。
事実、戦いにすらなっていなかった。
光速にすら迫る歩法の極致――縮地に翻弄され、一太刀で複数の斬撃が襲ってくる剣戟が身体を切り裂き、超絶的な技量に圧倒される。
帝鬼軍最強クラスの二人がなすすべもなく一方的にやられる光景は、もういっそ清々しいまでに馬鹿げていた。
だが、とうの二人からすればたまったものではない。
「貴様……! 何故殺さない!?」
「喧しい。敗者に口なしじゃ。生殺与奪権は儂にある。うぬらはそこで邪魔をせず、ただ黙って見ていればよい」
「……くそっ」
今や地に這う敗者となった暮人が血を吐くかのよう憎々しげに睨むが、キスショットの返しに言葉が出なくなる。
キスショットは勝者で、暮人とグレンは敗者。強い者が弱い者を好きにできるのは当然の権利であり、暮人もそれを肯定して強者の立場に座り続けてきた。
「しかし、呆気ないのぉ。《終わりのセラフ》まで使用しておいて、これしきとは。その程度で天使を御せると思っておったなら、笑いが込み上げてくるわい」
嘲りを含み一笑に付す。暮人はギリッ! と奥歯を噛み締めた。
「貴様に何が……」
「分からぬし、分かりたくもないわ。全てを賭けて戦った同族を生贄にしてまで力を求めるか、うぬら人間は」
「…………」
暮人は答えない。答える必要などないからなのか、それとも何も言えないのか。
「全のために一を切り捨てる。まぁそれも良かろう」
暮人を端的に表した言葉がそれだ。
目的のためならば手段を選ばない。目的達成のためならば犠牲も厭わない。
それはこれまで暮人がやってきたことであり、これからも変わらない。
「しかし、救ったモノを切り捨てたモノが上回った時、ソレは破綻する。うぬの行動を纏めれば、力で縛り、不要と決めつけ切り捨て、周囲を顧みず進む、じゃな。さて、そんな輩に誰が付いてくるのか、見ものじゃのう」
確かに暮人は、支配者の器なのだろう。しかしそれは慕われる名君ではなく、怖れられる暴君の類いだ。
歴史上、暴君の治世が長く続いた例はない。恨みを買って暗殺されるか、民の反乱で処刑台に送られるか、それとも因果応報といえる結末を迎えるか。
少なくとも碌な終わり方はしない。
「……犠牲なくして得られるモノなどない」
「阿呆が。誰が決めたそのようなこと。何故くだらぬルールに従う必要がある。覆せばよかろう」
キスショットは知っている。
暮人など及びもつかない絶対的な力と地位を持っていながら、決して驕ることなく侮りもしない我が主人。
アヴァロンを治める第一位始祖にして吸血鬼の王、アークライト=カイン・マクダウェルを。
典型的な暴君が暮人だとするなら、アークライトは名君の見本だろう。
彼は犠牲を是としなかった。根が普通であるが故に、何かを切り捨てるのを良しとしなかった。
キスショットがアークライトに血を吸われ、与えられて吸血鬼となったあの時も。
青臭い甘ったれた理想と言われれば反論できない。だが、現実だけを見つめて合理的に動くなど何がいいのか。
故に、今のアークライトがいるのだ。
「ふざけるなっ。それはお前たちだから言えることだろうが……!」
しかし、暮人から言わせてみれば、それは強者の理論。
現実を退け、理想を貫き通せるのは力があってこそ。
結局のところ力が全てであると。
暮人の言わんとしている事を察したキスショットは、しかし反応するのではなく、きょとんとした表情を浮かべた。そして、クククッと愉快気に笑う。
「ほうほう、なるほど。儂の言っている事は強者だからこそ、と。ふむふむ……つまりそれは――」
美しく、優しく、そして凄絶な笑みを暮人に向け、一切の悪感情を含まずに言う。
「――うぬは、強者ではない。そう言う訳じゃな」
それは、強烈な皮肉だった。強者が全てとしてきた暮人が、思わず息を呑む程に。
「自覚なし、か。己が己を理解していないというのはありがちじゃな。
――確かに、うぬの言っていることは否定せんよ。力があってこそ、それは事実じゃからな。しかし、力とは所詮、力に過ぎん。どう使うかは使う者次第。要は使いようじゃな。
その点、我が主は上手くやっておるよ。力は使うものと割り切ってな。力に執着するうぬとは比べ物にならんの。
……まぁ、聞こえておらんようじゃが」
キスショットが視線を向けるも暮人は茫然としており、言葉など耳に入っていないようだった。
それほどの衝撃があったのだろうか。今まで強者を全としてきた暮人が、気づかぬ内に己が弱者であると奥底では思っていたことに。
「……ふむ、この程度で揺らぐなら、その程度ということじゃな。さて――」
そんな暮人から興味をなくしたように外れた視線は、今まで一言も喋らず、反応もしないまま沈黙を貫いていたグレンへ移る。
「うぬは、どうなのじゃ?」
「…………」
やはり無言。視線すら合わせそうとせず、俯いたまま地に伏している。
「だんまりか。名古屋市役所の時に比べ、随分な変わりようじゃな。強さは増しているが、感情が薄い。加えて性格も反転しておる。原因はその刀か」
転がっていた《真昼ノ夜》を一瞥し、手に取って見る。途端、掴んだ柄から黒い瘴気のような鬼呪が広がり、キスショットを蝕もうと迸る。
「ふむ……こざかしいわ」
しかし、金色の光が一瞬キスショットから放たれたかと思うと、邪気そのものと言える程に禍々しい鬼呪は、風に煙が散らされるかの如く、か弱い線香のように掻き消された。
鬼呪を散らされた《真昼ノ夜》は、焦るようにガタガタと刀身を震わせる。だが、柄を掴んだキスショットの手はビクともしない。
それは、鼠の精一杯の抵抗を百獣の王が視線一つで制しているかのようだった。
「これが鬼を封じた鬼呪装備とやらか。中々の技術力じゃ。それが人間の手によるものならば、と言う前提が付くがの」
ポイッと《真昼ノ夜》を放り投げる。最上位たる黒鬼シリーズの一角に、かなりぞんざいな扱いだ。
それしきの興味しかない、とも言えるが。
「うぬらもよくやる。世界を滅ぼしかけた挙句、懲りもせずに天使……果てには滅びの悪魔すら利用しようとする。人が力を求めるのは必然であるが、それにしても限度があるじゃろう。儂もアークも、滅亡前の世界を気に入っていたと言うに。誰かは知らぬが、余計な事をしなければ世界は滅びず、本来なら裏の存在である吸血鬼が表に出る事態にもならなかった。つまり、因果応報、じゃな。そして何より――」
その時、黄金の輝きが空港全体を照らした。
「アークを敵に回そうなどと、よく思ったものじゃ」
空に浮かぶは天罰の光槍。肌を突き刺す波動に、空間を軋ませる神威。
それはまさしく奇跡の降臨。権能の顕現に他ならない。
悪を悉く滅殺する神聖なる輝きに黒鬼という鬼の中でも特にタチが悪い存在を宿している者は、獣が火を恐れるように本能的で根源的な恐怖に襲われ、身を竦ませる。
これは暮人やグレンも例外ではない。
全身を総毛立たせ、無意識に身体を震えさせていた。
「なんだ、あれは……」
暮人が唖然と呟く。その表情には、隠し切れない恐れの色が滲み出ている。
唯我独尊を常とし、全てを見下すかの如く振る舞っていた暮人が。柊こそ全て、現柊家当主柊天利すらも時代遅れと断ずる、あの暮人が。
こればかりは軽んじることなどできない。氷柱を突っ込まれたような悪寒を感じながらも、決して目を離すことができない。
そう強制的に思い知らされ、それでも唯一の抵抗とばかりに言葉を絞り出していた。
「アークライトじゃ」
答えたのは、キスショットだった。
「この世に並ぶモノなき頂点。あらゆる全ての上に立つ絶対強者。うぬらが吸血鬼の殲滅を目指すというのならば、決して避けられぬ最大の大敵。吸血鬼の王、アークライト=カイン・マクダウェルじゃ」
そう語るキスショットの表情は、これまでにない程の喜悦と歓喜に満ちていた。
人間はおろか、滅びの悪魔や吸血鬼すら動きを止める中、まるで語り部のように続ける。
「神代より続く生きた神話。一度は世界より姿を消そうとも、天地を統べる朱い月は此処にいる。今こそ再臨の時来たれり。再びその伝説を儂は紡ごう」
空港を照らしていた黄金の光は《槍》へ収束し、その輝きはより一層強くなる。
黒剣を掲げるアークライトは、光槍の輝きを後光として背負い天へ浮かぶ。
その様は、まさしく神話の具現。神の時代が終わりを迎えて2000年、此処に伝説の再誕を告げる。
「さぁ、控えよ、畏れよ、刮目せよ世界。――――星の王の凱旋じゃ」
アークライトが黒剣を振り下ろす。それに呼応し、天罰の光槍が空を切り裂き、アバドンを穿つ。
貫かれたアバドンは苦悶の絶叫を上げると、その身が光に満たされ、光の粒子となって黄昏の天へと昇っていった。
それを見届けたキスショットは踵を返し、地面に突き刺していた斬撃皇を引き抜く。そして背を向けたまま、最後とばかりに暮人とグレンに言う。
「儂らの目的は達した。これで終いじゃ。切り札をなくしたばかりか、無駄に戦力を消耗させ、士気も最低。……あぁ、うぬらのどちらが通じているか知らぬが、儂ら側の内通者はすぐに処断するので、あてにせぬことじゃ。最悪といえる状態じゃが、まだ諦めぬと言うのなら、まぁ頑張ることじゃな。また会わぬことを祈るわい」
そう言い残し、ふざけた様子で手を振りながら去って行った。
残ったのは暮人とグレン。既に神代から現代へ戻っているにもかかわらず、二人はキスショットを追うことができなかった。
元より満足に動けるほど回復しておらず、加えて精神的なダメージが酷いからだろう。
これまで積み上げてきた準備を無にされ、切り札だった天使も、今後の計画も完膚なきまでに粉砕された。
それも全く想定外の余所者によって。
欲望が渦巻く醜い戦いは終わった。アークライトというイレギュラーにより、本来とは全く異なる結末で。
しかしこれは始まりに過ぎない。物語は次なる舞台へ移る。
はてさて、一体誰が紡ぎ手になるのだろう。
並ぶ者なき力を持つ普通の感性をした吸血鬼の王とその伴侶か、物語を裏から操り表では搔き回す妖艶なる吸血鬼か。それとも矛盾を思い知らされた張りぼての支配者と大罪を背負う鬼に取り憑かれた人間か、もしくは運命に翻弄される六人の少年少女たちか。
ひとまず今宵はここまで。欲望塗れる幻想は、ここに終わりを告げた。
◇ ◇ ◇
俺は今、危機に瀕している。突破は困難。かと言って回避も無理。
このままではマズい。いくら俺でも死ぬかもしれない。
不老不死に不朽不滅が付くレベルな不死身でも、治せないダメージだってあるのだ。
「いやぁ、久しぶりにノリノリじゃったのぉ。天降れ、じゃったか?
発動させるに、わざわざ口にする必要はなかった筈じゃがのぅ」
……具体的には精神的ダメージぃ!
「滾れ、とか、迸れ、やら、轟け、とも言っておったの。単語なところが増し増しで、こう香ばしく」
あべしっ。
「歪め、やら、墜ちろ、などもあったの。確か
ひでぶっ。
「最後は、神明裁断じゃったか? 読みは聖四文字か。まぁ悪くはないし、皮肉も効いておるが……その場の思いつきにネーミングが必要か? 技に名が必須というわけでもあるまいに。ましてやもう使うことがないのなら、尚更……のぅ?」
うわらばっ。
「わかっておる、わかっておるよ。少しばかり興が乗った、なんじゃろ? だがのぅ、お互い十世紀以上も生きておるし、そろそろ落ち着かんと……な?」
…………もう、堪忍してつかぁさい。
「かかっ、儂はただ事実を言っておるだけじゃよ?」
どこぞの愉悦神父みたいな笑顔でいけしゃあしゃあと!
誤解がないように言っておきますけど、わざわざ口にしてたのには理由がありますからねー。
応用性も利便性もすこぶる高いんだけど、あまりに良すぎて、イメージが漠然としてしまうことがある。
だから言霊を用いることで変貌させる事象を固定し、より単純で強力に出力させる。
一番近いのはアウレオルスせんせーかね。でもあの人と同じように、自分に不利な事まで出力しかねないから、
決してそっちのがカッコいいからではない、決っして! 大事なことだから二回!
「別に儂は咎めておらんよ。うぬにも若い頃があったわけじゃしな。時々再発しても、それも楽しめばよい。………まぁ、儂もいじれるから楽しいのじゃが」
おい、聞こえとるわ、バッチリと。絶対に後半が本音だろ。って言うか隠す気ないな。
ボソッと言った風に聞こえるけど、声量殆ど変わってないし。って言うか、念話に声量関係ないし。
やっぱ真世界はアカン。なんでか分からないけど、アレを使うと何故かハイテンションになる。
しかもそれを自覚してるのに、自然と受け入れてしまうのが厄介だ。
おかげで使い終わる度に悶えるハメに……。800年振りに使ったけど、全く改善してない。
むしろ悪化してる気が……!
「いや、うぬが
はいアウトー! 念話だからってナニ言ってんのこの娘!? しかも唐突すぎぃ!
「念話だからこそ、じゃ。周りに誰かがいる状況でのうぬとの会話は、念話が基本じゃからな。カリスマモードのうぬでは、会話が固くて嫌じゃ」
モード言うな。やってる自分が一番恥ずいんだから。
こればっかりはどうにもならんのよ。アヴァロンに帰ったら埋め合わせするから堪忍して。
「うむ、なら楽しみにしておこう。会って数年は念話など出来んかったから、常に固い会話じゃったな」
あ〜、それが原因でキレたんだっけな、キスショット。で、最終的に喧嘩に突入、と。
「あの頃の儂も色々と堅苦しかったからのぉ。お互い譲らずで大喧嘩じゃ」
今になって考えると、相当ヤバかったよな。最初から千年城展開したあの時の自分を褒めてやりたい。
「現実でやっておったら……良くて大陸消滅か海が蒸発。最悪は……」
まぁ、星が死んでるな。
「と言うか消し飛んどるじゃろ。特に最後の一撃は」
互いに出せる全力全開。もう二度と使わんぞ。おかげで城は全壊だ。直すのにどんだけ苦労したか……。
まぁ、そのおかげで分かり合えたから結果的には万々歳だけど。被害に目を瞑れば。
「儂もアークも、会った当初から何かを感じておったのじゃ。ならば、気持ちをぶつけ、そして理解し合えるのは必然じゃろう。何より、儂がうぬに血を吸われ、与えられ、吸血鬼となったあの瞬間、互いに告白したようなもんじゃろ」
”私を貴方に差し上げます。私が貴方を助けます”、だったか。よく吸血鬼に対して言えたな。
「いやいや、うぬも負けとらんよ。”その身を捧げると言うのなら、私と共に生きろ。私が生きるならお前も生き、お前が生きるなら私も生きよう。そして、終わりがあるなら共に迎えろ”、じゃろ。よく人間に対して言えたの」
キスショットの口から聞いて思うけど、相当に強引でぶっ飛んでると思う。
他にもっとなかったのかよ、あの時の俺よ……。
「儂にとってこれ以上などないわい。儂はうぬが生きることを望んでおった。うぬが生きるには儂の血を吸うしかない。しかし、うぬは儂が生きねば己も生きるつもりはないと言った。ならば共に生きるしかあるまい。うぬの意思が十分に伝わったプロポーズじゃよ」
正面から言われると凄く恥ずかしいんですが。
「表の表情は全く変わっておらんがの」
それに関しては本当にすみません。キスショット以外の前では、無表情鉄仮面がデフォなんです。
「わかっておる。まぁ、アヴァロンに帰ったら、じゃな?」
りょーかい。それじゃあ、さっさと終わらせてさっさと帰還しましょう。
長くエリアスに任せるのも悪いし。
キスショット、あの黒髪オールバック君はどうだった?
「鬼に呑まれている、には少し違和感があった。もう一人の方は気にせんでよい。注意するなら黒髪一人――確かグレンと呼ばれておったの」
グレン君ね。見たところ仲間思いの良さげな上司、って感じだったけど、なるほど鬼か。
キスショットとある程度戦える力となると、中にいる鬼ってもしかして俺と同類だったりする?
アシュラみたいに。
「確か儂と会う前に消えたクルル・ツェペシの兄じゃな。いや、同じようで違う。血族、もしくは眷属か。その類いじゃろう」
ん〜、でもクルルちゃんに眷属なんていたっけかな。
「それは後々にわかることじゃ。と言うより、儂らが念話している間に随分と進んでいるようじゃよ。ほれ」
念話に向けていた意識を現実に戻して、キスショットがクイッと指した方を見る。
「今ここで! クルル・ツェペシによる重大な裏切り行為が発覚した!! 《終わりのセラフ》研究への関与だ!! 吸血鬼にとって禁忌とされ、アークライト様が直接赴く程に危険な《
気絶したクルルちゃんを掲げ、何やら宣言するフェリド坊。そして上がる大歓声。
取り敢えずフェリド坊、説明よろ。
漸く原作で言うところの第一部が終わりそうです。11巻分が終わったら暫く本編はお休みとします。おそらく番外編になるかと。
原作の方でもいろいろと新事実が明らかになってきていますが、この作品はこの作品で突っ走るので、余程の事がない限りこのままで行きます。
元々、どの吸血鬼キャラの組み合わせが最強か、と言うのがきっかけなので。
それでは次回。