なざなざなざりっく!   作:プロインパクト

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この物語で出ている至高の方々ですが、あくまで作者のイメージです。楽しめて頂けたら幸いです。


ぷらねっとうぉっちんぐ

 

 

 

 

「ふぅ、こんなものかなぁ」

 

 

第六階層の大森林、木々が生い茂るその中に、マーレ・ベロ・フィオーレの姿はあった。

何処から見ても少女、という姿であったが、その実、男の子である。否、男の娘である。

 

ドルイドである彼は、その能力を使用して、森の調整を行っていた。邪魔な雑草を枯らせたり、木々に水を上げたり、様々だ。

 

「……?」

 

次はどうしようか。とマーレが考えていると、彼の索敵に引っ掛かった反応があった。大きさ的には姉が飼っている魔獣だろうか、と彼は考える。

この森には姉であるアウラ・ベラ・フィオーラの使役獣のフェンリル等が放し飼いされている。特別襲い掛かってはこないのだが、見た目はかなり怖い。

 

それだったらどうしようかなー、怖いなー。と思っていたが、目に入ったソレを見てそんな考えは全て吹き飛んだ。

 

「ぶ、ブループラネット様……っ?!」

 

姿を確認してすぐ、跪く。そんなマーレを見てブループラネットは言った。

 

「急に来て悪かったね。少し、この辺りでゆっくり出来る所はないかい?」

「は、はい。それでしたら、この先に開けた場所が有りますので、そ、そちらにご案内します」

「うん、宜しく頼むよ」

「あぁ、そこまでされなくても、命令してくだされば充分です!」

 

ペコリと軽く頭を下げたブループラネットに、マーレは慌てて上げるように促す。至高の御方である方からならば、どんな命令でも遂行するのが当たり前であり、また命令されるのは褒美と一緒だからだ。

 

「(ぜ、絶対に粗相の無いようにしなきゃ……)」

 

若干カチコチと動きがぎこちなくなっていたが、マーレは目的地へとブループラネットを案内した。

 

 

 

 

 

 

 

正直叫びだしたかった。

ブループラネットは、先頭を行くマーレに付いて行きながら、そんな衝動にウズウズしていた。

彼は自然を超が付くほど愛している男である、特に星空が好きで、素材と金を用意さえすればほぼ何でも作れるユグドラシルは、彼の趣味を更に暴走させた。

 

「(うっはーぁ……、本ッ当に最高だ)」

 

深呼吸をして感じる、マイナスイオンたっぷりの空気。森林浴という現実では一生出来なかった事を、彼は堪能しまくっていた。

 

「(そして、空を見上げれば満天の星空……、此方に来れて良かったぁ……)」

 

自身が作り上げた最高傑作とも言える、第六階層の星空、現実では汚染されきった雲で覆われていたため、見るのは生涯初めてである。

 

「はぁー……」

 

こっちに来て涙は出ない身体になっていたが、人間のままであったらマジ泣きしていただろうと感じた。

 

 

「な、何か不備が御座いましたか?」

前を歩いていたマーレが、びくびくしながら此方へと振り返る。さっきのため息が原因だろうと理解したブループラネットは笑って言った。

 

「いいや、あまりにもここの環境が良くてね、私は自然が大好きだから堪能していたんだ。勘違いをさせて済まなかったな」

「あ、いえいえ! 此方の管理をさせて頂いている身からすれば光栄です! ありがとうございます!」

 

不安気な顔から溢れんばかりの笑顔に変わったマーレ、二人はそのまま他愛ないことを言い合いながら、進んでいく。

 

 

 

 

 

 

「こ、此方で御座います。申し訳ありません、至高の御方が過ごすにはまだ不充分なのですが……」

「いいや、私にはこれで完璧さ」

 

案内されたのは、森のなかにある少し開けた場所。大きめの木々の間にハンモックが通してあり、充分過ごしやすいと言える。

 

「よ、っと」

 

空間から敷くためのマットを取り出したブループラネットは、無造作にそれを放った。後ろでマーレが何やら言っているが、この際無視しておく。

 

「(……ここに住むのも良いなぁ)」

 

ナザリックのシモベ全員が許可しないであろうことを考えながら、ブループラネットはゆっくりと目を瞑った。

人生を掛けて想像し、創造した夢が目の前に広がっている。ブループラネットからすれば、それだけで充分すぎる物だった。

 

 

 

 

 

「ブループラネット様は、本当に自然が好きなんだなぁ……」

「……ぅん?」

 

どのくらい時間がたったのか、気付けば寝ていたらしい。側でずっと控えていたらしいマーレが、ビクリと跳ね上がった。

「も、申し訳ありません‼睡眠の邪魔をしてしまいまして‼」

土下座でも始めそうなマーレに、ブループラネットは手を降る。

 

「いや、こちらこそ済まない。どれ、少し冷えただろう温かい飲み物でも出そう」

空間からポットやら何やら取り出して準備しだしたブループラネットに、マーレが慌てる。

「い、いえ‼別に問題ありませんので、そんなことしていただなくとも……っ」

「そうかい?でも、もう準備は終わったから、出来れば飲んでほしいだが……」

ホコホコと湯気が上がっているマグカップを二つ用意している。その一つをマーレの方に差しだして、ブループラネットは言った。

 

「私はね、幼い頃に見た本にあった星空に、心を奪われてしまってね。それ以来、自然や星空に対しての興味が尽きないんだ」

「ブループラネット様の幼少期ですか……気になります」

「はは、普通の子供さ」

自分達からすれば神にも等しい方の幼少期、普通じゃないだろ。と言いたくなるが、楽しげに話すブループラネットを見て、マーレはただ笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そ、そういえば、モモンガ様が外の世界の星空も素晴らしいと称賛されていました」

まぁ、ブループラネット様の作った物とは比べ物にはなりませんが、と続けようとしたが。

「外?! た、確かに。見落としていたな……、よし、行こう」

「え。ぶ、ブループラネット様?! お待ち下さい‼」

 

単身星空を見ようと外に飛び出したブループラネットのせいで、ナザリック内が大慌てで捜索、捕獲部隊を編成(守護者主導)したのは後の話。

 

 

 

 


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