「今回の実験には色々と目的があるようなのであります。」
ガサゴソと音をたてて隠していた書類を引っ張り出す。なんか、若干温いような温くないような…。
「ええっと、見た感じは問題ないのかな?」
『20㎝30連装噴進砲の試験』
…いや、これはダメでしょう。陸軍さんも何考えてるんですかね。
『短12㎝砲、短20㎝砲の試験』
あの中途半端な砲を改めて対地攻撃に利用しなくてもいいんじゃないかな。
「一番の問題は、彼らの興味関心の中に敷島提督。あなたがいることです。」
「え、あっ…!?本当だ!」
今更こんな老朽艦に何を期待してるんだか。
「決して、採血をはじめとした理由のはっきりしない検査を受けたりしないでほしいのであります。」
「そうだね、肝に命じておくよ。」
あんな不気味な連中のする根拠のない検査だってなったら自力で海路を通って鎮守府まで帰るわ。
「さらに、我ら陸軍を悩ませる上陸先の敵を撃破するために開発したのが先に読んでいただいた新型装備の噴進弾であります。」
巡洋艦の20.3㎝砲弾を流用するような設計。しかし、対空用の12㎝噴進弾みたく多ければいいってものでもない。構造上、仕方ないことだけれど弾薬を甲板に並べているようなものだから。その威力が大きければ大きいだけ、数が多ければ多いだけのリスクを負わされるように思える。
「それで、何で私?」
「旧式の前弩級戦艦が最新鋭の超弩級戦艦相手に勝利したこと。身に覚えがありませんか?」
…え゛?まさか、そんなことで?!
「いやいやいやいや。それはない。」
基本的に反則ギリギリの攻撃なのよ?アボルタージュとか衝角攻撃とか。隠し持った魚雷を叩きつけるとか。
「でも、実際のところ柔らかいのに弾きますよね?」
「弾くように当たってるの!」
それでもギリギリなんだからね。死にそうなのよ?わかってほしい。46㎝砲弾なんて受けた時にはバカじゃないのかと思うくらい装甲を持っていかれてビックリしたわ。
「一線を退いた旧式艦娘たちの再戦力化。これが最終目標なのであります。人員における無駄を省き、予備艦を名実ともに確固たる存在にする。ここに主眼をおいているのであります。時間稼ぎのための盾でなく、確実性のある鎧とするための。」
「それで、私に近づきたいのね。」
妹の三笠は英雄だ。強い戦艦でありながら周囲をよく守られている。本人は窮屈と嘆くが、手出しを受けることはない。朝日は戦艦というよりは工作艦としての活動が多い。…そうなれば、やはり私のところが一番やり易いのだろう。
「一応、我々も同行するのであります。これでも陸の出身。頼りにしていただければ、幸いであります。」
なるほど。
「それじゃあ、よろしくね。」
活動報告にリクエスト欄を設置しました。
これからもよろしくお願いします。