「ありがとう、友鶴ちゃん」
友鶴ちゃんからプリンをもらう。そして、今日からは非番の艦娘たちに茶葉を配って“お茶会週間”を実施させる。ルールは簡単。お茶菓子を持ち合って艦娘同士の交流を深めること。形式は問わない。飛び入り参加もOK。
「それにしても、どうして私だったんですか?」
「私が食べたかったからよ。」
これには二つの目標がある。1つは私の行う“お茶会”を隠すため。2つは艦娘同士の交流を深めること。
「あ、ありがとうございます。」
少し照れる友鶴ちゃん。鳳翔さんが誘うと言ってたからそろそろ迎えに来る頃だろう。
「そろそろ、時間だから準備するね。」
鳳翔さんに誘われたからか、もらった着物を来ている友鶴ちゃん。時計を指差すとパタパタと帰っていった。
「転ばないように気を付けてね!」
手を振りながら声をかける。
「さて、と…。」
青葉は古鷹に誘われている頃だろう。あの子は古鷹の誘いは断らない。姉妹艦がいない島風は長門が誘えたことを嬉しそうに報告してくれた。
…いや、現実逃避はこの辺にしておこう。新入りさんには先に部屋に入ってもらってる。
「それは何でありますか?」
「プリンよ。お皿に出すから少し待ってて。」
わざとドアを少し開けて会話が聞こえるようにした。手製のプリン。これで少しでも後ろめたいことがあればすぐにわかることだろう。
「いいお皿でありますね。」
「…貰い物だけどね。」
生徒がくれた大皿。陶磁器の職人が家業であった生徒の焼いた皿。家業は兄が継ぎ、弟である彼は職人気質で無口な生徒だった。
「いいものはいいものでありますよ。それに値札を見て価値を決めるのは…。いえ、やめておきましょう。壁に耳あり障子に目ありでありますから。」
「壁も障子もよく調べておいたわ。」
そのために妖精さんの偵察機なんかも飛ばさせないように工夫しているんだから。
「なるほど。用意周到でありますね。」
「嫌いかしら?」
フードを外す神州丸。
「歓迎を感謝するのであります。」
神州丸はここでようやくテーブルに手を出して椅子に深く腰かけた。
「あ、そういえば…。あきつ丸も一緒してよろしいでしょうか?」
「これだけ大きなプリンなら大淀も呼びましょう。」
事前にした打ち合わせと同じように互いの仲間を呼ぶ。よかった。本物だ。偽物だったらどうしようかと…。
「今日は、いい日になりそうね。」
天気もいい。楽しそうな声に溢れる鎮守府。新しい仲間が増えた日だ。
「ええ、こちらこそよろしくおねがいします。」