艦娘?いいえ、不良品です。   作:バイオレンスチビ

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時雨と友鶴

コンコン

 

今日は特に調子が悪い。

それこそ、

起き上がる事もできない。

先程

間宮さんと提督に携帯でその事を伝えた。

<心配いらない。>と

 

「時雨だけど…。」

 

息が苦しく声も出ない。

 

取り合えず

ベッドから出て歩き、

ドアを…

 

バタンッ

 

「うぐぐぐ…。」

 

倒れた。

 

力を込めて立ち上がる。

ダメだ。

力が入らない。

四つん這いのまま

ドアに向かって進む。

 

意識が遠のき、

視界が歪む。

 

ポケットからカッターを出し、

手首を切る。

 

少しだけ意識が覚醒する

 

 

 

「ごめん。友鶴、開けるよ!!」

部屋からの音に心配になった時雨が叫び、

提督から預かった鍵をさして開ける。

 

部屋には、

倒れている友鶴が口をパクパクさせている。

「大丈夫!?」

取り合えず、

抱き上げてベッドに移す。

 

小さな声で

「ありがとう。」

という言葉が聞こえた。

真っ青な顔で呼吸も荒く汗だくになっている友鶴。

 

「大丈夫?」

首を縦に振る。

「大丈夫。

痛みも感じる。生きてる。」

精一杯聞こえるように答える。

「大丈夫じゃないよ。それは…。

取り合えず、汗は拭くよ?」

ダメだ。

首を横に振る。

 

良いよ。大丈夫だから。

私の身体を見たら、

不快になって私を嫌うでしょう?

声がダメになったので

視線で訴える。

 

「衛生的に拭かないとダメだよ。

それに、汗で体が冷えて風邪引くよ?」

 

言いながら、

彼女は私の服を脱がせる。

 

抵抗できる力もないため

おとなしく拭かれる事になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕が

彼女の寝巻きを脱がすと

彼女の全身は、

案の定

傷だらけであった。

優しく丁寧に拭いて行く。

 

着替えるのも手伝ってあげる。

 

提督に伝えるために携帯を出す。

すると、

袖を引っ張られてしまった。

ダメだよってことかな。

「ダメかな?」

肯定する彼女。

「心配かけたくない?」

またも肯定。

「薬とかある?」

震える手で指差す彼女

 

ドア?

 

「出てけってこと?」

否定。

「もしかして鍵?」

肯定。

 

何で鍵なんだろう。

まぁいい。

閉めよ《ガチャ》

「大丈夫?

友鶴ちゃん!?」

勢い良く飛び込んで来る雷

 

何故か手に巨大レジ袋

 

 

 

「時雨っ。

早くこれ、氷枕。

準備して!」

 

「わ、わかった。」

次々に飛ぶ指示。

さすが

鎮守府古参艦娘の一人

 

「明石さん呼んだわ!

これで大丈夫。

貴女が心配いらないって言うときは、

大体ヤバイ時なんだから!

鳳翔さんも心配してたわ!!」

 

 

 

 

 

 

 

明石到着。

 

 

「うーん。

風邪ですね。

はい、薬。

多分、

演習で無茶してびしょびしょになった後に

入渠した後に髪を乾さないとかで湯冷めしたとか。」

 

「いや、してないしてない。

演習でも手ぇ抜いたし、

入渠した後には、

とある艦娘から全力で

隠れて逃げて寝たし「「ダメでしょ!!」」」

 

「とにかく、1週間安静です。」

 

「そうさせてもらいます。」

 

「くれぐれも、

部屋から出て遊び回ることのないように。」

 

「はーい。」

 

 

 

「部屋から出られないなら、

コレが必要ね。」

 

「きゃっ!ちょっと待って!!大丈夫だから!!!

ちょっ、時雨助けて!!」

 

 

イヤァアァー

鎮守府に悲鳴が響き渡った。


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