艦娘?いいえ、不良品です。   作:バイオレンスチビ

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知りたい

「提督。教えて欲しいんだ。」

真剣な表情の時雨

「何を?」

 

「友鶴のことを。」

空気が凍る。

「知ってどうしますか?貴女は。」

睨みを効かせて言う提督。

「…。」

 

沈黙。

 

「彼女を助けてやれるのですか?

救えるのですか?

覚悟は、あるのですか?」

提督の言葉。

「…。ある。あります‼」

仲間のことを知りたい。

囚われている過去があるのならば、

助け出したい。

過去に囚われるのはとても辛いから。

 

バサッ

 

ファイルを机に広げる提督。

「ここにすべてがあるわけではない。

一部に過ぎない。

後は、本人に聞きなさい。」

 

「はい。」

 

 

 

 

 

後天的手法による艦娘化計画

 

 

 

妖精による改造によって

人間の少女を艦娘にすることが目標となる。

 

なるべく

物質に近い状態の被験者が必要という妖精の要求から

要求に合う6人の少女を選抜。

 

実験室に運び込まれ

妖精による改造が行われた。

 

不完全な艦娘が4隻

精神崩壊を起こした個体が1隻

蒸発が1隻

 

 

この実験は失敗した。

 

耐久試験及び

教導中の事故により、

精神崩壊した個体が消滅。

 

尚、

4隻は

別々の鎮守府に送る事とする。

 

 

 

ファイルの内容はそんな事であった。

 

 

 

「ついでに、

研究者の一人の私の父の日記がこれ」

 

手渡される日記

 

「提督の?」

 

 

20XX年○/●

我々は、

取り返しもつかない

罪を犯した。

 

人体実験である。

 

私は、

反対派であったが

結局、止めることができなかった。

 

つまり、

私は彼等と同類で

この少女達の運命を狂わせたのだ。

 

病気,事故によって腕一本動かせぬ少女達を

大量の資材とともに

妖精に差し出し、艦娘に改造しろと言った。

 

○/▲

妖精によると、

実験は、失敗したらしい。

 

やはり、

私の考えは間違っていなかった。

 

出来たのは、

精神崩壊した生ける屍と

無惨な屍。

そして、

不完全な

艇娘であった。

 

無事であった奴は、

鎮守府に派遣され、

戦いに出される。

 

この世に神はいない。

 

 

○/×

妖精によると、

不完全な艇娘達の能力は、

通常よりも火力重視で強めに作ったらしい。

 

そんなこと

どうでもいいと心底思った。

 

○/&

出来たのは、

千鳥型水雷艇だった。

友鶴事件で有名な

アンバランスな艇である。

せめて、

隼型とかにできなかったのか…。

 

何処が不完全なのか

 

・人間の記憶が残っている

・体に異常がある

 

作るなら、

きちんとした者にしてあげて欲しかった。

 

○/!

私は、

「友鶴」になつかれたようだ。

友鶴事件の友鶴

 

少し、嬉しかったが…。

こいつが海で命のやり取りをするのは、

想像したくなかった。

 

○/?

被験者番号6が死んだ。

精神崩壊を起こしていたのだから、

生きていても可哀想なだけであった。

そう考えたものの

やはり、悲しい。

我々が人類の生命の禁忌に触れたばかりに

この少女は、命を落とした。

 

○/↓

友鶴が鎮守府に異動した。

寂しかったが

そこの鎮守府ならば、安心だ。

 

そこで幸せになって欲しい。

 

 

 

○/→

この日記をお前に託すことにした。

我が娘にして

最高の提督へ。

 

 

 

 

そこで終わっていた。

「自分勝手でしょ?

ただの人殺しだよねこの実験。」

 

「酷いね…。」

 

人類の狂気の一部をはっきりと

見せつけられた気がする。

 

 

「後は、本人に聞きなさい。」

 

「解った。」


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